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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
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 疲労の話をしよう。多くの格闘技の本で無視されているのが、疲労の問題である。まるで、訓練を積んだ格闘者にとって、疲労は問題にならないと言わんばかりだが、どんなに訓練を積んだところで、疲労は生じる。そして、最終的には、どちらがより疲労しているかが勝負の決定要因になることも多いはずである。ラウンド数や試合時間が決まっている、スポーツ的な格闘技なら、そのラウンドや時間を乗り切るだけの訓練を積めば十分だろうが、生死を賭けた戦いで、疲労を考慮にいれない格闘者がいたら馬鹿だろう。
 一例をあげよう。競走馬は、走ることのエキスパートで、毎日、そのための訓練を受けているはずだ。しかし、逃げ馬のほとんどが、ゴール前で失速するのはなぜか。疲労のためである。動物が全力疾走できるのは、どんなに鍛えても10秒程度しかないのだ。(全力疾走とは、無呼吸で走ることであり、それが10秒以上続くとは考えにくい。カール・ルイスの走りには、明らかに100メートルの中でのペース配分があった。)早い段階でスタミナを使い切れば、他者の餌食となるのである。疲労には、どんなに鍛えても突破できない壁があるのである。
 格闘技でも同じである。ストレートを、フックを、一発打つ度に、スタミナは消耗されていく。重いグローブを空中に保持しているだけでもスタミナは消耗されるのである。わずか3分間のラウンドでさえ、フルに打ち合うことなど不可能なはずだ。その3分間の中で、いかに疲労せず、効率的にパンチを放つか。そうなると、まずジャブが最善の武器であることが分かる。力を入れないジャブでも、カウンターで当れば大きな威力を生み出す。また、相手が予測していない時に当ったパンチも、大きなダメージを与える。ここに、フェイントという戦法が生まれる。
 フェイントとは、「ふりをする」ことである。前進する「ふりをして」、前進しない。パンチを出す「ふりをして」、出さない。右からフックを放つ「ふりをして」、左からアッパーを放つ、というようなのがフェイントだ。
 相手の予測を外すことは、ボクシングの戦略の重要事項である。その極端な例が、輪島功一の「蛙飛び」である。輪島はそういったフェイントの名人で、たとえば、試合前に風邪を引いた「ふりをして」相手を油断させたこともあった。また、試合中に、わざと余所見をして、相手の注意をそらして、いきなりパンチを放つなど、多彩なフェイントを用いたものである。ここまで極端でなくても、相手が自分の動作を読む、その予測を外して動くことで、試合を有利に運ぶことができるのである。もちろん、フェイントだけでは上手くいくわけはないが。
 ボクシングの基本は、いかにして自分の急所を守りながら、相手の急所にパンチを当てるかである。その攻防がボクシングだと言っていい。(その意味で、ボクシングは一種の芸術的スポーツでもある。シュガー・レイ・レナードが「ロッキー」を、ボクシングを野蛮な殴り合いとして描いていると非難したのはそのためである。)では、どのようにして自分の急所を守るかというと、大きく分けて、相手のパンチをかわすことと、腕で受けるか、弾くことである。かわす動きがダッキングやウィービングであり、受けるのはブロッキング(?)、弾くのがパーリングである。弾くとは、一応は受けるのだが、ブロッキングのように正面から受け止めるのではなく、相手の腕を弾くようにして、相手の拳の進行方向を変化させるのである。腕は急所ではないとは言っても、まっすぐにパンチを受ければダメージはあるから、ブロッキングよりはパーリングのほうが好ましい。しかし、防御の基本姿勢そのものは、自分の急所を腕でガードする、ブロッキングの姿勢である。その姿勢からブロッキングをするか、パーリングをするかは状況次第だ。亀田兄弟のボクシングは、汚いボクシングだが、その基本姿勢、いわゆる、フロイド・パターソンの「ピーピング・スタイル」は正しい。この姿勢をとっていれば、攻撃のために姿勢を崩さない限り、ノックアウトはされない。
 人体の急所の中で、ボクシングの防御対象とすべき部分は、顎、こめかみ、みぞおちの三箇所である。もちろん、鼻などもまともにパンチが入れば、急所である。とにかく顔面(より広範囲に言えば、体の中心線)はすべて急所のようなものだから、防御に際しては、何よりも顔面のガードが最優先事項である。ボディではみぞおちが急所になるが、腹筋を固めれば、ほとんどダメージは受けないため、気を抜いた瞬間に打ち込まれた一打以外には、ボディへのパンチでのノックアウトは考えにくい。また、トランクスのベルト位置より下への打撃は反則だから、(相手が亀田兄弟でもないかぎり)考えなくてもいい。そうすると、ボクシングでは、顔面を守りながら戦うのがもっとも有効だと考えられるから、そこからフロイド・パターソンのピーピング・スタイルも生まれたのだろう。しかし、守っているだけでは勝てない。こちらからパンチを打つ瞬間もあるわけだが、その瞬間には、顔面のガードは疎かになっているわけだ。一番いいのは、ジャブやストレートを打つ瞬間にも、もう一方の拳で顔面をガードしているというスタイルだろう。これがボクシングの基本ファイティング姿勢だと考えられる。
 顔面が最大の急所であるという事からは、自分の顔面を相手からより遠くに離しながら戦うというスタイルが考えられる。これがベアナックル時代のボクシングのスタイルである。当時は、上体を後ろに反り返らせた姿勢で、両腕は軽く曲げて肘を下にし、拳を上に向けていた。つまり、最初からアッパーカットを狙うような姿勢である。これは、アッパーカットが、当たれば最も強力なパンチであったからだろう。つまり、お互いに相手の顎だけを狙っていたわけだ。殴ることが格闘の中心であった文明は、さすがに殴ることの戦略には長けている。顎以外、頭部以外は、拳で殴ってもたいしたダメージにはならないことが良くわかっていたわけである。剣道で言えば、下段の構え、下から上を狙うような構えである。しかし、グローブを用いた試合が一般的になると、グローブをはめた拳で顔面をガードすればいいのだから、このスタイルは廃れることになった。腕の位置も、肘を上げ加減にして、上からも横からも下からもパンチを出せるようにした方が合理的だということになったわけである。ということは、グローブを用いないストリートファイトでは、案外とこのベアナックル時代のファイティングポーズが有効かもしれないということだ。
 さて、ボクシングが空手や少林寺拳法などに優越するのは、パンチの威力と、フットワークである。どちらも修練の結果ではあるが、同じ程度の修練を積んだ場合、空手や少林寺拳法などよりも、ボクシングの方がより強いだろうと思われる。ただし、ボクシングでは下半身の防御はまったく考えられていないから、足への蹴りを数発くらえば、それで足が死んでしまう可能性もある。(もっとも、私には、余程の接近戦になる以外に、空手の蹴りが相手に当るということ自体が考えにくいのだが。なぜなら、パンチと同じスピードを持った蹴りがあるのかどうか、私は疑問に思っているからである。パンチの場合は、こちらが逃げる以上のスピードで相手の腕が伸びることは考えられるが、蹴りというのは、ためを作り、あるいは反動をつけないと、出せない動きではないのかと思われるのである。つまり、予備動作のある攻撃、ボクシングで言えば、「これからパンチを出しますよ」と電話をかけてからパンチを出すような「テレフォンパンチ」と同じではないだろうか。そんな攻撃を、修練を積んだ格闘者が受けることがあるだろうか。)
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