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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
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昔の書きかけの野球小説を見つけたが、今読むとなかなか面白いので、未完成だが載せておく。そのうち気が向いたら続きを書くかもしれないが、登場する実在選手がもはやほとんど過去の人なので、なかなかそれも難しそうである。






      「 とある投手の独り言 」       




 世間の人間はどう思っているか知らないが、おれは、野球ってのは球遊びだと思っている。大の大人がやるには少々恥ずかしいものだが、それでもプロ野球ってのは、世間に認知された仕事の一つで、しかも、プロ野球選手になれれば大金が手に入る。まあ、上役の目に怯えながら面白くも無い仕事をこなして家に帰ったサラリーマンが、ビールの一本もついた晩飯を食いながらプロ野球で一日の憂さを晴らしてくれるなら、我々の仕事にもそれなりの意義はあるってことだろう。他人の金を動かして金儲けをする株屋や会社乗っ取り屋たちの仕事よりはましかもしれない。
 ところで、おれはプロのピッチャーだ。プロ生活は7年目だが、これまで35勝を上げているから、まずまずの投手だろう。ガキの漫画では、一年に20勝30勝を上げないと主人公にはなれないだろうが、現実の野球は、おれのレベルの投手でも、十分に高く評価されるのである。しかも、おれの場合は、最初の2年間はファーム暮らしだったから、実質的には4年間で35勝、つまり、年間10勝近い勝ち星を上げているわけだ。その勝ち星も毎年上がっており、3勝、7勝、10勝、15勝であるから、今年は20勝だ、などと思うほどおれは甘くはない。正直言って、今年も同じ程度の成績が残せるか、不安でしょうがないのだ。だが、まあ、どうせ球遊びだ。俺が不成績だったところで給料が下がり、最悪クビになる程度のことだ。まあ、さすがにクビにはなりたくはないが、普通にいけば、今年も10勝はできるだろうとは思っている。そして、チームにとって、10勝投手というのは、野手のスター選手と同等に貴重な存在なのである。なにしろ、ピッチャーってのは、一人でゲームをぶち壊すこともできるんだから。
 ところで、おれは実は投手より野手としての才能があるんじゃないかと自分では思っている。守るポジションはどこでもオッケーだ。長打力という点では、さすがに体重75キロのおれでは、年間にホームラン15本がせいぜいだが、常時出場すれば、打率3割以上を残す自信がある。しかし、それに近い選手はほかにもいるわけで、やはりチームにとっては10勝投手のほうがはるかに貴重なわけである。まあ、おれが9人いれば、おれは20勝以上できるんじゃないかと思っている。
 ピッチャーとしてのおれは、さすがに歴史に名を残すというほどではない。タイプでいうなら、昔の北別府タイプで、コントロールでしのいでいくタイプである。現在なら、巨人の上原もそれに近いが、おれは彼ほど体力に恵まれていないし球も軽いから、少し疲れて球が中に入ると、簡単にホームランを打たれてしまう。首脳陣にとっては、変え時が難しいピッチャーだろう。ちなみに昨年打たれたホームランは22本で、これは多いほうから4番目であった。おれより多く打たれている連中は、おれより長いイニングを投げている奴らばかりだから、被本塁打率はあるいはおれが最悪かもしれない。平均的なパターンとしては、7回ぐらいまで投げて3失点くらいして変えられることが多い。完封勝ちは残念ながら、まだ一度もない。しかし、おれは成長が遅いタイプなのか、年々体力は向上しているので、今年あたりは完投数も増えるのではないかと思っている。そして、3年連続で10勝以上すれば、現在5千万円の年俸を、一気に1億の大台に乗せることも可能である。25歳そこそこで年収1億円なら、悪くはない。といっても、おれたちのチームは巨人ほど金持ちではないから、年俸に関しては、それほど楽観はしていない。まあ、キャリアのピークに達するまで、毎年上がっていけばそれでいい。
 おれたちのチームは、浦安ドルフィンズという、草野球チームのような、あまり強くなさそうな名前である。親会社は、千葉周辺で建設会社やゴルフクラブなどを幾つか経営している大川産業であるが、実質的オーナーは埼玉、千葉の山林王、山形京介、60歳である。日本の政界にも顔の利く大物らしい。球団社長は山藤明夫53歳、チームの監督は伊勢原幸男49歳である。以下、ヘッドコーチの毒島、打撃コーチ与那嶺、投手コーチ権堂、守備走塁コーチ白石などと続く。注意しておくが、与那嶺は、あの殿堂入りの名選手、ウォーリー与那嶺ではない。現役時代はいぶし銀のプレーヤーであり、けっしてスター選手ではなかったが、打撃指導には定評がある。権堂も、大洋の権藤とは別人である。日本人の名前は似た名前が多くて面倒だ。
