ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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コメント5ではないが、幻想水滸伝2は「隠れもない名作」である。
私は、さほどゲーム数は経験がないが、やった中では
東横綱 ドラクエ3 西横綱 幻水2
東大関 FFタクティクス 西大関 ヴァンダルハーツ
である。ヴァンダルハーツは絵柄がひどいが、それを我慢すれば、ゲーム性は最高に良くできている。
幻想水滸伝3は、2が良すぎたために叩かれているだけで、非常に優れたゲームである。3Dキャラだが、キャラがすべて可愛い。これはキャラ絵を描いた絵師の腕である。幻水2と同じ絵師。
東横綱のドラクエ3は、これまで100周くらいして、今でもやっている。100周しても、時々新しい発見(たとえば雷神の剣を敵が落としたりする。)があるし、いろいろ試すのが楽しい。たとえば、キャラ名をリナとガウリーにして、ふたりだけで旅したり、いろいろ転職して最強パターンを探したり。だいたいLV50くらいでラスボスを倒すことは可能なので、あまり急がないで、旅を楽しむことだ。カネも無く、レベルも低いころが一番楽しいとも言えるのだから。
東大関のFFTも、10周か20周したと思う。ただし、完走したのは2回くらいしかない。最後の戦闘のあたりでは敵が異常に強いので、ゲームバランスがあまり良くない気がする。それに、アグリアスが、敵としては魅力的だのに、仲間にするとさほど強くないので、途中から別メンバーにするしかないのが残念だ。まあ、これは多くのゲームに良く見られる傾向だ。ちなみに、アグリアスは「くっ殺」の元祖だという噂があるが、まあ、そういう妄想はRPGプレイヤーのよくある話だ。
(以下引用)
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
2024/09/09/ 00:35
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
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1: 名無しさん ID:NDLY0qS30
マジで面白いからおすすめ
2: 名無しさん ID:pwDDw4X60
テンガアールすき
4: 名無しさん ID:GUxQvk890
ほーん、どんなゲームなん
8: 名無しさん ID:NDLY0qS30
>>4
RPGでストーリーが良い
5: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
隠れてはないだろ
続編がコケ続けただけで
7: 名無しさん ID:NlVYMBD70
通してくれない門番を大人の話で通れるようにした所で興奮した
9: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
ナナミ最高のお姉ちゃんだよな
11: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
1の主人公がクソ強いが隠居生活してるのがなんか淋しい
13: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
>>11
でも108エンドの主人公ってわかるから悪くないだろ
14: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
>>13
確かに側近の人が生きてるもんな
それは良いと思った
12: 名無しさん ID:MHv+9CMi0
主人公とジョウイのおさななじみ攻撃好き
15: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
出来ればグレミオもパーティーに入って欲しかった
16: 名無しさん ID:NDLY0qS30
ルカブライト戦もめっちゃ良かった
これぞボスって感じの総力戦もすごかったわ
18: 名無しさん ID:0rWnmKJ40
プレイ前俺「姉萌えとか、ねえわ」
後「うおおおおおナナミいいいいいい(姉燃え)」
19: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
俺は!俺が思うまま俺が望むまま邪悪であったぞ!
17: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
紋章の術と術組み合わせて強力な術発動させるの好きだった ソウルイーターくらいしか覚えてないが
20: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
あぁ2の話か間違えたわ
22: 名無しさん ID:M5tV3wRY0
>>20
1も2も合成術とソウルイーターあるから間違いじゃないぞ
21: 名無しさん ID:HdrFTzqj0
リマスターまだ?
24: 名無しさん ID:T2d8CNLC0
1→2は凄かったのに、3で一気に死んだ
私は、さほどゲーム数は経験がないが、やった中では
東横綱 ドラクエ3 西横綱 幻水2
東大関 FFタクティクス 西大関 ヴァンダルハーツ
である。ヴァンダルハーツは絵柄がひどいが、それを我慢すれば、ゲーム性は最高に良くできている。
幻想水滸伝3は、2が良すぎたために叩かれているだけで、非常に優れたゲームである。3Dキャラだが、キャラがすべて可愛い。これはキャラ絵を描いた絵師の腕である。幻水2と同じ絵師。
東横綱のドラクエ3は、これまで100周くらいして、今でもやっている。100周しても、時々新しい発見(たとえば雷神の剣を敵が落としたりする。)があるし、いろいろ試すのが楽しい。たとえば、キャラ名をリナとガウリーにして、ふたりだけで旅したり、いろいろ転職して最強パターンを探したり。だいたいLV50くらいでラスボスを倒すことは可能なので、あまり急がないで、旅を楽しむことだ。カネも無く、レベルも低いころが一番楽しいとも言えるのだから。
東大関のFFTも、10周か20周したと思う。ただし、完走したのは2回くらいしかない。最後の戦闘のあたりでは敵が異常に強いので、ゲームバランスがあまり良くない気がする。それに、アグリアスが、敵としては魅力的だのに、仲間にするとさほど強くないので、途中から別メンバーにするしかないのが残念だ。まあ、これは多くのゲームに良く見られる傾向だ。ちなみに、アグリアスは「くっ殺」の元祖だという噂があるが、まあ、そういう妄想はRPGプレイヤーのよくある話だ。
(以下引用)
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
2024/09/09/ 00:35
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
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1: 名無しさん ID:NDLY0qS30
マジで面白いからおすすめ
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ほーん、どんなゲームなん
8: 名無しさん ID:NDLY0qS30
>>4
RPGでストーリーが良い
5: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
隠れてはないだろ
続編がコケ続けただけで
7: 名無しさん ID:NlVYMBD70
通してくれない門番を大人の話で通れるようにした所で興奮した
9: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
ナナミ最高のお姉ちゃんだよな
11: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
1の主人公がクソ強いが隠居生活してるのがなんか淋しい
13: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
>>11
でも108エンドの主人公ってわかるから悪くないだろ
14: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
>>13
確かに側近の人が生きてるもんな
それは良いと思った
12: 名無しさん ID:MHv+9CMi0
主人公とジョウイのおさななじみ攻撃好き
15: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
出来ればグレミオもパーティーに入って欲しかった
16: 名無しさん ID:NDLY0qS30
ルカブライト戦もめっちゃ良かった
これぞボスって感じの総力戦もすごかったわ
18: 名無しさん ID:0rWnmKJ40
プレイ前俺「姉萌えとか、ねえわ」
後「うおおおおおナナミいいいいいい(姉燃え)」
19: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
俺は!俺が思うまま俺が望むまま邪悪であったぞ!
17: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
紋章の術と術組み合わせて強力な術発動させるの好きだった ソウルイーターくらいしか覚えてないが
20: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
あぁ2の話か間違えたわ
22: 名無しさん ID:M5tV3wRY0
>>20
1も2も合成術とソウルイーターあるから間違いじゃないぞ
21: 名無しさん ID:HdrFTzqj0
リマスターまだ?
24: 名無しさん ID:T2d8CNLC0
1→2は凄かったのに、3で一気に死んだ
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まあ、里崎の発言は基本的には正論だろう。コントロールがいいと言われていた北別府が、「自分は(ストライクゾーン)4分割で投げている」と言っていたらしいし、投手が140キロ以上の球をストライクゾーンに投げられるだけでもたいしたものではないか。
ただし、「構えたとこに来ないよ」の意味が問題で、「構えたとこ」=「要求したとこ」とするなら、投手が、捕手の構えたミットにズバリと投げ込む「9分割」レベルの異常な制球力を持っていないと不可能な話になる。そんな投手はプロでもひとりもいないのではないか。おそらく、「構えたとこ」とはサイン交換時点で要求したところの意味だろう。つまり、(ど真ん中を除く)「4分割」であり、ミットの位置は、「おおよその目安、投げる補助としての的」だろう。
そして、サイン通りのコースに投手が投げて打たれたら、それは捕手の責任になる。投手が「考えなくて済む」ように、捕手がサインを出すのが捕手の仕事であり、打たれた責任の半分は捕手にあるはずだ。
2024年09月08日
里崎「なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?」wwwwwww
スクリーンショット 2024-09-08 21.13.16
584: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:43:31.87 ID:NN9TJLDX0
ー最近は捕手別勝率みたいな数字もありますが
里崎 僕が清水(直)や渡辺(俊)と組んでたら勝てますよ。捕手の勝ち負けってのはそういうこと。そもそも負けた試合はその日投げた投手とその他野手の責任でしょ?なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?
大事な試合、優勝決定試合とか日本シリーズにいるキャッチャーが価値のあるキャッチャーです。自分が打てるか、優勝するかです。
613: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:44:35.25 ID:QqhskrUV0
>>584
里崎が言っても説得力薄いやろ
てか捕手が投手のせいにしたら信用関係とか無くなると思う
639: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:45:18.19 ID:6SHPwXlO0
>>613
里崎理論が当てはまるなら益々梅阪なんか要らんねんな
打てへんし刺せへんのやから
720: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:46:45.26 ID:uBhC4zmp0
>>639
里崎は「阪神の梅野坂本論争、どっちもアレやしもうどっちでもいい」ってはっきり言ってたな
751: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:47:18.16 ID:DooMoY5K0
>>720
つまりどちらも論争に値しないと
ただし、「構えたとこに来ないよ」の意味が問題で、「構えたとこ」=「要求したとこ」とするなら、投手が、捕手の構えたミットにズバリと投げ込む「9分割」レベルの異常な制球力を持っていないと不可能な話になる。そんな投手はプロでもひとりもいないのではないか。おそらく、「構えたとこ」とはサイン交換時点で要求したところの意味だろう。つまり、(ど真ん中を除く)「4分割」であり、ミットの位置は、「おおよその目安、投げる補助としての的」だろう。
そして、サイン通りのコースに投手が投げて打たれたら、それは捕手の責任になる。投手が「考えなくて済む」ように、捕手がサインを出すのが捕手の仕事であり、打たれた責任の半分は捕手にあるはずだ。
2024年09月08日
里崎「なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?」wwwwwww
スクリーンショット 2024-09-08 21.13.16
584: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:43:31.87 ID:NN9TJLDX0
ー最近は捕手別勝率みたいな数字もありますが
里崎 僕が清水(直)や渡辺(俊)と組んでたら勝てますよ。捕手の勝ち負けってのはそういうこと。そもそも負けた試合はその日投げた投手とその他野手の責任でしょ?なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?
