忍者ブログ
ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
21 22
23 24 25 26 27 28
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
o-zone
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
[7663]  [7662]  [7661]  [7660]  [7659]  [7658]  [7657]  [7656]  [7655]  [7654]  [7653
その五十七 あいかわらずの作者の長口上

美意識(びいしき)なんてむずかしい言葉ですが、ようするに、きれいと汚いを見分けて、汚いものを避(さ)け、きれいなものを選ぶ気持ちです。単に外面だけでなく、考え方や行動においても、きれいなものと汚いものがあります。卑怯、卑劣などは汚いものです。たとえば、多くの子供が一人の子供をいじめるなんて、卑劣以外のなにものでもありません。それを汚い行為だと思いもしないところがいじめ問題の最大の問題なのです。
そんなふうに物事を考え、判断する力は、残念ながら学校では教えてくれません。哲学は、教わるものではなく、自分で考えるものなのです。そして、自分で考えることほど楽しく有益(ゆうえき)なことはありません。もちろん、自分に無い知識は謙虚(けんきょ)な気持ちで学ばねばなりません。しかし、考えること自体は、他人ではなく自分がやるものなのです。自分で考える人間は、すべて哲学者であり、他人に考えてもらっている人間は、大学の先生でも偉い人でも哲学者ではありません。
ふつうの人間が、満足のいく人生をおくろうと思うなら、物事を良く考えることが一番だと私は思います。考えることだけでなく、考えるための材料として、知識を得ること、物事を知ることも大事です。みなさんの中で、勉強が好きな人間は少ないと思いますが、ものを知ることは大きな喜びを与えるものです。勉強がつまらないのは、勉強のせいではありません。その勉強が、みなさんの好奇心の対象になっていないからなのです。もしも、数の不思議にとりつかれたら、算数は魔法となり、世の中の仕組みに興味を持ったら、政治経済の知識は君たちの剣となり、盾となるでしょう。そうして、人生は剣と魔法の騎士物語になるのです。中でも、何よりも、未知の世界への鍵となるのは、語学です。魔法でよその国に行くまでもなく、英語やフランス語、ドイツ語の本をひらけば、そこに一つの世界があらわれます。いや、外国語にかぎりません。科学も数学も、本はすべて一つの世界なのです。しかし、みなさんが言葉を知らなければ、それらの世界は永遠にみなさんには閉ざされたままなのです。もちろん、本だけでなく、他の人間も、一つの世界です。
私たちは、毎日顔を会わせている人間のことすらほとんど知りません。人間は自分の内面をなかなか外に表そうとしないものなのです。人間という奴は本とはちがって、扱いがむずかしいものですから、他人を知るというのは大変な仕事です。でも、それが好きな人なら、その大変さも苦痛ではなく、喜びでしょう。
天国の鍵、それは「指向性(しこうせい、志向性でもいい)」、つまりその人が何を求めるかということです。人間は自分の求めるものを自分で知っているとは限りません。自分に合わないものを求めて自分を苦しめていることが多いのです。また、その苦痛は自ら作り出した幻想であることが多いものです。たとえば恋愛の苦痛なんて、妄想的苦痛がほとんどです。だって、相手は、あなたの内面をどうすることも本当はできないのですから。
この話も、むずかしい言葉がどんどん出てきて子供が読むのは大変ですが、わからない言葉は前後関係から考えてみてください。できれば、辞書などひいてくれたら確実です。



その五十八 二つの大陸

さて、ハンスたちはそのままロータシアに飛ぶことにしました。
西に向かって海の上を飛ぶ事三日。太陽は三度、前方の海にしずみました。
そして、四日目の朝、とうとう前方に大きな陸地が現れました。
ハンスは、雲の上から遠視の魔法を使って、その大陸全体をながめました。
北半分は密林や草原がほとんどですが、内陸部は、砂漠に近い赤土の大地です。そして、南の方を見ると、はるかかなたの方に、海に向かって突き出した半島のジャングルの中に、人間の住む都市のようなものが見えます。
「あそこに行ってみよう」
ハンスが指差した方に、セイルンは雲の方向を変えました。
 そのジャングルの中の都市は、これまでハンスが見たどの都市よりもりっぱでした。中心部には寺院らしい大きな建物が、広大な敷地の中に立ち並び、王宮らしい壮麗な建物もそのそばにあります。中でも目に付くのは、独特な形の大きなピラミッドです。四方に階段を持ち、てっぺんには小さな家があります。きっと、その家からピラミッドの中に入れるのでしょう。
セイルンは、雲を寺院の中庭に下ろしました。すると、セイルンの雲が下りてくるのを見ていたのか、数人の男たちが寺院から出てきました。
「**********」
その中の、一番えらそうな人が、ハンスたちにはわからない言葉で言いました。頭に大きな羽飾りのついた冠をかぶり、服は、上は裸で、下はふんどしだけです。
「ぼくたちは、七つの噴水のある賢者の庭をさがしてます。どなたか知りませんか」
ハンスが心で呼びかけると、男はおどろいたように言いました。
「あなたがたは神の使いか」
「いいえ、天国の鍵を探す者です」
「七つの噴水のある庭など、ここには無い」
「では、水晶の湖は知りませんか」
「水晶の湖? 確か、天上の湖は、水晶の湖とも呼ばれている。だが、それは、ここからはずっと遠いところにある」
「どこですか?」
「ずっと南だ。ジャングルの中を歩けば、半年はかかる。大きな河の上流に、天から落ちてくるような滝がある。その上が天上の湖、そして水晶の湖だ」
ハンスは、その神官らしい男に礼を言って、雲に乗りました。
「やっと水晶の湖は見つかりそうね」
アリーナがうれしそうに言いました。
 雲は、細長い土地で北の大陸とつながった、南の方の大陸にさしかかっています。




PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
忍者ブログ [PR]