ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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読む気も起こらない駄小説が続いてがっかりしている人もいるだろうから、その中で若い男、あるいは男の子向けに、人生の秘鑰(ひやく:秘密の鍵)をひとつ教えておく。
諸君の中には私同様、ボディビルを馬鹿にし、特にそのポージングを馬鹿にしている人も多いだろう。あれほどナルシズムの塊のような見ものはないからだ。
だが、ボディビルそのものがナルシズム(厳密にはナルシシズム)であるのは言うまでもないが、自己愛というのは人間の、いや動物すべての基本的本能で、馬鹿にするようなものではない。問題は、文明人はそれを隠すのが「他人に嫌われない」ために必要なだけである。なぜなら「自分大好き人間」なら、最後の瞬間には他人より自分を選ぶに決まっているからである。そういう人間を愛することは難しい。まあ、オカマなどもナルシズムの権化だが、あれは「見世物」だから許容されているのである。
で、本題に戻るが、ボディビルのポージングは、その名称で損しており、あれは「ポーズする」こと自体に意味があるのではなく、「体各部の筋肉を最大限に収縮させた(見かけ上は「膨らませた」)状態を数秒間、最低でも6秒間続ける」ことに意味があるのである。それによって、該当部分の筋肉は、組織の一部が破壊される。そして、その修復の段階で、体は「現状の筋肉では不十分だった」として、筋肉を少し増強するのである。これは三石巌博士の「医学常識はウソだらけ」という本の中に書いてある。筋肉は、常に「最大出力より少し余裕をもっている」のだが、それの「余裕分」の持続時間が5秒間なので、それを1秒でも過ぎると筋肉組織が破壊される。それが6秒間の持続の意味で、その破壊の後の増強によって筋肉は太くなるわけだ。
それが「ポージング」の真の意味である。
それを知れば、若いうちから「6秒間収縮」の生活習慣をつけることで、身体に「ファッションとしての筋肉」をつけることができる。これは回数には関わらないから、腕立て伏せなど回数をこなすような運動で筋肉をつけるのは無駄が多い行為であるわけだ。実際、喧嘩などにしても、勝負は一瞬でつくことも多いのだから「回数に頼る」動きはさほど実用性はないと思う。もちろん、持久力が必要なスポーツも多いが、ここでは実用性の話ではなく「ファッションとしての筋肉」の話が中心だ。
諸君の中には私同様、ボディビルを馬鹿にし、特にそのポージングを馬鹿にしている人も多いだろう。あれほどナルシズムの塊のような見ものはないからだ。
だが、ボディビルそのものがナルシズム(厳密にはナルシシズム)であるのは言うまでもないが、自己愛というのは人間の、いや動物すべての基本的本能で、馬鹿にするようなものではない。問題は、文明人はそれを隠すのが「他人に嫌われない」ために必要なだけである。なぜなら「自分大好き人間」なら、最後の瞬間には他人より自分を選ぶに決まっているからである。そういう人間を愛することは難しい。まあ、オカマなどもナルシズムの権化だが、あれは「見世物」だから許容されているのである。
で、本題に戻るが、ボディビルのポージングは、その名称で損しており、あれは「ポーズする」こと自体に意味があるのではなく、「体各部の筋肉を最大限に収縮させた(見かけ上は「膨らませた」)状態を数秒間、最低でも6秒間続ける」ことに意味があるのである。それによって、該当部分の筋肉は、組織の一部が破壊される。そして、その修復の段階で、体は「現状の筋肉では不十分だった」として、筋肉を少し増強するのである。これは三石巌博士の「医学常識はウソだらけ」という本の中に書いてある。筋肉は、常に「最大出力より少し余裕をもっている」のだが、それの「余裕分」の持続時間が5秒間なので、それを1秒でも過ぎると筋肉組織が破壊される。それが6秒間の持続の意味で、その破壊の後の増強によって筋肉は太くなるわけだ。
それが「ポージング」の真の意味である。
それを知れば、若いうちから「6秒間収縮」の生活習慣をつけることで、身体に「ファッションとしての筋肉」をつけることができる。これは回数には関わらないから、腕立て伏せなど回数をこなすような運動で筋肉をつけるのは無駄が多い行為であるわけだ。実際、喧嘩などにしても、勝負は一瞬でつくことも多いのだから「回数に頼る」動きはさほど実用性はないと思う。もちろん、持久力が必要なスポーツも多いが、ここでは実用性の話ではなく「ファッションとしての筋肉」の話が中心だ。
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風の中の鳥 (5)(6) 2016/07/20 (Wed)
第五章 山賊の後宮
二人が砦に入った時は、残る山賊は逃げ去った後だった。しかし、そこに二人は思いがけない物を見た。
砦の奥の部屋を開けると、そこに若い娘が二十人ほどもいたのであった。
山賊達に拐かされてきた娘たちであった。おそらく、この近辺の村の娘たちか、街道を旅する商人の娘だろう。
娘たちは、二人が山賊たちを倒した事を知って、歓声を上げた。
フリードとジグムントは、思いがけない光景に、目を見合わせた。
ジグムントは、さらに奥の部屋を探索し、留守番の山賊が持ち逃げし損なった財宝類を掻き集めてきて、それを娘たちの前にぶちまけた。
「お前達、山賊の慰み者となって傷物になった以上は、普通に結婚するのは難しいだろう。これを皆で分け、家への土産にするなり、商売の元手にするなりしたらよい。金さえあれば、結婚しようという馬鹿、いや、結婚相手も見つかるぞ」
娘たちは再び歓声を上げた。
「これこれ、奪い合いをするでない。公平に、公平にな」
ジグムントが娘たちに言う間に、フリードは物問いたげに自分の方を見ている娘に気が付いた。
「君は? どうして貰わないの」
娘は寂しげに微笑んだ。
「お金なんて。……自由になれただけで十分ですわ」
その娘は、娘たちの中でも特にきれいな顔をしているだけに、フリードは彼女に心引かれるものを感じた。
「あのう……」
その娘がフリードに言った。
「お願いがあります。図々しい願いかもしれませんが」
「どんな事ですか」
「私たちをそれぞれの家まで送って貰えないでしょうか。先ほど、二人逃げていったという話ですが、山賊はここ以外にもいます。家に戻る途中で山賊たちに遭えば私たちはまた連れ戻されてしまいますから」
フリードはジグムントの方を見た。
ジグムントは頷いた。
「よかろう。その娘さんの言う通りだ。このまま山賊に連れ戻されては、仏作って魂入れず、だからな」
古臭い俚諺でジグムントは娘の申し出を承諾した。
山賊達の馬は、全部で十三頭残っていて、その馬が役に立った。娘達を二人ずつ馬に乗せて旅をすることができたからである。
娘たちの数は、正確なところ、二十一人だった。皆、十人並み以上の顔をしているのは、ここに連れてきた娘たちの中で顔のまずい者は、最初に殺されていたからである。それを目の前で見せられた娘たちが山賊たちの意に従わざるを得なかったのは当然だろう。
その二十一人の娘たちをそれぞれの家に送り届けるのは、大変な苦労であったが、その苦労というのは、娘たちのお喋りのためであった。奴隷の身から解放された嬉しさからか、娘達はひばりのように陽気になってはしゃぎ、中にはフリードに大胆にモーションをかける(死語)娘もいる始末であった。そのへんは、娘とはいえ、山賊たちの夜の相手をしてきた娘たちであるから、女を知らないフリードに太刀打ちできるわけがない。しかし、フリードは、あの寂しげな顔の娘を意識して、他の娘とそういう関係になることができなかった。
ジグムントの方は、老人のくせにこの思わぬハーレム状態にすっかり大喜びである。娘達と卑猥な冗談に打ち興じて大笑いをしている。それどころか、夜にはどうも、娘たちの寝所に行って不埒な事をしているようである。
ともあれ、最後から二人目の娘を家に送り届けた時は、フリードはほっと一息つき、ジグムントは残念がった。
最後に残ったのがあの寂しげな顔の娘であったのは、フリードにとっては嬉しいことだった。
娘の名はマリアと言った。抜けるように色が白く、うるんだような大きな黒い瞳に長い黒髪。いかにも若い男が惚れそうな、絵に描いたような美少女である。
彼女は、フランシアの首都、パーリャの商人アキムの娘だということである。体が弱く、小さい頃から東の保養地で療養しながら成長し、体も丈夫になったので、都の両親の所へ戻ろうとする途中、山賊達に襲われたのであった。
第六章 憲法第九条?