大事な試合、優勝決定試合とか日本シリーズにいるキャッチャーが価値のあるキャッチャーです。自分が打てるか、優勝するかです。
613: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:44:35.25 ID:QqhskrUV0
>>584
里崎が言っても説得力薄いやろ
てか捕手が投手のせいにしたら信用関係とか無くなると思う
639: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:45:18.19 ID:6SHPwXlO0
>>613
里崎理論が当てはまるなら益々梅阪なんか要らんねんな
打てへんし刺せへんのやから
720: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:46:45.26 ID:uBhC4zmp0
>>639
里崎は「阪神の梅野坂本論争、どっちもアレやしもうどっちでもいい」ってはっきり言ってたな
751: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:47:18.16 ID:DooMoY5K0
>>720
つまりどちらも論争に値しないと
町の名は (4)-1 2016/07/15 (Fri)
(4)
12月25日の朝、刑士郎は早めにチェックアウトしてホテルを出た。
彼が、アジトとしているマンションに着いたのは12時少し過ぎだった。
「おう、大丈夫だったか。旭組に襲われたそうじゃないか。心配してたよ」
大石大悟は本気で心配している顔で彼を迎えた。
「準備はすべていいか」
「ああ、総会が始まったら、ここから迫撃砲のタマをあの屋敷にぶちこむ」
「いや、始まったら、ではダメだ。始まって、少し待て」
「なぜだ?」
「面白いことになるはずだからだ」
「と言うと?」
「旭組が、あの屋敷に殴りこんでくると思う」
「なぜ、それが分かる」
「俺がそう仕組んだからだ。昨日、旭組の親分の高校生の息子を誘拐して、今朝旭組に手紙を放り込んできた。明治会が、自分たちが誘拐をしたから、悔しかったら奪い返しに来い、と挑戦状を叩きつけた、という体裁の手紙だ」
「息子はどこにいる」
「女子高生強姦事件の犯人だ、という名目で井上巡査が留置所に入れている。実際、そうかもしれんがね。だが、まあ、逮捕した時は、私も井上巡査も私服だったから、目撃者には逮捕ではなく誘拐に見えていたはずだ。今頃、旭組の中は右往左往、議論百出だろうが、殴り込み賛成派が反対派を抑えると思うよ。他人に舐められたらヤクザは終わりだからな」
「だが、相手がてぐすねひいて待ち構えているところに殴りこむかねえ」
「あんたのような元自衛官と、ヤクザの思考形態は違うさ。連中は戦略よりも面子で行動する」
「では、我々は具体的にはどういうスケジュールでどう動く」
「何も起こらなければ、1時半、いや、2時までは待とう。実は、井上巡査に頼んで、12時に旭組ビルに銃弾を2発撃ちこんでもらうことになっている。つまり、今頃旭組は大騒ぎのはずだ。それでも連中が動かなければ、明治会だけ先に攻撃するしかない」
「関ヶ原の、小早川秀秋への家康の督戦砲撃か」
「何だ、そりゃあ」
「ドンパチが始まるまでの待ち時間の間に教えるよ。日本史の豆知識だ。まあ、俗説かもしれんがね。で、殴り込みがあったら、その後の手順は」
「旭組のほぼ全員が敷地内に入ったら、10分くらい待って、あんたはここから砲撃してくれ。10発全部打ち終わったら、あんたは即座にここを撤去だ。旭組の殴り込みがあったなら、旭組ビルへの砲撃は不要になったということだから、その傍のT**マンションのアジトも撤去だ。あんたは、両方から回収した武器をトラックに積んで、この県から逃亡してくれ」
「了解した。後は、あんたがカタをつけるということだな?」
「そういうことだ。いろいろと有難う。気をつけて行けよ」
「心配ご無用。またどこかで会おう。こんな仕事ならいつでも手伝うぞ」
町の名は (4)-2 2016/07/15 (Fri)
刑士郎は防弾チョッキを着て、脇の下にチェコ製CZ75(弾数が15発ある軍用拳銃で、大石が調達したものだ。)を専用ホルスターで吊るし、背中には軽機関銃を背負ってその上からコートを着た。頭には鉄板で内貼りされたヘルメットをかぶる。ぱっと見はただのオートバイ用のヘルメットだが、軍用ヘルメットに等しい防御力がある。
ベランダの鉄柵越しに双眼鏡で見ると、明治会前の道路には黒い車が何台か停まっている。門の前には黒服の男たちが並んで、来客に頭を下げたりしている。
1時、見張り2名を門の外に置いて、明治会の鉄の扉が閉まった。
5分後、遠くから列をなして7,8台の車がやってきた。明らかに旭組の殴り込みである。
刑士郎は、大石大悟に顔を向けた。大悟の顔に、さすがに心配そうな色が浮かんでいる。
「お別れだな、大悟、生きていたらまた会おう」
「ああ、死なないでくれよ、冬木さん」
大悟と握手をして刑士郎はマンションを出た。背中で軽機関銃が重い。
あらかじめ大悟が準備してあった中古オートバイで、旭組の事務所に向けて出発する。
道の半分ほど来たところで、遠くで轟音が聞こえた。
大悟が明治会の屋敷に迫撃砲を打ち込んだのだ。
続いて、2発、3発、4発……。
その前の旭組の殴り込みと、この砲撃で、はたして何人が生き残るだろうか。
旭組のビルの入り口には、見張り役のチンピラが二人立っていた。
遠方からそれを見てとった刑士郎は、オートバイをビルから離れたところで止め、歩いて近づいて行った。
ビルの角で曲がって、銃にサイレンサーを着ける。都合よく、チンピラの一人が、ビルの角で曲がった刑士郎の行動に不審を抱いて、近づいてきた。その胸に、籠ったような音をたてて銃弾がめり込む。その死骸の傍を通って、旭組の入り口前に刑士郎は進んで行った。銃はコートの下に隠れている。
「おい、お前……」
誰何の声がしたかどうかの間に、刑士郎の放った銃弾が相手の体のど真ん中を射抜く。
コートを脱ぎ捨て、銃はホルスターに戻して、軽機関銃を背中から抜き出して構えながらビルの中に入る。
雑居ビル風の見かけとは異なり、入ったすぐそこが広い事務所になっている。そこに、留守番役の組員が数人いた。
「何だ? お前……」
と言いかけた男が、刑士郎の構えている機関銃に気づいて絶句した。
刑士郎は引き金を引いた。
立ち上がりかかっていた男たちの数人に弾が当たってのけぞる。
数人が、ソファの陰に身を隠してピストルを撃ってきた。
だが、機関銃の猛烈な弾数に圧倒されている。ソファを射抜いて当たる弾もある。
一階にいた数人はわずか1分ほどの間でほぼ全滅した。
だが、その瞬間、刑士郎は車に跳ね飛ばされたような衝撃を受けた。
町の名は (4)-3 2016/07/15 (Fri)
二階から階段で下りてきていた者が彼を背後から撃ったのである。
一瞬気が遠くなりかかったが、弾は防弾チョッキで防がれている。
振り返って、機関銃を浴びせかける。その男は蜂の巣になって倒れた。
注意深い足取りで、二階に上る。
二階は、廊下で二部屋に分かれている。
手前の部屋のドアを開けると同時に、中から銃弾がドアに向かって降り注ぐ。
そちらは放っておいて、奥の部屋のドアを開けると、そこには一人、初老の男が椅子にかけているだけである。
「何だ、お前は」
(さっきから同じセリフばかりだなあ)と思いながら、刑士郎は構えていたCZ75の引き金を引いた。機関銃よりは、近距離での正確性はこちらが上だ。ヤクザなどと問答するのは無意味である。相手は人間からただの肉塊になった。
部屋から出ようとしたのと、先ほどの部屋から中にいた男が顔を出したのと同時であった。
奥の部屋の様子を見に行こうと出てきたのだろう。
相手が撃つのと刑士郎が撃つのと、ほぼ同時だった。相手の弾は外れ、刑士郎の弾は相手のど真ん中を射た。
列車の窓から見える景色が後ろに流れていく。
イヤホーンを通して聞こえてくるのは、男の好きな曲だ。オスカー・ピーターソンの「you look good to me」。目を閉じていれば、生きるのもたやすい。過去に目を閉じていれば。
男はコート下の背広のポケットから取り出したラッキー・ストライクの箱から1本を抜きだしかけて、少し思案した。箱に戻す。
(吸い過ぎだな。少し健康に気をつけよう)
列車の車輪の音が単調なリズムを作り、男を眠りに誘う。男の傍に置かれた新聞には「北**市の暴力団抗争で旭組明治会とも壊滅。死者128人、重傷24人。両組の組長死亡」と書いている。男はやがて安らかな眠りに落ちる。
1998年1月3日作 2016年7月15日第二稿(笑)
(4)
12月25日の朝、刑士郎は早めにチェックアウトしてホテルを出た。
彼が、アジトとしているマンションに着いたのは12時少し過ぎだった。
「おう、大丈夫だったか。旭組に襲われたそうじゃないか。心配してたよ」
大石大悟は本気で心配している顔で彼を迎えた。
「準備はすべていいか」
「ああ、総会が始まったら、ここから迫撃砲のタマをあの屋敷にぶちこむ」
「いや、始まったら、ではダメだ。始まって、少し待て」
「なぜだ?」
「面白いことになるはずだからだ」
「と言うと?」
「旭組が、あの屋敷に殴りこんでくると思う」
「なぜ、それが分かる」
「俺がそう仕組んだからだ。昨日、旭組の親分の高校生の息子を誘拐して、今朝旭組に手紙を放り込んできた。明治会が、自分たちが誘拐をしたから、悔しかったら奪い返しに来い、と挑戦状を叩きつけた、という体裁の手紙だ」
「息子はどこにいる」
「女子高生強姦事件の犯人だ、という名目で井上巡査が留置所に入れている。実際、そうかもしれんがね。だが、まあ、逮捕した時は、私も井上巡査も私服だったから、目撃者には逮捕ではなく誘拐に見えていたはずだ。今頃、旭組の中は右往左往、議論百出だろうが、殴り込み賛成派が反対派を抑えると思うよ。他人に舐められたらヤクザは終わりだからな」
「だが、相手がてぐすねひいて待ち構えているところに殴りこむかねえ」
「あんたのような元自衛官と、ヤクザの思考形態は違うさ。連中は戦略よりも面子で行動する」
「では、我々は具体的にはどういうスケジュールでどう動く」
「何も起こらなければ、1時半、いや、2時までは待とう。実は、井上巡査に頼んで、12時に旭組ビルに銃弾を2発撃ちこんでもらうことになっている。つまり、今頃旭組は大騒ぎのはずだ。それでも連中が動かなければ、明治会だけ先に攻撃するしかない」
「関ヶ原の、小早川秀秋への家康の督戦砲撃か」
「何だ、そりゃあ」
「ドンパチが始まるまでの待ち時間の間に教えるよ。日本史の豆知識だ。まあ、俗説かもしれんがね。で、殴り込みがあったら、その後の手順は」
「旭組のほぼ全員が敷地内に入ったら、10分くらい待って、あんたはここから砲撃してくれ。10発全部打ち終わったら、あんたは即座にここを撤去だ。旭組の殴り込みがあったなら、旭組ビルへの砲撃は不要になったということだから、その傍のT**マンションのアジトも撤去だ。あんたは、両方から回収した武器をトラックに積んで、この県から逃亡してくれ」