 ドルフィンズは、まだ創設して12年という若い球団である。優勝経験はまだなく、2位が1度あるだけだ。最下位のほうは、6回もある。
 チームのスター選手は、若い外野手の鈴木健一。プロ野球選手としては細身で、パワーはそれほどないが、打撃は天才的で、過去8年間で首位打者を3回、打点王を1回、盗塁王を4回取っている。打順は1番か3番を打っている。4番打者は大田大悟一塁手で、これは打率は2割5分程度で三振も多いが、長打力はチームで一番だ。年間30本平均のホームランを打つが、スランプになることも多い。
 そして、チームのエースは三島一樹で、この弱小チームでこれまで100勝を上げている、なかなかの名投手だが、残念なことに今年で38歳と、投手としてのピークは過ぎている。それでも、昨年も13勝を上げたのはさすがである。今でも、おれより球は速い。
 言い忘れたが、おれの名前は、三神雄、オスではなくてユウである。顔は、映画俳優で言えば木村拓也に似ているが、あれほど生意気で酷薄な顔じゃない。誠実な性格がそのまま顔に表れたハンサムだ。野球をやめたらそのまま芸能界でも通用しそうな顔だが、あいにく連中のようにひっきりなしのおしゃべりをする能力はない。まあ、おれくらいの体力があれば、土方をやってでも生きてはいけるだろう。
 今年のセリーグの開幕日は4月6日、土曜日だ。おれたちの相手は阪神で、相手は去年の優勝チームだから、俺たちはビジターとして甲子園球場に行くことになる。ついでながら、おれたちは昨年は4位で、なかなか頑張った部類である。おれが15勝、三島さんが13勝、外人選手のロジャースが11勝、ベテランの新発田さんが9勝、若手の高幡が7勝、あと、2,3勝が何人かいて、62勝である。このうち、ロジャースと高幡は昨年以上に勝ち星を稼ぐ可能性が高いが、新発田さんは昨年は出来すぎという感じで、また、高幡以外の若手も伸びていないから、今年も昨年並みか、良くいって3位というのが、おれの見立てだ。
 ロジャースは白人選手で、多彩な変化球を持つ上に、スピードも150キロは出せる。まだ27歳という若さだから、大リーグに昇格する可能性もあったのだが、日本が好きで、(というより、日本の女の子が好きで)、そのために日本に来たという奇特なお方だ。若さのためか、ピンチになると逃げのピッチングになり、ボールカウントを悪くして打ち込まれるケースが多いが、それでも11勝12敗なのだから、波に乗れば20勝する可能性もある。というのも、彼が12敗した理由は、彼が投げているときに味方の援護が無かったからなのである。それはうちの投手陣全員に言えることだが、彼の場合は特にひどく、0対1の負けゲームが3回、0対2の負けゲームが2回もある。なにしろ防御率は2.90で、これはセリーグ投手成績の第3位なのである。おれほどではないがバッティングも良くて、野手に転向してもいいくらいだ。明るい性格で、女の子にもてるという点ではチームのナンバーワンだから、彼としても日本に来たことを後悔してはいないだろう。
 他の選手も紹介しておこう。
 トップバッターは、今村亮、29歳の外野手で、俊足だが、やや非力で、通算打率は2割6分程度、年平均の本塁打は10本弱、年平均盗塁数は20個前後だ。
 2番打者は、藤村康太、24歳の若い二塁手である。高卒でプロに入り、一軍定着して2年目だ。昨年は2割3分、3本塁打だが、選球眼が良く、出塁率はまずまずで、バントもうまい。守備も安定しており、おそらく今後15年間は、ドルフィンズの二塁を彼が守るだろう。
 3番打者はスーパー選手のスズケンこと鈴木健一で、彼のことは前に述べた。
 4番打者の大田大悟も省略。
 5番はキャッチャーの相羽で、大田に次ぐ強打者であるが、それはうちのチームの中ではということで、年齢も35歳であり、あと数年で引退だろう。リードはいいが、肩はすっかり弱くなっており、盗塁阻止率は2割を切っている。
 6番打者は若手の遊撃手、水野純一、23歳。大学を出て2年目で、昨年は打率2割2分でしかなかったがホームランを15本打っていて、ホームランバッターの素質がある。
 7番はベテラン三塁手の岡、34歳で、昨年は2割3分、12本塁打。
 うちの場合は8番に投手が入り、9番を第三の外野手が打つことが多かったが、どんぐりの背比べで、定着した選手はいない。しかし、今年は新外国人選手のタイラスという大物打ちが来るという話で外野と一塁が守れるということだ。したがって、彼が4番を打って、後は打順が一つずつ下がることになるだろう。
