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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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まあ、当たり前の話である。どれを見ても、「女性と一緒であることが意味を持たない」趣味だけであり、極端に言えば、あらゆる趣味がそうなのである。男が趣味に没頭しているとき、女はほったらかしにされている。
前の記事(「清潔感」の話)にも書いたが、女性は「相手が私(女性)を必要としている」かどうかが男についての最大の問題で、それを知る手段が、相手の服装なりプレゼントなり、自分(女)の誕生日を覚えているかどうかなのである。女性が姑を憎むのも、その男の母は、その男にとっての優先順位が自分より上だからだろう。
そもそも、下のような趣味を、つきあう女性より優先するなら、女性とつきあう意味は無い。単に性欲を下心に隠しているだけの猿である。それよりは、露骨に性的交渉を求めてくる下種男ややくざ男のほうを選ぶのは当然の話だろう。エロスこそが女性の最大の「人生の意義」なのだから。

どうでもいいが、「剥製」を趣味にするドイツ男がいるというのも驚きである。中には、つきあった相手の女性を剥製にして残すのが趣味の男もいるかもしれないwww

【悲報】ドイツ人女性「これがドイツでモテない男の趣味」 → (画像あり)


shumizatusum

1: それでも動く名無し 2025/01/03(金) 05:28:47.44 ID:B/sgsANE0
女性にとって魅力を感じない男性の趣味
90%:ゲーム
85%:フィギュアのコレクション
80%:マジック(手品)
75%:ネット荒らし
70%:ギャンブル
65%:鉄道模型作り
60%:剥製
55%:コミック収集
50%:バードウォッチング






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「はてな匿名ダイアリー」のコメントだが、女性の言う「清潔感」という言葉の謎についてのコメント2つである。二つ目のコメントは、的を射ている感じもあり、大きく本質から離れている気もする。
はたして「自己管理能力」と関係があるか。それより、「女性受けが眼中にない」不愉快な奴、という感じではないだろうか。(もっと正確に言えば、「性欲はある(女を欲しがっている)くせに、どうすれば女性が好感を持つか、まったく知る努力すらしない最低の存在」か)

要は、「身だしなみについてのデリカシーや基本知識がない」わけで、それは当人の哲学次第の問題であって、「自己管理能力」とは別の話なのではないか。「ハンター×ハンター」のジンは身だしなみにはまったく気を使っていないが、別の面では自己管理の鬼でもあるだろう。そういうことだ。だからこそ、ジンの息子のゴンは、パームとの「強制」デートの時には、まさにエスコートの模範の行動をしている。親子で性格が違うというより、どちらも時宜に応じた行動をしているだけである。

しかし、女性がある種の男を「清潔感がない」という言葉で表現していることのほうが、興味深い。「清潔感がない」とは「不潔」であり、「公序良俗に反する存在」となる。つまり、「自分が気に入らない男」を「公衆の敵」扱いしているわけだ。そこにこそ私は「悪しき」女性性を感じる。そして、それを「清潔でない」と言わず「清潔感が無い」と表現する「戦略性」が見事である。つまり、単に自分の感情や感覚にすぎないものだ、ということは女性当人は心の底では分かっているが、それを「女性全体がそう感じるはずだ」とすることで、ある種の男たちを排除していくのである。
念のために言えば、私も感覚的に嫌悪する男もいれば女もいる。ここに書いているのは、思考素材として面白いと思ったからにすぎない。

(以下引用)



清潔感と清潔さが関係ないのは分かったんだが

しかし、清潔感が一体全体何なのかは結局分からず・・・










男性視点なので、推測だけど。

「嫌悪感を覚え、それが当人の自己管理能力の低さによると感じられたとき、『清潔感が無い』と評される」

という認識。

もうちょっと狭い気もするけど、単純に言い切っちゃうならこれくらい。





第三十六章 マルス対マルシアス

「お前も覚えているだろうが、うちにマーサという女中がいただろう。そして、その女中と私が恋仲になったことも。だが、父は二人の仲を許してくれなかった。私はマーサを町中のある家に住まわせて、そこに通っていた。マーサが子供を産んだ時に、私は自分が父から貰ったブルーダイヤのペンダントを、オルランド家の嫡男の印にマーサに与えた。ところが、父はマーサと私の仲がまだ続いている事を知って、マーサの住む家に行って、私と別れる事を迫ったのだ。別れなければ、私を廃嫡するとまで言ってな。その後、マーサは姿を消した。
 私はマーサの行方を探したが、どうしても見つからなかった。アスカルファン国内だけでなく、アルカードまで行ったが、そこでも探せなかった。アスカルファンに戻った私は、深夜、オルランド家に着き、父と対面した。マーサに対する父の仕打ちに怒った私は、父と口論になり、父を殴って、……殺してしまったのだ」
 ジルベールの告白に、トリスターナは驚きのあまり、声も出なかった。
「呆然としてそこに立っていた私は、部屋にアンリが入って来たことにもしばらくは気付かなかった。アンリは父と私の口論の様子を隣の部屋で聞いていたらしい。父の倒れた物音で部屋に入って来て、全てを了解したアンリは、私に逃亡を勧めた」
「私、お父様は卒中で急死なさったものだとばかり思ってました」
「アンリがそのように計らったのだ。最初私は、逃亡する事をためらったが、結局アンリの勧めに従う事にした。卑怯に思うかも知れないが、私はその時、この家もこの国も捨てて、まったく新しい人間として生きようと決心したのだ」
「それからグリセリードに行かれたのですか?」
「そうだ。グリセリードで私は自分の生きる道を見つけた。それは、ヴァンダロス王の下で武人として生きることだ。貴族の家の中で、眠ったような日々を送っていた私にとって、戦場の日々は刺激と興奮に溢れていた。きっと私の中には生まれつき血を好む性質があったのだろう。私は名前もマルシアスと変え、グリセリード軍で出世もした。
 グリセリードがアスカルファンを攻めると聞いた時にも、私は別にどうとも思わなかった。ただ、お前やアンリには済まない、と思ったが」
「お兄様は国を裏切るのですか?」
「私にとっては、今自分の居る所が自分の国だ。だが、お前だけは何とか助けてやりたい」
「助けて貰う必要はありません。この戦はアスカルファンが勝ちます」
「そうかも知れん。では、お前は一人で生きていけるのだな? ならば、これ以上は言うまい。達者で暮らせよ」
 ジルベールはすっかり成人した美しい妹を優しげに見つめ、うなずいて踵を返した。
「お兄様……」
ジルベールを見送るトリスターナの目には涙が溢れていた。幼い頃から、トリスターナは、優しく男らしいこの兄が好きだった。しかし、もはや兄と自分は、生きる世界が違うのである。