「了解した。後は、あんたがカタをつけるということだな?」
「そういうことだ。いろいろと有難う。気をつけて行けよ」
「心配ご無用。またどこかで会おう。こんな仕事ならいつでも手伝うぞ」
町の名は (4)-2 2016/07/15 (Fri)
刑士郎は防弾チョッキを着て、脇の下にチェコ製CZ75(弾数が15発ある軍用拳銃で、大石が調達したものだ。)を専用ホルスターで吊るし、背中には軽機関銃を背負ってその上からコートを着た。頭には鉄板で内貼りされたヘルメットをかぶる。ぱっと見はただのオートバイ用のヘルメットだが、軍用ヘルメットに等しい防御力がある。
ベランダの鉄柵越しに双眼鏡で見ると、明治会前の道路には黒い車が何台か停まっている。門の前には黒服の男たちが並んで、来客に頭を下げたりしている。
1時、見張り2名を門の外に置いて、明治会の鉄の扉が閉まった。
5分後、遠くから列をなして7,8台の車がやってきた。明らかに旭組の殴り込みである。
刑士郎は、大石大悟に顔を向けた。大悟の顔に、さすがに心配そうな色が浮かんでいる。
「お別れだな、大悟、生きていたらまた会おう」
「ああ、死なないでくれよ、冬木さん」
大悟と握手をして刑士郎はマンションを出た。背中で軽機関銃が重い。
あらかじめ大悟が準備してあった中古オートバイで、旭組の事務所に向けて出発する。
道の半分ほど来たところで、遠くで轟音が聞こえた。
大悟が明治会の屋敷に迫撃砲を打ち込んだのだ。
続いて、2発、3発、4発……。
その前の旭組の殴り込みと、この砲撃で、はたして何人が生き残るだろうか。
旭組のビルの入り口には、見張り役のチンピラが二人立っていた。
遠方からそれを見てとった刑士郎は、オートバイをビルから離れたところで止め、歩いて近づいて行った。
ビルの角で曲がって、銃にサイレンサーを着ける。都合よく、チンピラの一人が、ビルの角で曲がった刑士郎の行動に不審を抱いて、近づいてきた。その胸に、籠ったような音をたてて銃弾がめり込む。その死骸の傍を通って、旭組の入り口前に刑士郎は進んで行った。銃はコートの下に隠れている。
「おい、お前……」
誰何の声がしたかどうかの間に、刑士郎の放った銃弾が相手の体のど真ん中を射抜く。
コートを脱ぎ捨て、銃はホルスターに戻して、軽機関銃を背中から抜き出して構えながらビルの中に入る。
雑居ビル風の見かけとは異なり、入ったすぐそこが広い事務所になっている。そこに、留守番役の組員が数人いた。
「何だ? お前……」
と言いかけた男が、刑士郎の構えている機関銃に気づいて絶句した。
刑士郎は引き金を引いた。
立ち上がりかかっていた男たちの数人に弾が当たってのけぞる。
数人が、ソファの陰に身を隠してピストルを撃ってきた。
だが、機関銃の猛烈な弾数に圧倒されている。ソファを射抜いて当たる弾もある。
一階にいた数人はわずか1分ほどの間でほぼ全滅した。
だが、その瞬間、刑士郎は車に跳ね飛ばされたような衝撃を受けた。
町の名は (4)-3 2016/07/15 (Fri)
二階から階段で下りてきていた者が彼を背後から撃ったのである。
一瞬気が遠くなりかかったが、弾は防弾チョッキで防がれている。
振り返って、機関銃を浴びせかける。その男は蜂の巣になって倒れた。
注意深い足取りで、二階に上る。
二階は、廊下で二部屋に分かれている。
手前の部屋のドアを開けると同時に、中から銃弾がドアに向かって降り注ぐ。
そちらは放っておいて、奥の部屋のドアを開けると、そこには一人、初老の男が椅子にかけているだけである。
「何だ、お前は」
(さっきから同じセリフばかりだなあ)と思いながら、刑士郎は構えていたCZ75の引き金を引いた。機関銃よりは、近距離での正確性はこちらが上だ。ヤクザなどと問答するのは無意味である。相手は人間からただの肉塊になった。
部屋から出ようとしたのと、先ほどの部屋から中にいた男が顔を出したのと同時であった。
奥の部屋の様子を見に行こうと出てきたのだろう。
相手が撃つのと刑士郎が撃つのと、ほぼ同時だった。相手の弾は外れ、刑士郎の弾は相手のど真ん中を射た。
列車の窓から見える景色が後ろに流れていく。
イヤホーンを通して聞こえてくるのは、男の好きな曲だ。オスカー・ピーターソンの「you look good to me」。目を閉じていれば、生きるのもたやすい。過去に目を閉じていれば。
男はコート下の背広のポケットから取り出したラッキー・ストライクの箱から1本を抜きだしかけて、少し思案した。箱に戻す。
(吸い過ぎだな。少し健康に気をつけよう)
列車の車輪の音が単調なリズムを作り、男を眠りに誘う。男の傍に置かれた新聞には「北**市の暴力団抗争で旭組明治会とも壊滅。死者128人、重傷24人。両組の組長死亡」と書いている。男はやがて安らかな眠りに落ちる。
1998年1月3日作 2016年7月15日第二稿(笑)
町の名は (3)-1 2016/07/14 (Thu)
(3)
刑士郎はカウンターで飲みながら、奥のボックス席にいる連中に時々ちらりと目を走らせていた。そこにいるのは旭組の中堅幹部二人と、店の女二人である。その手前の席に、幹部の使い走りらしいチンピラが、男二人だけ、手酌でビールを飲んでいる。
カウンターの中にいた女が前に来たので刑士郎は女に注意を向けた。わりときれいな女だ。刑士郎の手から氷だけになったグラスを取って、水割りを作る。
「お客さん、お酒強いのね」
「強いよ。あっちも強いよ。試してみるかい」
「いやあねえ、ホホ。ねえ、仕事、何してるの? ここの人じゃないよね」
「公務員」
「公務員、いいわねえ。不況知らずの仕事だもんねえ」
「まあね。親方日の丸って奴だ。でも、何をしているかは秘密だよ。国家機密」
「またまたあ。いつまでここにいるの?」
「ひと月くらいかな。ちょっとした調査でね。その間、女がいないから、もう大変。毎晩、ホテルのエロビデオ見てオナニーして寝てるの。可哀そうだろ。今晩どう?」
「また今度ね。お代わり作ろうか」
「水道水のウィスキー割か」
「いやあねえ。うちはちゃんとミネラル使ってるわよ」
「サントリー製のシーバスリーガルってのはなかなか美味いもんだな」
「馬鹿言わないでよ。本物のシーバスよ」
「そうか、飲み過ぎてこっちの舌がおかしくなっているんだ。そろそろお勘定にしようかな」
「あら、まだ宵の口じゃない」
「駄目だ。酔っぱらってあんたが美人に見えてきた。帰って寝たほうが良さそうだ」
その時、入り口のドアが開いて客が二人入ってきた。まだ二十代前にも見える若い客だ。
刑士郎から少し離れたカウンター席のストゥールに二人は腰を下ろした。
「ビール二本ね」
「はい、ビール、ツー」
注文を受けて女がバーテンに声をかける。
奥の席の女が二人、腰を上げた。
刑士郎は胃の中がむかつくような不快感に襲われていた。酒によるものではない。
「ちょっとトイレ。飲み過ぎた」
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫、おしっこするだけ」
刑士郎が立ち上がったとき、先ほど入ってきた二人の男がちょっと刑士郎の顔を見た。その目の奥の光は刑士郎には馴染みのものだった。
刑士郎がトイレに立って数十秒後、店内に銃声が鳴り響くのがトイレまで聞こえてきた。最初に4,5発。すこし間を置いて、7、8発。後の銃声は、明らかに、留めを刺したのだ。
刑士郎はトイレの窓から出られるか考え、あきらめて店内に戻った。
奥の席にいた旭組の四人はすべて射殺されていた。
カウンターでは女がバーテンに抱きついて震え、カウンターの端では女二人(おそらく、殺した側からあらかじめ言い含められていて、寸前に難を逃れたのだろう)が立ちすくんでいる。後から来た客たちの姿は無い。
警察で刑士郎は取り調べを受けたが、池島の手配で、すぐに釈放された。店の女とバーテンも刑士郎は事件と無関係だと証言していたせいもある。
刑士郎が最初の仕事をしたのは、それから三日後である。
夜、9時頃、街の盛り場を歩いている時、すぐ傍のビルから明治会の幹部の一人が、ボディガードらしい男二人と一緒に出てきたのである。刑士郎はすぐ周りに目を走らせた。他に明治会の組員や旭組の組員らしい者はいない。
刑士郎は三人の横を通り過ぎた後、コートの中からワルサーを引き抜きながら安全装置を外し、3秒で3発撃ち、三人を倒した。致命傷かどうかは気にする必要はないが、10メートル程度の距離で射損じるわけがない。銃声を聞き、三人が転倒するのを見て、何かが起こったことに気付いた通行人の女が悲鳴を上げた。
即座にマフラーで顔の下半分を隠し、その場から逃走する。幸い、このあたりは、裏道に回ればどこへでも逃げることができる。歩道に落ちた薬莢などは、池島署長が何とか誤魔化してくれるだろう。
遠くで鳴る救急車やパトカーのサイレンを聞きながら、刑士郎は歩みをゆるめた。久しぶりの殺人に、体の奥が高ぶっている。
東城の言っていた応援の大石大悟が来たのは十二月の中旬であった。五分刈の坊主頭で、がっしりした体格の三十代後半の男である。身長は刑士郎と等しく、幅は刑士郎よりある。
二人は公園で落ち合った。
「一人ひとり殺していたんでは、埒があかんでしょう。大型火器を使いましょう」
「一人ひとり殺していると言うより、二つの組の不和の種を撒いてお互いを疑心暗鬼にさせているんだがな。まあいい。大型火器と言うと?」
「バズーカですよ。でなければ迫撃砲」
刑士郎には二つの違いは分からない。
「そんなもの、どこにある」
「私が手に入れます。ソ連解体で、闇の武器は全世界に流れています。中国が大量に入手したらしいですがね」
「どれくらいで手に入る」
「まあ、一週間あれば大丈夫でしょう」
「機関銃のほうが簡単じゃないか」
「私は大型火器専門でしてね。まあ、あなたのためにそれも手に入れましょう」
二人は攻撃拠点として、マンションを二室借りることにした。
一つは旭組の近く、もう一つは明治会の近くで、五階と六階の高層マンションの最上階だ。どちらもベランダからは、100メートルほど先の下の方に目標の建物や敷地が見える。
「どちらからやっつけましょうか」
「できれば同時がいいが、まあ、一番、人が集まっている時だったら、どちらでもいいな」
「それなら、明後日に明治会本部で総会があります」
と言ったのは、情報の報告に来ていた井上明史である。
三人が今いるのは借りたマンションの一方の部屋(明治会の傍のマンション)である。
小春日和の暖かな日差しが、レースのカーテン越しに部屋に射し込んでいる。家具は一つも無い部屋だが、カーテンだけは最初の日にセットしてある。もちろん、外部からの目隠しだ。
テーブルも何も無い部屋の床に敷いた新聞紙がテーブル代わりである。その上に、ビールとつまみが並んでいる。
「私は旭組に明治会の総会の件をリークしておきますから、うまく行けば、連中、総会の真っ最中に殴り込みに行きますよ。そうすれば一石二鳥です。まあ、私がリークしなくても、旭組もその情報は知っていると思いますがね」
「総会は何時からだ」
