週刊少年ジャンプ3月1日号ヘタッピマンガ研究所R・STEP16「冨樫先生に突撃取材!」にて上記のように評されている冨樫義博の漫画の作り方とは?



冨樫流 漫画技法の理論化



冨樫 映画の脚本家の入門書なんかも読んで、そこにある技術を自分の中で消化したら自分なりの名前をつけたりしてね。いかにも私が考案しました!みたいにね。小説なんかだと時間がないから30ページくらいの短編をいっぱい読みました。筒井康隆さんとか最近だと平山夢明さんとか。



 

冨樫 忙しいと長編小説ってちょっとわずらわしくて、中断すると内容忘れちゃったりするから、次読むとき結局最初っから読むハメになっちゃう。どんどん短編中心になって、しまいにはホント2,3ページで終わるような短編に移ってったんですよ。むしろ自分の中でそれを長く伸ばすんだったらどう膨らますかとか、そんな事を考えながら楽しんでました。



 



映画の演出の技術からストーリの盛り上げ方を学び、短編小説を自分だったらどうおもしろくするか試行錯誤しながら読む。それを繰り返すことで【冨樫流】漫画技法の理論は完成した。




面白くない映画を見ろ!



冨樫 僕は最初担当さんに面白くない映画を沢山観ろって言われましたね。短編小説読むのと同じで自分ならこうする、こうすれば面白くなるっていうのを観ながら考えてメモっていくんですよ。それはもう今後一切物語に没入して楽しむことはできないぞっていう覚悟の元にね。今では面白い映画もそういう観方しかできなくなったのは寂しいですけど。



 



冨樫 まぁ色んなモノを分析したり分類するのは大好きですけどね、たまにその分類に当てはまんないヤツをどーすればいいんだ!とかね。でもね、今言った訓練もあくまで僕はこうして来たってだけの話であって結局他の人には当てはまらなかったりするんですよ。自分なりの漫画作りのマニュアルを作った時にもそれは感じました。説明してもピンとこないって感想のアシさんもいましたからね。



 



冨樫 基本的にウソが好きなんですよね。そこにどれだけ説得力を持たせるかって所に力を注ぐ方で。その辺については僕なりのコツというか・・・遊びがあるんです。



 



冨樫 たとえばどこかで聞きかじったその世界の用語とか隠語とか、作中で使いたいな!と思ったときはなるべく自分で作った造語に置きかえたりして使うんです。そうして設定を組み上げていくと大ウソがポンとまぎれてももっともらしく思えたりするんですよ。



 



冨樫は取材を積極的には行わないらしい。それはウソが好きだからだ。本当の事よりもウソに説得力を持たすことに尽力する。冨樫はそれを遊びと表現する。




(続く)