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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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その五十九 水晶の湖

北の大陸から南の大陸に入ると、下は一面のジャングルです。先ほどのジャングルとはくらべものにならないくらい、木の密集したジャングルで、その東側を大きな河が流れています。この河の先に、水晶の湖はあるのでしょうか。
「あそこかしら」
アリーナが指差した河の上流に、滝のようなものが確かに見えます。
近づいてみると、これは、何と大きな滝でしょう。本当に、天から落ちてくるかのように見えます。しかも、滝は一本ではなくて、高くそびえたつ台地全体から水のカーテンのように落ちてくるのです。これでは、その上に人間が登るのもむずかしいでしょう。もし、人間界と天上界の境い目があるとしたら、ここはいかにもぴったりです。
「いよいよだな」
チャックがうれしそうに言います。
 セイルンは、雲の高度を上げ、滝の上方に浮かび上がりました。
 そこは、巨大な、透き通った湖でした。午後の日ざしを浴びてきらきらと輝く湖は、まさしく水晶の湖の名にふさわしい美しさです。
「すてきなところねえ」
さすがに、アリーナも女の子らしい感嘆の声を上げました。
「ところで、黄金の網はどうする? ふつうの網さえも持っていないのに」
チャックが言うと、セイルンが、ハンスが腰につけていたヒョウタンを指差しました。
「そいつで湖の水を全部吸い込んじまえ」
「そんな乱暴な。日本の公共工事じゃあるまいし」
ハンスは言って、湖の岸辺に飛び下りました。そこに生えていた草を編んで網の形にし、チャックに言います。
「黄金は、悪魔の領分だ。こいつを黄金の網に変えてくれ」
チャックは苦笑いしてうなずきます。
チャックが手を一振りすると、小さな草の網は、大きな黄金の網に変わりました。
 その網を手にして、ハンスが空中浮遊の術を使って湖の上に行きます。
(『風の矛のきらめく場』はどこだ?)
風が吹いてきました。湖にさざなみが立ちます。その中に、ひときわ輝く波があります。まるで、一千のダイヤモンドが輝いているように。その下には金の魚の群れがいるのでしょうか。
 ハンスは、その場にぱっと網を打ちました。引き上げると、そこにはたった一匹の、金色の魚がかかっています。
 ハンスは、その魚を手の上にのせて仲間のところに戻りました。
 さて、ところで、この魚をどうすればいいのでしょう。



その六十 謎の指輪

 ハンスは透視の術を使って金の魚の体を透かして見ました。中に、何かの影が見えます。
 ハンスは、魚の尻尾を持ってさかさにしました。
 魚は、ばたばたとあばれましたが、そのうち、口から物を吐き出しました。
 空中でそれをつかんだチャックが、それをみんなに見せました。
 それは、不思議な輝きを持つ指輪でした。
あっと思って、ハンスは、自分の指にはめていた指輪を見ました。その指輪は、旅の初めにロレンゾからお守りにもらった指輪でしたが、今、魚の口から出てきた指輪は、色や輝きは全然ちがいますが、形はそれにそっくりです。
「なんだ、その指輪とそっくりじゃないか。……もしかして、その指輪」
チャックはハンスの指輪を見て青ざめました。
「どうしたの?」
アリーナが聞くと、チャックは、作り笑いを浮かべて、「なんでもない」と言いました。
「しかし、これで、てがかりはおしまいだぜ。賢者の庭をさがすにはどうすればいいんだい」
セイルンが言うと、他の三人は考え込んでしまいました。
「もう一度、詩の中の言葉を考えてみよう」
ハンスは言いました。
「たしか、賢者の庭で見張っているのは、ヘスペリアの竜だ。ヘスペリアは、西を表すとソクラトンは言っていたから、もしかしたら、ロータシアより西にまだ知らない土地があるのかもしれない。それに、チャックの言っていた詩では、未知の国を越え、海を越えて、頂きが太陽に近い、古い山々をさがせと書いてあった。つまり、ロータシアからまだ海を越えた西に、天に近い頂きを持つ山々のある古い国があるんだ」
 四人は再び、雲に乗りました。まったく、セイルンがいなければ、こんな旅はとっくにあきらめていたでしょう。でも、雲に乗っての旅なんて、ただの移動でしかありませんけどね。たとえ不便でも、のんびりとまわりの景色を見ながら旅するほうがずっといいと作者の私は思います。
 ロータシアを横切って西に進み、また海に出ました。
 ハンスは遠視の術を使って、四方を見渡しますが、海があまりに広すぎて、ほとんど何も見えません。小さな島は無数にありますが、天に届きそうな高山を持つ山なんて見つかりません。
 およそ一週間も飛んだでしょうか。前方に、大陸が見えてきました。しかし、おどろいたことに、それはグリセリードの大陸でした。
「ええっ。西に進んでいたのに、東に来ちゃったの?」
アリーナはあきれたように声をあげました。


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