「午後一時からです」
「池島署長に言っておいてくれ。総会の間、何が起こっても、現場に踏み込まないように、と。その後なら、全員しょっぴいていいが」
三人はそれぞれ、別々にマンションを出た。
もうすぐだ、という思いと、小春日和の暖かな日差しと、昼間から飲んだビールが刑士郎の頭のネジを緩ませていたのは確かである。
住宅街ですれ違う人や子供たちの平和そうな姿が、彼を、自分もその世界の住人だと錯覚させたのかもしれない。
刑士郎がホテルの部屋の鍵を開けて中に入ると、中にいた何者かが彼の後頭部を鈍器で殴った。
気がつくと、床に倒れている彼の前には4人の男が立っていた。
「おめえ、何をたくらんでやがるんだ。こんなモノを持っているようじゃあ、堅気じゃあるめえ」
正面に立っている、五十がらみの、猪首で五分刈の巨漢が言った。白いスーツの下が黒いダボシャツというのがいかにも田舎ヤクザ風である。
(旭組若頭、金山義光。性格、凶暴そのもの。知能は不明)
男の顔の情報が刑士郎の頭に入力され、答えを出した。
金山の手にしているのは刑士郎のワルサーPPKである。気絶している間に探り取られたのだ。おそらく、(ロシア製ではなく)中国製の安物のトカレフくらいしか手にしたことのない田舎ヤクザにはヨダレの出る代物だろう。
「実は、私、明治会に恨みがあるんです。親父が明治会の大東不動産に騙されて破産した上に、妹も明治会のチンピラに回されて殺された仇を討とうとしているんです」
そういう人間が10年前にいたという事を井上から聞いていて、いざとなればその話を使おうと考えていたのである。
「本当の名前は竹田ではなく、島田です。調べてもらえば分かります。家は隣町のS**町でした」
「S**町なら俺は住んでいたことがあるぜ。でも、こんな奴は知らねえな」
下っ端組員らしい男が言った。刑士郎はギョッとして観念しそうになった。
「いつ頃だ」
金山がドスの利いた声を出す。
「三年前かなあ」
「馬鹿野郎! 大東不動産が島田工務店から3000万円を騙り取ったのは10年くらい前の話だ。俺もその話は当時聞いていた」
刑士郎は心の中でほっと溜息をついた。
「もしかして、明治会の池永を殺(や)ったのはてめえか」
池永とは、繁華街の路上で刑士郎が殺した3人のうちの一人だ。
「は、はい、あの男が、妹を回した一人で」
「そうか。まあ、素人にしちゃあよくやった。だが、これ以上手を出すんじゃねえ。話が面倒になる。まあ、怪我しねえうちにここから逃げるんだな。こいつは俺が貰っとく」
言いながら、金山はワルサーを背広の内ポケットに入れた。
「は、はい、有難うございます」
刑士郎はぺこぺこと頭を下げた。
武器の類いを例のマンションの一つに移しておいたのは刑士郎にとってこの上ない幸運であった。井上から貰ったあのジュラルミンのトランクには、拳銃二丁と銃弾が多数入っていたのである。それを見つけられていれば、どう言い逃れをすることも不可能だっただろう。
刑士郎、井上、大石の三人のアジトであるマンションには、そのほかに、大石がどこからか持って来た軽機関銃と迫撃砲がある。
刑士郎は、用心のために、自分はアジトに近づかないことにした。大石はアジトの一つに寝泊まりし、井上は二人の中継役となった。
明治会の総会までに、刑士郎にはまだやることがある。できれば、の話だが。
「小市民」は第一回しか見ていないので、記憶に自信がないが、背景描写だけ新海誠(やっと名前を思い出した)風で、無駄に美麗だった気がする。
だが、主人公のキャラ、その他人物キャラが最悪で、事件は無意味そのもの、謎解きも、ジグソーパズルみたいに、あらかじめ決まっていたものをはめ込んだだけ、というインチキ臭さが漂っていて、まあ、それは推理物すべての宿命だが、「謎でもないもの」に無理に謎を見出して、解決するというアホ臭さが耐えがたい。これは北村薫の「日常の謎」には感じないもので、つまりは書き方(筆力)の問題だろう。北村薫が最近、「日常の謎」にうんざりしているというのは、この亜流連中のためだと思う。
下のコメントにある、「アニメ制作会社の実力の差」も、あるにはあるが、根本は、「アニメ向きでない作品をいかにアニメ化するか」を、作る側が理解しているかいないかだろう。文章でなら「読者の想像」で補える部分が、アニメだと完全に視覚化されるから、馬鹿馬鹿しさが際立つのである。
逆に、アニメ化は、小説ではイメージできない部分を明示化することで大きな効果を生むのも確かであり、「氷菓」の場合は、ヒロインをコミカルな美少女キャラにしたのが圧倒的な意味を持っていたと思う。私自身はえるたそは好きなキャラではない(実にウザいと思う)が、絶大な大衆人気を得たのはよく分かる。これは、原作とさほど改変されていない「データ君」やデータ君の彼女キャラが、アニメでも原作同様に不快な印象だったのと比較すると理解しやすいと思う。
(以下引用)
62: 名無しさん ID:otakumix
原作はどっちも陰気臭い作品
京アニの味付けが美味かっただけ
66: 名無しさん ID:otakumix
内容の似た作品にこれだけの差が生まれるとアニメ制作会社の実力がいかに重要かが分かるね
68: 名無しさん ID:otakumix
まあ氷菓もアイスクリームの時はくだらねーと思ったけどね
でもその後が面白かった
小市民は1話から今までずっとつまんねえ
69: 名無しさん ID:otakumix
ココア野郎がガサツなうえに感じ悪いのはなんなんだ
だが、主人公のキャラ、その他人物キャラが最悪で、事件は無意味そのもの、謎解きも、ジグソーパズルみたいに、あらかじめ決まっていたものをはめ込んだだけ、というインチキ臭さが漂っていて、まあ、それは推理物すべての宿命だが、「謎でもないもの」に無理に謎を見出して、解決するというアホ臭さが耐えがたい。これは北村薫の「日常の謎」には感じないもので、つまりは書き方(筆力)の問題だろう。北村薫が最近、「日常の謎」にうんざりしているというのは、この亜流連中のためだと思う。
下のコメントにある、「アニメ制作会社の実力の差」も、あるにはあるが、根本は、「アニメ向きでない作品をいかにアニメ化するか」を、作る側が理解しているかいないかだろう。文章でなら「読者の想像」で補える部分が、アニメだと完全に視覚化されるから、馬鹿馬鹿しさが際立つのである。
逆に、アニメ化は、小説ではイメージできない部分を明示化することで大きな効果を生むのも確かであり、「氷菓」の場合は、ヒロインをコミカルな美少女キャラにしたのが圧倒的な意味を持っていたと思う。私自身はえるたそは好きなキャラではない(実にウザいと思う)が、絶大な大衆人気を得たのはよく分かる。これは、原作とさほど改変されていない「データ君」やデータ君の彼女キャラが、アニメでも原作同様に不快な印象だったのと比較すると理解しやすいと思う。
(以下引用)
62: 名無しさん ID:otakumix
原作はどっちも陰気臭い作品
京アニの味付けが美味かっただけ
66: 名無しさん ID:otakumix
内容の似た作品にこれだけの差が生まれるとアニメ制作会社の実力がいかに重要かが分かるね
68: 名無しさん ID:otakumix
まあ氷菓もアイスクリームの時はくだらねーと思ったけどね
でもその後が面白かった
小市民は1話から今までずっとつまんねえ
69: 名無しさん ID:otakumix
ココア野郎がガサツなうえに感じ悪いのはなんなんだ
町の名は (2)-1 2016/07/13 (Wed)
(2)
目を覚ました時はまだ夜明け少し前だった。口の中が昨夜の煙草と酒で不快だ。トイレで糞をして体の中の残留アルコールを外に出した後、熱い湯を溜めた風呂に体を浸け、体に血が回るのを待つ。
すっかり生き返った気分になったところで一服目の煙草をつける。肺の中に浸み込む煙を味わいながら窓のカーテンを開けると朝日が部屋の中に差し込んだ。「朝日のように爽やかに」というジャズソングのフレーズが心に浮かぶ。
softly as is the morning sunrise
「朝日がそうであるように柔らかく」とでも訳すのだろうか。何が柔らかくなのだろう。
ホテルの食堂で貧弱な朝食を食べながら新聞を読む。全国紙ではなく地方紙を選ぶ。一面の政治記事よりも第三面(というのも古い言い方で、本当は裏から二面目だが。)の犯罪記事に先に目が行くのは習性だろう。市職員の汚職疑惑、公共工事に関する土建屋の談合、チンピラの強姦事件、高校生のオートバイ事故、どこの地方都市にもつきものの事件ばかりだ。
近くの公園までの散歩から帰ってきた刑士郎は、ホテルの入り口を入ったところで足を止めた。
カウンターで二人の男がフロントマンに何かを尋ねている。明らかにヤクザ者だ。フロントの男が二人にキーを渡したのを見て刑士郎は、まずいな、と考えた。そのキーはおそらく彼の部屋のものだろう。
二人の男が二階に上がっていった後、ホールの椅子にさりげなく腰を下ろしていた刑士郎は立ち上がってカウンターに近づいて行った。
「203号室の鍵を貰えるかな」
「あ、今ちょっと清掃中なんで、少しその辺で待っててもらえますか」
「こんな朝早くに清掃かい。もしかして、その掃除のオバさんはさっきの二人かな」
刑士郎はこわばった顔のカウンター係に笑顔を見せて大股に階段へ向かった。
階段を上って203号室の前に来てノブを静かに回してみると、部屋のドアの錠は閉まっていないようだ。自動で錠のかかるドアではないのが幸いした。
そっと覗き込むと、二人の男は刑士郎のトランクをこじ開けようとしているところだった。
「泥棒っ、泥棒だーっ」
刑士郎は大声を上げた。
二人は慌ててトランクを放り出し、戸口にいる刑士郎を突き飛ばすようにして部屋を飛び出した。そのまま階段の方へ逃げ去って行く。
刑士郎はニヤニヤしながら部屋に入って行った。
トランクは幸い、まだ開けられてはいなかったが、いずれにしてもこのトランクの中には見られてヤバイものは入っていない。まあ、金がけっこう入っているのがヤバイと言えばヤバイのだが、本当に見られてヤバイものと言えば、刑士郎の背広の下のホルスターに吊った拳銃、ワルサーPPKと、背広の内ポケットの中の大型ナイフくらいのものである。刑士郎にとってはヤクザよりも警察官の不審尋問がよっぽど怖い。
それにしても、あの二人はどういう素性のヤクザなのか。ホテルのフロントマンと顔見知りのようだから、地元のヤクザだと思うが、地元のヤクザが何を嗅ぎまわっているのか。まさか、一心会の手がここまで回っているとはとても思えないのだが。
(2)
目を覚ました時はまだ夜明け少し前だった。口の中が昨夜の煙草と酒で不快だ。トイレで糞をして体の中の残留アルコールを外に出した後、熱い湯を溜めた風呂に体を浸け、体に血が回るのを待つ。
すっかり生き返った気分になったところで一服目の煙草をつける。肺の中に浸み込む煙を味わいながら窓のカーテンを開けると朝日が部屋の中に差し込んだ。「朝日のように爽やかに」というジャズソングのフレーズが心に浮かぶ。
softly as is the morning sunrise
