- 2018年02月11日 22:26
- ID:..qILcWF0
- 「ケンカになってぶん殴った」じゃなく「ぶん殴ったらケンカになった」というぶん殴るのは当然みたいな言い草に草生える
下の描写は、作者自身、小宮山というキャラが大好きだ、ということ、小宮山は時々天使になる、ということを明確に示している。
わたモテの全巻を通じて、一二番に好きなコマだ。(キャラが可愛いコマは無数にある。特に最近の吉田さんのコマはだいたい可愛いか魅力的だ。)
吉田さんの美しい微笑みと、言っている内容のアホさのギャップに思わず笑ってしまう。それに即座に突っ込む岡田さんも、実にいいキャラである。
「わたモテ」の大きな特長は、こうして解説付きで読むと面白さが倍増することで、それは、解説するだけの深い内容と繊細精密な描写をもともとこの漫画が持っているからだが、読者の多くは一読しただけではなかなかそれに気づかないのである。ある意味、漫画における、良い意味での「純文学(筋の面白さだけではなく細部の表現自体が優れた作品)」と言えるだろう。
(以下引用)
一方、二人が険悪なムードである事に気づいたのか「根元と喧嘩してんのか?」と声をかける吉田さん。
「あんたには関係ないでしょ」と突き放す岡田さんでしたが、「あるよ 私も一緒だ」と、岡田さんと同じ問題を抱えている事を明かします。
同じ痛みを抱えている人間が、一番その人の痛みを理解してあげられるものです。その点吉田さんは完璧な導入で、不幸なすれ違いから友人と喧嘩別れしたこと、そして自分は悪くない(?)ことを伝え、その上で「自分から折れてやるつもりだ」と、友人を許してやるつもりであることを口にします。
最初は突き放そうとしていた岡田さんでしたが、その吉田さんの大人な態度と真摯な言葉に耳を傾けます。
そして一体何があったのかの説明を求めますが……。
研ぎ澄まされたマジレスの刃が吉田さんを襲う──!!
吉田さんは超真面目に言ってるのでマジギレ、岡田さんも「ちょっと真面目に聞いちゃったじゃん!!時間返せ!!」とつかみ合いの言い争いに。
これはあれです、岡田さんの言っていることは至極そのとおりなんですが、吉田さんはピュアヤンキーなので判定を甘くしてあげないとですよね。
確かに吉田さんはこの遊園地に入ってから幾分か精神年齢が低下しつつありますが、岡田さんの事を思いやって「まあ、何があったのか知らねーけど根元のことを許してやれよ」と言いたかったのは確かですからね。とはいえ真剣に悩み、思い詰めているからこそ「そんなことかよ!悩みの次元が違うんだよ!」とつい言いたくなってしまったんでしょう。状況的にも精神的余裕はあまり無さそうですからね……。
しかし、うちゆりカップリングは無理筋だと思う。私も灰色ペンギンを殴りたい。「同じコマにいた!」と強弁するところが何とも……。
草
草
すき
私は欧米人のハグという習慣が大嫌いで、映画などで見るのも嫌いなのだが、唯一、素晴らしいハグシーンだな、と思うのが、わたモテの下のシーンである。
(「場末の。」から転載)
「あ……あの 私になんかやって欲しいこととかあります?」
「ふふふ 何それ?」
「い…いや お世話になってばかりだった… ので…」
と、他人のために自発的に何かをしたいという直接的な言葉を口にします(泣けてくる…)。自分では思いつかないけど、与えられてばかりだったので、何かで返したいという気持ちでいっぱいなのでしょう。
さて、果たして今江先輩のお願いとは何なのでしょうか?
