ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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その五十一 謎は解けた?
「ダマスコ薔薇とは淡紅色、アマランスは紫赤色、そして紫の愛の花とはもちろんヴァイオレット、紫色だ。見えない黄金の流れとは太陽の光線のこと、百合は分光されるまえの太陽光線の白色だ。このようなプリズムで、太陽光線を分光し、そのうちの三つの光、淡紅色、紫赤色、紫色の三つを再度集める。そのときにはサファイアを使ったレンズを用いる。すると、その焦点の結ばれたところに一つの印が現れると、こういうわけだ」
アンドレの説明にハンスたちは聞き入りました。
「つまり、サファイアの菫とはサファイアそのものだというわけですね。だから、光の方の紫には菫と言わずに、紫の愛の花と言ったのですか」
「そういうことだ。最初からサファイアと言えば、謎が簡単だからね。ただし、これは一つの仮説だし、光を分光したり集めたりする時の角度がまちがうと、像はできないかもしれない。それが、百合とアマランスは細心の世話を要するということの意味だろう」
「アマランスってなんのこと? 花の名前?」
アリーナが聞きました。
「そうだ。伝説の花だ。不死の花とも常世の花とも言われてる」
ハンスは、ふと思いついてアンドレに聞いてみました。
「この腕輪で太陽の光を分光することはできませんか」
それは、ブッダルタから貰った水晶の腕輪です。
アンドレはハンスからそれを受け取って、太陽にかざしました。すると、それでもやはり虹ができます。しかも、先ほどの三角形のプリズムの場合とは違った感じで分光されました。
「この方がいいかもしれないな」
アンドレは腕輪をハンスに返しました。
「これ以外の詩は、ほとんど解釈の必要なものはない。ソクラトンの詩は、天国の鍵のある国を示すものだし、ロンコンの詩は、その国の中のどこにあるかを示すものだ。つまり、君たちが考えたとおり、ロータシアのどこかに黄金の戸口から入る庭があり、そこには七つの噴水があるのだ。あとは詩の指示どおりにすればいい。ロレンゾの詩には疑問が残るが、これもその通りに解釈すればいいだろう。つまり、どこかの湖に投網を打って一匹の魚を得るのだ。その魚が、天国の鍵につながる印を持っているか、何かを飲み込んでいるということだろう。その湖には、水晶の湖という名前があるはずだ。ただし、古名、つまり昔の名前かもしれないから、湖には注意しておくことだ」
「魚の数を一千としているのは?」
チャックが、今一つ納得できないような顔で聞きました。
「多いというだけの意味だろう。つまり、輝く魚、本物のてがかりが得られるのは千に一つの可能性だ、ということを警告しているのだ」
その五十二 ソクラトン
アンドレにお礼を言ってスオミラを後にし、ハンスたち四人はソクラトンの住む森に向かいました。
深い雪に埋もれた森の中にソクラトンの家はありました。チャックが言っていたとおり、黒い松の木がまわりに何本か生えている小さな家です。
ハンスがドアをノックすると、中から「お入り」という声がしました。
ドアを開けると、暖炉で暖めた部屋の奥に、長椅子に横になっている老人がいます。老人といっても、まだ五十歳くらいでしょうか、頭ははげて、獅子っ鼻で赤ら顔の、非常にたくましい男です。顔はかなり不細工ですが、風格があり、目に強い光があります。
男はハンスたちに、さっさと戸をしめて中に入るように言いました。
「寒さは嫌いじゃないが、風邪はひきたくないからな。君たちも暖炉のそばにすわりなさい」
ハンスたちは言われたとおりにしました。
「チャックもいっしょか。一体何の用かな」
「ソクラトンさん。天国の鍵がもう少しで見つかりそうなんです。あなたのところにサファイアはありますか?」
チャックが代表でソクラトンに言いました。
「サファイア? そんなものは持っとらんよ」
アンドレの推理はいきなりおおはずれです。もっとも、アンドレはヘルメスの出没するところが必ずしもソクラトンのところだとは言っていませんでしたが。
「では、このへんに薔薇や百合や菫は生えてますか?」
「さあな、百合はあったが、薔薇はどうだったか。菫など気にとめたこともない。それに、今は冬で花などない」
ハンスはソクラトンに、これまでのいきさつを話しました。もちろん、四つの詩もです。
ソクラトンは面白そうにその話を聞いていましたが、ハンスの話が終わると、首を横に振りました。
「そのアンドレという男は、賢いが哲学者ではないな。物事を物質的にとらえすぎとる。
ダマスコ薔薇は知恵の象徴、百合は道徳の象徴、紫の愛の花はそのまま愛の象徴であろう。
叡智の森とは、我々の頭の中、心の中のことだ。そしてそこは常に無知の影がおおっている。赤い太陽が真理を表し、その真理に照らされて我々の生は黄金の流れとなるのだ。そして、真理に生きるものの生命は永遠だが、純潔貞潔な心を保ちつづけることは容易ではない、ということだ」
ソクラトンはあっさりと詩の謎解きをしました。
「では、竜のいる七つの噴水のある庭とは何のことです?」
チャックが聞きました。
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