山を下りてフランシアに入ってからすでに半月ほどが過ぎていた。あたりの風景は、ローラン国とはだいぶ違って平野が多く、田畑も多い。作物は小麦かライ麦が多いが、ブドウ畑も多く、またフリードが見たこともない作物も見られる。
季節は初夏で、爽やかな気候は旅には最適であり、しかも隣にマリアという美しい娘がいるので、若いフリードは幸福そのものだった。なにしろ、生まれてから十七になるまで育った村には、女は百人くらいしかいず、その中で適齢期の娘は十人くらい、となると、その中に美人のいる確率がゼロに近いことは言うまでもない。その中ではまあまあの顔をした娘が、自分こそがフリードの未来の嫁だと勝手に決め込んでフリードにまとわりついていたが、フリードはこの娘にもまったく興味は持てなかった。美人が一人もいない自分の村の女たちから推測して、彼が世の中の女全体に期待を持たなくなったのも当然だろう。マリアという娘の美しさは、彼の女性観そのものを変えるものであったのだ。
マリアは無口な娘で、自分から話をする事はほとんど無く、問われた事に答えるだけであったが、やはり山賊の女にされていた事が心の傷になっているのだろうと、フリードは彼女の心を推察していた。
娘たちをそれぞれの家に送り届ける度に馬が余っていったので、その余った馬は悪い馬から順に売り払っていき、ジグムントとフリードの懐には金がたっぷり出来ていた。この当時、馬は人間以上に価値があったのである。従って、九頭分の馬の代金というと、まず普通の町人なら一生遊んで暮らせるくらいの金額であった。
馬に乗っているお陰で、重い鎧を運ぶ苦労も無く、しかも山賊の根城にあった武器類には槍、剣、盾などもたっぷりあったので、フリードとジグムントの武器も今は充実していた。と言っても、それらの武器は、今の所、馬の背に乗せているだけだが。山賊の残した武器類は、もちろん二人が身につけるのに十分な以上にあったが、その大半は通りがかりの町で売り払い、金に換えてある。
「パーリャまでは、まだだいぶ遠いのですか」
フリードはジグムントに聞いた。
「そうだな。あと五日くらいかかるかな」
「やはり、広い国ですね。それに、平和そうだ」
「さあな。わしには、庶民が生活に満足しているようには見えんがな」
「そうですか?」
フリードは驚いて、小麦畑で畑仕事をしている人々を見直した。彼と目が合った百姓は、慌てて目を逸らした。フリードを騎士だと思って、恐れている様子である。
「そうですね。何か、びくびくしているみたいです」
「どこの国でもそうじゃよ。武器を持たぬ者たちは、武器を持った階級を恐れ、その意に従わざるを得んのだ。人間が人間らしく生きるには、この世の中では、武器を持つしかない」
「いいえ、違います」
珍しく、マリアが憤った口調で言った。
ジグムントは、大人しいマリアのこの反応に驚いて、彼女の顔を見た。
「皆が武器を持って争い合うなんて、間違ってますわ。皆が武器を捨てればいいのです」
ジグムントは、穏やかな微笑を浮かべてマリアを見た。
「お嬢さん、それは理想というものじゃよ。わしは今のこの世の中の話をしているのだ」
「分かってます。でも、人々が心に理想を持たないから、今の世の中があるのではないでしょうか。人々が、自分の欲望よりも良心を重んずるようにならないと、この世の中はいつまでたっても野獣の世界のままですわ」
ジグムントは肩をすくめて議論を打ち切った。この事は、長い隠者暮らしの間に何度も彼自身考えてきた事であり、結局は、人間性自体が変わらない限り、この世から暴力と闘争は無くならない、そして、世界中の人の人間性が変わることは不可能だというのが彼の結論だった。
人間性そのものを善とし、変わり得るものと考えるか、それとも悪とし、変わり得ないものと考えるかは、主観の問題であり、議論しても平行線を辿るだけであろう。
フリードも、大人しいマリアの、この激した態度に驚いたが、言葉を挟めずにいた。こちらは、この種の問題についてまったく考えた事も無かったからである。彼は善人だったが、反射神経の男であり、単純に自分がするべきだと思った事を反射的にするだけの人間であった。こういう人間は、自分の考えや行動について分析する習慣もないから、議論はできない。現代人なら、まったくの阿呆扱いされるタイプの人間、出世のできない人間である。むしろ、フリードたちのような腕力の時代に生まれたほうが良かった人間も、現代の人間の中にもたくさんいるだろう。作者自身、腕力は無いものの、口先で生きるよりは剣で生きたほうがずっといいと思っているのである。
やがてフリードたち一行の前に町が現れた。ローラン国なら首都になれる大きさだが、フランシアの町としては中くらいだろう。
「ビエンテの町じゃな。ここで休んでいくことにしよう」
ジグムントの言葉に、フリードとマリアは頷いた。
第三章 騎士への道
六畳ほどの大きさの室内には、大きな木箱のようなベッド以外には家具らしい物はない。部屋の壁には、聖者の像が棚に載っていて、お灯明が上げられている。窓から見えた明かりは、この灯明であった。
「御覧の通り、ここにはベッドは一つしかない。床に寝て貰うしかないが、それでもいいかね」
老人は、フリードをじっと見て言った。
老人は、年の頃は五十くらいだろうか。背が高く、肩幅が広く、まだ腰も曲がっていない。骨太のがっしりした体は、若い頃何かで鍛えたものらしく思われる。頭はてっぺんがほとんど禿げて、灰色の髪がその禿頭の周りを後光のように囲んでいるところは、何やら神々しい感じさえある。しかし、その目は、鋭かった。
「もちろん結構です。屋根と壁さえあれば、文句はありません」
「食事はパンと水しかないぞ」
「それも結構です。私が干し肉と炙り肉を持っていますから、それを一緒に食べましょう」
「ほう、炙り肉とは有り難い。ここのところ肉とは縁がなかったから、肉の味を忘れておったところだ」
老人は部屋の隅にあった大きな樽を運んできて、それを食卓にした。
「そのベッドに腰掛けなさい。わしはこっち側に座る」
樽の上に置かれた炙り肉を老人は手に取って、逞しい歯で噛みちぎった。まだ、歯が抜ける年ではなさそうだ。
「うむ、美味い。年は取っても、やはり肉より美味いものはない」
老人は美味そうに兎の炙り肉を食い尽くした。
「ところで、お前はどうしてこんな山の中を歩いておる」
「フランシアに行こうと思って旅をしているのです」
「ほほう、どうしてだ」
フリードは返事に困ったが、嘘をつくことに慣れていなかったので、つい本当の事を言ってしまった。
「実は、人を殺して逃げているのです」
「ほう、そんな無邪気な顔をして、お主は人殺しなのか。どんな事情で殺したのだ」
老人は面白そうな顔をした。フリードの言葉に驚いた様子はない。
フリードは、この老人が自分の人殺しの話を少しも怖がらないので、安心して、村を離れた事情を話した。
老人は、頷いた。
「そんな事か。それならお前には罪はない。父親を救うためにお前が役人に刃向かったのは、息子としては当然だ。だが、それでお主は居場所を失ったわけだな。そいつはとんだ災難だった。しかし、何が自分の幸いになるかは分からん。お前には、これからいいことがあるはずだ。お前は、いい顔をしている」
「あなたには、人の運命が分かるのですか? あなたは魔法使いですか?」
「そんなものではないが、人の運命は性格によるものだし、性格は人相に現れるものじゃ。悪相の善人などいた例はない。もっとも、美男がいい人相だというわけでもないがな。わしの知っている極悪人は、この上ない美男だったわい」
フリードは、老人の言葉の端々から、この老人が数奇な運命を送ってきた人間であるように感じた。
「あなたは、どんな方なのですか」
フリードは思い切って老人に尋ねた。
「おお、言い忘れておった。わしはジグムントと言って、フランシアの騎士だった者だ。長い間あちこちの戦場で人殺しをしてきたが、そんな暮らしに嫌気がさして、ここに籠もって隠者のような暮らしをしているのだ」
騎士と聞いて、フリードの目が輝いた。騎士になることは、フリードの長い間の憧れだったのである。
「騎士の身分を捨てるなんて、もったいない」
「なあに、お前だってその気になれば、すぐに騎士になれるさ。どこかの戦場に潜り込んで敵の大将の首を一つ上げればいい。それを手みやげに仕官するのだ」
「そんな簡単なものですか」
「どこの国王も、腕のいい騎士は欲しがっている。ただし、そのために金を使うのはいやがるから、鎧兜を自弁して、馬も自弁できるなら、いつでも騎士として召し抱えるさ」
「そんなものですか」
「そんなものだ。世の中というものは、表を見れば雁字搦めだが、いくらでも抜け道があるものさ」
ジグムントの言葉は、フリードを考え込ませた。自分は生まれた時から平民で、それ以外の身分になれるなどと考えたこともなかったが、そうではなかったのである。
「もしも、お前が騎士になりたいのなら、わしの武具をお前にやってもいいぞ。昔の記念に取って置いたが、どうせあの世までは持っていけん。先ほどの炙り肉の礼に、お前にやろう」
ジグムントは、ベッドにしている木箱の上のマットを上げて、木箱の蓋を開けた。
木箱の中から取り出したのは、見事な作りのプレートメイル、つまり、板金鎧である。兜や籠手もついている。木箱の奥から、老人はさらに、立派な剣を取り出した。
「どうだ。なかなか見事な剣であろう。戦場で何人もの敵を倒してきた業物だ」
老人が鞘から抜いた剣は、獣脂でも塗ってあったらしく、錆一つついてなかった。さすがに、研いでないだけ輝きは鈍かったが、いかにも実戦で使われた物らしい風格がある。
「今のわしでは、これだけの重さの鎧を着ては動けん。お前はなかなか逞しい体をしておるから、大丈夫だろう。どうだ、わしがお前の従者をしてやろうか」
「えっ」
フリードは自分の耳を疑った。
「いや、話をしているうちにもう一度世間を見たくなってきたのだ。このまま栗鼠や猿を相手に山の中で死んでいくのもつまらん。わしはお前の顔が気に入った。お前さえよければそうしてもいいが?」
「従者だなんて。私があなたの従者をするならともかく」
「騎士も従者も同じようなものだ。それに、この年では、騎士よりは従者の方がわしは気楽だ。戦場で命を賭けて戦うのはお前に任せる」
「分かりました。それなら、是非お願いします」
「だが、騎士になる以上は、いつ剣で命を落としても後悔するなよ」
「分かってます。剣一つで名を挙げるのは、ぼくの夢でしたから」
「本当のところ、戦場では、剣はあまり役に立たんよ。少なくとも、プレートメイルを着た相手には、長柄の斧か棍棒の方がよほど役に立つ。わしは、剣は、斬るよりも殴りつけるのに使ったものだ」
ジグムントは、剣を片手に颯爽と戦場を駆け巡る自分の姿を思い描いてうっとりとなっていたフリードの想像に水を掛けるような現実的なことを言った。
その晩のフリードの夢は、未来の自分が騎士の身なりで戦場に出ている姿だったが、敵の騎士(なぜかジグムントのような気がした)に棍棒で馬から叩き落とされるという、あまり威勢の良くないものだった。
