スポニチ
「第28回WBSC U-18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)」に出場する侍ジャパン高校日本代表は25日、千葉県内で練習試合を行い、早実の清宮幸太郎内野手(3年)が本塁打をマーク。高校通算108号とし、山本大貴(神港学園)が持つとされる高校通算最多本塁打記録を更新した。
そうかあ、甲子園で負けても、こういう手があったのかあ。この記事には対戦相手の名前さえないが(日刊スポーツによれば千葉工大1年の佐々木颯)。

スポーツ紙記者各位は、もっと清宮に密着した方がいい。

ひょっとすると練習の帰り道に、近所の草野球に飛び入りして一発打っているかもしれない。
そうなれば109号だ、子どもの野球ごっこで「ちょっとお兄ちゃんに打たせてよ」といってプラスチックのバットを振って、ジャングルジムの向こうまで飛ばしているかもしれない、そうなれば110号だ。
家に帰って、野球盤で「本塁打」のところに球を入れているかもしれない、そうなれば111号。

そもそも、「高校通算」という記録は、どんな試合を対象としているのか?
甲子園から練習試合まで全部ありか?非公式戦と公式戦の区別もないのか?
対戦相手はどうなのか?球場は、狭い学校のグランドもありなのか?審判は両チームから出すような試合でもOKなのか。

レギュレーションもなーんにも決めないで、勝手に数字をカウントして、タイ記録だ、新記録だと騒いでいる。

普通、高校球児は甲子園の予選で負けたら引退ではないのか?そこから先もありなのか?

例えば、ワールドカップの前の練習試合も「通算本塁打」でカウントするのなら、せめて「今日の練習試合で新記録の期待がかかる」みたいな予告をすべきではないのか。
行ってみたらホームランを打ったから、記者席で「あ、これもカウントするのありじゃない?」「そうそうありですよ」と発表したのではないのか?

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日本には高校野球チームは3000いくつもある。中には近所の高校などと毎日試合をしているチームもあろう。
そんな中で、両翼70mくらいの狭いグランドで本塁打を量産している選手がいるかもしれない。
そういうのを調べずに、最初から清宮ばっかりずーっと追いかけて、これまでの数字を適当に組み合わせてタイ記録だ、新記録だと騒ぐのは、新聞メディアとして正しい姿勢か?

昨日も言ったが、日本のメディアは「目の前で起こっていること」をそのまま伝えるのではなく、「読者が喜びそうなお話」に仕立て上げる。
読者は「ヒーロー」を渇望しているから、その「ヒーロー」を何とかして造ろうとする。
清宮の実力、実像とは異なる「仮想ヒーロー」を実態に被せて、着ぐるみみたいにしている。

カナダで清宮は本塁打を打つだろう。18歳レベルで日本とまともに試合になるチームは限られている。オランダ、南アフリカあたりの投手は清宮の敵ではないだろう。

そういう国の投手から打ったときに、メディアは大騒ぎしようという魂胆だろう。

スポーツファンのかなりの部分は、そういう「空騒ぎジャーナリズム」を馬鹿にしてる。
そういうメディアは、本当にすごいことが起こったとき、歴史的な偉業がなされたときに、それを伝えるすべを知らなかったりする。

わざわざカナダまで行って、アメリカやキューバなんかの凄い選手を目の当たりにしながら、勝った負けたと清宮のホームラン以外には、清宮が何を食べたとか、中村奨成が誰と話しただとか、どーでもいいことしか書けないメディアは、もう見切られているということを思い知るべきだ。