「朝日がそうであるように柔らかく」とでも訳すのだろうか。何が柔らかくなのだろう。
ホテルの食堂で貧弱な朝食を食べながら新聞を読む。全国紙ではなく地方紙を選ぶ。一面の政治記事よりも第三面(というのも古い言い方で、本当は裏から二面目だが。)の犯罪記事に先に目が行くのは習性だろう。市職員の汚職疑惑、公共工事に関する土建屋の談合、チンピラの強姦事件、高校生のオートバイ事故、どこの地方都市にもつきものの事件ばかりだ。
近くの公園までの散歩から帰ってきた刑士郎は、ホテルの入り口を入ったところで足を止めた。
カウンターで二人の男がフロントマンに何かを尋ねている。明らかにヤクザ者だ。フロントの男が二人にキーを渡したのを見て刑士郎は、まずいな、と考えた。そのキーはおそらく彼の部屋のものだろう。
二人の男が二階に上がっていった後、ホールの椅子にさりげなく腰を下ろしていた刑士郎は立ち上がってカウンターに近づいて行った。
「203号室の鍵を貰えるかな」
「あ、今ちょっと清掃中なんで、少しその辺で待っててもらえますか」
「こんな朝早くに清掃かい。もしかして、その掃除のオバさんはさっきの二人かな」
刑士郎はこわばった顔のカウンター係に笑顔を見せて大股に階段へ向かった。
階段を上って203号室の前に来てノブを静かに回してみると、部屋のドアの錠は閉まっていないようだ。自動で錠のかかるドアではないのが幸いした。
そっと覗き込むと、二人の男は刑士郎のトランクをこじ開けようとしているところだった。
「泥棒っ、泥棒だーっ」
刑士郎は大声を上げた。
二人は慌ててトランクを放り出し、戸口にいる刑士郎を突き飛ばすようにして部屋を飛び出した。そのまま階段の方へ逃げ去って行く。
刑士郎はニヤニヤしながら部屋に入って行った。
トランクは幸い、まだ開けられてはいなかったが、いずれにしてもこのトランクの中には見られてヤバイものは入っていない。まあ、金がけっこう入っているのがヤバイと言えばヤバイのだが、本当に見られてヤバイものと言えば、刑士郎の背広の下のホルスターに吊った拳銃、ワルサーPPKと、背広の内ポケットの中の大型ナイフくらいのものである。刑士郎にとってはヤクザよりも警察官の不審尋問がよっぽど怖い。
それにしても、あの二人はどういう素性のヤクザなのか。ホテルのフロントマンと顔見知りのようだから、地元のヤクザだと思うが、地元のヤクザが何を嗅ぎまわっているのか。まさか、一心会の手がここまで回っているとはとても思えないのだが。
刑士郎は東城長官の私設オフィスに電話をした。用心のためにホテルから離れたところの電話ボックスの電話を使う。
「北**市の旭組はたしかに一心会の傘下の組だが、あんたの足がついたという話は無いな。別件だろう。旭組は今、叶組傘下の明治会と抗争中だから、その応援の者とでも間違われたのではないかな。警官とヤクザは兄弟みたいに似ているからな、ハハハ。そうだ、ついでと言っては何だが、あんたに仕事を頼もう。旭組と明治会が今、潰し合っているところだから、うまくその中に入って、双方の被害をできるだけ大きくしてくれないか。理想は、双方全員死亡だが、まあ、できるかぎりでいい。あんたの好きそうな仕事だから、楽しいだろう。支払いは、組員一人につき10万円、若頭クラスなら50万円でどうだ」
「それぞれの組の構成員の人数は」
「旭組が80人くらい、明治会が60人くらいかな。使い走りの高校生やチンピラなどは除いてだ」
「一人で140人を相手ですか。命が幾つあっても足りませんな」
「バックアップはする。北**署の池島署長は私の息のかかった人間だ。旭組と明治会には長年手を焼いている。そいつらを一掃するのは彼の悲願だ。北**市の大掃除のためならたいていのことには目をつぶるし、武器も融通してくれるだろう」
「あのねえ、黒澤の映画じゃないんだから、一人の人間がヤクザ組織をぶっ潰せるわけがないでしょう」
「そうでもないさ。現代の戦争に人数は関係ない。原爆一つで100万人が殺せるんだからな。相手が兵士でも同じさ。連中が争い合っているのがこっちにとってはもっけの幸いだ。相手以外のものに注意を向ける余裕が無いからな。それから、役に立つ人間を一人見つけた。そのうち応援に行かせる。二人でなら、仕事もしやすいだろう。名前は大石大悟。若いが使える男だ。ではな」
「ちょっと、ちょっと、こっちはまだ引き受けるとは言ってませんよ」
しかし、電話は既に切れていた。
刑士郎は北**市の市街地図を眺めながら部屋で酒を飲んでいた。ホテルは元のままだ。他のホテルに移っても同じことである。一度調べて懲りただろうから、かえって妙な連中は来なくなるかもしれない。
カウンター係は刑士郎と顔を合わせるときまり悪そうにするが、刑士郎からは、あれから特に何も言っていない。
旭組と明治会の本部所在地は昼の間に調べてある。北**市を流れるS河をはさんで2キロほど間が離れている。北**駅近くにあるのが旭組で、中心街から離れた閑静な住宅街にあるのが明治会だ。いつからそこにいるのかは知らないが、さぞ、その住宅街の地価は下落しただろう。
旭組の本部は、表向きは普通の雑居ビルだが、入り口周辺にはいつも目つきの悪い男たちが数人いる。侵入は難しそうだ。
明治会のほうは、まるで要塞である。コンクリート打ちっ放しの二階建ての無愛想な住宅ビルに、鉄格子のはまった窓が四方にある。その建物を囲んで2メートル少しの高さのコンクリート塀があり、ご丁寧にその上には鉄条網がある。まさか、電気まで流してはいないだろうが、刑務所並みのものものしさだ。門は鉄の扉で閉ざされている。
刑務所に送られる前から自分で自分を刑務所に閉じ込めていやがる、と考えて刑士郎はニヤリとした。
だが、思わずため息も出る。
「こりゃあ、戦車かミサイルでも無いと無理だな」
刑士郎は呟いた。
「北**市の旭組はたしかに一心会の傘下の組だが、あんたの足がついたという話は無いな。別件だろう。旭組は今、叶組傘下の明治会と抗争中だから、その応援の者とでも間違われたのではないかな。警官とヤクザは兄弟みたいに似ているからな、ハハハ。そうだ、ついでと言っては何だが、あんたに仕事を頼もう。旭組と明治会が今、潰し合っているところだから、うまくその中に入って、双方の被害をできるだけ大きくしてくれないか。理想は、双方全員死亡だが、まあ、できるかぎりでいい。あんたの好きそうな仕事だから、楽しいだろう。支払いは、組員一人につき10万円、若頭クラスなら50万円でどうだ」
「それぞれの組の構成員の人数は」
「旭組が80人くらい、明治会が60人くらいかな。使い走りの高校生やチンピラなどは除いてだ」
「一人で140人を相手ですか。命が幾つあっても足りませんな」
「バックアップはする。北**署の池島署長は私の息のかかった人間だ。旭組と明治会には長年手を焼いている。そいつらを一掃するのは彼の悲願だ。北**市の大掃除のためならたいていのことには目をつぶるし、武器も融通してくれるだろう」
「あのねえ、黒澤の映画じゃないんだから、一人の人間がヤクザ組織をぶっ潰せるわけがないでしょう」
「そうでもないさ。現代の戦争に人数は関係ない。原爆一つで100万人が殺せるんだからな。相手が兵士でも同じさ。連中が争い合っているのがこっちにとってはもっけの幸いだ。相手以外のものに注意を向ける余裕が無いからな。それから、役に立つ人間を一人見つけた。そのうち応援に行かせる。二人でなら、仕事もしやすいだろう。名前は大石大悟。若いが使える男だ。ではな」
「ちょっと、ちょっと、こっちはまだ引き受けるとは言ってませんよ」
しかし、電話は既に切れていた。
刑士郎は北**市の市街地図を眺めながら部屋で酒を飲んでいた。ホテルは元のままだ。他のホテルに移っても同じことである。一度調べて懲りただろうから、かえって妙な連中は来なくなるかもしれない。
カウンター係は刑士郎と顔を合わせるときまり悪そうにするが、刑士郎からは、あれから特に何も言っていない。
旭組と明治会の本部所在地は昼の間に調べてある。北**市を流れるS河をはさんで2キロほど間が離れている。北**駅近くにあるのが旭組で、中心街から離れた閑静な住宅街にあるのが明治会だ。いつからそこにいるのかは知らないが、さぞ、その住宅街の地価は下落しただろう。
旭組の本部は、表向きは普通の雑居ビルだが、入り口周辺にはいつも目つきの悪い男たちが数人いる。侵入は難しそうだ。
明治会のほうは、まるで要塞である。コンクリート打ちっ放しの二階建ての無愛想な住宅ビルに、鉄格子のはまった窓が四方にある。その建物を囲んで2メートル少しの高さのコンクリート塀があり、ご丁寧にその上には鉄条網がある。まさか、電気まで流してはいないだろうが、刑務所並みのものものしさだ。門は鉄の扉で閉ざされている。
刑務所に送られる前から自分で自分を刑務所に閉じ込めていやがる、と考えて刑士郎はニヤリとした。
だが、思わずため息も出る。
「こりゃあ、戦車かミサイルでも無いと無理だな」
刑士郎は呟いた。
電話の音で刑士郎は目を覚ました。いつの間にかソファでうたた寝をしていたのである。
「はい、竹田です」
自分の偽名を思い出しながら電話に出る。
「井上さんという方からお電話です」
フロントの声の後、電話がつながる。
「竹田さんですか。私、池島のところの者ですが、今、お会いできるでしょうか。……はい、ロビーにいます」
池島とは誰だったか、急には思い出せなかったが、それが北**署の署長の名であることを思い出し、すぐに下りて行く、と返事をした。
ロビーのソファにかけていた井上という男は、三十前後のハンサムな男だった。私服を着ていて、ぱっと見には警察官らしい雰囲気は少ないが、目つきや姿勢にやはりそれらしいところはある。
「井上です。池島さんからこれを預かってきました。それから、何かあったら竹田さんに便宜を図るようにと言われています」
そう言いながら彼が手渡したのはジュラルミン製の中型トランクである。持つとずっしりと重い。
武器だな、と刑士郎は察した。
「井上さんへの連絡は?」
「はい、こちらへお願いします」
井上は名刺を渡した。内線電話番号と、「北**署交通課 井上明史」とある。
「交通課ねえ。駐車違反をしたときはお願いします」
井上は顔を赧らめた。
「交通課勤務は私の本意ではないのですが、署長がどうしても捜査二課への配属を許さないのです」
「井上さんはご結婚は?」
「まだです」
「母一人子一人でしょう」
井上はびっくりした顔をした。
「は、その通りです。どうして分かりましたか」
「もしかしたら、あんたのお母さんと署長さんとは昔の同級生か何かでは?」
「その通りです。どうしてそんなことが分かるんですか」
「勘ですよ。母一人子一人の人間を組織暴力団相手の部署にやりたくないということです。察するに、あんたのお母さんは、今はどうかしらないが、昔はかなり美人だったに違いない。あんたを見れば、それは一目瞭然だ。池島署長の憧れの人だったんじゃないかな」
「そうだったのか。ちっとも知らなかった。あの池島署長が……」
「あくまで推測ですよ。それより、私がこれから何をするのか聞いていますか」