第四章 山賊よりも山賊
翌日、朝食の後で、老人は自分の荷物をまとめ、フリードと共に小屋を出た。例の鎧兜は箱に収めてフリードが担ぐ。重さは、三十キロ、つまり子供一人分くらいあるだろうか。さすがの剛力のフリードも、この荷物を背負って山越えをすると考えると、気が滅入った。
「剣くらいはわしが持ってやろう」
ジグムントは、額に汗を浮かべているフリードの後から、気楽そうに歩いてくる。荷物は、杖のほかは、小さな皮袋を腰につけているだけだ。
「まったく、プレートメイルなどというものは、戦場以外では場所ふさぎなものだ。重ければ、捨ててもかまわんぞ」
老人の言葉にフリードは首を横に振った。こんな財産を、まさか捨てることができるわけがない。
「どこかで馬を手に入れたいところだが、山を越えるまではそれもまあ無理だな。疲れたら休むがいいぞ」
「いいえ、あなたこそ、無理なさらず」
礼儀正しいフリードは、老人を労る事を忘れないが、大荷物を背負ったフリードと、身軽なジグムントでは、どちらが従者か分からない。
荷物運びのほかに、フリードは食料の調達もしなければならない。木の枝に鳥がとまっていたりしたら、荷物を置いて弓を構える。
父親譲りの弓の腕でフリードが獲物を射止めるのを見たジグムントは、びっくりした。
「お主、凄い弓の腕だな。それだけの腕があれば、国王付きの弓隊に入れるぞ」
「いえ、私は、射撃手ではなく、騎士になりたいのです」
「まあ、確かに射撃手は、騎士より一段低く見られているからな」
ジグムントは、頷いて言った。
国境の山脈は、低いが広い。見渡す限り森林が続き、いつになれば出られるとも分からない。隣国フランシアへの山中の道はあるにはあるが、ここからはかなり離れているので、山の中を歩くしかない。
山に入って何日後か、フリードとジグムントは、山の中に不思議な物を見た。木を組んで作った要塞である。山の斜面を利用して作った小さな砦だ。規模から言えば多くても二、三十名くらいしか収容できないだろう。
「あれは?」
「うむ、おそらく山賊の砦だな。ここを根城にして、麓に出ていって強盗を働いているのだろう」
ジグムントは、フリードを見て、にやりと笑った。
「どうだ、一つ力試しをしてみんか?」
「力試し?」
「そうだ。二人で山賊共をやっつけるのだ」
「たった二人でですか?」
「そうさ。お前の弓の腕なら、遠くから何人か倒すことができる。相手の人数が五人以下になれば、二人でも何とかなるだろう。まあ、剣での戦いは任せておけ。プレートメイルさえ着ていれば、少々の剣の打撃には耐えられる。こっちが動くのも大変だがな。しかし、わしは弓は苦手だから、わしがプレートメイルを着て戦うしかあるまい。幸い、ここ数日の山歩きで、体調はいい。若い頃の半分くらいの力は出せるだろう」
若い頃の半分の力で、五人もの敵の相手ができるものかな、とフリードは疑わしく思ったが、ここはジグムントを信じることにした。山歩きをしていても、確かにジグムントの身のこなしは、相当な武術の達人であると見えたからである。
フリードとジグムントは、砦を見下ろす事の出来る崖の上に登って、砦の中を眺めた。柵で囲まれた砦の中には馬場があり、馬小屋がある。馬小屋には馬が五頭ほどいるようだ。しかし、山賊の人数が五人程度かどうかは分からない。山賊は今、仕事で「出張中」かもしれない。
「人間の数は?」
ジグムントがフリードに聞いた。老眼で遠視のジグムントだが、若いフリードの方が元猟師だけに遠くまで細かく見える。
「今いるのは二人です」
「少なすぎる。おそらく留守番だな。本隊が戻ってきた時に、人数が十人くらいなら、やることにしよう。それ以上は危険だ」
ジグムントはあくびをし、プレートメイルを着たまま、剣を抱いて木の根元に座り、居眠りを始めた。こういうところは年寄り臭いが、相当に剛胆でもある。
日がかなり斜めに傾いた頃、遠くから数頭の馬の足音が聞こえてきた。
ジグムントは目を開けてフリードを見た。
「来たな」
やがて視界の中に山賊たちの姿が入った。フリードは目を凝らして人数を数えた。夕陽を受けて、馬に乗った男達の鎖帷子や頭の鉢金の金具が輝いている。その身なりや人相の悪さは、やはり山賊以外の何者でもない。
「十二名です。砦の中の留守番を加えたら十四名。どうします?」
「十四名か。迷うところだな。……フリード、お前、矢で何人倒せると思う」
「七名か八名。やるなら、今です」
「よし、一か八かだ。行け! 矢を射るんだ」
頷いて、フリードは矢を射た。
その矢は、群れの先頭にいた悪党面の男の胸に突き立った。
男は驚いたような顔をして、馬から落ちた。
続けてフリードは矢を射る。二人目、三人目がそれぞれ胸にあるいは首に矢を受ける。
山賊達は周章狼狽して、馬の首を反対方向に向けるのもいれば、崖の上のフリードたちを見つけてそこに近づこうとする者もいる。
四人目、五人目と狙ったが、さすがに上からの矢を防ごうと盾を構える者もいて、なかなか倒せない。だが、こちらに近づこうとする者は、いい的だった。百歩以上の距離では外しても、五十歩くらい先の的をフリードが外すことは決してない。
ジグムントに言ったとおり、八人の人間を倒したところで、山賊たちの残りが崖の背後の斜面からフリードたちの所に登ってきた。砦の中の留守番を除いて、残り四人である。
「おっと、お前たちの相手はこのわしだ。フランシアにその人ありと名を知られたジグムントの剣を受けるがよい」
ジグムントは時代がかった台詞を吐いて、その前に立ちふさがった。
完全装備の騎士の姿を見た山賊たちは戸惑ったが、相手がたった二人と知っていきりたった。
「この野郎、俺達を相手にたった二人で戦おうとはいい度胸だ。膾に切り刻んでやる!」
こちらも陳腐な台詞で掛かってくる。
ジグムントはむしろ緩慢にも見える動きでその攻撃を受け止める。時には受け損ねて体に剣が当たるが、板金の鎧に当たっても相手の手が痺れるだけである。
一方、ジグムントが振り下ろし、切り払う剣は、山賊たちの薄い革製の防具や鎖帷子を物ともせず、山賊たちは次々に血しぶきを上げて倒されていった。やはり、力任せに剣を振るだけの山賊とは違い、剣の刃先がちゃんと合っているから斬れるのだろう。
フリードはその見事な剣さばきに見とれるばかりである。
ジグムントは、とうとうフリードが援護をするまでもなく、四人の山賊を一人で片づけたのであった。
「ジグムント、あなたは素晴らしい剣士だ!」
感激したフリードは、ジグムントに声を掛けた。
「なあに、昔執った杵柄という奴さ。だが、正直言って、少々草臥れた。腕の立つ相手があと一人いたら、やられたかもしれん」
ジグムントは肩で大きく息をついて地面に座り込んだ。三十キロもあるプレートメイルを着て三十分近く戦うのは、かなり大変な事のようだ。
「さて、砦の中の二人を片づけるか」
一休みした後、ジグムントは先に立って崖を降りていった。
記事中の「IS」が何か分からなかったが、「インフィニットストラトス」という名前を思い浮かべたら、後でそれらしいと分かった。で、それがどんな内容のラノベなのか、まったく想像ができない。挿絵が良くてオタク受けした作品らしい。まあ、ハーレム物ではないか、と想像している。
Zコメントを見ると、女房に嫌われて厭世的になっている雰囲気らしいが、それはつまり女房を愛しているということだろう。しかし、愛し返されない人格の持ち主だろうと想像できる。まあ、女房がどういう理由で彼と結婚したのか分からないが、女に嫌われたくらいで人生を「生きていても楽しくない」と思うのは、根本的な錯覚がありそうな気がする。恋愛というのは相手への幻想だというのは昔から言われていることだ。まあ、失恋が苦しいというのは分かる。
この作家が才能のある人物かどうかは知らないが、才能のある人で、精神的に「暗いもの」へのめり込むタイプの作家、クリエイターは結構いそうである。
(以下引用)
大人気作品を書いたラノベ作家さん、ガチでやばすぎる発言を投稿「新刊書いても金にならないからやらない。完結?知るかよ」「生きてて楽しいこともうないな」
follow us in feedly2024年09月10日11:30|コメント( 286 )|炎上 |漫画・アニメ等 |
インフィニット・ストラトス IS 作者 13巻 新刊 完結 弓弦イズル ラノベ 作家 鬱 妻 金に関連した画像-01
■ツイッターより
なにしに生きてるんだろ。よくわかんないな
お金にならない原稿なんか書くなってことか。じゃあもう何書いても無駄だ。
新作もあきらめよう。どうせお金にならないよ。
生きてて楽しいことなんかもうないな。しぬ勇気もないから困ったものだ。
金金金金、うるさいなあ。
IS13巻って義務感と責任感でずっと頭にあるけど、
じゃあ話は簡単だ。金にならないからやらない。おわり。
完結?しるかよ。金を産まないといけないんだから、
こっちは忙しくてそれどころじゃない。
つまんないなあ、生きててつまんないよ。
IS外伝も金を産まないのでもう書かないです。
生きてても金にならないのでしょうがない。遺産で妻が好きに生きたらいいよ。
なんなら再婚して幸せな家庭を持ってほしい。俺と関わったばっかりに
時間の無駄しただろう。それは本当に申し訳なく思う。
<このツイートへの反応>
またなんかやったのか
↑むしろ業界から干されてる事が確定した感じ
末路って感じだ!
バカなこと言ってないで普通の仕事で働け
もっと早くもっと誠実に仕事してれば金になったんじゃないですかね?
イラストガチャのおかげで一度分不相応な成功体験しちゃったからもう普通に活動するの耐えられないのかな
キャラデのおかげで成功したのを自分の手柄と勘違いした人の末路か
やっぱり小説家は書かないとな
おもしろけりゃ金になるよ
ISの原作を買ったのは人生の中の失敗上位だ
なんだあの駄作は
せっかく書けば書くだけ大金が入る環境にいたのに
なんで自分からそれを手放しちゃったんだろうなぁ
ISで金にならんのなら何やったって無理だろ
一度栄誉を掴んだら何やっても一生チヤホヤされるとでも思っていたのだろうか
何も書かない物書きとかなんの価値も無いのに
完結しるかよってのは既刊出してるとこも相手してくれないってことか
↑もう最終巻出さなくていいよって言われたっぽいからなよっぽどな事したんだろうな
↑もう原稿イラネって言われたからね
復活の可能性なしの打ち切りってことよ
小説書かない豚はただの豚だ
本当に性格と頭の悪い人なんだなあ…って印象しかない
こんな付き合いにくそうな人とよく結婚できたなと思っちゃう
やっぱ金目当てとかなんかな
昔やらかした奴の末路が気軽に観察できるのはいい環境だな
お仕事募集中ってのがまた笑える
ここまで悪評ついて誰か依頼してくるとでも思ってるのか
ゲーム配信してるしまだ余裕ありそうだが
末路って言っても一生豪遊しても余るくらい稼いだんだし
↑調子乗るタイプだしこの状態だともう使い切ったんじゃね?
