元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。節目の50回目は「12球団の来季改善点&18年注目選手(下)~セ・リーグ編」です。


 来季に向け、セ・パを2回に分け、12球団の投打の改善点や一押し選手を取り上げます。今回はセ・リーグ編。


【広島】


 レギュラーも年齢的に若く、順当にいけば来季もV争いするだろう。セの広島、パのソフトバンクは穴も少なく断トツだ。ただ、捕手の盗塁阻止率が少し低い。数字を見ると会沢がリーグ5位の2割6分3厘。石原が同6位の2割4分。ここにスキが生まれないか。1点勝負になれば、当然、相手チームから弱みを突かれる。そこが唯一の不安要素だ。


 打線では、主砲の鈴木誠也がフルシーズン戦えるか。今季は負傷により、終盤の残り約30試合弱、不在だったが、層の厚いチームだけに余裕で優勝、強さが際立った。


 DeNAロペスが142試合105打点でセ打点王のタイトルを獲得したが、鈴木は115試合で90打点。けがさえなければ鈴木がタイトルを手にした可能性は高かったと思う。


 投手陣では大黒柱だった黒田投手の穴を薮田が埋めた。16年には3勝だった男が、今季15勝3敗、8割3分3厘の勝率で最高勝率のタイトルを獲得するまでに成長した。


<注目選手>


(野手)注目は16年のドラフト4位の坂倉捕手。今季9月下旬に1軍デビューを飾り3試合に出場した。ウエスタン・リーグでチーム最多の50試合でマスクをかぶり、実績が認められての1軍経験チャンスだった。ご存じの通り、甲子園を沸かせた広陵の中村奨成がドラ1で入団したが、坂倉にはプロでの実績があり、頭角を現す可能性がある。


(投手)16年のドラフト2位で甲子園でも活躍した高橋昴也に期待している。今季はウエスタンでわずか7試合登板にとどまったが、将来、カープの柱に育てば面白い存在。個人的にも糸を引くようなストレートの球筋と本格派の投球フォームにひかれるものがある。




【阪神】


 中継ぎ陣がハンパなく良かった。救援陣5人が今季60試合に登板した。60試合以上登板の投手が同一チーム5人はプロ野球史上初だった。投手陣も後ろが安定してくれば、後は打線の核。オフには大砲ロサリオを獲得した。主軸でハマって打線に爆発力が出れば1位を狙う面白い存在。不安要素はDeNAにFA移籍した大和の穴がどうなるか。内野も、外野も守れるユーティリティー選手を失い、FA補償でDeNA尾仲祐哉投手を獲得した。プラスマイナスがどうでるか。本来の実力からすれば、首脳陣も誤算だったと思われる高山、原口、北條が来季巻き返しなるか。原口は、今季は打力を買われて一塁の定位置を狙ったが、打率2割2分6厘、6本塁打と振るわず。一塁だから物足りない成績に映るのか、捕手だから打てると言われるのか。来季、捕手復帰を希望しているようだが、私個人的にも捕手で勝負してほしいと思う。


<注目選手>


(野手)ロサリオ。活躍次第ではV最右翼の広島を逆転する力はある。


(投手)藤浪が復活できるか。来季は野球人生がかかっているといっても過言ではないほど勝負の年になる。復活の兆しが見えなければ厳しい。裏返しだが、藤浪が本調子で2桁勝つようなら、ロサリオとともにVへのけん引者となるだろう。




【DeNA】


 日本シリーズ、クライマックスシリーズで戦う姿を見ても、広島にひと泡吹かせるだけのチーム力はある。ここは中継ぎをどう編成するかが課題だ。パットン-山崎康につなぐ「第3の男」を誰にするか。ソフトバンクに敗れた日本シリーズでも結局、中継ぎのあと1枚に苦しんだ。今季、中継ぎで「第3の男」を務めた三上が61試合登板で防御率5・12、砂田が62試合登板で4・12、田中が60試合登板で4・47、須田が23試合登板で8・10だった。ゲームが競る終盤で防御率4、5点台の投手しかいないのでは、監督としても心もとない。日本シリーズで試した井納を中継ぎにするプランがラミレス監督にあるのか。唯一の弱点が補えれば優勝の可能性はある。


 FA補強では大和を獲得できたことでセンターラインが強化できたことは間違いない。ドラフト1位の東が先発の即戦力で活躍できれば今永、浜口、石田と合わせて左腕王国が完成する。


