勝利への執念が見えた原采配と、見えなかったラミレス監督だったと総括できる試合だった。


DeNAは1点を追う5回、先頭の戸柱が出塁したが、ラミレス監督は後続の8番大和、9番井納に打たせて2死を奪われた。グランドは雨で水たまりができ、さらに降り続いていた。いつ、試合がコールドになるか分からない状況。同点に追いつくための最善の策を取っていたとは言えなかった。


その後、梶谷が四球で2死一、二塁となったが、ソトが投ゴロであっけなく5回裏を終えた。先発井納の状態が良く、ラミレス監督としては、替えづらい背景もあったと思うが、井納の場面ではバントをさせて2死二塁にするなり、形を作り上位打線につなげてほしかった。


一方の巨人は、初回から原監督が状況に応じて坂本、丸にバントのサインを出し、先取点を念頭に試合を運ぶ意図が感じられた。坂本は初球バントの構えからボールを見送り、打者有利のカウントから中前打。続く丸にも同じく初球にバントのサインを出した。


巨人では坂本、丸という主軸といえどもバントのサインが出る。成績にかかわらず、分け隔てなく自己犠牲の役割が求められている。原監督の目指す野球がチームに浸透しており、そこには選手との信頼関係が見てとれる。これが、例えば広島なら、鈴木誠に佐々岡監督がバントのサインを出すか。ラミレス監督がソトやロペスにバントをさせるのかと考えれば、巨人では監督の指示が徹底されていることが分かる。


結果として、初回の場面では丸がワンボールから2球目のほぼ真ん中のストレートを送りバントを試みたが、空振り。二塁走者亀井が飛び出し三塁でアウト。ほぼ真ん中のボールを空振りした丸、進塁を急ぐあまり飛び出した亀井、双方に反省点がある場面だった。ただし、こうしたミスを何とか取り戻そうとする意識が巨人には感じられる。それが3回の丸の勝ち越しソロにつながったと言える。(日刊スポーツ評論家)