↑金の底が見えてるからこうなってるのだろう
↑余ってないからこんなイライラしてるんだと思う
一番の稼ぎ時に働く気ゼロだった奴がお仕事募集とか言ってるんだ
もう余裕ねえんだろ
誰かと思えばISの人か
自分の手柄じゃないヒットを自分の手で叩き壊した男
完結してないどころか打ち切りどころか
もうお前の本を出したくないですって出版社から言われた
死刑宣告みたいなもんよ
ヒット当てた時調子乗らずに真面目にやってれば
大金持ちでいられただろうに勿体無い
調べてみたらシリーズ累計200万部ちょいくらいの感じか
豪遊は多分無理だな…
デスノートの作者も言ってたぜ
何か仕事しないと5年後には飢えて死にますって
未だに自分の価値と立場を勘違いしてるみたいだしもう治らないだろうな
もっと謙虚な性格だったら今頃は一切執筆しなくても
劇場アニメやらパチンコ版権やらでめっちゃいい人生送れただろうな
ハーレムアニメでこれより成功した作品なんてここ20年でも探すほうが難しいのに
働かないのを誰かのせいにする人って最低だよ単純に
裏で遊んでるとかじゃなくて毎日ゲーム配信してるのに何様だこいつ
作家は調子に乗るタイプでもいいけど働かない方向に調子に乗られたら迷惑なだけだからなあ
好き勝手やった結果が今じゃん
インフィニット・ストラトスといえば、一時代を築いた超絶大人気作品だぞ・・・
それを書いた作者が今やこれって・・・一体何があったんだよ・・・
aadogenaki
人気がある時に、コツコツ真面目に執筆し続けれていれば
今でも人気作品を生み出す名作家になれたんじゃないか・・・?
97b4526c
Zコメントを見ると、女房に嫌われて厭世的になっている雰囲気らしいが、それはつまり女房を愛しているということだろう。しかし、愛し返されない人格の持ち主だろうと想像できる。まあ、女房がどういう理由で彼と結婚したのか分からないが、女に嫌われたくらいで人生を「生きていても楽しくない」と思うのは、根本的な錯覚がありそうな気がする。恋愛というのは相手への幻想だというのは昔から言われていることだ。まあ、失恋が苦しいというのは分かる。
この作家が才能のある人物かどうかは知らないが、才能のある人で、精神的に「暗いもの」へのめり込むタイプの作家、クリエイターは結構いそうである。
(以下引用)
大人気作品を書いたラノベ作家さん、ガチでやばすぎる発言を投稿「新刊書いても金にならないからやらない。完結?知るかよ」「生きてて楽しいこともうないな」
follow us in feedly2024年09月10日11:30|コメント( 286 )|炎上 |漫画・アニメ等 |
インフィニット・ストラトス IS 作者 13巻 新刊 完結 弓弦イズル ラノベ 作家 鬱 妻 金に関連した画像-01
■ツイッターより
なにしに生きてるんだろ。よくわかんないな
お金にならない原稿なんか書くなってことか。じゃあもう何書いても無駄だ。
新作もあきらめよう。どうせお金にならないよ。
生きてて楽しいことなんかもうないな。しぬ勇気もないから困ったものだ。
金金金金、うるさいなあ。
IS13巻って義務感と責任感でずっと頭にあるけど、
じゃあ話は簡単だ。金にならないからやらない。おわり。
完結?しるかよ。金を産まないといけないんだから、
こっちは忙しくてそれどころじゃない。
つまんないなあ、生きててつまんないよ。
IS外伝も金を産まないのでもう書かないです。
生きてても金にならないのでしょうがない。遺産で妻が好きに生きたらいいよ。
なんなら再婚して幸せな家庭を持ってほしい。俺と関わったばっかりに
時間の無駄しただろう。それは本当に申し訳なく思う。
<このツイートへの反応>
またなんかやったのか
↑むしろ業界から干されてる事が確定した感じ
末路って感じだ!
バカなこと言ってないで普通の仕事で働け
もっと早くもっと誠実に仕事してれば金になったんじゃないですかね?
イラストガチャのおかげで一度分不相応な成功体験しちゃったからもう普通に活動するの耐えられないのかな
キャラデのおかげで成功したのを自分の手柄と勘違いした人の末路か
やっぱり小説家は書かないとな
おもしろけりゃ金になるよ
ISの原作を買ったのは人生の中の失敗上位だ
なんだあの駄作は
せっかく書けば書くだけ大金が入る環境にいたのに
なんで自分からそれを手放しちゃったんだろうなぁ
ISで金にならんのなら何やったって無理だろ
一度栄誉を掴んだら何やっても一生チヤホヤされるとでも思っていたのだろうか
何も書かない物書きとかなんの価値も無いのに
完結しるかよってのは既刊出してるとこも相手してくれないってことか
↑もう最終巻出さなくていいよって言われたっぽいからなよっぽどな事したんだろうな
↑もう原稿イラネって言われたからね
復活の可能性なしの打ち切りってことよ
小説書かない豚はただの豚だ
本当に性格と頭の悪い人なんだなあ…って印象しかない
こんな付き合いにくそうな人とよく結婚できたなと思っちゃう
やっぱ金目当てとかなんかな
昔やらかした奴の末路が気軽に観察できるのはいい環境だな
お仕事募集中ってのがまた笑える
ここまで悪評ついて誰か依頼してくるとでも思ってるのか
ゲーム配信してるしまだ余裕ありそうだが
末路って言っても一生豪遊しても余るくらい稼いだんだし
↑調子乗るタイプだしこの状態だともう使い切ったんじゃね?
↑金の底が見えてるからこうなってるのだろう
↑余ってないからこんなイライラしてるんだと思う
一番の稼ぎ時に働く気ゼロだった奴がお仕事募集とか言ってるんだ
もう余裕ねえんだろ
誰かと思えばISの人か
自分の手柄じゃないヒットを自分の手で叩き壊した男
完結してないどころか打ち切りどころか
もうお前の本を出したくないですって出版社から言われた
死刑宣告みたいなもんよ
ヒット当てた時調子乗らずに真面目にやってれば
大金持ちでいられただろうに勿体無い
調べてみたらシリーズ累計200万部ちょいくらいの感じか
豪遊は多分無理だな…
デスノートの作者も言ってたぜ
何か仕事しないと5年後には飢えて死にますって
未だに自分の価値と立場を勘違いしてるみたいだしもう治らないだろうな
もっと謙虚な性格だったら今頃は一切執筆しなくても
劇場アニメやらパチンコ版権やらでめっちゃいい人生送れただろうな
ハーレムアニメでこれより成功した作品なんてここ20年でも探すほうが難しいのに
働かないのを誰かのせいにする人って最低だよ単純に
裏で遊んでるとかじゃなくて毎日ゲーム配信してるのに何様だこいつ
作家は調子に乗るタイプでもいいけど働かない方向に調子に乗られたら迷惑なだけだからなあ
好き勝手やった結果が今じゃん
インフィニット・ストラトスといえば、一時代を築いた超絶大人気作品だぞ・・・
それを書いた作者が今やこれって・・・一体何があったんだよ・・・
aadogenaki
人気がある時に、コツコツ真面目に執筆し続けれていれば
今でも人気作品を生み出す名作家になれたんじゃないか・・・?
