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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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第十七章 アルカード

朝日が出るのを待って、一同は出発した。
「おそらく、この近くには魔物の棲家があると思います。なんだか嫌な気配が漂ってますもの。できるだけ早く、ここを離れましょう」
トリスターナの言葉にマルスはうなずいた。マルスの動物的勘も同じ気配を感じていたからである。一行は急ぎ足で山の中を進んでいった。

山を越え、もう一つ小さな山を越えた後、視界が開けて、一行の目の前に、道が現れた。
マルスたちは歓声を上げて、斜面を駆け下りた。
やっとアルカードに出たのである。道があるということは、この道を行けば必ず人里に出るはずである。
まだ目の前には小さな山々が連なっているが、それらは山というよりは丘という程度であり、さほど難儀をしそうな山ではない。
そして、さらに一日後、道の途中に民家が見え始めた。
マルスたちはすっかり陽気な気分になってきた。
アルカードの国は北国らしく、春なお寒いが、山を下りると森や林が広がり、川や湖があちこちにあって美しかった。
民家の一つでマルスたちは干し肉と引き換えにパンとチーズとワインを貰い、川べりの草の上で久し振りに食事らしい食事をした。
「アルカードの言葉は、ほとんどアスカルファンと同じだな。ところどころわからない言葉はあるが」
オズモンドがやっと文明の地に出た喜びを隠し切れない口調で嬉しそうに言った。
「ところで、アルカードのどこに向かえばいいんでしょう」
ジョンがマルスに聞いた。
マルスはトリスターナの方を見たが、トリスターナは肩をすくめた。
「そもそも、ジルベールがアルカードに来たかどうかもはっきりしないのだから、当てはないよ。とにかく、町を探してみよう」
マルスはそう答えて立ち上がった。
先ほどの民家に入って、しばらく話したマルスは皆のところに戻ってきた。
「アルカードには首都というものはないそうだ。大きな町は五つ、小さな町が二十ほどあって、それぞれ領主が治めているらしい。その中で、もっともここから近い町はスオミラという町で、そこは領主ではなく五人の長老が合議制で治めているということだ。そこがここから一番近い大きな町のようだから、そこに行ってみよう」

マルスたちは農家で馬を二頭と荷馬車を買い、マルス以外は荷馬車で旅をすることにした。それまでの驢馬はその農家に売り払ったのである。ついでに干草も大量に買って荷馬車の荷台に敷き詰めたので、乗っている者は馬車の振動をあまり感じず、ついでに馬の食糧も確保したわけであった。
三日後、マルスたちの前にスオミラの町が見えてきた。
町の周りは水濠が巡らされ、町は石の塀で囲まれていて厳めしいが、番兵は少ない。
門の前でマルスたちは番兵に止められた。
「お前達はどこの者で、この町に何の用で来た」
マルスがその質問に答えた。
「私たちはアスカルファンの者です。ある人を探してずっと旅をしているのです。ここにその人がいなければすぐに出て行きます」
「誰を探している」
「私の父です」
「名は何という」
「ジルベールです」
「そんな者はここにはいない。この町にはアスカルファンから来た者などいないぞ。残念だが、他の町に行くのだな」
「そうですか。しかし、せっかくここまで旅をしてきたのですから、二、三日だけでも滞在させてはくれませんか。皆疲れていることだし」
番兵は荷車の上のマチルダやトリスターナを見た。
「まあ、四、五人ほどなら町に入れても差し支えないことになっているが、三日で出て行くのだぞ」
番兵はそう言ってマルスたちを町の中に入れてくれた。
石壁に囲まれた町の中は、さらに内壁がその内側を囲んでいた。
内壁の入り口での同じような問答の後、そこも通ってやっとマルスたちは町に入った。




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