ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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その三十九 独立の戦いについて
パーリの国は、お隣のボワロンという国に侵略(しんりゃく、攻められること)されて、国民はみなボワロンの人たちに仕えていますが、ボワロンはもともとグリセリードに仕えている国なので、パーリも今はグリセリードの一部みたいなものです。でも、パーリの人々はなんとかしてボワロンやグリセリードの支配(しはい、治めること)からぬけだしたいと思っているのです。
こんなのは昔の話だと思っている人がいたら、それは大間違いです。今でも、世界中のあちこちの国で、国の一部が独立しようとして大騒ぎを起こすのは、もともとそれらの国が別の国だったからです。日本だって、沖縄なんかは明治時代になって、強引に日本の一部にされた国です。すっかりその国の一部になった後では、今さら独立してもしょうがない、という考えもありますけど、吸収された国がその国の中で差別的な扱いを受けていたら、独立運動を起こすのも当然でしょう。だから、たとえば、アイルランドのように独立のために暴力的な事件があったとしても、事件を起こす側だけを一方的に責めるわけにはいかないのです。平和的に解決できれば、それが一番なんですけどね。残念ながら、平和的な話し合いでは、ちっとも相手の言い分に耳を貸さない人たちが多すぎるのです。なぜかというと、それらの地方を独立させないことが、その国全体の利益、あるいはその国を支配する人たちや階級の利益だからです。もちろん、その地方の人たちの大部分は不利益を受けているわけですが、現実の世界は、道理(どうり、正しいこと)ではなく力によって動くものです。
数の多さも力です。たとえば、多数決(たすうけつ)が常に正しいなら、三百円を三人で分けるのに、A君とB君の二人が、C君をのけものにして、二人で百五十円ずつ分けようと決めれば、これも多数決にしたがった決定だということになります。これって変ですよね? 君がC君なら、どうします? だから、大事なのは、それが道義(どうぎ、人間として本当に正しいこと)に合っているかどうかであって、形式的(けいしきてき、うわべや形)に正しいかどうかではないのです。
まあ、これはただのお話だから、現実はまた別さ、と思う人には、こう言っておきましょう。お話が面白いのは、それがうそだから、というのも正しいのですが、それが本当だから、という点もあるのです。むしろ、すべてうそで物語を作るほうがむずかしいことでしょう。もちろん、それらの「本当」は、作者の目から見ての本当なのであって、他人から見たらゆがんだ見方ということになります。しかし、人それぞれの見方はすべてゆがんでいるのです。自分の見方はゆがんでいないと言い張る人(特に、特定の宗教を信じる人に多いのですが)ほどこわいものはありません。自分は間違っているかもしれないという謙虚(けんきょ、ひかえめなこと)な人間のほうが、間違うことは少ないのです。
作者のおしゃべりが多くて、ずいぶん変なお話だなあ、とお思いでしょうが、これはそういうお話なのです。脱線のところこそ、いずれあなたたちの役にたちます。
その四十 魔法使いチャック
パーリに入って十日ほど歩くと、前方に岩山が見えました。そして、ハンスが目をこらして見ると、そのふもとには神殿らしいものが見えます。
ハンスたちはその神殿に向かって進んでいきました。
神殿のまわりには、町も村もありません。砂漠の中に、神殿だけがあるのです。
神殿に近づくと、どうやら廃墟のようで、人のいる気配(けはい)はありません。とにかく、ハンスとアリーナは、ここで一休みすることにしました。
少し昼寝をして、ハンスが目をさますと、ピントがううっと低くうなりました。ピントがうなった方角を見ると、砂漠の向こうに、小さな人影が見えます。こちらに近づいてくるようです。
(あやしい奴が近づいてきますよ)
とピントの心はハンスに言っています。
やがてその人影は完全に人のすがたになりました。十二、三歳くらいの少年です。アスカルファン風の身なりをした、金髪の少年です。
その少年は笑顔を浮かべて、ハンスとアリーナに近づきます。なんとハンサムな少年でしょう。アリーナが一目でぽーっとなったのが、ハンスにはわかりました。
「やあ、君たちも天国の鍵を探しているのかい」
金髪の少年は、アリーナに目を向けて言いました。ハンスのほうは無視しているようで、ハンスはおもしろくありません。
「あなたもなの? じゃあ、あなたも魔法使い?」
少年はうなずいて、右手をぱっと一振りしました。すると、その手には、一輪の真っ赤なバラの花が現れました。少年は、軽くおじぎをしてそのバラをアリーナにささげました。アリーナは大喜びです。女の人がおくりものに弱いのは、いつの世もかわりません。
(ちえっ、あんなの、魔法じゃなくて手品だ)とハンスは心の中で考えましたが、口には出せません。男のヤキモチはみっともないですからね。
「ぼくの名前はチャック。君たちは?」
「私はアリーナ、この子はハンス」
(この子、なんて言い方はないだろう)とまたしてもハンスは心で考えます。たしかに、なにか、よそよそしい言い方です。
「ぼくは、アルカードから来たんだ。そこで、ソクラトンという賢者に会って、天国の鍵のてがかりとなる巻物をもらった。でも、それだけではよくわからないから、もしも君たちが知っているてがかりがあったら、教えてくれないか。ぼくのてがかりも教えるから」
アリーナはハンスの顔を見ました。