97b4526c
「負けイン」最新話は未視聴だが、そのスレッドのコメントにこういうのがあった。
「姫宮華恋」って、「マケイン」登場人物か? そうでないにしても、何だか聞き覚えのある名前である。で、「バストコーディネーター」って何だww アニメの特定キャラの「バストはこうでなければならない」と監督に力説して、キャラのバストを決定させる役職か? しかも、そのキャラ以外のバストにはまったく興味無しというww
(以下引用)
8. 金ぴか名無しさん2024年09月10日 00:53
最新話のスタッフロールに姫宮華恋バストコーディネーターって役職のスタッフが居て草
「姫宮華恋」って、「マケイン」登場人物か? そうでないにしても、何だか聞き覚えのある名前である。で、「バストコーディネーター」って何だww アニメの特定キャラの「バストはこうでなければならない」と監督に力説して、キャラのバストを決定させる役職か? しかも、そのキャラ以外のバストにはまったく興味無しというww
(以下引用)
8. 金ぴか名無しさん2024年09月10日 00:53
最新話のスタッフロールに姫宮華恋バストコーディネーターって役職のスタッフが居て草
風の中の鳥 (1)(2) 2016/07/18 (Mon)
第一章 脱出
今のポーランドに近いあたりに、ローラン国という小国があった。長いローマ帝国の支配の時代には国ですらなかったが、いつの頃からか、ルドルフという男がこの国の王となり、人々を支配し始めた。彼は西ローマの傭兵だった男であるが、十人ほどの仲間と語らってこの国で山賊を始め、やがてそれが数百人の武士団になったのである。そうなると、もはや彼らの支配に反抗できる人間は、百姓の中にはいない。もっとも、王と言っても、その暮らしぶりは、小さな荘園領主程度ではあったが、百姓以外の生き方を想像することもできない哀れな連中の中で王になろうというのは、良い思いつきだったと言えよう。
彼は国民に農耕や牧畜の収入や収穫の半分を上納することを命じた。その代わりに、自分たちが他の山賊や他国の侵略からお前達を護ってやるのだというわけだ。まるでどこかの国に居座っている占領国の軍隊みたいな言いぐさだが、それを信じている住民も多かった。国王様のお陰で安心して生活ができる。有り難いことだ、と拝む者さえ出てくる始末である。それがこの純朴な時代の人心だったのである。人々は神話や伝説を半分以上信じていたが、それと同様に宗教家や為政者の作り上げる大嘘も信じていた。
ルドルフは、大酒のみの乱暴者だったが、仲間には頭目としての能力を認められていた。第一に喧嘩が強いこと、第二に気前が良いことがその理由だが、もう一つ、彼の凶暴で執念深い性格が恐れられていたのが、彼が頭目になれた理由であった。人々を支配するには、愛情よりも恐怖が有効である、というのは、数百年後にマキアヴェリも書いている。
喧嘩は強いが、計算能力は無い連中のことだから、王国の経営は放漫そのものであった。徴収した膨大な年貢の穀物はろくな保管もされず王宮の穀物蔵に詰め込まれ、その大半が腐っていった。
この頃はすでにかなりな程度、貨幣は流通していたが、よその大きな国ならいざしらず、このような田舎国では年貢は当然物納である。しかし、王国の宮廷には、その物納された年貢を金に換えることのできる商才のある人間がいなかった。そこに目を付けたのが、この国の首都アルギアの商人ケスタであった。
彼は王に申し出て、自分がこの穀物を金に換えようと言った。王にしてみれば願ってもないことである。
ケスタが穀物を他国に売り払って、王に巨額の金を渡した時には、王は彼の手を握って感謝感激の体であった。その実、ケスタが穀物の販売代金の半分しか王に渡さなかったことなど、王は知らなかった。いずれにせよ、どうせ穀物蔵で腐っていたはずの穀物である。
やがてケスタはその財政能力を見込まれて、王の宰相となった。ケスタは年貢の穀物を外国に売り払い、王室と自分の懐を富ませたが、その年貢を払うために国民の大半が食うや食わずの有様であることなど歯牙にもかけなかった。このにわか貴族は、平民が年貢のために餓死したところで、自分たち貴族には関係ないことだ、と思っていたのである。成り上がりの人間の大方は、そういうものだ。成り上がりの代表、豊臣秀吉が、刀狩と検地で身分制度を固定し、自分のような成り上がりが二度と出てこられなくしたのは、いい例であろう。百姓上がりの人間だから、百姓に対して恵み深い政治をするだろうなどというのは、甘い期待というものである。自分と同じ人間が出てくる事を恐れた秀吉の為に、彼以降の百姓は、二度と百姓の身分から浮かび上がれなくなったわけである。
このローラン国の人口はわずか三十万人ほどである。国の大半は森林と野原と荒地と湖沼で、人間が住める耕作地は点在していたため、今なら、田舎の町程度の人口が、一つの国全体に散らばっていたわけだ。国には大きな町が三つ、中位の町が八つほど、小さな村が二十ほどあり、あとは村とも言えないような集落があちこちにあった。
そうした集落の中に、狩人の村があった。山奥の盆地にある、わずか五十軒ほどの集落だが、王室の収税人も、この集落の存在は知らなかった。だから、王室による収奪も無く、比較的平和に暮らしていたが、豊かだったわけではない。冬など、一月も山を探して一匹も獲物の無い時期もある。そうした時は、木の根や草の根を囓って生き延びるのである。
村には、村長がいた。村長というよりは、山の長である。狩りの名人で、百歩離れた所から木の上の栗鼠を矢で射ることができる。おそらく、常人の目には、百歩先の栗鼠など、姿も見えないだろう。
その村長には息子が二人いたが、その長男がこの話の主人公、フリードである。
フリードは、今年十七歳になる少年、いや、この時代ではもはや立派な青年である。背が高く、逞しい骨格をしていて、怪我をした大人一人を担いで半日以上山歩きができるくらい力が強く、持久力があった。山の民の常として、口数は少なく、穏和な性格だったが、決断が早く、思いこんだら梃子でも動かない頑固なところもある。顔だちは整っているが、滅多に笑わないため、愛嬌はあまりない。もともと田舎の人間、特に山の人間はあまり笑わないものだ。笑いは、文明の技術であり、自然に近い存在は笑わない。敵に対する軽蔑を表すために、誇張した笑いを笑うというのは、未開の人種でもあるが、日常的に笑うことなどはないのであり、田舎者は概して愛嬌には欠けるものである。
この集落に、ある日、王の収税人がやってきたことから、フリードの運命は大きく変わった。
二人の兵士を連れた王の収税人は、ムルドというこの狩人の村に対して、女たちが作る野菜の収穫、男たちの狩りの獲物の半分を王に差し出すように命令した。
村長のアギルはそれを穏やかに拒絶した。今でさえ生存に十分とは言えない収穫や獲物の半分も取られては、村人が生きていけるはずはないからだ。それに、獲物である動物の死体を、どのようにして納めるのか。
「獲物の皮をなめして、それを納めるのだ。肉は干し肉にすればよいではないか」
収税人の言葉に、アギルは首を横に振った。
「獲物は、我々が食っていくのにも足りないくらいだ。我々に飢えて死ねというのか」
「王の命令に背くというのか。ならば、兵士たちを差し向けて、お前たちを皆殺しにするぞ」
「それが王のすることか。王とはいったい何者なのだ。我々から獲物を取り上げる権利をなぜその男が持っているというのだ」
もちろん、この当時の人間が、権利などという抽象的な言葉を持っていたわけではないが、これは小説である。作者が、昔にふさわしい表現を思いつかない場合もあるのだから、これから先、会話の中に現代的な言葉がうっかり出てきても気にしないでいただきたい。
王の収税人は、背後に控えていた二人の兵士に合図をした。
「王の命令を聞かぬ者を、村長にしておくわけにはいかん。この者を捕らえよ」
二人の兵士は、剣を抜いて前に進み出た。
それを見て、アギルの後ろにいたフリードが前に飛び出した。
「やめろ、父に手を出すな!」
「邪魔をするなら、お前も殺す」
「やってみろ!」
フリードは、素早い動きで兵士の剣をかわし、その腕を小脇に挟むと、逆に取ってへし折った。
兵士は悲鳴を上げて腰を抜かした。
もう一人の兵士が斬りかかる前に、フリードは、腕を折った兵士から取り上げた剣を構えていた。剣を使うのは初めてだが、山刀で熊や猪と戦ったことは何度もある。
兵士の動きは、野生の獣の動きに比べれば、のろい。
斬りかかる剣を余裕をもってかわし、フリードは剣を横に薙ぎ払った。
兵士の首は宙に飛んで、収税人の足元に落ちた。
収税人は悲鳴を上げて逃げ出そうとしたが、その前に屈強な村人達が立ちふさがる。
「フリード、短慮だぞ。王の兵士は千人以上もいるという話だ。彼らを差し向けられては、我々はひとたまりもあるまい。ここはわしが何とかするから、お前はすぐここから逃げるのだ。いいか、この国の外に出て、身が安全だと分かるまでは絶対に帰ってくるなよ」
アギルは厳しい顔でフリードに言った。
「しかし、父上の身が危ないのでは」
「心配するな。わしは、お前の三倍も生きている。ここをどう処置すればいいかぐらい分かっている。さあ、わしを抱きしめてくれ。もしかしたら、これが永遠の別れになるかもしれん」
フリードは、涙を流しながら父を抱きしめた。
「お前の弟のヴァジルは、あと半月は猟から帰ってこない。別れを告げている暇はあるまい。あいつにはわしからよく言っておこう。では、行くがよい」
フリードは、父の言葉に頷いて、家に戻り、母に事情を告げて旅支度を整えるとすぐに村を出た。
背中には、山歩きに用いる皮袋を背負い、腰に山刀を下げて、肩に弓矢を掛け、手には肩ぐらいまでの長さの樫の木の杖を持っている。これが放浪の旅に出た時のフリードの姿だった。
(お母さんはきっと、僕がほんのわずかの間だけ身を隠すのだと思っているだろうな。しかし、もしかしたら、お母さんの顔を見るのも、これが最後かもしれない。お母さん、御免なさい)
フリードは、村を振り返りながら、心の中で母に謝った。
第二章 山の隠者
急ぎ足で山を下りていったフリードだが、国王の追っ手が来るとしても、まだだいぶ先の事である。この辺の山の地理に不案内な追っ手がフリードを捕まえるのは不可能に近い。人相書きなどで指名手配することもない時代であるから、現場さえ離れれば、一安心だ。
だが、これからは定住者であることをやめ、放浪の生活を送らねばならないことは、さすがにフリードに心細い感じを与えた。
フリードは、ローラン国の東にある首都アルギアとは反対の方向に向かって歩いていった。そのまま西に歩き続ければ、隣国フランシアに出る。だが、隣国との間は、深い森や山があちこちにあって、楽な道ではない。道そのものがほとんど無く、山や林、森の間を歩いている時間の方が長い。そして、その山や森には狼や熊がいた。旅人が多く通る街道には宿もあったが、フリードには宿に泊まる金は無かったので、もっぱら野宿をすることになる。森や山で木の実や草の実を取り、兎や鳥を矢で射て食べるのが、彼の唯一の食事である。もしも獲物がずっと無い場合は、そのままそこで飢え死にすることになる。
だが、三日ほど経つと、フリードの心には心細さはほとんど無くなり、自由で気楽な旅の生活を楽しむ余裕が生まれてきた。毎日違った風景と出会いながら暮らすのも面白い、という気持ちになってきたのである。こういった考えは、追い剥ぎや強盗など危険の多い旅を恐れ、必要以外にはほとんど旅をしなかった当時の人間としては、ジプシーを除いてはかなり珍しい部類に属しただろう。毎日が似たような作業の繰り返しである山の生活から、自由な空間の中に出た喜びを、今のフリードは味わっていたのであった。
季節は夏になったばかりで、まだまだ涼しく、吹き渡る風は心地よい。フリードは、歩いて汗をかくと、近くの小川や湖に、素っ裸で飛び込み、日を受けてきらきら光る冷たい水の中で泳いだ。そして魚を追い、野山で兎や野鼠を弓で射て食事にする。今の人間から見れば、毎日が遊びのような羨ましい生活だが、獲物がなければ明日にでも死ぬという厳しさが、その反面にはあるのである。
幾日かの旅の後、やがてフリードは、ローラン国と隣国を隔てる国境となっている、森に覆われた低い山脈に来た。ここを越えれば隣国のフランシア国である。フランシアはローラン国の二十倍ほどの大きさの国だ。森林国のローラン国とは違って平野が多く、農業も商業も発達しているという話である。そこで何とか生きていく手段を見つけることが出来るかもしれない。