それは、最後にもう一回もこっちを抱きしめることでした。
「もう一回?」
その言葉にピンと来ていないもこっち。
「ありがとう 会いに来てくれて。あの素直じゃない子にもよろしくね」
「は…はい」
それが今江先輩との最後の会話でした。
私も、下のコマを再読して(再見してと言うべきか)、ゆりの表情を熟視したが、やはり作画担当は表情の描き方が上手い。もこっちと吉田さんの名前を発見した時のほんのわずかな微笑で、その喜びが見事に表現され、しかも、その微笑をすぐに隠すところにゆりの面倒くさい性格がよく表れている。
実は、最初にこのコマを見た時は、ゆりがそこまでもこっちや吉田さんが好きだとは思っていなかったから、二人の名前を見た時のゆりの安堵が深く理解できなかったのだが、現在のネズミー篇で、6人で回っているのに、後から入ったネモと絵文字はほとんどゆりの頭の中で員数外の扱いであることで、ゆりがいかに「この4人であること」に執着しているかが分かった次第だ。いや、薄々は感じていたが、こうして過去のコマを見ると、実に見事に繋がっているなあ、と感心する。
なお、真子の名前を見た時のゆりは喜び以前に「助かった」という安堵感の表情であり、真子がゆりにとっては一種の救助ボート(あるいはライフガード)的存在であることが分かる。
面白いのは、ゆりの隣で呆然としている小宮山だが、その原因は何なのか。仲良しの伊藤さんとは同じクラスになったのだったか、別クラスになってしまったのか。それとも、もこっちと同じクラスになって愕然としたのか。あれこれ推測すること自体が楽しい、そういう漫画である。
チョコ渡しゆりちゃんかな~
お返しする人増えたね
「場末の。」という昨日から読み始めたわたモテサイト(と言うべきだろうか。)に載っていた、今江生徒会長と吉田さんともこっちのレアな絡みの部分である。「なんJ」のわたモテスレでは見たことが無いので、レアだと思う。吉田さんは一貫して吉田さんだ。よく言う、「男前」なヒロインである。最近は漫画のヒーローでも卑怯な奴やひねくれた奴が多くて、こういう男前なタイプは希少価値があるのではないか。
「(一緒に)帰る?」と、(特に挨拶する先輩とか居ないよね?)というニュアンスを含んでいるようにも感じる田村さんの誘い。
……ですが、もこっちは踏みとどまります。前回は勇気を振り絞ることができず、教室の中への一歩を踏み込むことができませんでしたが、言いよどみながらも「挨拶しときたい人がいる」と意思を伝えます。
小さいながらも、もこっちの前進を感じさせてくれる台詞です。
ですが……
今江先輩は既に大勢の生徒に囲まれていました。
「あの人だもんな いくらでも話したい人いるよな……」
「あの人だから」と納得できる理由。
それは、「生徒会長に当選するぐらいの人望がある」という、客観的事実による判断だけではありません。今江先輩が人格者であることをもこっちはよく知っています。
なぜなら一人ぼっちだった頃の自分をよく気にかけてくれた、貴重な存在だからです。
このもこっちの左手が、拳を象っているように見えます。溢れてくる何かの感情を堪えているかのようです……。
ここでも、もこっちは自分を卑下します。
あれほどの人望があるのだから、自分のような少し話した程度の関係の人間よりも話したい相手がたくさんいるだろうと、自分の「挨拶したい」という感情を堪えます。
今までのもこっちなら、この台詞を「なんか人多いし無理、逃げたい」という意思で使っていたかもしれません。
ですがこのもこっちの表情は、それとは大きく乖離しているように見えます。
そんなもこっちに近づく一つの影が……
吉田さんでした。
宝塚もびっくりの凛々しい表情……なんと言って良いのでしょうか。ヒーローです。
吉田さんは前回、教室の前で逃げるように立ち去るもこっちを見ています。
それに今江さんと吉田さんは以前、コンビニに入ったもこっちを待っている間に会話を交わしています。
「あなたが待ってくれてるし いいかな」
「……」
……もこっちに吉田さんという友達が出来たことを、今江先輩はちゃんと見届けていました。