 チーム内でおれと一番仲がいいのは、二番手捕手の今悟である。打撃はまだまだだが、肩はいいし、リードもいいので、おれとしては自分が投げるときは今に捕手を務めてほしいのだが、若造のおれから監督に差し出口はできない。年もおれと同じで、話があう。
 スズケンはスーパースターだが、気難し屋で無口な男である。黙々と練習して、黙々とプレーし、試合が終わると軽く頭を下げるだけの挨拶で帰っていく。チームの中には、彼が喋るのをまだ一度も聞いたことが無い奴もいるだろう。しかし、なにしろスーパースターで完璧なプレーヤーだから、彼に文句を言う奴は、監督やコーチを含めて一人もいない。
 他には、やはり年齢の近い藤村や水野の内野陣とは話すことも多い。話す内容? まあ、スポーツしか能のない、頭の悪いスポーツ選手の話す内容は想像にまかせる。
 
 開幕戦の先発投手、つまり栄誉ある開幕投手は、去年の勝ち頭のおれではなく、百勝投手の三島さんだった。まあ、おれとしてはべつに文句はない。三島さんなら、調子が良ければ完投するし、悪くても3点以内に抑えて2番手にマウンドを渡すだろう。つまり、安全だ。おれが監督でも三島さんを使う。
 そして、うちの4番打者は例のタイラスである。33歳とやや年をとっているが、大リーグに7年いて、80本塁打を放っているというのは、助っ人としては期待できる数字だろう。ただ、肩も足もあまり良くなくて、結局、一塁を守ることになったため、昨年までの4番打者の大田さんが控えに回ることになってしまい、戦力的にアップしたのかダウンしたのか良くわからない。
 監督の伊勢原さんは、スズケンを久しぶりにトップバッターに持ってきた。出塁率の高いスズケンを得点圏に置いて、タイラスに返してもらおうという作戦だろう。
 そのスズケンは、初回、あっさりとレフト前の流し打ちで一塁に出た。そして、次打者の初球に盗塁に成功し、藤村のバントで三塁に進んだ。ワンアウト三塁という絶好の先制チャンスである。だが、3番に相羽さんを置いたのが間違いで、相羽さんはあっさりと三振でツーアウト。タイラスは、ボールカウントがノースリーになったところで敬遠。そして、五番の水野も三振で、得点無し。相手の先発投手下柳の勝ちである。
 うちの先発、三島さんは、対照的に、初回にツーアウトを取った後、3番シーツにファーボール、4番金本にホームランを打たれて2点を失った。その後はよく抑えたが、5回に再び金本のタイムリーで2点を失い、降板。あとは2番手3番手も面白いように打ち込まれて開幕戦は10対3の完敗であった。4番タイラスは見掛け倒しで、初回のファーボールの後、3打席とも強引に打ちに行って、3三振の散々なデビューであった。
 うちの得点は、スズケンの2点タイムリーと、代打の大田の、焼け石に水の代打ソロホームランの3点である。
 結局は、監督の伊勢原さんがあまりに早く、三島さんを見限って降板させたことが敗因だな、とおれは思った。三島さんは金本以外にはそれほど打たれていなかったのだから、後を抑える可能性は高かったはずなのだ。だが、それでも4点差はひっくり返せなかったかもしれないが。
 今年もうちの貧打線は健在か、とおれは溜息をついた。

 開幕第二戦の先発がおれである。開幕戦では、自分が登板する以上に胸がどきどきしていたおれだが、第二戦に登板した時にはすっかり落ち着いていた。相手は昨年のセリーグ優勝チームとはいっても、日本シリーズでロッテに子供扱いされたチームじゃないか。確かに、金本、今岡の4番5番は強力だが、日本シリーズで見せたロッテの内角攻めをうまく使えば、抑えることも可能だろう。阪神でもっとも優れたバッターは、実は7番8番を打っている矢野捕手だろうと、おれは思っていた。ほとんど隙のないバッターで、捕手という重労働をしていなければ、毎年3割を打ってもおかしくないバッターである。だが、彼にしても長打力はそれほどはない。
 おれは球はそれほど速くはない。抜群の変化球があるわけでもないし、コントロールはいい方だが、精密機械というほどではない。そのおれでも15勝できるのは、度胸がいいからである。だいたい、ほとんどの投手は考えすぎるのである。打者が打てるコースは、肩からベルトまでの間である。内角低めと外角低目の打率は、どんなに優れたバッターでも2割5分もいかない。つまり、ど真ん中を避け、内角低めと外角低目に投げていれば、それほど打たれるものではない。脅しのために、時々内角高めにボール気味のブラッシングボールを投げていれば、その外角低めもいっそう効果的になる。おれはコントロールはそれほど良くないが、フォアボールは滅多に出さない。出すとすれば、ピンチで強打者を迎えての敬遠フォアボールと、次がピッチャーの場合に、たまに8番打者を敬遠する時くらいのものである。つまり、意図したフォアボールだけである。フォアボールを出すくらいなら、真ん中に投げてホームランを打たれたほうがましだとおれは考えている。だいたい、フォアボールを出して喜ぶ人間はいないが、ホームランなら、少なくとも(敵側のファンだが)お客さんは喜ぶ。ヒットやホームランを打たれるのは、その打席では相手打者が勝ったというだけのことだ。今度は次の打席でこちらが勝てばいいのであり、最終的には、チームがその試合を勝てばいい。防御率が2点台だろうが、5点台だろうが、勝ちは勝ちである。相手がおれからヒットを10本打とうが20本打とうが、試合がこちらの勝ちなら、おれの勝ちということだ。
