プロ野球が好きだから-。巨人原辰徳監督(61)がプロ野球活性化、発展のための持論を展開した。時代の流れなのか。昨今のプロ野球界に意見を堂々と唱えることは、一種のタブー感が漂う。そんな中、原監督は秋季練習中に記者をベンチに迎え入れてプロ野球界の問題点、改善点、その先にある未来を語る。数日前にはセ・リーグでの「DH導入」を呼びかけ、今回はフリーエージェント(FA)制度での「人的補償の撤廃」を訴えた。


「なんのメリットもない。プロテクトは28人しかいない。これは、なくす必要ありますよ。暗いニュースになる。FAっていうのは明るいこと。それを暗いニュースにさせてしまう」


昨オフ、広島から丸、西武から炭谷をFAで補強した。一方で人的補償で長野、内海の放出を余儀なくされた。もちろん、リスクなきメリットはない。だが、人的補償のネーミング、制度そのものは現代社会の感覚とは合致しているとは言い難い。今季から1軍登録メンバーが1人増えて29人になった。人的補償で採用されているプロテクト枠の28人は、29人であっていい。さらには日本シリーズの登録は40人、メジャーリーグのロースターも40人。完全撤廃とは言わずとも、プロテクト枠を40人に拡大することも案として提言した。


ルールの上で戦い、戦略を練り、チームを編成していくことは重々理解している。ただ、ルールは時代とともにアップデートさせるべきものであってもいい。「ルールをどうやって決めたかって分からないけど、もっとフェアなルールにしなきゃダメですよ。人的補償という犠牲者みたいな名前も悪い」と話した。


プロ入りから同一球団で引退までやり抜くことが間違いではない。それぞれの価値観を尊重した上で、自由競争の概念も忘れてはいけない。選手生命が限られる選手は個人事業主として勝負している。選手として一人前になった勲章として「FA権」が与えられる。ただ、行使を宣言しなければ効力を持たない。一方、メジャーリーグは在籍6年で「自動的にFA」になる。もちろん、すべてメジャーリーグをなぞる必要はない。移籍の活性化は発展の一助になる可能性は高い。だが、サッカーなど世界のスポーツ界で、日本球界は異質である事実は否めない。【為田聡史】