 馬を走らせて戦場に戻ったマルシアス、いや、ジルベールは戦場の情勢が一変している事に驚いた。
 何と、グリセリード軍は背後から来たレントの軍に攻め立てられ、前のアスカルファン軍と両方に挟まれて苦戦をしていたのである。
 この二万人のレント軍は、数日前にマルスからアンドレに送った急使によって、アンドレ自身が率いてアスカルファンの西に上陸し、駆けつけたものであった。
 グリセリード軍後方にいるヴァルミラが危ない、と思ったジルベールは、戦場中央を突破しようとした。だが、その時、一人の若武者が彼の前に立ちふさがった。
「敵に後ろを見せて逃げる気か!」
ジルベールは、その若者をどこかで見たような気がした。だが、相手は明らかにアスカルファン軍の兵士である。
「逃げはしない。私の相手がしたいのなら、してやろう。私の名はマルシアス。グリセリードでは少しは知られた男だ。私を討ち取ったら、お前には名誉になるだろう」
「そうか、私の名はマルス。いざ、勝負!」

…… ……

 マルスは足元に倒れた敵の騎士を見下ろした。相手はまだ息がある。
「見事な腕だ。お主はきっと偉大な武人になるだろう……」
 倒れた相手は、苦しげな息の下から、兜の面頬を上げて、笑って言った。そして呟いた。
「神よ、私の数々の罪をお許しください。マーサ、あの世で会おう……」
マルスは、ぎょっとして相手を見た。マーサだと?
しかし、栗色の髪の騎士は、微笑んだまま、すでに息絶えていた。
 きっと自分の聞き違いだろう。それに、マーサという名前がグリセリードにもあるのかも知れないし。
 マルスは、グレイに乗ろうとして、はっと飛び退った。
「マルシアスの仇、これを受けよ!」
 ヴァルミラであった。
 背後からレント軍に襲われて算を乱したグリセリード軍の中で、ヴァルミラは顔見知りの者に頼んで縛めを切って貰い、マルシアスを探して戦場を駆け回っていたのであった。
 ヴァルミラがマルシアスを見つけた時、マルシアスは敵の若武者と対峙していた。そして、ヴァルミラがそのそばに駆けつけようとした時、マルシアスの体が馬から落ちたのであった。ヴァルミラは悲鳴を上げ、剣を抜いてその若者の所へ突進した。



まあ、知念ミキトに関しては、新コロワクチン推進で先頭に立って社会に大嘘をまき散らした貢献度がDSに評価されたのではないかwww
素人でもはっきりわかる新コロワクチンの有害さもいい加減さも知らない医者が書いた医療推理小説ねえww
「薬屋のひとりごと」は、話の内容(現代の知識を古代中国に持ってくる)はさほど高度ではないが、主人公猫猫のキャラが面白く、それを演じる「百面相の声」の声優、悠木碧の声演技がいい。

ところで、キーエンスが最近異常なほどネットでCMを出している(下のこの引用記事内にもいくつもあったがカットした)が、なぜ、「測定器製作会社(たぶん)」が一般視聴者相手に広告を湯水のように垂れ流すのか。何の前兆だろうか。むしろ、そうした、社会の「見えない推理ドラマ」が世間にはあふれている。
小泉総理誕生と前後して竹中がマスコミに登場した時、彼がこれほど日本という国を破壊すると読めた人はあまりいないだろう。つまり、小泉も竹中もDSの刺客だったわけだ。


(以下引用)


TVアニメ『天久鷹央の推理カルテ』が2025年1月1日より放送開始される。同シリーズは人気小説の映像化であり、シリーズ1作目の初掲載は2013年、実にシリーズ開始から12年経過しての映像化である。原作者の知念実希人はかなり多作な作家で、実写化された作品も何本かあるが、アニメ化は初である。知念の作風とアニメの表現がどのような相性を見せるのか気になるところだ。

さて、原作者の知念は現役の内科医でもあり、その作風は本職の知識をフル活用したものである。いわゆる「医療ミステリー」と呼ばれるミステリーのサブジャンルに入り、探偵役の持つ医療知識が謎解きにそのまま活用されるニッチかつ限定的な作風である。


医療と謎解きは一見すると縁遠いものに見えるが、実は相性がいい。世界一有名な探偵シャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルが医師でもあったのは有名な話だが、ドイルがホームズのモデルとしたのは自身がエディンバラ大学で学んでいたころの恩師だったジョセフ・ベルである。これは推測などではなく、ドイル自身が認めている。