山の麓で兎を三匹射たフリードは、それに岩塩をまぶしながらからからに火で炙って即席の薫製にした。山で獲物が見つからなければ、これが山を越える間の食料のすべてである。
フリードの皮袋の中には、火打ち石と干し肉、岩塩のほかに、革の細紐となめし革が入っている。なめし革は、民家で金か食料に換えるために家から持ってきたのである。そのほかに縫い物針が一本。これは、当時としては貴重な物である。皮や布があっても、針がなければそれを衣服や靴に仕立てることができない。針に限らず、金属製品は、すべて非常に高価であった。たとえば、フリードが腰に下げている山刀一本が、貂や狐の毛皮十枚にも相当した。もっとも、その毛皮一枚が、頭のいい商人の手を経て貴族に売られると、山刀数本分に化けたのだが、フリードたち田舎者には、そんなからくりは分からない。
この時代、平民には、職人と商人、百姓、山人、ジプシーなどがいたが、一般に商人、職人、百姓の順にいい暮らしをしていた。百姓の一部は山人よりはいい暮らしをし、他の一部は山人よりも惨めな暮らしをしていた。職人は百姓や狩人よりはましだから、職人になりたがる百姓は多かったが、自分で望んでもなれるとは限らない。当時すでにギルドが出来上がっており、既得権を守り、同業者数を増やさないように、そのギルドが職人世界を支配していた。まったく、人間というものは、自らの目先の欲のために、好んで、この世を狭く息苦しくしたがるものなのである。世の中が進むにつれて、すべてが法や規制で雁字搦めになっていくのは、大抵の場合、その規制によって利益を得る商人や、それと結託した官僚など一部の人間のためなのであって、けっして世の中全員のためではない。
山に入っていったフリードは、日が暮れてきたので、野宿できそうな場所を探した。
適当な場所を探しながら歩いていると、山の谷間に小屋が見えた。しかも、人がいるらしく、宵闇の中で、窓から明かりが漏れているのが見える。
あそこで一夜の宿を借りよう、とフリードは考えた。フリードの村では、村に迷い込んだ旅人に宿を貸すのは当たり前のことだったから、この家もきっと泊めてくれるだろうと無邪気に思ったのである。
丸太を組んで作った小さな小屋の扉をフリードは叩いた。
「どなたじゃな」
中からしわがれた声がした。中に住んでいるのは老人らしい。
「旅の者です。一晩、宿をお借りしたいのですが」
「……入りなされ。宿を貸すかどうかは、顔を見てからのことだ」
奇妙な事を言う男だな、と思いながらフリードは扉を開けた。
私の別ブログ(私はブログを4つ持っている)に載せてあった、「風の中の鳥」という冒険小説を転載する。作品内容は下の「前書き」で書いている。いわば、最近はやりの「異世界転生もの」の舞台となりがちな中世西洋を舞台とした「魔法抜きの『剣と魔法の物語』」である。駄弁の多い御伽噺、あるいはアホな西洋講談と言ってもいい。ある意味では「アンチ騎士物語」である。
2024年9月9日追記(1回2章で全21回の予定。ちょうど9月いっぱいで終わるか。まあ、新聞小説を読むような感じで読めばいいかと思う。その気になれば前の部分を読み直せるから新聞小説よりマシだろう。)
(以下自己引用)
「風の中の鳥」 前書き 2016/07/18 (Mon)
まだ、新しく何かを書く意欲が起こらないので、別ブログに収納してある古い作品を転載しておく。
「風の中の鳥」という、騎士物語の体裁を取った駄弁小説で、フィールディングの骨法で小説と随筆の混合物を目指したものだ。そのぶん、物語としてはいい加減だが、書いている間はけっこう楽しかった。その楽しさが読む人に少しでも伝わればいいのだが、この話の中では女性たちはたいてい非道な目に遭うので、それはあらかじめ注意しておく。何しろ、昔は女性が非道な目に遭っていた、というのは間違いの無い事実だから、それを西洋の「見かけだけの女性尊重」で誤魔化すほうがおかしいのである。
毎日1章ペースで書いた作品だが、転載はプロローグは別として毎日2章ずつやっていく。
プロローグ
世界の大半がまだ森林に覆われ、人々がまだ神と悪魔、天国と地獄を信じていた時代。人間の世界は小さかった。
海を渡る手段として大型帆船はまだ存在せず、羅針盤も無い状態では、海を隔てた大陸と大陸との交通はほとんど無く、地続きのヨーロッパとアジアの間の交通さえも、アレクサンダーの東征以来ほとんど無かった。まだ、ヨーロッパの王族貴族が、坊主どもの口車に乗って、十字軍遠征などという狂気の侵略行為を行う以前のことである。
森や山は静寂に包まれ、湖は水晶のように透き通り、谷川のせせらぎは清く美しかったが、自然は人間にとって後世のような賛美の対象ではなく、畏怖の対象であった。地表を覆う膨大な森林の木の根や岩石は農耕を拒絶し、人々は無限に広がる土地の中のほんの僅かな開墾地で耕作し、集落を作って生活していた。自然の災害は巨大であり、土地からの収穫は少なく、人々は絶えず飢えに直面しながら、自らのその状態を運命として大人しく受け入れて暮らしていたのであった。
そして、自然の中でも、人間の世界でも弱肉強食の暴力がすべてを支配していた。
人間の歴史が始まった頃、彼らの中で狡知と暴力の才能に恵まれた者たちは、徒党を組んで他の人々から物を奪い、人々を屈従させ、支配していったが、やがてこうした山賊野盗の末裔たちは、自分たちを王侯貴族と称し始めた。彼らは王侯貴族と庶民を区別し、生まれによる階級を作って、武器を持たない庶民からあらゆる物を取り上げ、税金や年貢を要求した。彼らはまた、自らの出自について様々な伝説を作り、自分たちは神に選ばれ、あるいはその優れた能力や人格のために人々の信託を受けて国を治めている階級なのだと人々に信じ込ませた。
長い時間のうちには、嘘も歴史になる。
こうして、世界には王侯貴族を主人公とした勇士や王者の物語が生まれた。名もない庶民たちも、自分たちとは一生縁のないそれらのロマンスに憧れ、長い冬の間、暖炉の炎の傍で古老や物知りの語る「高潔な」勇者たちの冒険談に聞き入った。
しかし、庶民の中でも明晰な頭脳を持った者は、この世の身分制度の成り立ちについて、真実を見抜いていた。要するに、暴力によってこれらの階級は作られ、維持されているに過ぎないのだと。とは言っても、一度定まった身分制度の枠を越えてのし上がるのは、容易な事ではない。この世の理不尽さに立ち向かう気概の無い、多くの平凡な庶民は、自らの生まれた身分を運命として受け入れ、それに従うだけであった。だが、まだ法の無かったこの時代には、いや、いつの時代でも実はそうではあるが、自らを何者と定義づけるかで、自分が何者であるかは決まったのであった。
これは、そうした時代に生まれ、天与の勇気と幸運に恵まれた一人の若者と、それを取り巻く人々の物語である。
2024年9月9日追記(1回2章で全21回の予定。ちょうど9月いっぱいで終わるか。まあ、新聞小説を読むような感じで読めばいいかと思う。その気になれば前の部分を読み直せるから新聞小説よりマシだろう。)
(以下自己引用)
「風の中の鳥」 前書き 2016/07/18 (Mon)
まだ、新しく何かを書く意欲が起こらないので、別ブログに収納してある古い作品を転載しておく。
「風の中の鳥」という、騎士物語の体裁を取った駄弁小説で、フィールディングの骨法で小説と随筆の混合物を目指したものだ。そのぶん、物語としてはいい加減だが、書いている間はけっこう楽しかった。その楽しさが読む人に少しでも伝わればいいのだが、この話の中では女性たちはたいてい非道な目に遭うので、それはあらかじめ注意しておく。何しろ、昔は女性が非道な目に遭っていた、というのは間違いの無い事実だから、それを西洋の「見かけだけの女性尊重」で誤魔化すほうがおかしいのである。
毎日1章ペースで書いた作品だが、転載はプロローグは別として毎日2章ずつやっていく。
プロローグ
世界の大半がまだ森林に覆われ、人々がまだ神と悪魔、天国と地獄を信じていた時代。人間の世界は小さかった。
海を渡る手段として大型帆船はまだ存在せず、羅針盤も無い状態では、海を隔てた大陸と大陸との交通はほとんど無く、地続きのヨーロッパとアジアの間の交通さえも、アレクサンダーの東征以来ほとんど無かった。まだ、ヨーロッパの王族貴族が、坊主どもの口車に乗って、十字軍遠征などという狂気の侵略行為を行う以前のことである。
森や山は静寂に包まれ、湖は水晶のように透き通り、谷川のせせらぎは清く美しかったが、自然は人間にとって後世のような賛美の対象ではなく、畏怖の対象であった。地表を覆う膨大な森林の木の根や岩石は農耕を拒絶し、人々は無限に広がる土地の中のほんの僅かな開墾地で耕作し、集落を作って生活していた。自然の災害は巨大であり、土地からの収穫は少なく、人々は絶えず飢えに直面しながら、自らのその状態を運命として大人しく受け入れて暮らしていたのであった。
そして、自然の中でも、人間の世界でも弱肉強食の暴力がすべてを支配していた。
人間の歴史が始まった頃、彼らの中で狡知と暴力の才能に恵まれた者たちは、徒党を組んで他の人々から物を奪い、人々を屈従させ、支配していったが、やがてこうした山賊野盗の末裔たちは、自分たちを王侯貴族と称し始めた。彼らは王侯貴族と庶民を区別し、生まれによる階級を作って、武器を持たない庶民からあらゆる物を取り上げ、税金や年貢を要求した。彼らはまた、自らの出自について様々な伝説を作り、自分たちは神に選ばれ、あるいはその優れた能力や人格のために人々の信託を受けて国を治めている階級なのだと人々に信じ込ませた。
長い時間のうちには、嘘も歴史になる。
こうして、世界には王侯貴族を主人公とした勇士や王者の物語が生まれた。名もない庶民たちも、自分たちとは一生縁のないそれらのロマンスに憧れ、長い冬の間、暖炉の炎の傍で古老や物知りの語る「高潔な」勇者たちの冒険談に聞き入った。
しかし、庶民の中でも明晰な頭脳を持った者は、この世の身分制度の成り立ちについて、真実を見抜いていた。要するに、暴力によってこれらの階級は作られ、維持されているに過ぎないのだと。とは言っても、一度定まった身分制度の枠を越えてのし上がるのは、容易な事ではない。この世の理不尽さに立ち向かう気概の無い、多くの平凡な庶民は、自らの生まれた身分を運命として受け入れ、それに従うだけであった。だが、まだ法の無かったこの時代には、いや、いつの時代でも実はそうではあるが、自らを何者と定義づけるかで、自分が何者であるかは決まったのであった。
これは、そうした時代に生まれ、天与の勇気と幸運に恵まれた一人の若者と、それを取り巻く人々の物語である。
コメント5ではないが、幻想水滸伝2は「隠れもない名作」である。
私は、さほどゲーム数は経験がないが、やった中では
東横綱 ドラクエ3 西横綱 幻水2
東大関 FFタクティクス 西大関 ヴァンダルハーツ
である。ヴァンダルハーツは絵柄がひどいが、それを我慢すれば、ゲーム性は最高に良くできている。
幻想水滸伝3は、2が良すぎたために叩かれているだけで、非常に優れたゲームである。3Dキャラだが、キャラがすべて可愛い。これはキャラ絵を描いた絵師の腕である。幻水2と同じ絵師。
東横綱のドラクエ3は、これまで100周くらいして、今でもやっている。100周しても、時々新しい発見(たとえば雷神の剣を敵が落としたりする。)があるし、いろいろ試すのが楽しい。たとえば、キャラ名をリナとガウリーにして、ふたりだけで旅したり、いろいろ転職して最強パターンを探したり。だいたいLV50くらいでラスボスを倒すことは可能なので、あまり急がないで、旅を楽しむことだ。カネも無く、レベルも低いころが一番楽しいとも言えるのだから。
東大関のFFTも、10周か20周したと思う。ただし、完走したのは2回くらいしかない。最後の戦闘のあたりでは敵が異常に強いので、ゲームバランスがあまり良くない気がする。それに、アグリアスが、敵としては魅力的だのに、仲間にするとさほど強くないので、途中から別メンバーにするしかないのが残念だ。まあ、これは多くのゲームに良く見られる傾向だ。ちなみに、アグリアスは「くっ殺」の元祖だという噂があるが、まあ、そういう妄想はRPGプレイヤーのよくある話だ。
(以下引用)
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
