楽天の中川大志は、私が興味を持っている2軍選手のひとりで、２軍であれだけ打てるなら、１軍で働ける素質は十分にあると思っている。はたして、これまで１軍で十分なチャンスは貰えていたのだろうか。少なくとも、長打力では乙川や関根よりは上だろう。写真を見ても、長打者らしいフォロースルーである。こういう打撃をする打者が横浜にも欲しいのである。２軍とはいえ、プロで何年もやっていた経験値もあるのだから、細川よりは現段階では上だろうと推測する。細川が１軍で使えるのは早くて３年後くらい、と私は見ている。
筒香ですら、１軍で使えるまで５年くらいはかかったはずだ。最初の２年は２軍の帝王状態だった。３年目くらいから１軍で使われたと思うが、ほとんど打てなかった。あの頃、私は中畑が筒香を先発で起用し続けるのを散々に批判したものである。批判されて当然の打撃成績であり、１選手を育てるためにチーム成績を犠牲にするのは本末転倒だ、というのが私の考えだ。実際、中畑時代はBクラスから抜け出せなかったのは、そのためもある。中畑は明るいキャラが広報的にはいいとしても、やはり１軍監督よりは２軍監督のほうが適役だろう。つまり、「勝つための監督」ではなく「育てるための監督」だ。
細川は、その筒香ほどの成績を２軍で残したわけではない。思い切りのいい性格のためだろうが、１軍で起用されてすぐにホームランを打ったりしたが、二軍ですらその欠点は二軍投手たちにモロばれなのに一軍で長く出したら打てなくなるのは目に見えている。
そこで、中川との比較という話になるわけである。中川は細川とは逆に、二軍では長期的に安定した好成績を残しているとすれば、現段階での実力は明らかに中川が上だということだ。比較材料の少ない１軍成績より、打席数のはるかに多い２軍実績のほうが信頼性があるわけだ。
２軍選手が１軍に上がっても、１軍の監督やコーチは目の前の勝利を優先するから、二軍から上がってきた選手を実験的に使う余裕が無いことが多いだろうと私は推測している。どうしてもベテランや年俸の高い選手を優先するわけだ。で、二軍から上がってきた選手は代打などで数回使って結果が出ないと再び二軍に落とされるわけである。
１軍の下位の選手と２軍の上位選手の間には実力差はほとんど無い、というのが私の考えだ。つまり、二軍成績はあてにならないどころか、２軍でロクな成績も残せない選手が１軍で通用したらおかしいのである。ただし、ほとんど２軍を経験せずに１軍に行き、そのまま定着したエリート選手や天才的選手は話が別である。通常は、二軍で鍛えて、その中から頭角を現す、というのが普通の野球選手である。

中川大志は、２７歳というと、プロ野球選手としては若いほうではないが、これからが働き盛りだとも言える。少なくとも、代打層が厚くなるのは確かだろう。楠本、ソト、中川が全員当たりだったとしたら、と思うと（中川はまだ獲得していないが）来季の横浜がさらに楽しみだ。少なくとも、１軍２軍の打撃格差が、ここのところの打撃陣補強でかなり埋まってきたと思う。



November 12, 201706:20