医師は病気の診断をする際に、患者のことを調べ、観察から診断をくだす。その過程は探偵が事件を解き明かす過程と共通している。優れた医師であったベルは観察力に長けており、訪れる患者の外見から病名だけでなく、職業や住所、家族構成までを鋭い観察眼で言い当てて、学生らをしばしば驚かせていた。

ベルは警察の捜査に何回も関与しており、当人が探偵役として登場するテレビシリーズ『コナン・ドイルの事件簿』(2000年~2001年)はその事実が元になっている。弟子であるドイル自身も、慈善活動として冤罪事件を解決したことがある。

今回は『天久鷹央の推理カルテ』に関連し、医師が医療に関する謎を解き明かす「医療ミステリー」の系譜を紐解いていこう。

■『Dr.HOUSE/ドクター・ハウス』(2004年~2012年)

『Dr.HOUSE/ドクター・ハウス』は、8シーズンにわたって継続したアメリカのテレビシリーズ。主人公のグレゴリー・ハウスは自らメスを握ることは稀で、他の医師が原因を特定できず匙を投げた患者の診断を行う、医療ドラマものとしては異色のタイプの主人公である。ハウスの部下たちはハウスの手足となり、患者の私生活まで調べ上げて病因の特定を行う。部下たちの集めた情報と自らの知識、観察眼で診断をくだすその姿は、さながら助手を動かし、自らは安楽椅子探偵に徹するネロ・ウルフのようである。

本作はシャーロック・ホームズを意識して制作されており、ところどころに原典の引用が見られる。ハウスと親友のウィルソンの関係はホームズと助手で親友のワトソンを思わせる。ホームズはコカイン中毒だが、ハウスは鎮痛剤のバイコディン依存症、極めつけは劇中で明らかになるハウスの住所で番地は"221B"である。ご存じない方のために注釈すると、シャーロック・ホームズの住所はロンドンのベイカー街221Bである。


主人公のハウスはアメリカ人の設定だが、演じたヒュー・ローリーはシャーロック・ホームズと同じイギリス人である。

■『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』(2014年~)

『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』は日本のマンガ作品で、2016年には実写のテレビシリーズにもなっている。こちらもハウスと同じく、自らメスを握ることはなく、患者と直接向き合うことも稀な病理医の岸京一郎を主人公としている。患者を調べ上げて病因の特定を行うことを筋立ての基本に置いているのは『Dr.HOUSE/ドクター・ハウス』と共通しているが、本作の場合は病院に限定せず医療の世界全体を舞台に包括するような作りになっている。

『Dr.HOUSE』はキャラクターの私生活を除けば、ほぼ病院内でドラマが完結する。それに対して『フラジャイル』はもう少し舞台に広がりがある。象徴的なのが主要キャラクターの一人である、製薬会社のMR(医薬情報担当者)火箱直美の存在だ。彼女をメインとしたエピソードは製薬業界の問題点に切り込んだ内容で、こういった内容は『Dr.HOUSE』には見られなかった。あくまでも本作の軸足は医療ミステリーだと思うが、こういった点も魅力である。

メディアミックス展開だが、2016年のテレビシリーズで主演を務めた長瀬智也が芸能界を退いてしまったため、続編が制作される可能性は低いだろう。

■『インハンド』(2018年~2020年)

こちらも日本産のマンガである。本編連載中の2019年にテレビドラマ化もされている。

本作の主人公・紐倉哲はドクターではあるが、医者ではなく医学博士である。専門は寄生虫だが博覧強記の科学者であり、扱うテーマはドーピングから毒キノコまで幅広い。紐倉は助手の高家とともに、時にはスリや家宅侵入などの軽犯罪も厭うことなく情報を集め、不可思議な事態を解明していく。作者の朱戸アオは渋い医療ものを書き続けてきたが、同作者の感染症のアウトブレイクを題材にした『リウーを待ちながら』の登場人物が本作に登場するクロスオーバー展開もある。


有名なロナルド・ノックスの探偵小説十戒では「未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない」とされているが、博覧強記な紐倉が語る一般的とは言い難い科学的知見の披露は本作の魅力であり、ある種、教養書としての側面もある。

■『FOREVER Dr.モーガンのNY事件簿』(2014年~2015年)

筆者の感覚では、『CSI:科学捜査班』(2000年~2015年)以降、刑事ではないが捜査に関わる警察の裏方的存在の存在感がフィクションの世界で増しているように感じる。『CSI』シリーズは今までスポットライトを浴びることがなかった、警察の鑑識を主人公にして成功したが、『FOREVER』の主人公は監察医である。

主人公のヘンリー・モーガンは19世紀生まれだが、奴隷船の航海中に船長に銃撃されて死亡したときに体に何かが起こり復活。以降は死んでも蘇り、年を取らない不老不死になっている。様々な種類の死に方を経験してきた死のスペシャリストであり、ヘンリーが自ら死に方を試すことで被害者の死の原因を解明していく独特なスタイルを取っている。1シーズン目は22話フルで制作されたが、残念ながら1シーズンで打ち切りになってしまった。

■『薬屋のひとりごと』(2011年~)

これまでに取り上げた4作品と大きく異なり、ファンタジーで「小説家になろう」発のライトノベルである。中華風の架空世界が舞台のファンタジーだが、主人公は薬師で、ファンタジーにありがちな超自然的な能力は登場しない。

主人公の猫猫(マオマオ)は薬師を名乗っているが、毒物を主軸に広範な医学知識を持ち、患者を調べ上げて原因を特定する姿は、医師であるハウスや岸に通じるものがある。

ライトノベルでありながら硬派かつ、現実的な内容でありファンタジーでありながらリアルに軸足を置いているバランス感覚が素晴らしい。2種類のコミカライズに加えて、2023年に初投稿から12年にして満を持してアニメ化された。2025年1月10日よりアニメ第2期の放送がスタートする。