踏ん切りのつかないもこっちの胸ぐらを掴む背中を押す存在として、これ以上の適任は存在しないでしょう。
「じゃあな」
吉田さんは口下手な女の子です。もこっちを送り届ける役目を終えるとすぐに踵を返してしまいました。
これはネット時代の新しい作者と読者の関係だろう。作者自身、ネットでの無数のコメントを参考にしながら作っているようにも思う。しかし、それは誰にでもできることではない。力量の無い作者なら、読者の意見に振り回されて、グダグダの話を作る始末になるだろう。
そして、わたモテの素晴らしいのは、作画担当の素晴らしい描写力である。画面の細部に至るまで神経の行き渡った作画であり、過去のコマとの関連が常に意識されている。昔、背景的にわずかに出てきた人物が、もこっちと関係が生じてくると人物として明確に浮き上がってくることもよくあるわけで、これはまさに現実の人間関係と同じである。つまり、自分の人生の主役である自分や、自分と絡む人物以外は、皆背景と同様なのである。しかし、実際はそれらの人物もそれぞれの人生の主役であることはもちろんだ。
そういう意味で一番私が面白いと思うのは、修学旅行で最初に宿に着いた時に、もこっち、ゆり、ヤンキー、うっちーが、みな、何の心のつながりもなく、所在なげにただ部屋にいる状態を描いたコマ(つまり、ここから8巻以降の怒涛の展開が始まる起点となるコマである。)であるが、下のコメントの中のコマも面白い。実に、それぞれの性格とその時の心理が正確に表された見事な一コマである。作者(作画担当)の力量は凄いとしか言いようがない。
特に、ネモとゆりの表情がいい。この時、ネモは岡田と喧嘩して、やや強引にこのメンバーに割り込んだ形だが、それでいて一番楽しそうな顔である、というのは心理的に考察すると面白いだろう。まこが、一番の親友であるゆりとではなく吉田さんと話しているというのも、彼女の親切な性格がよく表れていて面白い。つまり、一番危なそうなヤンキーを機嫌よくさせるのは自分の役割だ、と自然に考えて行動したのではないか。ゆりは、放っておかれても、グループの一員である限りはさほど文句はなく、むしろそれが気楽な性格だとまこには分かっているわけだ。ゆりの無表情は不機嫌の表れではなく、むしろ平常運転なのである。
ネモほんと楽しそう
ゆりが2人完全にシャットアウトしてるのすき
キバコの性格が如実に表れている。
真子は内心辟易しているわけだが、うっかり読むと、そういう細かい心理に気づかない読者も多いだろうし、この時点ではキバコが将来ああいう状態になると予想していた人も少ないだろう。しかし、改めて読むと、この4コマの中に将来の芽生えがきちんと描かれているのである。真子とゆりが親友であると知りながら、隣席のゆりを無視して真子にばかり話しかけているというところにキバコの性格の浅さがよく表れている。その点、その状況をはらはらしながら見ているもこっちの方がキバコよりは人間性に敏感な部分があるわけだ。
それが現在、なぜかもこっちを中心に太陽系あるいは星雲が出来ている、という状況につながっているのではないか。
もこっちの良さは何か、というのは案外誰も論じていない部分だが、偶然的部分もあるとはいえ、ネモやゆり、あるいは真子や吉田さん(ヤンキー)までも引き寄せる何かを持っているのは確かであり、それは「うわべだけのつきあいを本質的に嫌う」自尊心の高さのようなものではないか、という気がする。もちろん、クズな部分もたくさんあるのだが、「表面を飾って人間関係を維持する」ことに不快感を持つ人々には好感を持たれるところがあるわけだ。だから、加藤さんのようなスクールカースト上位の生徒でも、案外もこっちに好感を持っているのではないか。
なお、真子は、メンバーの中で一番、今江会長に近い聖人キャラだと思う。ただし、どこか違うのだが、それは多分、今江会長は本能的に行動しても間違わない聖人であるのに対し、真子はまだその域に達していない、というところかと思う。
キバ子はここで気づくしかなかったな
この後地獄編が待っているとはな