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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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目覚める前には奇妙な夢を見ることが僕は多いのだが、これは誰でもそうなのだろうか。たぶん、周囲の物音が夢の中の事物や出来事に変化するのだろう。
その夢は起きた瞬間にはほとんど忘れたのだが、その夢を見た原因はすぐに分かった。
僕の部屋に、まったくの他人、つまり昨晩出会ったばかりの自称織田信長氏が存在していることが、明白になったのだ。僕は、昨夜の出来事が、朝になればただの夢だったと分かるのではないかと思いながら眠りについたので、非常にがっかりした。
信長氏は、窓の傍に立って外を眺めていた。やはり白い寝巻(あるいは浴衣)姿である。
窓からは秋の朝の清潔な、爽やかな光が入ってくる。金持ちにも貧乏人にも太陽の光は平等だ。
「おお目覚めたか。わしは腹がすいたぞ。何か作ってくれ。昨日のあれでもいいぞ」
信長氏は偉そうな顔で、それでも笑顔で僕に言った。
「僕はまだ腹がすいていないんですがね」
「わしはもう一刻近くも前に起きたが、お前を起こさないように静かにしていたのだ。ここではお前が主人、わしは客だからな」
「だから、もてなせと?」
「まあ、茶の湯であれば、そうなるな」
僕はしぶしぶ床から起きて、ガステーブルに湯沸しを載せて火を点けた。
歯を磨き、顔を洗うのは朝飯の後にして、僕はスマホを手にした。何か、このキチガイ氏の情報が無いかと探したのだが、無いようだ。
そうするうちに湯が沸いたので、僕はカップ麺をふたつ出して、湯を注いだ。信長氏は興味津々の顔で、その手順を眺めている。
「いい匂いじゃな」
「3分待ってください」
「中で、煮えているのじゃろう?」
「まあ、そうです」
「湯を注ぐだけで煮えるとはな」
出来上がって、僕はふたつとも蓋を剥がして、ひとつを、箸と一緒に信長氏に渡した。
信長氏は、僕がそれを食う食い方を観察した後で、同じように中身をかき混ぜ、恐る恐る箸をつけた。
「熱いから気をつけてください」
「うむ、大丈夫じゃ。お前のやり方は見ておった」
後は、一口食うや、その美味さに感嘆の顔をして、あっという間に食べ終えた。
「美味い、美味い。これは何という美味さじゃ。わしが食った料理の中で一番美味いぞ」
食べ終えて、満足そのものの顔だが、もっと食べたそうである。
「もう一杯食べますか」
「うむ、ぜひ所望する」
僕はもうひとつ開けて、湯を注いだ。僕自身は一杯で十分だ。
再び湯沸しをガステーブルにかけて湯を沸かす。
そしてコーヒーを淹れる。これは本物のコーヒーだ。貧しい暮らしの唯一の贅沢だ。豆自体は安物だが、僕の淹れるコーヒーは我ながら美味いのである。
「いい匂いじゃのう。それは何と言う」
「コーヒーです」
「茶では無いようじゃな」
「飲んでみますか」
僕は、自分の分はブラックのままだが、信長氏の分は砂糖とクリームを入れて提供した。
「こ、これはまた何という美味さじゃ。天の甘露か!」

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