(文=ニコ・トスカーニ)


第三十五章 ジルベール

「ついでに今すぐ私も斬ったらどうだ。味方の士気が高まるだろう」
ヴァルミラは嘲笑するように言った。
「分からぬ奴だ。あれを見ろ」
 エスカミーリオの指差す方には、敵兵を切りまくるマルシアスの姿があった。
「あのマルシアスは、もともとアスカルファンの男だ。それが、先王ヴァンダロス様に心酔し、グリセリードのためにあのように働いておるのだ。あれこそ武人というものだろう」
「マルシアスは、アルカードの者ではないのか?」
「アスカルファンの者だ。何か訳があって故国を追われてグリセリードに来たのだ」
「なら、故国に対する裏切り者ではないか」
「愛するに足る故国では無かったという事だ」
「ふふん、グリセリードだってそれほどの物か」
「どうとでも言え。国があっての国民だ。戦に勝ってこそ、望む物が手に入るのだ。負ければ全てを失う。今はとにかく、この戦に勝つことだけが大事なのだ」
二人は口論を止めて、前方の戦いの様子を眺めた。
 
 グリセリード軍の先頭に立って目立った働きをしているのは、アルカードから来たガイウスと、マルシアスの二人だった。この二人とも、もとはアスカルファンの生まれであるというのも、思えば皮肉である。
 アスカルファン軍の前面は、この二人によって切り崩されつつあった。
 マルスは、この二人を倒そうと心に決めた。このような白兵戦では、両軍の士気が大きく影響する。中心を失った敵はもろいものだ。
 マルスは愛用の弓を手にしてグレイを走らせ、ガイウスに近づいていった。
「ガイウス、俺が相手だ!」
マルスの前方の兵たちは、マルスのために道を開けた。
「マルスだ!」
「マルス様がガイウスに立ち向かうぞ!」
かつてアスカルファン全体に名を轟かせた勇将ガイウスとマルスの戦いに、両軍とも戦いの手を止めて、見入った。
「お前がマルスか! 見ればまだ若僧ではないか。殺すには惜しいが、勝負を受けよう」
ガイウスは馬をマルスに向けて走らせかかったが、マルスの弓が自分を狙っているのを見て、慌てて立ち止まった。
「待て! 騎士同士の勝負に弓を使うのは卑怯!」
マルスは一瞬ためらった。弓で相手を射殺すのは簡単だが、卑怯者の汚名を着ては、全軍の士気に関わる。
 マルスは、弓を収めて、ガーディアンを抜いた。
 ガイウスはにやりと笑って、馬の腹を蹴った。
 突進してくるガイウスに、マルスの方もグレイを走らせる。
 勝負は一瞬であった。
 大上段から振り下ろすガイウスの豪剣を、マルスは間一髪の差で避け、横殴りにガーディアンを払った。剣はガイウスの胴を鎧ごと切断し、ガイウスの上体は空に飛んで落下した。ガイウスの下半身だけを乗せて、ガイウスの馬はそのまま戦場を駈けて行く。
 この戦いを見ていた両軍の兵たちは、戦うのも忘れて呆然としていた。
「ガイウスは、このマルスが討ち取ったぞ! 残りは弱敵のみ、皆、奮戦せよ!」
マルスは大声に言った。
おおっ、とアスカルファン軍兵士の中から声が上がる。
 勢いを盛り返した兵たちを見て、マルスは戦いのもう一つの場に向かった。だが、自軍を散々に悩ませていた栗色の髪の将は、どこに行ったか、姿が見えない。
 その頃、マルシアスはバルミア市内に馬を乗り入れていた。
 現れた敵兵を見て、市民たちは逃げ惑う。
 マルシアスは、市民たちには目もくれず、ある方角に向かった。
やがてマルシアスが馬を止めたのは、マルスとトリスターナの屋敷、オルランド家であった。
「きゃあっ、敵兵よ!」
下働きの女たちは、マルシアスを見て逃げ惑う。
マルシアスはずかずかと屋敷の中に入っていった。
「そこに止まりなさい。この家で無礼をすると、承知しませんよ」
 二階の階段の上から震えながら声を掛けたのは、トリスターナである。
「やあ、トリスターナ。私だよ。ジルベールだ。忘れたか?」
「ジ、ジルベールですって? まさか!」
「元気そうだな。すっかり大人になったが、まだ昔の面影はある」
「本当にジルベールなの?」
「見てのとおりだ。アンリは?」
「アンリはいないわ。それより、ジルベール、どうしてグリセリード軍の格好をしているの?」
「話せば長い。それより、間もなくここはグリセリード軍が来る。お前も無事では済むまい。私と一緒に来なさい。グリセリード軍の役人に、保護してもらおう」
「いりません。それより、どうしてお兄さんがグリセリード軍にいるのか説明して」
 マルシアスは、少しためらったが、テーブルに腰を掛けて言った。
「仕方ない。簡単に説明しよう」
そして、次のような話をした。



私は起きるのが早くて、午前0時に起きることも多い。まあ、そのぶん、寝るのも早いのだが。
で、今朝は起きて2時間後くらいに便意を感じて、無事に初大便をした。昨日はやっていないので、なかなか立派な糞で、爽快であった。
で、先ほど考えたのだが、高浜虚子(だったと思う)の

去年今年貫く棒のごときもの

の、意味不明の「棒のごときもの」とは正月の初糞ではないだろうか。
なぜなら、その糞は去年作られたものが今年になって外に出たのだから、まさに「去年今年」を貫いて発生し、生まれたわけだ。(注:「去年今年」の読みは「こぞことし」である)

