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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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前に書いたように、「タッチ」を見直しているのだが、やはり物語の構成が良くできている。達也が高校で最初から野球をやるのではなく、ボクシングをやるのも、上手い構成である。弟と同じ土俵で、ど素人が部内で惨めな姿を見せる場面を描かなくていいわけだ。そういう場面を描くと不快感が強くなる。しかし、ボクシングなら、KO負けしても、「当たり前」で、誰も(南以外は)関心を持っていないから、主人公に肩入れしている読者や視聴者の不快感(ストレス)は少ない。しかも、ボクシングをやることで運動の基礎体力や反射神経が強化されるから、それは野球を始める前の基礎トレーニングになる。さらに、ボクシングの初戦(練習試合)でKO負けすることが、南と達也のファーストキスに結びつくという、実に見事な構成である。
キスの後の達也がうじうじ悶々としているのに対し、南がいつもより元気はつらつとしているという描写も見事だ。南は最初から達也の方が好きなのだから、その相手とのファーストキスは嬉しいに決まっている。達也は南が好きなのは和也のほうだと勘違いしているから悶々とするわけだ。

で、問題は、「和也はどうなる?」ということで、この作品の最初の基礎設定である「南を甲子園に連れてって」の無理さが露呈してくるのである。南は達也のほうが好きなくせに、和也の応援ばかりして、周囲にも(意図的ではないが)南は和也が好きだと思い込ませている。それは南の予定外だったかもしれないが、それも「南を甲子園に連れてって」という命令の理不尽さから来ているのである。
結果的には南は自分のつまらない野心(応援するチームが甲子園に行くこと)のために、ひとりの人間の人生をほとんど支配しているのである。
南の女性人気が低いのは、南のこの「無意識の偽善性」unconcious hypocrisyを感知するからだろう。女性は本来策略好き(少女漫画のいじめ描写を見ればよい)だと思うが、その醜さを見せられるのは好まないわけだ。偽善者のくせに善人ぶって、可愛いぶって人気者でいるのが憎いのである。
なお、南が自分自身を「南は~」という言い方も反発が強いと思う。これは、自分自身を第三者として表現する言い方で、非常に不自然で、幼稚であり、幼児でない段階の人間がそういう言い方をすると、自分の可愛さの強調となるから嫌われるのだろう。自分自身を「南は~」という言い方をすると、通常の一人称と違ってその「南」という存在が特別だという、人格の強調になり、非常に聞き苦しいのである。ここにも、南の無自覚な自己主張の強さがある。これは特に同性には「嫌な奴」と思われるだろう。自覚的な自己主張は漫画内存在ならむしろ好感を持たれるだろうが、南は無自覚なだけに読者に「言い様のない不快感」を与えるわけだ。

なお、「タッチ」が人気絶頂だった当時、「南ちゃんブーム」があったが、あれは「フィクション内で人気者なら現実世界でも人気者になるだろう」というマスコミの幼稚な発想のお手製ブームだったわけだ。そのために、女性の中での「南ちゃん嫌い」が多いことが露呈したわけだが。





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