「この町のヤクザどもの抗争と何か関係があると聞いてますが」
井上は声を潜めて言った。
「そう。旭組と明治会と、二つともぶっ潰すんです」
井上はギョッと驚いた。
「で、池島署長や井上さんにして貰いたいことは、私に何かあった時に、私を法的に守ってくれることです。特に、警察官に邪魔をして貰いたくない。ヤクザに捕まるのは仕方がないが、警察に捕まるのは御免だ」
「それは……たぶん大丈夫です」
「どうだか。私はこれまで警察が一般市民ではなくヤクザを守る場面もずい分見てきましたからね。ここではそんな目に遭いたくない。もっとも、私も一般市民とは言えないが」
「全力で竹田さんを守ります。ご安心ください」
刑士郎はそれから井上を部屋に招いて、二時間ほど彼からこの町の状況を聞いた。それぞれの組の幹部の名、組員のたむろする場所、行きつけの酒場や麻雀屋、覚醒剤取引によく使われる場所、幹部の家、それぞれの情婦の名や勤め場所。
ジュラルミンのカバンとは別に彼が持っていた書類鞄には、顔写真の貼られた組員リストがあった。
それから一週間、刑士郎は飲み屋を歩き回り、時々出遭う組員の名と顔を一致させることに努めた。もともと人物の特徴を即座に覚えることは警察官の必須技能の一つである。一週間のうちに、両組織の構成員のおよそ八割くらいは認識できるようになった。ただ、最高幹部とは、滅多に顔を合わせることは無かった。
「はい、竹田です」
自分の偽名を思い出しながら電話に出る。
「井上さんという方からお電話です」
フロントの声の後、電話がつながる。
「竹田さんですか。私、池島のところの者ですが、今、お会いできるでしょうか。……はい、ロビーにいます」
池島とは誰だったか、急には思い出せなかったが、それが北**署の署長の名であることを思い出し、すぐに下りて行く、と返事をした。
ロビーのソファにかけていた井上という男は、三十前後のハンサムな男だった。私服を着ていて、ぱっと見には警察官らしい雰囲気は少ないが、目つきや姿勢にやはりそれらしいところはある。
「井上です。池島さんからこれを預かってきました。それから、何かあったら竹田さんに便宜を図るようにと言われています」
そう言いながら彼が手渡したのはジュラルミン製の中型トランクである。持つとずっしりと重い。
武器だな、と刑士郎は察した。
「井上さんへの連絡は?」
「はい、こちらへお願いします」
井上は名刺を渡した。内線電話番号と、「北**署交通課 井上明史」とある。
「交通課ねえ。駐車違反をしたときはお願いします」
井上は顔を赧らめた。
「交通課勤務は私の本意ではないのですが、署長がどうしても捜査二課への配属を許さないのです」
「井上さんはご結婚は?」
「まだです」
「母一人子一人でしょう」
井上はびっくりした顔をした。
「は、その通りです。どうして分かりましたか」
「もしかしたら、あんたのお母さんと署長さんとは昔の同級生か何かでは?」
「その通りです。どうしてそんなことが分かるんですか」
「勘ですよ。母一人子一人の人間を組織暴力団相手の部署にやりたくないということです。察するに、あんたのお母さんは、今はどうかしらないが、昔はかなり美人だったに違いない。あんたを見れば、それは一目瞭然だ。池島署長の憧れの人だったんじゃないかな」
「そうだったのか。ちっとも知らなかった。あの池島署長が……」
「あくまで推測ですよ。それより、私がこれから何をするのか聞いていますか」
「この町のヤクザどもの抗争と何か関係があると聞いてますが」
井上は声を潜めて言った。
「そう。旭組と明治会と、二つともぶっ潰すんです」
井上はギョッと驚いた。
「で、池島署長や井上さんにして貰いたいことは、私に何かあった時に、私を法的に守ってくれることです。特に、警察官に邪魔をして貰いたくない。ヤクザに捕まるのは仕方がないが、警察に捕まるのは御免だ」
「それは……たぶん大丈夫です」
「どうだか。私はこれまで警察が一般市民ではなくヤクザを守る場面もずい分見てきましたからね。ここではそんな目に遭いたくない。もっとも、私も一般市民とは言えないが」
「全力で竹田さんを守ります。ご安心ください」
刑士郎はそれから井上を部屋に招いて、二時間ほど彼からこの町の状況を聞いた。それぞれの組の幹部の名、組員のたむろする場所、行きつけの酒場や麻雀屋、覚醒剤取引によく使われる場所、幹部の家、それぞれの情婦の名や勤め場所。
ジュラルミンのカバンとは別に彼が持っていた書類鞄には、顔写真の貼られた組員リストがあった。
それから一週間、刑士郎は飲み屋を歩き回り、時々出遭う組員の名と顔を一致させることに努めた。もともと人物の特徴を即座に覚えることは警察官の必須技能の一つである。一週間のうちに、両組織の構成員のおよそ八割くらいは認識できるようになった。ただ、最高幹部とは、滅多に顔を合わせることは無かった。
「体臭アナ」という呼び名が面白いので転載したww
これから一生、彼女は「あっ、体臭アナね」と呼ばれるだろう。気の毒だが、自業自得でもある。
人を呪わば穴ふたつ。アナだけに。
(以下引用)
【速報】体臭アナの川口ゆりさん、ネットに書かれた全ての誹謗中傷に法的措置を完了www
2024.09.05 |カテゴリ:ニュース | コメント (256)
1: 名無しのアニゲーさん 2024/09/04(水) 22:36:12.530 ID:g8gEwbERw
no title
男性の体臭投稿で炎上した川口ゆり氏が「何百」件もの誹謗中傷に「法的に全て処理」と説明
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1b83702523a45a6f9628e93bde7c810dc967549
男性の体臭に関する投稿で炎上し、芸能事務所から契約解除された元フリーアナウンサーの川口ゆり氏が4日、インスタグラムのストーリーズで、殺到した誹謗中傷に法的に対応したと明かした。
川口氏はストーリーズで「8月は毎日 何百という誹謗中傷や記者さんが生活圏に張り込みに来たりメディアマスコミの止まらない出演オファー 少し都内を歩いてるとすぐ知らない方からDM来たり 外に出ることはほぼ無理 食事もままならずで 恐怖でしかありませんでした」と告白。「温かいコメントは全て目を通しそうでないものは法的に全て処理をしています」とした。
すでに法的に対応しているとしたことから、弁護士に相談の上、誹謗中傷のDMを証拠保全した可能性がある。
川口氏は8月8日、X(旧ツイッター)に夏の男性の体臭が苦手などと投稿。所属事務所はこれを問題視し、契約違反があったなどとして川口との契約を解消(10日付)したと11日、発表した。SNS上では、この対応は過剰ではなどと物議をかもした。
これから一生、彼女は「あっ、体臭アナね」と呼ばれるだろう。気の毒だが、自業自得でもある。
人を呪わば穴ふたつ。アナだけに。
(以下引用)
【速報】体臭アナの川口ゆりさん、ネットに書かれた全ての誹謗中傷に法的措置を完了www
2024.09.05 |カテゴリ:ニュース | コメント (256)
1: 名無しのアニゲーさん 2024/09/04(水) 22:36:12.530 ID:g8gEwbERw
no title
男性の体臭投稿で炎上した川口ゆり氏が「何百」件もの誹謗中傷に「法的に全て処理」と説明
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1b83702523a45a6f9628e93bde7c810dc967549
男性の体臭に関する投稿で炎上し、芸能事務所から契約解除された元フリーアナウンサーの川口ゆり氏が4日、インスタグラムのストーリーズで、殺到した誹謗中傷に法的に対応したと明かした。
川口氏はストーリーズで「8月は毎日 何百という誹謗中傷や記者さんが生活圏に張り込みに来たりメディアマスコミの止まらない出演オファー 少し都内を歩いてるとすぐ知らない方からDM来たり 外に出ることはほぼ無理 食事もままならずで 恐怖でしかありませんでした」と告白。「温かいコメントは全て目を通しそうでないものは法的に全て処理をしています」とした。
すでに法的に対応しているとしたことから、弁護士に相談の上、誹謗中傷のDMを証拠保全した可能性がある。
川口氏は8月8日、X(旧ツイッター)に夏の男性の体臭が苦手などと投稿。所属事務所はこれを問題視し、契約違反があったなどとして川口との契約を解消(10日付)したと11日、発表した。SNS上では、この対応は過剰ではなどと物議をかもした。
町の名は (1)-1 2016/07/12 (Tue)
何か書きたい気持ちはあるが、アイデアを掘り下げる気力が無いので、昔書いた作品を「清書」しておく。書いたのは1998年なので、(ノートによると1月3日の1日で書いたもので、推敲も何もしていない。)18年も前の作品である。中学生か高校生の書いたような下手なハードボイルド小説だが、ゴミにするのもつまらないから、ここに上げておく。
題名の「町の名は」は、ダシール・ハメットの「町の名はコークスクリュー」から取ったもので、内容も同作品から、というより、同作品を下敷きにした黒澤明の映画『用心棒』をモデルにしている。ハメットの作品は読む機会が無かったが、題名の「町の名はコークスクリュー」というのはいい題名だなあ、とかねがね思っていたのである。
手元に何の資料も無しで書いたので、警察組織や武器などについての記述はひどくいい加減である。それ以外にも妙な記述はたくさんあるだろうが、下手なりに面白いところが少しでもあればそれでいいと思っている。
「町の名は」
(1)
男はラッキー・ストライクを箱から1本取り出し、口にくわえて火をつけた。一息深く吸い込んで煙を吐き出した後、煙草をくわえたままソファに身を沈める。いつも通りの安ホテル、いつも通りの煙草の味だ。
部屋のベッドサイドの小テーブルに置いたポータブルの薄いCDプレイヤーから、コルトレーンの「say it」が流れている。旅のお友としていつも持ち歩いているプレイヤーと、数枚のCDの一つだ。
窓の外にはけばけばしい赤いネオンがまたたくのが見える。
男は目を閉じて物思いに耽った。年の頃は四十前後の中年男である。疲れた表情だが、日に焼けた顔の作りは青銅を彫ったように端正だ。髪は長めで、黒々としている。ソファから投げ出した足は長い。筋肉質の体で、身長は180くらいだろう。
「小島の件で一心会がどう動くかは、こちらでも調査中だ。あんたの事だから足は着いていないと思うが、しばらくここを離れて身を隠しておくのがいいな」
警察庁長官東城一矢は、まだ四十代前半でありながら警察庁のトップに上りつめた切れ者らしい鋭い顔を男に向けながら言った。
「残念ながら、小島に渡った金は回収不能だ。しかし、これ以上せびり取られないだけでもマシだろう。まったく、日本の大企業という奴は、どこもかしこも脛に傷を持っているから、あんな総会屋ごときにつけ入れられるんだ。問題はあいつのバックの一心会だな。小島の金の大部分は一心会に上納されていたという話だから、小島を殺(や)られた一心会は必死で下手人を探しているはずだ」