元朝や餅で押し出す去年糞

という馬鹿俳句もあったと思うが「去年糞」の語調が悪いので、私の記憶違いかもしれない。

まあ、とりあえず

めでたさも中くらいなりおらが春 (一茶)

ではあるが、新年おめでとう。



第三十四章 最後の戦い

 北の山脈を越えて、グリセリード軍がアルカードからアスカルファンに入ってきたという知らせがマルスたちの所に届いたのは、バルミアの戦いからおよそ半月後だった。前回と同様にポラーノ郡を北から侵略した約一万のグリセリード軍は、怒涛のような進撃で、あっという間にアスカルファン中部に進出し、先にバルミアを東西から囲んでいたグリセリード軍と共にバルミア包囲陣を作った。その数、およそ八万八千人、前回の戦闘の死者を上回る数が、すでに二十五隻の船で後方から補充されていた。
 自軍に倍する敵軍に囲まれ、アスカルファンは絶体絶命の窮地に追い込まれていた。
 マルスはアルプ軍を中心としたアスカルファン主力軍の弓兵隊隊長に任命されたが、マルスが最初にしたのは、前回のイルミナスの野の戦いと同様、バルミアの市民たちを徴用する事だった。その為に、国庫から日当を支出する事を、マルスはシャルル国王に要求し、認めさせていた。国王としても、国家の危急の際であり、金に糸目をつけている場合ではないと分かっており、その要求を受け入れたのである。
 市民たちは、男女を問わず石弓と矢の生産に加わり、グリセリードの北からの侵入の報を聞いて四日のうちに、バルミアには二十万本の矢が備蓄された。
 戦いは再びイルミナスの野になる可能性が高かった。バルミア周辺で、双方合わせて十三万人の軍勢が会戦できる場所はここだけだったからである。
 マルスはイルミナスの野の南に矢倉を築かせた。前に、バルミアの近くの崖からグリセリードの船に火矢を射た経験から、高い場所から矢を射る有利さを知っていたからである。三十の矢倉にはそれぞれ、石弓隊の中でも腕の立つ者二人ずつが、矢を篭める役の者四人と共に上る。弓兵隊の残りは、それぞれ十人ずつの小隊に分け、小隊長に率いさせて、イルミナスの野の小高い要所要所に矢防ぎを作ってそこに待機させてある。矢の届く距離に敵が入ったら、そこから矢を射るのである。
 マルス自身は、二十人の騎馬弓兵を引き連れて、戦場全体の要所に向かうことにした。各所にいる弓兵隊に敵の攻撃が向かったら、それを迎撃しようというのが狙いである。
 ジョーイは、同じく市民の男たちを動員して、小型の投石器を二百台作ってあった。船を攻撃するほどの大きさではなく、せいぜい二十キロくらいまでの石を飛ばすものだが、その飛距離は石弓に匹敵するものをジョーイは作り上げていた。その弾丸用に、ジョーイはバルミアの民家の屋根石や煉瓦、敷石などを大量に集めさせていた。
「金は払うぜ。古い家を新調するいい機会だとでも思ってくんな」
ジョーイの言葉に市民たちも快く家を壊す事を承知した。どうせ、戦に負ければ命の保証も無いのである。
 市民の中でも壮年の者たちは、槍部隊を編成して、こちらの陣営まで到達した敵兵を迎え撃つことにした。特に騎馬兵には、長槍は有効なはずである。そして、もとからの兵士たちは肉弾戦を引き受ける。これがマルスの戦いの構想だった。
 総大将ジルベルトは、マルスの献策をほとんど受け入れた。もともと自分の考えなど無い男だから、誰かが案を立ててくれればそれに越したことはないのである。案が上手くいけば自分の手柄になるし、失敗したら、案を立てたマルスの責任にすればよい。
 イルミナスの野に敵軍が姿を現したのは、夏至の日だった。
 太陽がかっと照り付ける正午に、戦闘開始を告げるラッパの音が鳴り響き、グリセリード軍の中からどっとときの声が上がった。
 八万八千の大軍勢を頼みにし、グリセリード軍は歩兵を先頭に駆け足に進む。敵が矢を射掛けても、それで殺される人数は高が知れている。八割九割は敵陣に到着できるだろう。そうなれば、勝利は目の前である。
 ジョーイの号令で、投石器がうなりを上げて石を放った。次々に発射される大石は、敵陣に落ち、その度に何人もの敵兵に大怪我を負わせている。
 矢倉の上からは、優秀な弓兵が、敵兵の密集したあたりに石弓を射る。その後ろでは、矢篭め係が、矢を装備した石弓を次々に手渡していく。
 戦闘開始後三十分で、投石器はおよそ五千個の石を投げ、矢倉の上の弓兵はおよそ八千本の矢を放った。そのうちおよそ三分の二が敵に当たり、重傷を負わせ、あるいは殺していたが、それでも敵のうち一万人程度を倒したに過ぎない。敵の先頭は、アスカルファン軍の先頭に達しようとしていた。
「くそっ。前のようにイルミナスの野の中央を泥沼にしてあれば……」
マルスは思ったが、今回は、前にこの野に水を引いた小川が涸れており、その策は使えなかったのである。
 野の両側に位置した弓兵たちは、横からグリセリード軍に矢を射掛けるが、それでも圧倒的な数のグリセリード軍兵士の数は少しも減ったようには見えない。
 とうとう両軍の先頭の軍勢同士がぶつかった。白兵戦の始まりである。

