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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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その四十三 旅の行く先

「どうだい、これからしばらくいっしょに旅をしようじゃないか。そうすれば、きっと天国の鍵をさがす仕事もやりやすいだろうし」
チャックがハンスたちに言いました。
「それがいいわ。ねえ、ハンス?」
アリーナがうれしそうにハンスに言います。
ハンスは本当はチャックを仲間に入れたくなかったのですが、しぶしぶうなずきました。
「これで、三つのてがかりがわかった。あとは、この詩の意味をゆっくり考えて、ほかにてがかりがないか探しながら旅を続けよう」
チャックが言いました。すっかり三人の中のリーダー気取りです。
「さっきのルメトトの言葉は覚えたかい?」
チャックはハンスに言いました。アリーナはびっくりしてチャックに聞きました。
「あの影みたいな男と何か話したの? ただ黙って見つめあっていただけかと思った」
「心で話したのさ。一度に二人の人間の心に語りかけるなんて、さすがは三千年も生きているだけある」
チャックの言葉にアリーナはもう一度びっくりします。
「しかし、サファイアの菫とは何だろうな。本当にサファイアで作った飾り物なのか、それともただの菫のことなのか」
ハンスがつぶやくように言うと、チャックが笑って言いました。
「菫のことは知らないが、ヘルメスが出没する小部屋はたぶん、ソクラトンの部屋のことだ。ソクラトンの住むところは、まさしく、叡智の森の中だし、実際にその家のそばには黒い松が生えているんだ。ぼくはもう一度ソクラトンのところに行くはめになりそうだ。こんなことがあるから、今まで多くの者が天国の鍵を探すのをあきらめたのさ」
「しかし、ソクラトンのことが何で三千年前の詩によまれているんだよ。ソクラトンはふつうの人間だろう。まさかルメトトみたいに三千年も生きているわけじゃあるまい?」
「いつも同じ詩だとはかぎらないさ。ルメトトほどの大魔術師なら、世界のすべてをわかっていてもおかしくはない。その時その時で天国の鍵となる言葉も変わるのかもしれない」
チャックの言葉に、またアリーナが口をはさみました。
「なんだ、天国の鍵って、ただの言葉なの? つまんない」
 それはハンスも同じ気持ちでしたが、しかし、それが一つの言葉だったとしても、本当にそれで地上が天国に変わるのなら、探す価値はあるという気もします。考えれば、大昔からあらゆる賢者や宗教家、哲学者がさがしてきたのもそれなのではないでしょうか。
「これからどうする? ぼくはアスカルファンのロレンゾに会いに行くつもりだが」
チャックの言葉に、ハンスはおどろきました。やはり、七人の大魔法使いの一人はロレンゾだったのです。

その四十四 再会

「ぼくたちもアスカルファンに行こう。ロータシアに行く前に天国の鍵のてがかりはすべて集めておきたいし、どうせアルカードに行くとちゅうなんだから」
 ハンスの言葉にチャックはうなずきました。
「それでいいかい、アリーナ?」
ハンスはアリーナに聞きました。アリーナにとっては、完全にグリセリードの外に出ることになりますから、心細いでしょう。
「もちろんいいわよ。アスカルファンやアルカードを見るのは楽しみだわ」
ハンスだけを相手にしている時とちがって、なんだか上品な口ぶりでアリーナは答えました。
「さて、アスカルファンに行くとなれば、ここから砂漠を横切って西に行き、ボワロンの北の海岸から船に乗ることになるな」
チャックが言うと、アリーナが聞きました。
「あんたたち、空を飛べるんじゃないの?」
「浮かぶのはできるが、飛ぶのはむずかしいな。精神の集中は、限度がある。あまり長い時間はできないんだ。高いところから落ちるとあぶないし、精神も疲れるからね」
チャックが答えます。
「そうか」
とアリーナは納得(なっとく)しました。
 その晩は、砂漠の星空を見ながら眠り、翌日、三人は砂漠の北西のボワロンに向かって出発しました。
 三人が歩き出して数時間たった頃、上空を飛んでいたパロが何かを見つけて下りてきました。そして、言いました。
「東のほうから、ピエールたちが来る」
ハンスとアリーナは大喜びしました。もしかしたら、ピエールたちはグリセリードで捕らえられて、殺されたのではないかと心配していたのです。
 砂漠の彼方から、ラクダに乗って駈(か)けて来るのは、本当にピエールとヤクシーとヴァルミラです。ヤクシーのラクダには、もう一人乗ってますが、だれなのでしょう。
「やあ、ハンス、シルベラ、元気そうだな」
ピエールは、ひらりとラクダから飛び下りて、ハンスとアリーナを抱きしめました。続いて、ヤクシーとヴァルミラも下ります。ヤクシーといっしょに乗っていた子供も下りました。見ると、ロンコンのところにいたセイルンではありませんか。どうしてこの子がピエールたちといるのだろう、というハンスの疑問に答えるようにピエールが言いました。
「この子はセイルンだ。おれたちとアズマハルで遭(あ)って、ハンスたちの後を追っているというんで連れてきたんだ」



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