東城はデスクの引き出しを開け、紙包みを取り出して、それをデスクの上に置いた。
「200万ある。これで特に不満は無いと思うが……」
男は、不満は無い、というように軽く肩をすくめた。
「リスクを負うのはそっちも同じでしょう。むしろそっちは社会的な地位も高いだけに、やっていることがバレた時に失うものも多い。私は、せいぜい自分の命だけだ。幸い、家族もいないのでね。その自分の命もたいして惜しくもない」
「君のような人間があと二、三人いるとこっちも助かるんだがな」
「世直し団ですか。時代劇か漫画の見過ぎですよ。私は自分で使うカネが欲しいだけだ。正義感のために人殺しをする奴はいない」
「動機はどうでもいい。私は、自分がしたいことをするのに手足になってくれる人間が欲しいんだ。私の本当に知りたいことを教えてくれる人間、私に代わって人を殺してくれる人間がね」
「確かに警察庁のトップ自ら人を殺したんではまずいでしょうな。私はカネを貰い、あんたは自分の欲求不満を解消する、というわけだ」
「欲求不満か。確かにその通りだ。私は今の立場にいるかぎり、本当の欲求を満たそうとすれば、手足を縛られているようなものだ。正義の執行者が悪を為すことは表向きには不可能だからな。しかも、その『悪』が自分が本当に望む正義なのだから。信じて貰えるかどうか分からんが、私がこの世界に入ったのは『悪い奴』をやっつけたいという、それだけだったんだよ」
「少年の夢ですな。ところが、いざ警察のトップになってみると、悪い奴に対して何一つ手出しができない。それでこういう行動に出たわけだ。でも、いずれバレますよ。これでも日本は一応法治国家らしいですからね」
「そうならないように気をつけるよ。もし助けが必要な時は、この番号に電話してくれ。私の私設オフィスだ。オフィス名と番号は覚えて、この名刺は処分してくれ。秘書が電話に出るはずだから、名前と連絡先を言っておいてくれればいい。そうすれば、後でこちらから連絡する」
男は3本目の煙草に火をつけ、曲の終わったCDを再びプレイにした。東城との会談が昨日で、そのまま夜行列車に乗って、今朝この町に着いたのだった。
町の名前は北**市。東北地方の大都市の一つだ。冬の初めの肌寒い気候の中を一日歩き回り、町の様子を見た後、このホテルに投宿した。特に警戒を要するような気配も無かったので、近くのレストランで夕飯を食った後、ホテルに戻ってきたのである。
町の名は (1)-2 2016/07/12 (Tue)
男の名は冬木刑士郎。仕事は二年前までは警察官だったが、ある事件で免職になった後、しばらくして東城の下で働くようになった。
東城の命じる仕事は、簡単に言えば殺し屋である。だいたいは企業の依頼を受けて、企業に不利な活動をしている人間(中には組合活動をしている人間などもいる。産業スパイもいる。単なる企業内部の権力闘争もある。基本的にその理非は問わない。)を殺す仕事である。野党政治家を殺したこともある。行政府の役人を殺したこともある。すべて、時の政権中枢部に不利益な活動をした、あるいはすることが判明した人間だ。彼が殺した人間の中には小島のような、ヤクザの舎弟である総会屋などもいる。こういうのが、殺しても一番後腐れが無い。警察もマスコミも本気では調べないからだ。
これまで冬木が殺した人間は5人。貰った金は2000万円くらいだろう。野党政治家を殺した時が一番高く、1000万円の報酬があり、その時は1年間ハワイに逃げてほとぼりをさました。
その時の金は内閣調査費という、「領収書不要」の金から出た。これは年間数億の予算がある。
誰を殺そうが、冬木の心が痛むことはない。無邪気な子供でも殺すなら別だが、汚れきった大人の寿命を数年か数十年縮めることに彼は何の痛痒も感じなかった。
刑士郎の脳裏に妻の面影が浮かんだ。「汚れきった大人」という言葉に心が反応したのだ。汚れたのは誰なのか。
刑士郎はテーブルの上のワイルドターキーをグラスに注ぎ、それを一息で飲んだ。焼けるように熱い液体が喉を通って胃の中に落ちていく。
刑士郎の妻は二年前、刑士郎の留守中に、自宅アパートで、ある男に犯された。
相手は、刑士郎が以前に検挙したチンピラだった。刑士郎はその若者のマンションに乗り込み、両腕をへし折った後、恐怖で縮こまっているその陰茎を台所の包丁で切り落とした。
その事件のために刑士郎は警察を免職になったのである。
妻とは、妻の方からの申し出で、半年後に離婚した。まだ二十代の若いきれいな妻だった。今はアメリカに行き、そこで暮らしているという話を、妻の実家の者から刑士郎は後で聞いた。
刑士郎が今の仕事をしているのは、妻の事件が理由というわけではない。その事件の前から彼の犯罪者への憎悪は異常なものだった。だが、二年の間に、彼の憎悪は犯罪者から人間全体へと対象が広がったのかもしれない。それは、自分がしていることを正当化する心的機制だったのだろう。
もちろん、今でも彼が一番憎んでいるのは犯罪者である。当の彼自身が犯罪者であることを考えれば、これは少々滑稽ではあったが、警察官であった時代の名残で、彼はヤクザや犯罪者を心の底から憎悪していたのである。それは妻の事件で永遠に心に刻印されたのだ。
(連中は人間じゃない。連中を人間扱いすること自体が間違いなんだ。)
警察官であったころ、様々な事件に出遭うたびに彼の胸の中にはそういう思いが高まっていった。特に、犯罪被害者やその家族の再起不能の状態を後目(しりめ)に、加害者が証拠不十分で釈放されたり、あるいは刑期を終えて世の中に復帰し、大手を振って歩いている姿を目にする度に、彼の憎悪と怒りは高まっていった。そして妻へのレイプ事件で彼の怒りは爆発したのであった。
妻を犯したチンピラの陰茎を切断した時の快感を刑士郎は思い出していた。チンピラの恐怖にゆがんだ顔。哀願する声。左手で握った情けないほど縮んだ陰茎を右手の包丁で切った時の感覚を彼は一生忘れないだろう。その汚らしい一物を彼が足で踏みつぶした時の、相手のあの絶望した顔。これこそ復讐の快感であった。彼は、妻のためにではなく、その快感のためにこの行為をやったのかもしれない。心の奥底を見れば、その時の彼の心には妻を思う気持ちは無かったのだから。
その後の裁判の間も、刑士郎は一瞬も自分のやった行為を後悔しなかった。むしろ、それをやらなければ、どんなに後悔しただろう。
バーボンの酔いが次第に回ってきて、刑士郎はやがてベッドに倒れ込み、そのまま眠りの中に落ちて行った。
日本刀は両手持ちか片手持ちかの論争だが、単純に合理性から見て、下のふたつのコメントはまずまずだと思う。
戦国時代なら、片手持ちでないと馬上の戦いはできないのだから、片手持ちが普通だっただろう。日本の武士が基本的に盾を用いなかったのも、同じ理由(盾を持つと手綱が持てない)であり、盾の代わりに腕を保護する籠手が使われたわけだ。
それが平和な時代になって、集団戦闘ではなく、「武芸」としての一対一の戦いが普通になったことで、両手持ちが大勢を占めるようになったかと思う。
日常的に籠手をしていることはないから、より精密な動作が可能になったということもある。両手で持つことで、刀身の動きが正確になるわけだ。その動作原理は、左拳で刀を支え持ち、それが大きく振る動作の基本の動きを担って、振る際には右手(これは、握りしめないと思う)で刀の軌道を細かくコントロールするのだろう。車で言えば、左手がエンジン、右手がハンドルだ。素振りの際に、右手は握りしめず親指と人差し指の股の間に柄を載せるだけ、という教えがそれを示している。両手とも強く握ると、互いが互いの動きの邪魔をするというのは、ゴルフの初心者も知っていることだ。なお、左拳も、すべての指ではなく、小指と薬指だけで握る、と「五輪の書」に書いてある。これは片手持ちの場合だけか、両手持ちでも同様かは、私は知らない。
我々が片手で棒状のものを振る際の動きが、いかに予測と違うかは、蠅叩きで蠅を叩くだけでわかる。目で蠅との距離を計算しても、腕の動きは肩と腕関節を軸とした回転運動(しかも蠅叩きは腕と直角)だから、蠅に到達しないで、その手前を打つことになるわけだ。つまり、剣道の「突き」のように、蠅叩きの先端を突きだす感じで、(蠅叩きを「振る」のではなく)「蠅に当てる」のが正解か。
このような、「イメージと実際の運動の齟齬」というのを教えたのが江戸時代の剣術だったのだろう。まあ、戦国時代の、斬ろうが殴ろうが、相手にダメージを与えればいい、という「戦闘剣術」とは乖離したのだと思われる。(ちなみに、日本刀はよく曲がったので、それを足で踏んで直してまた戦ったという。それでまともに斬れるとは思えず、つまり、「斬る」ためだけの道具ではなく、「殴る」ための道具でもあったわけだ。)
川中島の戦いで上杉謙信が武田信玄を馬上から斬ろうとして失敗した(本当の話か創作かは別として)のも、この「目測イメージと実際の動きの相違」によるものであると思われ、戦国武将は剣術などまったく練習していなかったと想像できる。
(以下引用)
誰推し@Hbg36Ff4ij94080
51分前
自分に向いた握り方が片手だったり両手だったりという話を一つの結論に固めようとしがちじゃね?現実には両手も片手もなくぶつかり合う勢いで切り替えてたと思うけど。ゲームの1vs1みたいな場面に実戦がなるとは思えんし。それと稽古や試合の話をごっちゃにしてるでしょ。
0
apto117のアイコン
影山影司@apto117
25分前
世界中で片手剣の文化があるわけで、それらに比べて日本刀が以上に重いとか特別な事情が無い限り、片手で扱うことも可能だろうな。居合は基本片手の操作だし、逆に何故両手でないと扱えないという考え方が広まったのだろう。
戦国時代なら、片手持ちでないと馬上の戦いはできないのだから、片手持ちが普通だっただろう。日本の武士が基本的に盾を用いなかったのも、同じ理由(盾を持つと手綱が持てない)であり、盾の代わりに腕を保護する籠手が使われたわけだ。
それが平和な時代になって、集団戦闘ではなく、「武芸」としての一対一の戦いが普通になったことで、両手持ちが大勢を占めるようになったかと思う。
日常的に籠手をしていることはないから、より精密な動作が可能になったということもある。両手で持つことで、刀身の動きが正確になるわけだ。その動作原理は、左拳で刀を支え持ち、それが大きく振る動作の基本の動きを担って、振る際には右手(これは、握りしめないと思う)で刀の軌道を細かくコントロールするのだろう。車で言えば、左手がエンジン、右手がハンドルだ。素振りの際に、右手は握りしめず親指と人差し指の股の間に柄を載せるだけ、という教えがそれを示している。両手とも強く握ると、互いが互いの動きの邪魔をするというのは、ゴルフの初心者も知っていることだ。なお、左拳も、すべての指ではなく、小指と薬指だけで握る、と「五輪の書」に書いてある。これは片手持ちの場合だけか、両手持ちでも同様かは、私は知らない。