 というわけで、第二戦、おれは先発のマウンドに上っていた。初回、昨日と同じくスズケンがセンター前のクリーンヒットで出塁し、盗塁に成功、藤村のバントで三進した後、今日は3番に入ったタイラスがでっかい犠飛を上げて、今日は一点を先制した。相手投手は現在セリーグナンバーワンかとも言われる井川だから、この1点は貴重だ。
 さて、おれは阪神の先頭打者赤星を迎えて考えた。ヒットを打つ能力ではスズケンとは2ランクくらい落ちるが、塁に出せばスズケンよりも足は速い。2年連続のセリーグ盗塁王である。だが、おれとは相性が悪いのか、去年は13打数で2安打しか打たれていない。
 おれは内野を前に出して、浅く守らせた。深く守っていると、内野安打が怖い。
 結果は、3球目をシュートに詰まって、3塁ゴロである。2番平塚はライトフライでツーアウト。3番シーツにはヒットを打たれたが、4番金本をショートゴロに打ち取って、初回を0点で切り抜けた。
 この試合のクライマックスは早くも2回に来た。5番打者の水野、6番の今村が連続ヒットで出塁した後、7番の岡は三振でワンアウトになったが、続く8番の外野手、鳥羽に井川がフォアボールを与えてしまったのだ。おれのバッティングの良さは、前に話した通りである。おれは井川の初球をレフト前にクリーンヒットした。おれは左打ちだから、流し打ちである。うちの打線でこれのできるのは、スズケンとおれくらいのものだ。そのスズケンが、動揺した井川の2球目をライトスタンドに叩き込んで、スリーランホームラン。この回5点を上げて、試合の大勢は決した。その後、7回までにおれは3点を失ったが、8回、9回まで投げて、10安打を打たれながらも、完投で今シーズン初勝利を上げた。

 ピッチングの面白いところは、どんな大投手でも毎試合完全試合ができるわけではないというところだ。それどころか、1試合に必ず5,6本のヒットを打たれ、1,2点の失点があるのが普通である。つまり、打者だって無能ではないから、相手から必死でヒットを打とうとする。そのせめぎあいが野球の面白さなのである。
 だから、問題は、ヒットを打たれないことではない。ヒットは打たれて当たり前。それを同じイニングに集中されたり、いざというときに長打を打たれたりするのが本当の負けなのである。で、長打を打たれないためには低めに球を集めること、ってのは常識だが、低めばかりでも相手が最初からそれが分かっていればヒットしやすくなるから、時には胸元をついて相手の体を起こすことも必要、と、このあたりも常識。しかし、ゲームでそれがきちんとできないのが投手のつらいところだ。正直言って、プロのバッターなら、投手の球速が160キロあろうが、2、3回も対戦すれば打ち込めるものである。だから、世間の人間が夢の160キロなどと大騒ぎするのはあまり意味がない。横浜のクルーンにせよ、かつての伊良部にせよ、それほど相手を抑えているわけではないのだ。ちなみに、好成績を残した投手の中で、速球投手とコントロール投手とどちらが多いかを調べてみるといい。圧倒的に後者が多いのである。速球投手で成績のいいのは、そいつがコントロールもいい場合だけだ。しかも、速球が無くてもコントロールだけで好成績を残した投手は無数にいるのである。だから、漫画の「大きく振りかぶって」で、コントロールピッチャーを主人公にしたのは、実にいい着眼点であったわけだ。
 ところで、1試合のヒット数が5、6本という場合、一人で2安打する選手は一人いるかいないかということになる。普通、1試合に1安打だけでは2割5分の打率しか残せず、野手は皆減俸ということになるわけだが、実際には現代野球では、平均して2割7、8分程度の数字は残す。つまり、1試合の平均安打は10本くらいあると見てよい。それに四死球と長打がからむと、1試合に4点くらいは取られて当たり前、ということになる。いや、防御率3点台なら、優秀な投手と言えるだろう。毎試合の被安打が2、3本などという投手は、選手のレベル差が大きい高校野球までの話である。それも、高校時代の江川くらい、周囲とのレベル差があってのことだ。
 だから、大リーグの大投手の絶好調時でも、防御率は2点台であり、つまりは1試合に2点平均で取られていて、完全に抑えた試合なんてのは数えるほどしかないのである。2点で抑えたら、普通こちらは3点以上取っているはずだから、勝ち、というわけだ。