ハンスは少しまよいました。せっかく苦労して手に入れた巻物を、こんな正体不明の少年に見せていいものでしょうか。
パーリの国は、お隣のボワロンという国に侵略(しんりゃく、攻められること)されて、国民はみなボワロンの人たちに仕えていますが、ボワロンはもともとグリセリードに仕えている国なので、パーリも今はグリセリードの一部みたいなものです。でも、パーリの人々はなんとかしてボワロンやグリセリードの支配(しはい、治めること)からぬけだしたいと思っているのです。
こんなのは昔の話だと思っている人がいたら、それは大間違いです。今でも、世界中のあちこちの国で、国の一部が独立しようとして大騒ぎを起こすのは、もともとそれらの国が別の国だったからです。日本だって、沖縄なんかは明治時代になって、強引に日本の一部にされた国です。すっかりその国の一部になった後では、今さら独立してもしょうがない、という考えもありますけど、吸収された国がその国の中で差別的な扱いを受けていたら、独立運動を起こすのも当然でしょう。だから、たとえば、アイルランドのように独立のために暴力的な事件があったとしても、事件を起こす側だけを一方的に責めるわけにはいかないのです。平和的に解決できれば、それが一番なんですけどね。残念ながら、平和的な話し合いでは、ちっとも相手の言い分に耳を貸さない人たちが多すぎるのです。なぜかというと、それらの地方を独立させないことが、その国全体の利益、あるいはその国を支配する人たちや階級の利益だからです。もちろん、その地方の人たちの大部分は不利益を受けているわけですが、現実の世界は、道理(どうり、正しいこと)ではなく力によって動くものです。
数の多さも力です。たとえば、多数決(たすうけつ)が常に正しいなら、三百円を三人で分けるのに、A君とB君の二人が、C君をのけものにして、二人で百五十円ずつ分けようと決めれば、これも多数決にしたがった決定だということになります。これって変ですよね? 君がC君なら、どうします? だから、大事なのは、それが道義(どうぎ、人間として本当に正しいこと)に合っているかどうかであって、形式的(けいしきてき、うわべや形)に正しいかどうかではないのです。
まあ、これはただのお話だから、現実はまた別さ、と思う人には、こう言っておきましょう。お話が面白いのは、それがうそだから、というのも正しいのですが、それが本当だから、という点もあるのです。むしろ、すべてうそで物語を作るほうがむずかしいことでしょう。もちろん、それらの「本当」は、作者の目から見ての本当なのであって、他人から見たらゆがんだ見方ということになります。しかし、人それぞれの見方はすべてゆがんでいるのです。自分の見方はゆがんでいないと言い張る人(特に、特定の宗教を信じる人に多いのですが)ほどこわいものはありません。自分は間違っているかもしれないという謙虚(けんきょ、ひかえめなこと)な人間のほうが、間違うことは少ないのです。
作者のおしゃべりが多くて、ずいぶん変なお話だなあ、とお思いでしょうが、これはそういうお話なのです。脱線のところこそ、いずれあなたたちの役にたちます。
その四十 魔法使いチャック
パーリに入って十日ほど歩くと、前方に岩山が見えました。そして、ハンスが目をこらして見ると、そのふもとには神殿らしいものが見えます。
ハンスたちはその神殿に向かって進んでいきました。
神殿のまわりには、町も村もありません。砂漠の中に、神殿だけがあるのです。
神殿に近づくと、どうやら廃墟のようで、人のいる気配(けはい)はありません。とにかく、ハンスとアリーナは、ここで一休みすることにしました。
少し昼寝をして、ハンスが目をさますと、ピントがううっと低くうなりました。ピントがうなった方角を見ると、砂漠の向こうに、小さな人影が見えます。こちらに近づいてくるようです。
(あやしい奴が近づいてきますよ)
とピントの心はハンスに言っています。
やがてその人影は完全に人のすがたになりました。十二、三歳くらいの少年です。アスカルファン風の身なりをした、金髪の少年です。
その少年は笑顔を浮かべて、ハンスとアリーナに近づきます。なんとハンサムな少年でしょう。アリーナが一目でぽーっとなったのが、ハンスにはわかりました。
「やあ、君たちも天国の鍵を探しているのかい」
金髪の少年は、アリーナに目を向けて言いました。ハンスのほうは無視しているようで、ハンスはおもしろくありません。
「あなたもなの? じゃあ、あなたも魔法使い?」
少年はうなずいて、右手をぱっと一振りしました。すると、その手には、一輪の真っ赤なバラの花が現れました。少年は、軽くおじぎをしてそのバラをアリーナにささげました。アリーナは大喜びです。女の人がおくりものに弱いのは、いつの世もかわりません。
(ちえっ、あんなの、魔法じゃなくて手品だ)とハンスは心の中で考えましたが、口には出せません。男のヤキモチはみっともないですからね。
「ぼくの名前はチャック。君たちは?」
「私はアリーナ、この子はハンス」
(この子、なんて言い方はないだろう)とまたしてもハンスは心で考えます。たしかに、なにか、よそよそしい言い方です。
「ぼくは、アルカードから来たんだ。そこで、ソクラトンという賢者に会って、天国の鍵のてがかりとなる巻物をもらった。でも、それだけではよくわからないから、もしも君たちが知っているてがかりがあったら、教えてくれないか。ぼくのてがかりも教えるから」
アリーナはハンスの顔を見ました。
ハンスは少しまよいました。せっかく苦労して手に入れた巻物を、こんな正体不明の少年に見せていいものでしょうか。
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