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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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アマゾンプライムで「あしたのジョー」を見ているのだが、話作りは非常に上手いと思うのだが梶原一騎特有の臭みと、少年漫画での描写の限界があるのはやや残念である。ただ、子供のころは好きになれなかったジョーの傲慢不遜で自分勝手なキャラクターも、孤児育ち(らしい)ことを考えると、その精神的奇形性もむしろ自然かな、と思う。
で、一番残念なのは、当時はまったく言われなかったボクシングの試合の描写の欠陥である。これは漫画の欠点ではなく、漫画では目立たなかった試合描写の欠点が、アニメでは露骨に出たのだろう。たとえば、ジョー(だけではなく試合当事者)が、試合中によそ見をして相手に攻撃され窮地に陥る話が非常に多い。これは現実ではほとんどありえないだろう。試合中にボクサーがニヤニヤ笑いをする描写も多く、それも不自然だ。私は、ボクサーが試合中に笑顔を見せたシーンは現実では一度も見たことが無い。
練習のシーンでは、右ストレートと左ストレートの連続でサンドバッグを打つシーンが何度も描かれるが、そのリズムがいつも一定で不自然である。現実にあんな調子で打ったら簡単に反撃を食うだろう。普通は、ジャブ・ジャブ・ストレートのように混ぜるはずである。ストレートの連打など現実の試合で見た記憶はない。
それに、クリーンヒットを受けた時、必ず口から血を流すのもおかしい。ひどい場合には腹(ストマック)への打撃で口から血を流すのだが、これは胃袋の破裂しかありえないだろう。つまり、即座に試合中止の事故である。それでもダウンから起き上がって試合再開であるwww
ほかにも、アッパーカットでのダウンから起き上がることができるというのも不自然だろう。これは脳震盪を起こしているわけだから、ほとんど回復不可能でそのままノックアウトのはずだ。まあ、試合のシーンではすべてにおいてあまりに簡単にパンチを受けすぎである。それだと、勝っても単なる幸運でしかなく、普通はレベルの高いボクサーは相手のパンチをほとんど食わないと思う。パンチを食った時点でヘボボクサー確定と言っていい。モハメッド・アリなど、完全に下り坂の晩年までは相手のパンチをほとんど食わなかったと思う。
どうでもいい話だが、話の大山である力石徹へのテンプルへのパンチで力石を死に至らしめたことでジョーがノイローゼになりテンプルへのパンチを打てなくなり、ボクサー廃業の危機に陥る出来事だが、これは問題になること自体がおかしいだろう。そもそもテンプルへのパンチが当たるのは、フックを打って、それがうまい具合に決まった場合だけであり、それ自体が稀有な例だろう。ジョーはほとんどストレートとアッパーしか打たないボクサーとして描かれている。つまり、彼の場合はテンプルへのパンチ自体が普通ではありえないわけだ。顔の横にあるテンプル(こめかみ)をストレートやジャブで打つこともアッパーカットで打つことも不可能なのである。相手がさあ打ってくださいと顔を横に向けた場合だけ、それが可能になる。試合中に相手から顔をそむける馬鹿は滅多にいないだろう。
まあ、テンプルへのパンチなど、クリンチに近い状態からのフック以外、そもそも当たるものではないから、気にする必要などまったく無いわけだ。つまり、それ無しでボクサーを続けることは容易だろう、というのが私の推定である。
ということで、梶原一騎は「人情噺」を作るのは上手いが、ボクシングの試合の描写はあまり上手くなかったと思う。第一、クロスカウンターなど、本当に当たるのだろうか。当たったとして、後から出したパンチのほうが(梃子の原理だとホラを吹いているが)なぜ先に出したパンチより強いパンチになるというのか。
以上書いたことは、アニメを作る側は最初から分かった上で「ドラマ性」を盛り上げるためにあえてやったことだという弁明は可能だろう。だが、それで本当にドラマ性が向上しただろうか。むしろその不自然さが見る人を「引かせた」のではないか。
現実のボクシングのリアリティに忠実に描いたほうが、むしろドラマ性も高まった可能性が大きいと私は思っている。ただし、実写映画でボクシングを描いた作品の成功例は(私は一作も見ていないが)「ロッキー」シリーズ以外にはほとんど無いようだから、何とも言えない。アニメでこそボクシングは(精密な描写が可能だから)面白い話になりそうな気がする。


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