 しかし、話が長くなったが、おれたちのチーム、浦安ドルフィンズは、貧打のチームで、チーム打率2割3分、平均得点は3点にも満たない。これで勝つのは、相当に難しいことだ。したがって、おれの15勝は巨人や阪神の投手の20勝に相当すると考えてよい。だが、おれの年俸を査定する連中はそうは考えてくれないのだが。昨年、おれが15勝もできたのは、運の良さも大分あった。おれが投げる時に、味方打線がなぜか点を取ってくれることが多かったのだ。おれの防御率は4.32だのに、15勝もしているのは奇跡に近い。もっとも、これは、おれの救援をしてくれるリリーフ投手陣のおかげでもある。うちの救援投手陣は、おそらくセリーグナンバーワンだろう。中継ぎとリリーフを合わせた防御率は、おそらく1点台ではないだろうか。つまり、5、6回までをリードしていれば、その試合はほぼ勝てるということだ。特に、中心のストッパー、銀河は、一種の天才で、スタミナはないが、1イニングだけならほぼ完璧に抑える。しかし、奴の才能が分かったのは2年前からで、それまでの3年間は、先発投手として失敗を繰り返し、あやうく放出されるところだったのである。それを、投手コーチの英断でリリーフに転向させたのが大成功で、そのお陰でうちはおととしは5位、昨年は4位と上昇してきたわけである。
 中継ぎ投手は、宮原、牧、八十川の三人で、この三人ともスタミナは無いが、2回から3回を投げるだけなら、安心して任せられる。このうち宮原は速球派で、牧と八十川は技巧派だ。この中で、宮原と牧はあるいは先発で5回くらいは投げることも可能かもしれない。
 しかし、何と言っても、我がチームの欠点は得点力である。その欠点を解消する秘策がおれにはある。もちろん、おれが野手と投手を兼任することだが、そういう重労働をしてもどうせ給料にはねかえるわけではないだろうから、おれは自分からその案を口に出したことはない。ついでに言うと、二軍にいる投手の中で、梶田というのがなかなかのバッターで、投手としての才能よりそっちの才能のほうが上だとおれは思うのだが、なにしろ甲子園の優勝投手の栄光を持った男なので、本人も野手に転向する気はなさそうだ。入団して4年目で、まだ一軍定着できないのだから、いい加減投手稼業に見切りをつければいいのに、とおれは思うのだが。
 開幕戦は2連戦で、月曜日が移動日となっていた。おれたちは今度は名古屋球場で中日と3連戦である。その3連戦におれは登板する予定はなかったから、東京に残って、昼間に軽い調整をした後はベンチ入りもしないでよかった。投手をやっていて良かったと思うのはこんな時だ。もちろん、おれは野球は好きだ。だが、野球だけで一年が終わるというのは、若いおれとしてはやはり不満が残るのである。
 昼間の練習は二軍との合同練習であった。おれたちは軽いピッチング練習をした後は上がりだったが、その後、二軍同士の試合があったので、おれは何となく残ってそれを見ていた。おれは、自分でやるよりも、もしかしたら野球を見るほうが好きかもしれない。たとえそれが二軍の試合だろうが、見るスポーツとしての野球はいつまでたっても、おれの心をときめかせるものがある。
 相手チームは湘南シーフレックス、つまり横浜ベイスターズの二軍だ。我がドルフィンズの先発は、例の梶田であった。
 梶田は、一回二回は無難に抑えたが、それでも一回に1本、二回に2本のヒットを打たれていた。それはいい。前に言ったように、ヒットを打たれようが、点を取られようが、野球は勝てばいいのだ。しかし、一軍入りを目指す投手は、投球内容も厳しく見られる。だから、一軍に上がるまでと、一軍である程度の実績を残すまでが、プロ野球選手の正念場なのである。
 三回の表、梶田は先頭打者にファーボールを与えた。「まずいな」と俺は思った。ノーアウトでの四死球のランナーが点に結びつく確率の高さは、野球ファンなら誰でも知っていることだ。それでいて、ノーアウトでファーボールを出す投手は後を絶たない。自分の球に自信がある投手ほど、そういう粗忽なピッチングをしやすい。しかし、本当のエースなら、そんなピッチングはしないものだ。梶田の場合、甲子園で全国制覇したとはいっても、初出場の無名高校が、対戦相手にも恵まれ、波に乗って優勝したものである。田舎高校のエースであるから、名門野球高校のエースのようには頭が鍛えられていないのである。
 案の定、次の右打者は初球のストレートを待ち構えたようにレフトへ引っ張り、クリーンヒットした。ノーアウト一二塁、しかも次打者は相手チームの三番打者だ。三番打者は、四番打者ほどの長打力は無くても、確実性では上の選手が多い。それは、三番打者は、チャンスメーカー的役割になる必要があることも多いからだ。逆に、四番打者がチャンスメーカーにならねばならないようなら、その試合は負け試合だろう。シーフレックスの三番打者は、スズケンに似た感じの左打者で、初回にもヒットを打っていた。