 敵陣に攻め込んだグリセリード軍を見ながら、エスカミーリオは、傍らに縛られたまま立たされているヴァルミラを振り返って言った。
「どうだ、ヴァルミラ、お前の父、デロスが誤りで、俺が正しかった事が分かっただろう。何も、戦を止めることは無かったんだ。まあ、お前の父を斬ったのは悪かったが、俺には、この戦を遂行する義務があったんだ。お前の恨みは分かるが、今は大事の前の小事、俺に協力してくれんか」
 ヴァルミラはエスカミーリオを睨みつけた。
「お前の首を貰う方が先だ。グリセリードがどうなろうが、私の知ったことか」
「お前の父デロスが、国王からどれほどの恩義を受けたか、分かっているのか。武人は国のために命を投げ出すものだ。戦場を前にして敵に後ろを見せる武人は武人ではない。それを斬ったのがなぜ悪い」
 エスカミーリオもかっとなって言い返した。



このブログに私のノベライズがおいてあるが、私にとっては、中年以降にアニメの魅力、面白さに開眼した作品である。まさに、天才たちの才能が集結した、奇跡の作品だったと私は思っている。
TV版よりはOVA版のほうが質は高かった。それは、水原誠とイフリータ(アンドロイド)の「不可能な愛」の物語だったからだろう。


(以下引用)