我々が片手で棒状のものを振る際の動きが、いかに予測と違うかは、蠅叩きで蠅を叩くだけでわかる。目で蠅との距離を計算しても、腕の動きは肩と腕関節を軸とした回転運動(しかも蠅叩きは腕と直角)だから、蠅に到達しないで、その手前を打つことになるわけだ。つまり、剣道の「突き」のように、蠅叩きの先端を突きだす感じで、(蠅叩きを「振る」のではなく)「蠅に当てる」のが正解か。
このような、「イメージと実際の運動の齟齬」というのを教えたのが江戸時代の剣術だったのだろう。まあ、戦国時代の、斬ろうが殴ろうが、相手にダメージを与えればいい、という「戦闘剣術」とは乖離したのだと思われる。(ちなみに、日本刀はよく曲がったので、それを足で踏んで直してまた戦ったという。それでまともに斬れるとは思えず、つまり、「斬る」ためだけの道具ではなく、「殴る」ための道具でもあったわけだ。)
川中島の戦いで上杉謙信が武田信玄を馬上から斬ろうとして失敗した(本当の話か創作かは別として)のも、この「目測イメージと実際の動きの相違」によるものであると思われ、戦国武将は剣術などまったく練習していなかったと想像できる。
(以下引用)
誰推し@Hbg36Ff4ij94080
51分前
自分に向いた握り方が片手だったり両手だったりという話を一つの結論に固めようとしがちじゃね?現実には両手も片手もなくぶつかり合う勢いで切り替えてたと思うけど。ゲームの1vs1みたいな場面に実戦がなるとは思えんし。それと稽古や試合の話をごっちゃにしてるでしょ。
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影山影司@apto117
25分前
世界中で片手剣の文化があるわけで、それらに比べて日本刀が以上に重いとか特別な事情が無い限り、片手で扱うことも可能だろうな。居合は基本片手の操作だし、逆に何故両手でないと扱えないという考え方が広まったのだろう。
私は吹奏楽部にはまったく興味が無いのだが、アニメ「響け! ユーフォニアム」を見た縁で、この増田のダイアリーも読んで、なかなか面白かった。「UFOにあむ」第三期のギスギスを私は批判したが、あれこそリアルの吹奏楽部の姿だったのかwww
なお、私が吹奏楽に興味が無い理由は、彼らがやる曲がすべてつまらないからである。前にも書いたが、吹奏楽的なクラシックの名曲は膨大にあるはずで、なぜ、ど素人に毛の生えたレベルの、才能の無い音楽家の新曲をやらされるのか。滝のようなアホ顧問のせいか。
たとえば、ブリテンの「青少年のための管弦楽組曲」など、出だしからドラマチックであり、あるいはホルストの「惑星」なども、吹奏楽に編曲できる名曲だろう。何なら、前にも書いたが、軍歌や行進曲にも吹奏楽的な名曲はたくさんある。「軍艦マーチ」など、世界3大マーチのひとつと言われている名曲である。パチンコ屋専用の曲ではない。右翼専用でもない。
(以下引用)
2024-09-04
■吹奏楽部員のほとんどが高校限りで楽器辞める本当の理由
朝日新聞が記事出してはてブでトレンドになってたが、記事もコメントも的外れなので、卒業後大学→一般吹奏楽団複数を渡り歩いた増田が「大半が高校卒業後に辞めちゃう本当の理由」を解説しておくよ。
1.まず、「続けられる環境」はある
ほとんどの大学には吹奏楽部やオーケストラがあるし、大学の数以上に一般吹奏楽団があちこちにある。首都圏(東京、神奈川県、千葉、埼玉)には300以上の一般吹奏楽団が活動している。
これらの一般吹奏楽団は初心者お断りが殆どだが、逆に言えば「元吹奏楽部で楽器保有」なら引く手数多なのだ。楽器保有は若干ハードルがあるように見えるが、高卒まで続けるような管楽器部員は殆どクリアしてる。(クリア出来ない部員は途中でいなくなる)
また一般吹奏楽団で吹奏楽コンクールに出るのは全体の3割くらいしかなく、7割はコンクールに出ずに年1の定期演奏会と数回の地元イベントに出る程度の団体が大半なので、「コンクールのスポ根みたいなのが嫌だ」という人でも受け入れられる土壌はある。中には「地元強豪校の1軍OBOGまたは音大芸大在学または卒業」という厳しい入団条件があるところもあるが、レアな部類だ。
だから「環境がない」は誤りなのだ。
2.高校で辞めちゃう真の理由
2つある。
①高校生活の中で成功体験が得られず続ける意欲が無くなった
技術面で上達出来ず、吹奏楽コンクールのメンバー(最大55名)に最後まで選ばれなかったとか、ずっと三軍メンバーで本番は野球応援と定期演奏会のアンコール曲しか吹かせてもらえなかったとか、トランペットだったけど3年間メロディは吹かせてもらえず、ずっとサポートパート(万年3rdというスラングがある)だった…などというような人。
一見酷い扱いに見えるが、野球部に入ったけどずっと球拾いで試合は客席から応援団として参加、というのと同じと思えばよい。
(余談だが、甲子園のアルプス席は「野球部の2軍以下」て「吹奏楽部の2軍以下」の集まりというケースが多い。それと「コンクールよりも甲子園優先はけしからん」という指摘は的外れ。何故なら彼女らはコンクールメンバー落選組だから。もちろん例外はある)
そういう部員は、高校卒業とともに部活のジャンルから離れる。吹奏楽でも野球でも。成功体験が得られずトラウマにしかならなかった環境を忘れるために。
②嫌な人間関係をゼロクリアする
先述の一般吹奏楽団は、実は「何処かの学校のOBOGバンドが母体orOBOGが多い」という特徴を有するところが大半だ。場合によっては指導者がその学校と掛け持ち指導のケースもある。
つまり、一般吹奏楽団に行くと、吹奏楽部時代に会った嫌な先輩、同期、指導者と再会どころか、一緒になってしまう可能性が高いのだ。
幸い「嫌な相手」がその楽団にいなくても、「嫌な相手」とつながりのある人が楽団に居る可能性が極めて高いし、コンクールや吹奏楽連盟主催の合同演奏会などでその「嫌な相手」とばったり再会してしまう可能性も高い。相手は別に嫌な思いはあまりないので気軽に「今度飲みに行こう」とか言ってくるし誘っても来るが、こちらとしては吐き気しかしない。
なら高校在学中に辞めれば良かったのでは?と思うかもしれないが、学校という集団生活の中で途中退部してしまうと「負け犬」として学校カーストの下に追いやられるので、相当な覚悟が要る。
しかし卒業してしまえば「もう楽器辞めました」となっても誰からも笑われないしカーストの下にも追いやられない。だから高校卒業と共にゼロクリアしてしまうのだ。
増田が言いたいのは「環境が無いから辞める、というのはただの建前」という1点だ。理由の建前と本音が根本的に違うという意味では転職活動と似ていると思う。
なお、私が吹奏楽に興味が無い理由は、彼らがやる曲がすべてつまらないからである。前にも書いたが、吹奏楽的なクラシックの名曲は膨大にあるはずで、なぜ、ど素人に毛の生えたレベルの、才能の無い音楽家の新曲をやらされるのか。滝のようなアホ顧問のせいか。
たとえば、ブリテンの「青少年のための管弦楽組曲」など、出だしからドラマチックであり、あるいはホルストの「惑星」なども、吹奏楽に編曲できる名曲だろう。何なら、前にも書いたが、軍歌や行進曲にも吹奏楽的な名曲はたくさんある。「軍艦マーチ」など、世界3大マーチのひとつと言われている名曲である。パチンコ屋専用の曲ではない。右翼専用でもない。
(以下引用)
2024-09-04
■吹奏楽部員のほとんどが高校限りで楽器辞める本当の理由
朝日新聞が記事出してはてブでトレンドになってたが、記事もコメントも的外れなので、卒業後大学→一般吹奏楽団複数を渡り歩いた増田が「大半が高校卒業後に辞めちゃう本当の理由」を解説しておくよ。
1.まず、「続けられる環境」はある
ほとんどの大学には吹奏楽部やオーケストラがあるし、大学の数以上に一般吹奏楽団があちこちにある。首都圏(東京、神奈川県、千葉、埼玉)には300以上の一般吹奏楽団が活動している。
これらの一般吹奏楽団は初心者お断りが殆どだが、逆に言えば「元吹奏楽部で楽器保有」なら引く手数多なのだ。楽器保有は若干ハードルがあるように見えるが、高卒まで続けるような管楽器部員は殆どクリアしてる。(クリア出来ない部員は途中でいなくなる)
また一般吹奏楽団で吹奏楽コンクールに出るのは全体の3割くらいしかなく、7割はコンクールに出ずに年1の定期演奏会と数回の地元イベントに出る程度の団体が大半なので、「コンクールのスポ根みたいなのが嫌だ」という人でも受け入れられる土壌はある。中には「地元強豪校の1軍OBOGまたは音大芸大在学または卒業」という厳しい入団条件があるところもあるが、レアな部類だ。
だから「環境がない」は誤りなのだ。
2.高校で辞めちゃう真の理由
2つある。
①高校生活の中で成功体験が得られず続ける意欲が無くなった
技術面で上達出来ず、吹奏楽コンクールのメンバー(最大55名)に最後まで選ばれなかったとか、ずっと三軍メンバーで本番は野球応援と定期演奏会のアンコール曲しか吹かせてもらえなかったとか、トランペットだったけど3年間メロディは吹かせてもらえず、ずっとサポートパート(万年3rdというスラングがある)だった…などというような人。
一見酷い扱いに見えるが、野球部に入ったけどずっと球拾いで試合は客席から応援団として参加、というのと同じと思えばよい。
(余談だが、甲子園のアルプス席は「野球部の2軍以下」て「吹奏楽部の2軍以下」の集まりというケースが多い。それと「コンクールよりも甲子園優先はけしからん」という指摘は的外れ。何故なら彼女らはコンクールメンバー落選組だから。もちろん例外はある)
そういう部員は、高校卒業とともに部活のジャンルから離れる。吹奏楽でも野球でも。成功体験が得られずトラウマにしかならなかった環境を忘れるために。
②嫌な人間関係をゼロクリアする
先述の一般吹奏楽団は、実は「何処かの学校のOBOGバンドが母体orOBOGが多い」という特徴を有するところが大半だ。場合によっては指導者がその学校と掛け持ち指導のケースもある。
つまり、一般吹奏楽団に行くと、吹奏楽部時代に会った嫌な先輩、同期、指導者と再会どころか、一緒になってしまう可能性が高いのだ。
幸い「嫌な相手」がその楽団にいなくても、「嫌な相手」とつながりのある人が楽団に居る可能性が極めて高いし、コンクールや吹奏楽連盟主催の合同演奏会などでその「嫌な相手」とばったり再会してしまう可能性も高い。相手は別に嫌な思いはあまりないので気軽に「今度飲みに行こう」とか言ってくるし誘っても来るが、こちらとしては吐き気しかしない。
なら高校在学中に辞めれば良かったのでは?と思うかもしれないが、学校という集団生活の中で途中退部してしまうと「負け犬」として学校カーストの下に追いやられるので、相当な覚悟が要る。
しかし卒業してしまえば「もう楽器辞めました」となっても誰からも笑われないしカーストの下にも追いやられない。だから高校卒業と共にゼロクリアしてしまうのだ。
増田が言いたいのは「環境が無いから辞める、というのはただの建前」という1点だ。理由の建前と本音が根本的に違うという意味では転職活動と似ていると思う。