2、「育成も外国人も増やした」のうち「育成を増やした」ことは、長期的計画であり、今年の戦力向上になるものではない。「外国人を増やした」は、使える外国人が一人二人いればいいだけの話であり、それほどの大物外国人選手や有能外国人を取ったわけではない。
3、「監督が専任になった」は他球団では当然のことであり、恩着せがましく言うことではない。谷繁がまだ現役生活に自信があったなら、むしろ「谷繁捕手という戦力を失った」と言える。
5、「選手会長を代えた」も同様だ。戦力増強とはまったく無関係な話である。しかも、これは現場の専権事項のはずであり、編成(フロント)が口出しをしたなら現場無視、現場の邪魔をしただけだ。
映画「メジャーリーグ」の出だしの時のインディアンスさながらのどん底球団に中日は落ちぶれた。すべてオーナーとフロントの責任であり、このオーナーは球団を持つ資格は無い。
もっとも、選手の年俸高騰には私は批判的であり、このような「どケチ球団」が存在していてもいいとは思うが、岐阜の恥、名古屋の恥であると県民や市民は思わないのだろうか。
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- 監督休養の会見で無念の表情を見せる谷繁監督(撮影・前岡正明)
中日は9日、谷繁元信監督(45)の休養を発表した。成績不振の責任を取らせたもので事実上の解任。同日ヤクルト19回戦から森繁和ヘッドコーチ(61)が監督代行を務める。
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「しっぽ切り」と言われても仕方ない。3年前の監督就任時、谷繁監督は落合GMに言われた。「3年目からは好きにさせてやるから」。その3年目、事態は正反対に進んだ。
組閣やドラフトを含めた編成に監督が口をはさむ余地はなかった。GMが外部から招いたコーチを主要ポストに就けられ、監督が求めた1軍首脳は今回一緒に去る佐伯コーチくらい。お互いを信用できないベンチ内は冷え切っていた。監督と落合GMは1月から話していない。監督を含めた努力不足があった。
FA補強を狙っていたある選手に「あんな球団には行きたくない」と言われ、アマ選手の間で「中日以外の11球団希望」とやゆされる。トレードも成立しない。頼るべきはドラフトだったが、即戦力ばかりこの2年間で15人獲得し、誰も1軍定着していない。ゆがんだ現状を招いたのは、少なくとも監督ではない。
1月、白井オーナーは球団80周年での優勝を厳命した。昨年5位チームなのに準備不足は明らか。佐々木球団社長は戦力の不備について「そうは思っていない。若手に切り替え、育成も外国人も増やした。監督が専任になった。キャプテンを指名し、選手会長を代えた」と声を荒らげた。数年先まで見越したグラウンドデザインを誰が描いているのか。根本を見つめないと低迷期はまだまだ続く。【中日担当=柏原誠】