OVA版
水原誠とイフリータを中心とした物語。

あらすじ
水原誠の通う県立東雲高校の地下に奇妙な遺跡が発見されたことから話は始まる。

第1話『混戦の世界エルハザード』
夜の学校で、誘われるかのように遺跡に入り込んだ水原誠は、遺跡の中から現れた女性イフリータによって異世界エルハザードに転送される。また、そのとき学校に居合わせた、生徒会長の陣内克彦とその妹で誠の級友の陣内菜々美、そして教師の藤沢真理、の3人もそれに巻き込まれてエルハザードに転送されてしまう。
エルハザードの地で誠は、ほぼ同一地点に転送された藤沢と共に、昆虫型種族バグロムに襲撃されていたロシュタリア王国第1王女ルーン・ヴェーナスと出会う。時空転移の際に「怪力」を身に付けた藤沢の活躍により、バグロムは撃退される。誠と藤沢はロシュタリア王宮に招かれるが、誠の容姿が数日前より行方不明のロシュタリア第2王女ファトラに生き写しだったため、誠はファトラ王女の替え玉になることを強要される。エルハザードでは人類がバグロムの攻勢を受けており、人類は同盟を結成してバグロムに対抗していた。同盟の盟主たるロシュタリアは、先史文明によって造られ封印された上空に浮かぶ巨大な球形の建造物、最終兵器「神の目」を擁していたが、その操作には王家の女性が2人必要とされており、目下のところ「神の目」を操作可能なのはルーン王女とファトラ王女の2人だけであった。もし、ファトラ王女が行方不明である事実が明るみに出れば、同盟諸侯の動揺が避けられない。「神の目」が時空間に作用する兵器ではないかと考えた誠は、自分たちが元の世界に帰る方法を探るため、ルーン王女への協力を承諾する。一方、バグロムの聖地に転送され、神の使いと誤解された陣内克彦は、バグロムの軍師に任じられ、エルハザード征服の野望に燃えていた。
第2話『美女の世界エルハザード』・第3話『温泉の世界エルハザード』・第4話『鬼神の世界エルハザード』
ルーン王女は諸侯の要求により、「神の目」の封印解除を司る3人の大神官を霊峰マルドゥーン山から招聘することを決定した。使者として派遣される誠。バグロムの襲撃や大神官達との行違いの末、聖地アーリマンの泉において、誠は3人の大神官との会見を果たす。また、偶然から誠と藤沢は陣内菜々美と再会するが、大神官達に誠の正体がばれてしまう。そんな中、陣内が先史文明のもうひとつの遺産である鬼神イフリータの奪取を画策し、それを防ぐために、3人の大神官は誠たちを引き連れてイフリータの眠る禁断の島に向かう。亜人類幻影族の介入の下、事態はバグロム優位に進行し、イフリータの支配権は陣内が掌握する。イフリータの姿を見た誠は、彼女が自分をエルハザードに転送した女性だと確信するが、起動したイフリータは誠のことを知らなかった。
第5話『雷鳴の世界エルハザード』・第6話『閃光の世界エルハザード』
イフリータの攻撃により壊滅的打撃を受ける同盟の戦線。誠は大神官達をともなってルーン王女の元に帰還し、「神の目」の封印解除が執り行われる。その夜、宴会の席において、菜々美は時空転移の際に獲得した「幻影族の幻術を見破る」能力により、ルーン王女の婚約者ガレスが幻影族であることを看破する。しかし、ガレスは誠の正体を諸侯に暴露し、ファトラ王女が幻影族に囚われていることを告げて逃亡する。折も折り、ロシュタリア王宮はイフリータの襲撃を受ける。迎え撃つ大神官達だったが、敗北を喫してしまう。そのとき、誠がイフリータに取り縋り、時空転移の際に獲得した「先史文明の機械と自分の精神を同調させることができる」能力を行使する。その結果、記憶を共有する誠とイフリータ。誠はイフリータが内心では殺戮と破壊を望んでいないことを知る。そして、誠の記憶を見たイフリータは動揺し、ロシュタリア王宮から撤退する。
ついにバグロム軍による同盟への総攻撃が始まった。次々と敗退する同盟軍。さらには、「神の目」の操作施設「天空の階段」が幻影族によって占拠されてしまう。幻影族はファトラ王女の心身を分析し、彼女を使用して「神の目」を動作させるシステムを構築していたのだ。
第7話『永遠の世界エルハザード』
幻影族は手中に納めた「神の目」を使ってエルハザード殲滅を試みるが、イフリータの活躍に阻まれ、ファトラ王女はバグロムの手に落ちる。陣内はファトラ王女の身柄と引き換えに、同盟に対して降伏を勧告する。それに対し、誠と藤沢、それに3人の大神官からなる救出隊がバグロムの要塞に突入する。囚われたファトラ王女の前で対峙する誠とイフリータ。誠はイフリータと接触し、自らの力を用いて彼女の中にある服従回路の解除を試みる。誠の試みは成功し、イフリータは心の自由を得る。ファトラ王女を救出した誠たちと共に脱出するイフリータだが、経年変化によって内部機構が劣化していた彼女は動作不全を起こしてしまう。
ファトラ王女を取り戻したものの、バグロム軍の前に同盟は陥落しつつあった。ルーン王女はファトラ王女と共に、幻影族から奪還した「神の目」を作動させ、起死回生を図る。撃破されるバグロム軍。しかし、制御装置に施されていた破壊工作によって「神の目」が暴走を始め、エルハザードは滅亡の危機に直面する。誠は自らの力を使って「神の目」の暴走を止めるため、「神の目」の内部に入ろうとするが、破滅を望むガレスとその側近に妨げられる。追い詰められる誠だが、動作を回復したイフリータによって助けられる。いまや、臨界に達した「神の目」を停止することは、その中心部にいる者が別の時空間に吹き飛ばされてしまうことを意味していた。イフリータは、誠をエルハザードに送り込んだのが自分自身であり、「神の目」の暴走を止めた結果、古代の地球に漂着することになるのだと悟る。そして彼女は、藤沢に誠を託し、「神の目」の中心部へと降下する。かくしてエルハザードは救われるが、イフリータは時空の彼方へと去ってしまう。
場面は再び学校に戻る。誠をエルハザードに転送した後、学校の中をあてもなく彷徨うイフリータ。彼女の活動エネルギーは尽きようとしていた。そんなイフリータの前に誠が迎えに現れて物語は幕を閉じる。
スタッフ
企画 - 真木太郎、三浦亨
監督 - 林宏樹
構成・脚本 - 月村了衛
キャラクターデザイン・総作画監督 - 中沢一登
デザインワークス・作画監督 - 渡辺浩二
美術監督 - 須江信人
色彩設計 - 川見拓也
撮影監督 - 佐藤均
音響監督 - 本田保則
音楽 - 長岡成貢
プロデューサー - 森尻和明、井上博明、長谷川康雄
アニメーション制作 - AIC
制作協力 - オニロ
製作 - PIONEER LDC
主題歌
第2話 - 第6話エンディングテーマ「BOYS BE FREE!」
作詞 - 枯堂夏子 / 作曲・編曲 - 長岡成貢 / 歌 - 小桜エツ子
第7話エンディングテーマ「ちいさな花」
作詞 - 枯堂夏子 / 作曲・編曲 - 長岡成貢 / 歌 - 天野由梨
各話リスト
話数 サブタイトル 絵コンテ 演出 作画監督 発売日
第一夜 混戦の世界エルハザード 林宏樹 西山明樹彦 渡辺浩二 1995年
5月26日
第二夜 美女の世界エルハザード 木宮茂 池田裕治 6月25日
第三夜 温泉の世界エルハザード 小沢一浩 越智信次 7月26日
第四夜 鬼神の世界エルハザード 林宏樹 渡辺浩二 8月26日
第五夜 雷鳴の世界エルハザード 木宮茂 池田裕治 9月26日
第六夜 閃光の世界エルハザード 小沢一浩 中山晴夫 星和伸 10月26日
第七夜 永遠の世界エルハザード 秋山勝仁
林宏樹
中沢一登 林宏樹 中沢一登
渡辺浩二 11月26日
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今朝、「ハンター×ハンター」のアニメの最終回まで見て、まあ、年内にと言うか、ネット接続がぶち切られる前に見終えることができて良かった。というのは、私は別ブログで右からも左からも嫌われそうで、特に世界支配層からは嫌われるような政治的な感想や思想の文章を書いているからである。まあ、私がネットブログランキングに登録していない理由もそれで、ひとりでも、私の書いた文章を読んで同感する人や面白く思う人がいれば、それでブログを書く意味はあると思っているし、この「アンファニズム」が娯楽ブログであるのは言うまでもない。何より「自分自身の娯楽」だから、アホな記事を平気で書いているのである。

さて、本題だが、「HvsH」読者や視聴者でアンケートを取ったなら、その中の嫌いなキャラNo1は、おそらく敵キャラではなく、ゴンの親父のジンが断トツで1位になるだろうと私は思っている。最初の最初から私はその無責任さが大嫌いで、ゴンがあれほど彼を慕うのが不可解そのものだった。まあ、育児放棄されて会っていなかったから、彼への幻想が大きいのだろう、と理屈づけをしていたが、ハンター会長選挙でレオリオがジンを念能力で殴ってKOした時に会場のほぼ全員がレオリオに拍手喝采したシーンを見て、作者の富樫自身、ジンが「普通の人間には物凄く嫌われるタイプの人間だ」ということを熟知して描いていたのだな、と分かった。そして、なぜゴンがジンを慕うのか、ということの「作劇上の合理性」も、なんとなく理解できたかと思う。

それは、ジンもゴンも同じタイプの人間であり、それは「自分の好き勝手に生きたい」というのが根底にあるということだ。そしてそれは本音ではあらゆる人間の希望する生き方なのである。つまり、偽善を捨てたら、ジンのような「わがままで無責任な生き方」になるのが当然だということで、だが、それだとおそらく読者からも嫌われるのは確実だから、そこに「仲間だけはけっして裏切らない」というルールを付け加えたわけだ。つまり、ジャンプの「友情・努力・勝利」思想が「ハンター×ハンター」の作劇の根幹なのである。