2024/09/09/ 00:35
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
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1: 名無しさん ID:NDLY0qS30
マジで面白いからおすすめ
2: 名無しさん ID:pwDDw4X60
テンガアールすき
4: 名無しさん ID:GUxQvk890
ほーん、どんなゲームなん
8: 名無しさん ID:NDLY0qS30
>>4
RPGでストーリーが良い
5: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
隠れてはないだろ
続編がコケ続けただけで
7: 名無しさん ID:NlVYMBD70
通してくれない門番を大人の話で通れるようにした所で興奮した
9: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
ナナミ最高のお姉ちゃんだよな
11: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
1の主人公がクソ強いが隠居生活してるのがなんか淋しい
13: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
>>11
でも108エンドの主人公ってわかるから悪くないだろ
14: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
>>13
確かに側近の人が生きてるもんな
それは良いと思った
12: 名無しさん ID:MHv+9CMi0
主人公とジョウイのおさななじみ攻撃好き
15: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
出来ればグレミオもパーティーに入って欲しかった
16: 名無しさん ID:NDLY0qS30
ルカブライト戦もめっちゃ良かった
これぞボスって感じの総力戦もすごかったわ
18: 名無しさん ID:0rWnmKJ40
プレイ前俺「姉萌えとか、ねえわ」
後「うおおおおおナナミいいいいいい(姉燃え)」
19: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
俺は!俺が思うまま俺が望むまま邪悪であったぞ!
17: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
紋章の術と術組み合わせて強力な術発動させるの好きだった ソウルイーターくらいしか覚えてないが
20: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
あぁ2の話か間違えたわ
22: 名無しさん ID:M5tV3wRY0
>>20
1も2も合成術とソウルイーターあるから間違いじゃないぞ
21: 名無しさん ID:HdrFTzqj0
リマスターまだ?
24: 名無しさん ID:T2d8CNLC0
1→2は凄かったのに、3で一気に死んだ
私は、さほどゲーム数は経験がないが、やった中では
東横綱 ドラクエ3 西横綱 幻水2
東大関 FFタクティクス 西大関 ヴァンダルハーツ
である。ヴァンダルハーツは絵柄がひどいが、それを我慢すれば、ゲーム性は最高に良くできている。
幻想水滸伝3は、2が良すぎたために叩かれているだけで、非常に優れたゲームである。3Dキャラだが、キャラがすべて可愛い。これはキャラ絵を描いた絵師の腕である。幻水2と同じ絵師。
東横綱のドラクエ3は、これまで100周くらいして、今でもやっている。100周しても、時々新しい発見(たとえば雷神の剣を敵が落としたりする。)があるし、いろいろ試すのが楽しい。たとえば、キャラ名をリナとガウリーにして、ふたりだけで旅したり、いろいろ転職して最強パターンを探したり。だいたいLV50くらいでラスボスを倒すことは可能なので、あまり急がないで、旅を楽しむことだ。カネも無く、レベルも低いころが一番楽しいとも言えるのだから。
東大関のFFTも、10周か20周したと思う。ただし、完走したのは2回くらいしかない。最後の戦闘のあたりでは敵が異常に強いので、ゲームバランスがあまり良くない気がする。それに、アグリアスが、敵としては魅力的だのに、仲間にするとさほど強くないので、途中から別メンバーにするしかないのが残念だ。まあ、これは多くのゲームに良く見られる傾向だ。ちなみに、アグリアスは「くっ殺」の元祖だという噂があるが、まあ、そういう妄想はRPGプレイヤーのよくある話だ。
(以下引用)
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
2024/09/09/ 00:35
『幻想水滸伝2』とかいう隠れた名作ゲーム
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1: 名無しさん ID:NDLY0qS30
マジで面白いからおすすめ
2: 名無しさん ID:pwDDw4X60
テンガアールすき
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ほーん、どんなゲームなん
8: 名無しさん ID:NDLY0qS30
>>4
RPGでストーリーが良い
5: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
隠れてはないだろ
続編がコケ続けただけで
7: 名無しさん ID:NlVYMBD70
通してくれない門番を大人の話で通れるようにした所で興奮した
9: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
ナナミ最高のお姉ちゃんだよな
11: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
1の主人公がクソ強いが隠居生活してるのがなんか淋しい
13: 名無しさん ID:n3kkCX3i0
>>11
でも108エンドの主人公ってわかるから悪くないだろ
14: 名無しさん ID:XuOmg4aJ0
>>13
確かに側近の人が生きてるもんな
それは良いと思った
12: 名無しさん ID:MHv+9CMi0
主人公とジョウイのおさななじみ攻撃好き
15: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
出来ればグレミオもパーティーに入って欲しかった
16: 名無しさん ID:NDLY0qS30
ルカブライト戦もめっちゃ良かった
これぞボスって感じの総力戦もすごかったわ
18: 名無しさん ID:0rWnmKJ40
プレイ前俺「姉萌えとか、ねえわ」
後「うおおおおおナナミいいいいいい(姉燃え)」
19: 名無しさん ID:LDu6ix+K0
俺は!俺が思うまま俺が望むまま邪悪であったぞ!
17: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
紋章の術と術組み合わせて強力な術発動させるの好きだった ソウルイーターくらいしか覚えてないが
20: 名無しさん ID:CLyKLZwj0
あぁ2の話か間違えたわ
22: 名無しさん ID:M5tV3wRY0
>>20
1も2も合成術とソウルイーターあるから間違いじゃないぞ
21: 名無しさん ID:HdrFTzqj0
リマスターまだ?
24: 名無しさん ID:T2d8CNLC0
1→2は凄かったのに、3で一気に死んだ
まあ、里崎の発言は基本的には正論だろう。コントロールがいいと言われていた北別府が、「自分は(ストライクゾーン)4分割で投げている」と言っていたらしいし、投手が140キロ以上の球をストライクゾーンに投げられるだけでもたいしたものではないか。
ただし、「構えたとこに来ないよ」の意味が問題で、「構えたとこ」=「要求したとこ」とするなら、投手が、捕手の構えたミットにズバリと投げ込む「9分割」レベルの異常な制球力を持っていないと不可能な話になる。そんな投手はプロでもひとりもいないのではないか。おそらく、「構えたとこ」とはサイン交換時点で要求したところの意味だろう。つまり、(ど真ん中を除く)「4分割」であり、ミットの位置は、「おおよその目安、投げる補助としての的」だろう。
そして、サイン通りのコースに投手が投げて打たれたら、それは捕手の責任になる。投手が「考えなくて済む」ように、捕手がサインを出すのが捕手の仕事であり、打たれた責任の半分は捕手にあるはずだ。
2024年09月08日
里崎「なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?」wwwwwww
スクリーンショット 2024-09-08 21.13.16
584: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:43:31.87 ID:NN9TJLDX0
ー最近は捕手別勝率みたいな数字もありますが
里崎 僕が清水(直)や渡辺(俊)と組んでたら勝てますよ。捕手の勝ち負けってのはそういうこと。そもそも負けた試合はその日投げた投手とその他野手の責任でしょ?なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?
大事な試合、優勝決定試合とか日本シリーズにいるキャッチャーが価値のあるキャッチャーです。自分が打てるか、優勝するかです。
613: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:44:35.25 ID:QqhskrUV0
>>584
里崎が言っても説得力薄いやろ
てか捕手が投手のせいにしたら信用関係とか無くなると思う
639: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:45:18.19 ID:6SHPwXlO0
>>613
里崎理論が当てはまるなら益々梅阪なんか要らんねんな
打てへんし刺せへんのやから
720: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:46:45.26 ID:uBhC4zmp0
>>639
里崎は「阪神の梅野坂本論争、どっちもアレやしもうどっちでもいい」ってはっきり言ってたな
751: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:47:18.16 ID:DooMoY5K0
>>720
つまりどちらも論争に値しないと
ただし、「構えたとこに来ないよ」の意味が問題で、「構えたとこ」=「要求したとこ」とするなら、投手が、捕手の構えたミットにズバリと投げ込む「9分割」レベルの異常な制球力を持っていないと不可能な話になる。そんな投手はプロでもひとりもいないのではないか。おそらく、「構えたとこ」とはサイン交換時点で要求したところの意味だろう。つまり、(ど真ん中を除く)「4分割」であり、ミットの位置は、「おおよその目安、投げる補助としての的」だろう。
そして、サイン通りのコースに投手が投げて打たれたら、それは捕手の責任になる。投手が「考えなくて済む」ように、捕手がサインを出すのが捕手の仕事であり、打たれた責任の半分は捕手にあるはずだ。
2024年09月08日
里崎「なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?」wwwwwww
スクリーンショット 2024-09-08 21.13.16
584: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:43:31.87 ID:NN9TJLDX0
ー最近は捕手別勝率みたいな数字もありますが
里崎 僕が清水(直)や渡辺(俊)と組んでたら勝てますよ。捕手の勝ち負けってのはそういうこと。そもそも負けた試合はその日投げた投手とその他野手の責任でしょ?なんで負けた時だけキャッチャーのせいになるの?構えたとこに来ないよ?投手も首振れるよ?
