DeNAが2勝2敗の五分に戻した。その勝因は第3戦の東、そしてこの日のケイの好投と言える。ソフトバンク打線は強力だが、両投手が本来の力を発揮した。


ケイは7回を4安打無失点。5回までは無四球で、常にストライク先行のピッチングだった。これによって、ソフトバンク打線は特定球種に的を絞れず、ボール球に手を出し、仕留め切れなかった。


ストライク先行のピッチングが非常に有効に機能しており、それを可能にしたのは戸柱の構えにあったと感じる。これはシーズン中の正捕手山本と同じように、ケイはコースギリギリに構えるよりも、ミット1個分ほど甘く構えた方が、ほどよくボールが散らばる傾向にある。


この特性を戸柱が巧みに操っていた。ケイのボールが自然に散ることを計算に入れて、ギリギリに構えないことが功を奏した。ストライク先行で序盤から中盤までリズム良く投げることで、あとは打線の援護待ちという試合展開に持ち込むことができた、ということだ。


東は故障明け、そしてケイはファイナルS登板を加味すると、敵地での先発が予想されており、ここで計算通りに2勝したことは、DeNAにとっては非常に大きな連勝となった。


そして見逃せないのは、攻撃面、守備面でのちょっとした積み重ねと感じた。7回、宮崎のソロで加点した後、梶原はショートへのゴロに全力疾走できわどく内野安打を稼ぎ、すぐに尾形のフォームを盗み二盗を成功させている。


こうした部分は、見た目以上のダメージを相手バッテリーに与える。ここから、ソフトバンクはこの回2四球を与え、DeNAは森敬、桑原、オースティンがヒットを重ねて試合を決める3点の追加点を奪っている。


また、守備面でも4回裏の1死一塁での栗原の右中間に抜けようかというライナーを牧がダイビングキャッチ。7回1死一塁で牧原大の中前に抜けようという鋭い当たりを森敬が好捕している。リーグではシーズン中の失策1位だったが、その課題をこの大舞台で、よく修正してきた。こうした守備の堅さも勝因となった。


ソフトバンクは第3戦、四球を連発して自滅しているが、この日も勝負どころに痛い四球が続いた。確かに、初対戦となるケイにこれだけのピッチングをされては、なかなか打ち崩すのは難しかったと感じる。


戦前はソフトバンクの有利という予想が多かったが、DeNAが先発投手が試合を作った展開に持ち込むと、まったくひけを取らない試合内容で2勝を返した。お互いに敵地で連勝し合う形となり、今後も目が離せない。最終戦までもつれる予感が漂いはじめたDeNAの連勝となった。(日刊スポーツ評論家)