侍ジャパン先発の高橋礼投手(24)が6回1安打無失点と好投。スーパーラウンド進出に貢献した。


国際試合でアンダースローが通用するのはなぜか。もちろん「下から」の独特の軌道が最大の要因。打者はリリースポイントから「ここに来る」と軌道予測して振りにいく。その点で下手投げは見た数が絶対的に少ないため、軌道も自分の感覚の中に入りづらい。高橋礼はこの優位性に加え、130キロ台後半の直球が「これしか出てないの?」という印象を与える。これは球持ちの良さが生む。より捕手に近いポイントでリリースするため体重が乗り、ベース付近でも球速が落ちないように見える。


この真っすぐに差し込まれるから打者はより前で捉えようとし、ここでスライダー、シンカーが生きる。直球での高低、そして変化球での左右と奥行きで揺さぶる。象徴的だったのが3番オルティスとの対戦。第1打席は1、2球目に直球で高低をつけ、内へのシンカーを挟んで、外低めの真っすぐで遊ゴロ。第2打席は低め→高めの直球2球で追い込み、最後も高め真っすぐで空を切らせた。


もう1つ、下手投げが抑えられる肝は対応するまでの打席数にもある。06年WBC。ともに出場したアンダースロー渡辺俊介の登板時の打者反応を振り返ると


・1巡目 タイミングに合わせづらそうで、ボールの軌道にも対応できない。


・2巡目 タイミングは合ってきて「あっヤバイ」と感じる場面はあるが、軌道にアジャストできない。


・3巡目 タイミング、軌道とも合ってきて、捉えられたような凡打が増える。


高橋礼も3巡目に入った6回は、この試合イニング最多の22球を要した。この点を考えれば6回での降板は妥当だったと言えるが、スーパーラウンドではブルペン待機もなしではない。先発の枚数、本人のコンディションもあるが、相手が一番嫌がる投手が毎日スタンバイする。先発とリリーフ両面で切り札となり得る。(日刊スポーツ評論家)