「バントもあるかな?」とおれはちょっと考えたが、初球、外角にボールが外れた後、二球目の外角高めの球を、彼はレフトに流し打った。ボールは見事に三塁手の頭を越え、レフト線を破った。長打コースだ。レフトが拾って三塁にボールを返した時には、打者走者は二塁を落としいれ、ランナーは二人ともホームインしていた。
 それで止めていればまだ良かったが、続く四番打者にまたファーボールで、五番打者には再びタイムリーヒットを打たれ、梶田はそこで降板となった。
 おれは自軍のベンチに行って、二軍監督の大沢に会った。大沢は四十半ばの人当たりの柔らかい紳士で、現役時代は名遊撃手であった。見かけに似合わない熱血漢で、おれも二軍時代には彼にしごかれたものである。
「大沢さん、お久しぶりです」
「おお、一軍のエースじゃないか」
 大沢の冗談には取り合わず、おれはブルペンを指差した。
「大沢さん、いつまであいつにピッチャーをやらしとくんです?」
「うーん、俺もそう思うんだけどなあ。なにせ、あいつは球団社長のお声掛りで取った選手だから、ピッチャーをやめさせにくくてなあ」
「大沢さんも、うちの一軍の貧打線は知っているでしょう? 打者としての梶田の才能を知っていながら、無駄に二軍にいさせるのは、チームにとってもったいないですよ。野手としての守備に不安があっても、せめて代打としてでも、今のうちにはいいバッターが一人でも多く欲しいんですよ」
 大沢は考えこんだ。
「確かに、あいつの投手としての才能はあまりない、と俺も思う。しかし、甲子園の優勝投手だからなあ」
「大沢さんも、あいつのバッティングセンスは知っているでしょう? あいつなら、軽く三割を打てるバッターになりますよ。あの体なら、ホームランバッターにだってなれる」
「……足も速いから、コンバートするなら外野手だろうな」
 大沢の言葉で、おれは彼が梶田の野手コンバートに乗り気になっていることが分かった。
「おれは、投手のライバルがいなくなればいいなんて、ケチなことは考えていません。チームが強くなって人気球団になれば、こちらの給料だって上がりますからね。いくら一人で勝っても、チーム成績が毎年Bクラスのチームなんて、誰が見に来ますか。おれは、うちのチームが強くなって欲しいんですよ」
「そうだな。一軍にいい選手を供給できないのは、俺たち二軍首脳の責任だ。お前の意見は有り難く聞いておくよ。梶田になるかどうかはわからんが、今年中に上に二、三人上げられるように努力しよう」
「生意気なことを言ってすみません」
「いや、いい事を言ってくれた。俺たちは、つい目の前の試合に気を取られて、二軍の役割を忘れがちになるんだ。時々、また二軍を見に来て、意見を聞かせてくれ」
「ええ、どうも有難うございます」
おれは大沢に頭を下げてそこを離れた。

四月が終わって、うちのチーム成績は9勝13敗と大きく負け越していた。先発投手陣では、三島さんが2勝2敗、俺が3勝0敗、ロジャースが3勝1敗という成績で、あと1勝は、先発投手が打たれた後、中継ぎが踏ん張っているうちに珍しく打線が点を取って、宮原に勝ち星がついたものだった。先発陣の中ではベテランの新発田さんが0勝3敗、若手の高幡も0勝3敗と散々である。今年から先発に回った牧もまだ0勝2敗と、結果を出せずにいた。チーム打率も相変わらず2割4分台で、まともな成績を残しているのは、スズケンの3割4分・3本塁打と、タイラスの2割7分・5本塁打くらいのものである。タイラスは結局、大田大悟の打力を無駄にするわけにはいかないということで、レフトに回ることになったが、かなりの弱肩で、守備範囲も狭く、投手陣に負担をかけることになった。その大田一塁手もここまで2割4分・2本塁打では、タイラスを外野に回したメリットもそれほど無かったと言っていい。一塁守備だけで言えば、タイラスのほうがずっといいのだが、大田は一塁以外は守れないのである。そんな中でおれが3勝無敗というのは奇跡のようなものだが、まあ、これはおれの野球センスの良さと運の良さのおかげである。おれの防御率は3点台なのだが、おれが投げる時にはどういうわけか、チームが4点5点取ってくれるのだ。特にスズケンは相変わらず頼りになり、ここまでセリーグ最多の17打点を上げていた。もちろん、おれが自分で打って点を取ったこともある。あるどころか、実は登板した4試合のうち3試合で打点を上げているのである。16打数5安打4打点で、二塁打1本、犠飛1犠打2という成績は、スズケンに次ぐ打撃成績と言っていいだろう。三振も4つあるが、まあ、これは愛嬌だ。だいいち、競った試合の時に、下手にヒットを打ってランナーになると、呼吸が乱れるし、疲れもして、ピッチングに悪影響が出るのである。プロのピッチャーは、そういうわけで、打撃を真面目にやらなくなるわけだ。