<注目選手>


(野手)シーズン最後の2試合で2戦連発締めの細川に期待。日本シリーズでも思い切りのいい打席を見せた男が2年目でブレークするか。オフに行われた台湾のアジア・ウインターリーグでは細川とともに5本塁打、18打点を記録、打撃2冠に輝いた佐野も2年目の来季が楽しみな存在だ。


(投手)15年ドラフト2位の熊原に期待している。プロ2年目は1軍で4試合すべてに先発し3勝1敗、防御率5・40。熊原ら若手に芽が出てくれば投手陣も厚みが増す。




【巨人】


 マイコラスの米メジャー復帰は本塁打王ゲレーロの補強より痛いと思われる。マシソン、カミネロ…大竹寛の中継ぎ転向プランも報じられたが、リリーフ陣は苦しい台所事情に変わりはない。西村、沢村らが本格稼働できるのか。先発陣もエース菅野、田口、畠、FA野上、あとは誰が続くのか。悩みのタネは尽きない。チームが危機感を共有しなければ全体的に苦戦を強いられそうな気もするが、高橋監督の采配に期待したい。


<注目選手>


(野手)岡本が村田修一の背番号25を継承。実績がない岡本に球団は村田を泣く泣くきって活躍の道を開けてくれた。ハマれば面白いが。


(投手)今季6勝を挙げた畠がマイコラスの穴を埋められるかに注目。




【中日】


 本塁打王ゲレーロの抜けた穴は痛い。打線の核となった35発男が消えた。ビシエドも16年の来日当初で見せた「化け物感」は薄れ、打撃では弱点克服に手を焼いているようだ。今季の成績も打率2割5分、18本塁打で少し右肩下がり傾向だ。ゲレーロの代わりは平田と大島がトータルでカバーするしかない。2選手ともけがに泣いたシーズンだったが、本調子なら何とか。新人王京田の出現は好材料だが「2年目のジンクス」なしで突っ走れるかに期待したい。チーム全体で見ると今季同様、厳しい状況。


 投手陣では逆転負けが最下位だった昨年の30度から球団史上最多の39度に増えた。リリーフ防御率は昨年の3・04からリーグ5位の3・97と悪化した。中継ぎだけでなく、チーム全体の防御率4・05はリーグ5位。先発陣も2桁勝利は1人もおらず、リリーフ又吉の8勝が勝ち頭となった。先発、中継ぎの両方使えるという150キロ左腕ガルシアを獲得したが先発、中継ぎともに厳しい状況だ。


<注目選手>


(野手)福田永将に注目。06年の高校生ドラフト3位の内野手で今季自身最多の95試合に出場し18本塁打。16年の10本塁打とここ2年連続2桁アーチをマーク。今季、開幕当初は代打が多かったが、6月下旬から先発機会が増え、そのままレギュラーで使われ続けた。15年79試合、16年89試合とシーズン戦い抜く体はできている。


(投手)小笠原慎之介がどこまでやるか。新人年の16年に2勝6敗、17年は5勝8敗だった。今季は夏場過ぎまで2勝6敗だったが、8月27日の広島戦で3勝目(6回2失点)を挙げた後、先発で6試合連続クオリティースタート(6回以上投げ自責点3以下)でシーズンを終えた。安定感は出てきており3年目の飛躍に期待したい。




【ヤクルト】


 故障者が続出し球団ワーストの96敗を招いた。注目は宮本慎也ヘッドコーチの厳しい指導の下、チームがどこまで変われるか。けがさえなければ雄平、バレ、山田、川端、畠山と打線の破壊力は健在だ。問題は投手力。リーグ最下位の防御率4・21をどうするか。勝ち頭は小川の8勝、5勝以上が小川を含め3人しかおらず(ブキャナン6勝、秋吉5勝)、クローザーも不在だ。


 宮本ヘッドだけでなく、広島から石井琢、河田両コーチの手腕にも期待したい。打撃面、走塁面で広島野球の土台作りに携わった両コーチ。ポテンシャルの高い選手はいるが爆発させることができるか。


<注目選手>


(野手)川端慎吾の打撃復活なるか。優勝した15年には195安打で最多安打、打率3割3分6厘で首位打者を獲得した。上位に川端が戻れば得点力は増す。


(投手)秋吉がフルシーズン戦えるか。WBCに出場した右腕は、シーズン途中にけがで離脱した。14年からプロ3年間で毎年60試合以上の登板数をこなしてきた鉄腕も今季は43試合にとどまった。「勝利の方程式」のどこかのピースで使われるだろうが、秋吉がけがなく元気で投げられることはチームにとっても必須条件だろう。




 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。