まさに「遊びせんとや生まれけん。戯れせんとや生まれけん」というのが、この長大な作品のバックボーンなのである。

そういう意味では、このブログのタイトル「アンファニズム(子供主義)」も、「ハンター×ハンター」と同じ思想かもしれない。



第三十三章 オルランド家相続

 船の一室に閉じ込められたヴァルミラは、脱出の機会を窺っていた。もちろん、脱出して、父デロスの仇、エスカミーリオを殺すつもりである。
 部屋の戸の前に誰かが来た気配がした。ヴァルミラは、戸が開いたら、すぐに外に飛び出そうと身構えた。
「ヴァルミラ。私だ。マルシアスだ」
聞き慣れた声に、ヴァルミラは体の力を抜いた。
「いいか、ヴァルミラ、そのうち必ずここから助け出す。今は、無謀な事をせずに我慢するんだ」
言い終わると、マルシアスは部屋の前から遠ざかって行ったようである。
 ヴァルミラは溜め息をついて、部屋のベッドに身を横たえた。

 グリセリード軍の使者がアルカードに着いたのは、アスカルファン上陸から一週間後だった。その間、グリセリード軍はバルミアを東と西から挟む形でじっと待機していた。
「奴らはなぜ攻めてこないのだ」
アスカルファン軍総大将のジルベルト公爵は、いらいらと言った。
「この前バルミアを正面から攻めて全滅しているので、警戒しているのでしょう」
軍議の場に加わっているオズモンドが答える。
「あの、マルスとやらを警戒しているのか?」
「それが一番大きいでしょうな」
「重宝な男だ。是非、我がアルプ軍の弓兵に加えたいものだが、お主口利きしてくれぬか」
「弓兵ですって? 将軍の間違いでしょう」
「何を馬鹿な事を。たかが庶民の若僧ではないか」
「いや、失礼ながら、あなたより高い家柄です。オルランド家の嫡男です」
軍議の場にどよめきが走った。
「それはまことか、アンリ殿」
シャルル国王が、軍議の場に場違いそうに座っていたアンリに聞いた。
「い、いえ、何かそのような事を申し立てているそうですが、何の証拠も無いことで」
アンリは太った顔に脂汗を浮かべて言った。
「証拠は有るそうですよ。オルランド家に代代伝わるブルーダイヤモンドのペンダントをマルスは受け継いでいます。私もそれを見ています」
「そう言えば、そのダイヤの事は聞いた事がある。もしもそのペンダントが本物なら、オルランド家を継がせぬわけにはいかんだろうな」
シャルル国王の言葉に、アンリは真っ青になった。
 やがてマルスは国王から呼ばれてその前に証拠のペンダントを提出し、明らかにジルベールの息子であると認められた。マルスはアンリに、屋敷と領地以外の財産のすべてを譲り、自分はトリスターナと共にオルランドの屋敷に住むことだけしか求めなかった。これは、トリスターナのためであった。しかし、ジルベールの行方については相変わらず手掛かりは無かった。
「マルスさん、えらく出世したもんだねえ。ローラン家よりでかい家じゃないか」
マルスとトリスターナの新居に招待されたジョーイは、周りを物珍しげに見ながら言った。
「こんな大きな屋敷では、掃除するだけでも大変だ。僕にはケインの家の一部屋で十分だ」
マルスは溜め息をついて言った。ケインの店で弓矢作りの仕事をしていた女たちを家政婦として雇っているが、五人でもまだ足りないくらいなのである。
 マチルダは、マルスとトリスターナが同居している事に、少々心穏やかでなかった。ケインの家にいた時にもジーナという存在はあったが、身近にケインも、その妻のマリアもいたから監視の目はあった。しかし、この広大な屋敷で、しかも一家の主人であるマルスの行動を誰も制止はできないだろう。
 どんなに誠実な人間でも、男は男なんだから、魔が差すってこともあるわ、とマチルダは考えた。同じ屋根の下に、トリスターナのような美女がいて、むらむらと来ないほうがおかしいくらいよ。
「いい、マルス、もしもトリスターナさんとおかしな事になったら、私とはおしまいよ。よく覚えておいて」
「何を馬鹿な事を」
とマルスは答えたが、心の奥底には、マチルダの疑念を完全に否定できないものがあった。
それは、トリスターナと同じ屋根の下に住むということのわくわくする感じである。もちろん、マルスには、マチルダを裏切る気はまったく無い。しかし、心のときめきまでを抑えろというのは無理である。これも精神的な浮気という事にはなるのだろうが。
 オズモンドも、トリスターナが自分の家を出る事を残念がったが、こちらは、マルスの身の証が立った以上、トリスターナと共にオルランド家を引き継ぐのは当然だ、という考えだった。
 朝起きて、朝食の場にトリスターナがいる。それだけで、マルスは嬉しいものを感じるのである。これが一人きりの朝食なら、どんなに味気ない事だろう。
 下働きの女たちの間で、一体、マチルダとトリスターナ、どちらが最終的にマルスのお嫁さんになるのかという事が一大関心事になっている事をマルスとトリスターナの二人は知らない。
「そりゃあ、マチルダさんに決まってるさ。なにせ、れっきとした婚約者だもの。もう奥さん同然よ。この前の旅も一緒に行っているじゃない」
「甘いわね。男と女ってのは、なんだかんだ言っても、近くにいるかどうかよ。あんな美人が側にいて、手を出さなきゃあ、失礼だがマルス様は男じゃないね」
 台所の議論は、止まる所を知らなかった。



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