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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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さて、話を現在時点に戻すというか、時点を明示するなら、現在は、初夏7月である。まあ、旧暦なら7月は秋だが、今の暦なら夏もまだ初夏だろう。
で、時は夏、日は午後、午後は2時、教室に静寂が満ち、期末テストの真っ最中で、結果はたぶん天にしろしめす神だけが知っているだろう。だが、僕の予想では毎度のごとく、僕がトップで、2位が赤木恵子だろう。あるいは藤堂岳弥あたりか。
今は物理のテストが始まって5分だが、例によって伊達達也が席から立ち上がり、教壇の教師に答案を出して教室を出て行った。僕は解答は終わり、記入も終わっていたが、こんなに早く答案を出し、それが満点近いとなると、あまりに異常だろう。そこで、座ったまま、考える風情で片手で頬杖をつき、横目で窓の外の白い雲を眺めていた。当然、思考速度は平常時のゆったり速度だ。「おおい、雲よ」なんてね。昔、国語の教科書で知った詩だが、作者名は忘れた。僕の記憶力など、その程度のものだ。しかし、青い空に白い雲なんて、人生の最高の贅沢ではないだろうか。それを眺めもしない、いや、眺めることも許されず、テスト用紙の前で頭を抱えて苦しんでいる高校生たち。大島弓子の「リベルテ144時間」を思い出した。
やがて藤堂岳弥が答案を提出したので、僕もそれに続いて提出し、教室を出た。赤木恵子はいつも時間ギリギリまで粘るので、そちらに合わせる気はない。要するに、僕のクラスには学年の成績1位から3位がいるわけだ。4位以下は成績の数字がかなり離れるので、名前も覚えていない。
岳弥が、4番の問題の答が何だったか、聞いてきた。僕がある数字を言うと、岳弥はホッとした顔をした。悪い奴ではないが、成績にこだわりすぎるのが欠点と言えば欠点だ。何しろ、東大合格がこいつの家では絶対的使命のようなのである。岳弥本人は、名前に似合わず小心な常識人だ。頭自体は伊達達也にかなり劣ると思うが、学校でも家でも机にしがみついて勉強しているらしい。ややどもりで、風采もあまり上がらない小男である。内向的な性格だが、勉強の上での疑問のことを僕によく聞いてくるので、クラスの連中は彼と僕が友達だと思っているらしい。逆に、赤木恵子はなぜか僕にはあまり近寄らない。わりと好みの顔なので、そこは少し残念だ。ちなみに、僕のクラスには女子が8人いるが、みなそれぞれに可愛い。もちろん、美少女と言えるレベルの子は沢村恵と須田飛鳥くらいだが、他の子も水準以上で、いわゆる「普通に可愛い」女生徒ばかりである。で、実は僕が一番関心を持っているのは、陰で氷の魔女と言われている、謎の美少女、沢村恵である。名前のイメージだと小柄で可愛い、愛嬌のある少女を思わせるが、その反対に、170センチ近い長身で、無口で、いつも顔を伏せ加減だが、まともに正面から見ると眼つきが鋭い。昔の漫画なら、不良少女グループの番長のイメージである。教室では孤立気味だが、なぜか須田飛鳥とだけは話をする場面をたまに見る。須田は度胸があるから、沢村を怖がらないのだろう。伊達達也も彼女によくちょっかいをかけるが、ほとんど無視されている。



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