打った分も給料に加算してくれるならともかく、ピッチャーの給料はピッチングのみで計算されるのが普通だからだ。もともと、プロになろうという投手は、アマチュア時代にはクリーンアップを打っていた、打撃センスもある選手が多いのだが、その生涯打撃成績を見ると、2割もいかないというのはここに原因がある。打撃というのもなかなか大変なもので、あのイチローですら、3試合連続無安打ということもある。ちょっと考えてみたら分かることだが、ボールが投手の手を離れてから捕手のミットに納まるまで、1秒もない。その間にそのボールがストレートかカーブかスライダーか、それともシュートかフォークかを見極めてバットを振り出し、しかもわずか10センチそこそこのボールの中心2.3センチの部分にバットをジャストミートさせなければいけないのである。さらに、当てるだけでなく、それを飛ばすためには、バットを凄い勢いで叩きつけねばならない。時速150キロの、目にも留まらぬ速さのボールに、時速100キロで振り出すバットが、わずか2センチの範囲で当ること自体が奇跡のようなものだが、プロのバッターはそれをやっているわけである。だから、プロの投手を相手に1本でもヒットを打てた人間は、それだけで生涯自慢できると言ってよい。そのヒットを1000本、2000本と積み上げた選手は、やはり大変な仕事をしたと言えるのだ。
そういう、時速150キロを打ちこなすプロのバッターを相手に、時速140キロそこそこのおれが投げ勝つことができるというのも野球の面白いところだ。前に書いたかもしれないが、プロの打者は、球がただ速いだけなら、いつかは打つものである。今はピッチングマシンというものがあるから、そのスピードを160キロ170キロに上げて練習すればいいだけだ。しかし、投手は自分だけの力で球速を160キロにしようとどんなに頑張っても、肉体的才能の限界がある。もちろん、150キロを越す速球をヒットにできる選手はそう多くは無いから、快速球を投げられる投手は、それだけでも有利であることは確かなのだが、実は一軍と二軍を往復するような投手の中には、そんな選手は結構いるのである。というのは、プロのスカウトは、優先的に速球投手を取ろうとするからだ。速球投手として駄目でも、後で技巧派に転向できるが、その逆は不可能だと考えるからだろう。ところが、その考え方は安易である。技巧派投手というものは、長い訓練の結果作り上げられるものであり、プロに入った後で転向しようとしても、そう簡単に転向できるものではない。ノーラン・ライアンやロジャー・クレメンスなど、40歳を越えた現役の最後まで速球投手で押し通したのだ。速球投手と技巧派投手は、肉料理と魚料理のようなものと考えたほうがいい。打者の中には肉料理の好きな奴もいるし、魚料理の好きな奴もいる。(まあ、すべて好きという食欲魔人もたまにはいるが)だから、おれのようなへろへろ球の投手が立派に豪傑たちの間で生きていけるのである。ついでにいうと、あの伝説のホームラン王、王貞治が苦手にしたのは、ヤクルトの安田というへろへろ球の投手だった。
 五月に、二軍から二人の選手が上がってきた。その一人が梶田で、もう一人は水島という大卒一年目のピッチャーだった。梶田は身長が185センチの堂々たる体格だが、水島は175センチくらいで痩せ型の、一見頼りなげなハンサムボーイである。ところが、この男が見かけによらない異能の持ち主であることが後で分かることになる。しかし、この時点でおれが驚いたのは、梶田がキャッチャーとして登録されていたことだった。後で聞いたところでは、梶田は高校入学時にはキャッチャーだったが、投手に人材がいなかったために投手に転向し、投手で好成績を収めたためにそのまま投手を続けていたらしい。中学野球では、ずっとキャッチャーだったということだ。しかし、外野も多少はできるということで、うちのチームの野手の層がこれで厚くなるのは確かである。
 キャッチャーというのは、レギュラーになるまでは大変だが、いったんレギュラーになると、安定的に使ってもらえるポジションだ。つまり、投手の側から言えば、相手の癖が一定していさえすればそれに合わせてピッチングをすることはできるが、毎回違うキャッチャーを相手に投げるのは大変だから、同じキャッチャーがずっと正捕手でいてくれたほうが有り難いのである。だから、キャッチャーに関しては、あんまり肩が弱すぎさえしなければ、二割そこそこの打率でも正捕手としてずっと使って貰える例が多い。その点、これまでピッチャーをしていた梶田なら、肩の強さは保障つきだろう。もちろん、体全体を使って投げる投手の投げ方と、上半身だけで投げる捕手の投げ方は相当に違うから、彼が捕手としてのスローイングで盗塁を刺せるかどうかはまだ何とも言えない。しかし、あの大きな体だけでも、本塁をがっちり守り、ボールを受け止めることはできるだろう。
 実際、ブルペンで投げた感触は抜群だった。実に投げやすいのである。キャッチングもうまい。現在の正捕手の相羽さんよりも投げやすいとおれは感じた。問題は、リードの能力だが、こちらはあまり期待できないかもしれない。だが、ピッチングなんて、野村や江夏などの頭脳派選手が言うほど面倒なものではないとおれは思っている。要するに、外角低めを基本として、打者がそこを狙っていると感じたときは内角高めにブラッシング気味のボールを投げて、外角低めを打てなくさせればいいだけだ。ボールが思う所にいかなかったり、相手が上手く打ったら、あきらめるだけのことだ。そして、次の打者を打ち取ることに専念すればいい。おれがキャッチャーに望むのは、とにかくボールをちゃんとキャッチすることと、ランナーに盗塁を許さないことの二点だけだ。それに、ランナーに盗塁を許すのは、半分以上は投手の責任であると言われている。半分とは思わないが、まあ、三分の一くらいは投手の責任だろう。牽制をほとんどしないでランナーに大きなリードを許したり、一塁に投げるのかホームに投げるのかが、最初からわかってしまうような投手では、キャッチャーがいくら強肩でも盗塁を刺すのは難しい。だから、どんな名捕手でも、盗塁阻止率は好調時で5割から6割しかないのである。おれの考えでは、盗塁阻止率が3割以上あれば、一応は合格だ。つまり、3回に1回は失敗するぞ、と相手チームが思えば、やたらに走ってはこないだろう、ということだ。3回に2回成功するなら、走らせたほうが得だと普通なら思うだろうが、盗塁死は、最初からランナーが無いよりも、チームの勢いを悪くするものなのだ。せっかくのランナーを殺してしまったという失望感は、悪い方に大きい影響を与えるのである。したがって、盗塁企画数は、盗塁成功率の割りには、かなり少ないのが常なのである。盗塁阻止率が2割程度のキャッチャーでも、立派にプロの正捕手としてやっていけるのはそういうわけだ。だが、もちろん、2割よりは3割、3割よりは4割の盗塁阻止率を持ったキャッチャーのほうが投手にとっては有り難いのは言うまでもない。梶田の肩なら、4割どころか、5割以上の盗塁阻止率も可能だろう、とおれは思った。
 梶田にとって幸運なことに、相羽さんは開幕以来打撃不振で、打率は一割にも満たなかった。だから、梶田は一軍に上がってすぐに広島戦でスタメン(スターティングメンバー)で使って貰った。打順は8番である。そして、その時先発したのがおれである。
 今年の広島はあまり調子が良くなかった。4月終了時点で8勝14敗2引き分けの6位である。うちよりも下で、その下が横浜の7勝15敗だ。(ちなみに、1位は巨人で、18勝6敗の高勝率で、2位の中日に4ゲーム差、3位の阪神に4・5ゲーム差をつけている。)何しろ、金本という名選手を阪神に放出してしまったもので、打力が弱い。嶋や新井といった若手はまだ力不足だし、前田もかつてほどの力は無い。とはいえ、おれのような非力な投手は、どこのチームでも安心して投げることはできないのだが。
 緒方、東出という1、2番の出塁率は悪くないし、クリーンアップも打率は悪くない。しかし、勝負弱いのである。バッティングオーダーを見れば、2位の中日よりもいいメンバーに思えるのだが、2位と5位の差は、勝負弱さにあるのだろう。というより、先発投手の駒が足りないと言うべきかもしれない。黒田、大竹はまずまずだが、後は名前も知らないような若手が先発で出てくるようでは、勝率が低いのも当然だろう。かつての投手王国も、過去の夢である。
今日の先発はダグラスという新入団の外国人投手だが、ここまで2勝3敗、防御率3・25とまずまずの成績を残している。彼から3点しか取れないとなれば、おれは2点以内に抑えなければならないのだが、おれのボールでは打順のどこからでもホームランが出そうだから、2点というのは厳しい条件である。
 今日の試合は広島がホームチームだから、おれたちは先攻だ。初回、トップバッターの今村亮は初球を簡単に打ってライトライナー。当りは悪くなかったが、ライト正面で、簡単にワンアウトである。このあたりの淡白さが、今村の欠点だ。トップバッターには、相手投手の癖や調子を自分のチームが研究する間、粘る役目もあるのだが、彼はこうして初球から手を出す癖がある。しかも、その打球が野手の正面をつくことが多いため、今年の彼は2割3分しか打っていない。2番の藤村康太もショートゴロでツーアウト。こうなると三番のスズケンは長打を狙ってくるため、打率は低くなる。彼が本当にヒットだけを狙えば、平均打率があと1分は高くなるだろうが、クリーンアップとしては長打も要求されるのである。スズケンの当りはライトへ飛んだが、ライトが少しバックして簡単にキャッチした。あまり幸先の良くないスタートだ。






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