大事な試合、優勝決定試合とか日本シリーズにいるキャッチャーが価値のあるキャッチャーです。自分が打てるか、優勝するかです。
613: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:44:35.25 ID:QqhskrUV0
>>584
里崎が言っても説得力薄いやろ
てか捕手が投手のせいにしたら信用関係とか無くなると思う
639: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:45:18.19 ID:6SHPwXlO0
>>613
里崎理論が当てはまるなら益々梅阪なんか要らんねんな
打てへんし刺せへんのやから
720: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:46:45.26 ID:uBhC4zmp0
>>639
里崎は「阪神の梅野坂本論争、どっちもアレやしもうどっちでもいい」ってはっきり言ってたな
751: 風吹けば名無し 2024/09/08(日) 19:47:18.16 ID:DooMoY5K0
>>720
つまりどちらも論争に値しないと
町の名は (4)-1 2016/07/15 (Fri)
(4)
12月25日の朝、刑士郎は早めにチェックアウトしてホテルを出た。
彼が、アジトとしているマンションに着いたのは12時少し過ぎだった。
「おう、大丈夫だったか。旭組に襲われたそうじゃないか。心配してたよ」
大石大悟は本気で心配している顔で彼を迎えた。
「準備はすべていいか」
「ああ、総会が始まったら、ここから迫撃砲のタマをあの屋敷にぶちこむ」
「いや、始まったら、ではダメだ。始まって、少し待て」
「なぜだ?」
「面白いことになるはずだからだ」
「と言うと?」
「旭組が、あの屋敷に殴りこんでくると思う」
「なぜ、それが分かる」
「俺がそう仕組んだからだ。昨日、旭組の親分の高校生の息子を誘拐して、今朝旭組に手紙を放り込んできた。明治会が、自分たちが誘拐をしたから、悔しかったら奪い返しに来い、と挑戦状を叩きつけた、という体裁の手紙だ」
「息子はどこにいる」
「女子高生強姦事件の犯人だ、という名目で井上巡査が留置所に入れている。実際、そうかもしれんがね。だが、まあ、逮捕した時は、私も井上巡査も私服だったから、目撃者には逮捕ではなく誘拐に見えていたはずだ。今頃、旭組の中は右往左往、議論百出だろうが、殴り込み賛成派が反対派を抑えると思うよ。他人に舐められたらヤクザは終わりだからな」
「だが、相手がてぐすねひいて待ち構えているところに殴りこむかねえ」
「あんたのような元自衛官と、ヤクザの思考形態は違うさ。連中は戦略よりも面子で行動する」
「では、我々は具体的にはどういうスケジュールでどう動く」
「何も起こらなければ、1時半、いや、2時までは待とう。実は、井上巡査に頼んで、12時に旭組ビルに銃弾を2発撃ちこんでもらうことになっている。つまり、今頃旭組は大騒ぎのはずだ。それでも連中が動かなければ、明治会だけ先に攻撃するしかない」
「関ヶ原の、小早川秀秋への家康の督戦砲撃か」
「何だ、そりゃあ」
「ドンパチが始まるまでの待ち時間の間に教えるよ。日本史の豆知識だ。まあ、俗説かもしれんがね。で、殴り込みがあったら、その後の手順は」
「旭組のほぼ全員が敷地内に入ったら、10分くらい待って、あんたはここから砲撃してくれ。10発全部打ち終わったら、あんたは即座にここを撤去だ。旭組の殴り込みがあったなら、旭組ビルへの砲撃は不要になったということだから、その傍のT**マンションのアジトも撤去だ。あんたは、両方から回収した武器をトラックに積んで、この県から逃亡してくれ」
「了解した。後は、あんたがカタをつけるということだな?」
「そういうことだ。いろいろと有難う。気をつけて行けよ」
「心配ご無用。またどこかで会おう。こんな仕事ならいつでも手伝うぞ」
町の名は (4)-2 2016/07/15 (Fri)
刑士郎は防弾チョッキを着て、脇の下にチェコ製CZ75(弾数が15発ある軍用拳銃で、大石が調達したものだ。)を専用ホルスターで吊るし、背中には軽機関銃を背負ってその上からコートを着た。頭には鉄板で内貼りされたヘルメットをかぶる。ぱっと見はただのオートバイ用のヘルメットだが、軍用ヘルメットに等しい防御力がある。
ベランダの鉄柵越しに双眼鏡で見ると、明治会前の道路には黒い車が何台か停まっている。門の前には黒服の男たちが並んで、来客に頭を下げたりしている。
1時、見張り2名を門の外に置いて、明治会の鉄の扉が閉まった。
5分後、遠くから列をなして7,8台の車がやってきた。明らかに旭組の殴り込みである。
刑士郎は、大石大悟に顔を向けた。大悟の顔に、さすがに心配そうな色が浮かんでいる。
「お別れだな、大悟、生きていたらまた会おう」
「ああ、死なないでくれよ、冬木さん」
大悟と握手をして刑士郎はマンションを出た。背中で軽機関銃が重い。
あらかじめ大悟が準備してあった中古オートバイで、旭組の事務所に向けて出発する。
道の半分ほど来たところで、遠くで轟音が聞こえた。
大悟が明治会の屋敷に迫撃砲を打ち込んだのだ。
続いて、2発、3発、4発……。
その前の旭組の殴り込みと、この砲撃で、はたして何人が生き残るだろうか。
旭組のビルの入り口には、見張り役のチンピラが二人立っていた。
遠方からそれを見てとった刑士郎は、オートバイをビルから離れたところで止め、歩いて近づいて行った。
ビルの角で曲がって、銃にサイレンサーを着ける。都合よく、チンピラの一人が、ビルの角で曲がった刑士郎の行動に不審を抱いて、近づいてきた。その胸に、籠ったような音をたてて銃弾がめり込む。その死骸の傍を通って、旭組の入り口前に刑士郎は進んで行った。銃はコートの下に隠れている。
「おい、お前……」
誰何の声がしたかどうかの間に、刑士郎の放った銃弾が相手の体のど真ん中を射抜く。
コートを脱ぎ捨て、銃はホルスターに戻して、軽機関銃を背中から抜き出して構えながらビルの中に入る。
雑居ビル風の見かけとは異なり、入ったすぐそこが広い事務所になっている。そこに、留守番役の組員が数人いた。
「何だ? お前……」
と言いかけた男が、刑士郎の構えている機関銃に気づいて絶句した。
刑士郎は引き金を引いた。
立ち上がりかかっていた男たちの数人に弾が当たってのけぞる。
数人が、ソファの陰に身を隠してピストルを撃ってきた。
だが、機関銃の猛烈な弾数に圧倒されている。ソファを射抜いて当たる弾もある。
一階にいた数人はわずか1分ほどの間でほぼ全滅した。
だが、その瞬間、刑士郎は車に跳ね飛ばされたような衝撃を受けた。
町の名は (4)-3 2016/07/15 (Fri)
二階から階段で下りてきていた者が彼を背後から撃ったのである。
一瞬気が遠くなりかかったが、弾は防弾チョッキで防がれている。
振り返って、機関銃を浴びせかける。その男は蜂の巣になって倒れた。
注意深い足取りで、二階に上る。
二階は、廊下で二部屋に分かれている。
手前の部屋のドアを開けると同時に、中から銃弾がドアに向かって降り注ぐ。
そちらは放っておいて、奥の部屋のドアを開けると、そこには一人、初老の男が椅子にかけているだけである。
「何だ、お前は」
(さっきから同じセリフばかりだなあ)と思いながら、刑士郎は構えていたCZ75の引き金を引いた。機関銃よりは、近距離での正確性はこちらが上だ。ヤクザなどと問答するのは無意味である。相手は人間からただの肉塊になった。
部屋から出ようとしたのと、先ほどの部屋から中にいた男が顔を出したのと同時であった。
奥の部屋の様子を見に行こうと出てきたのだろう。
相手が撃つのと刑士郎が撃つのと、ほぼ同時だった。相手の弾は外れ、刑士郎の弾は相手のど真ん中を射た。
列車の窓から見える景色が後ろに流れていく。
イヤホーンを通して聞こえてくるのは、男の好きな曲だ。オスカー・ピーターソンの「you look good to me」。目を閉じていれば、生きるのもたやすい。過去に目を閉じていれば。
男はコート下の背広のポケットから取り出したラッキー・ストライクの箱から1本を抜きだしかけて、少し思案した。箱に戻す。
(吸い過ぎだな。少し健康に気をつけよう)
列車の車輪の音が単調なリズムを作り、男を眠りに誘う。男の傍に置かれた新聞には「北**市の暴力団抗争で旭組明治会とも壊滅。死者128人、重傷24人。両組の組長死亡」と書いている。男はやがて安らかな眠りに落ちる。
1998年1月3日作 2016年7月15日第二稿(笑)
(4)
12月25日の朝、刑士郎は早めにチェックアウトしてホテルを出た。
彼が、アジトとしているマンションに着いたのは12時少し過ぎだった。
「おう、大丈夫だったか。旭組に襲われたそうじゃないか。心配してたよ」
大石大悟は本気で心配している顔で彼を迎えた。
「準備はすべていいか」
「ああ、総会が始まったら、ここから迫撃砲のタマをあの屋敷にぶちこむ」
「いや、始まったら、ではダメだ。始まって、少し待て」
「なぜだ?」
「面白いことになるはずだからだ」
「と言うと?」
「旭組が、あの屋敷に殴りこんでくると思う」
「なぜ、それが分かる」
「俺がそう仕組んだからだ。昨日、旭組の親分の高校生の息子を誘拐して、今朝旭組に手紙を放り込んできた。明治会が、自分たちが誘拐をしたから、悔しかったら奪い返しに来い、と挑戦状を叩きつけた、という体裁の手紙だ」
「息子はどこにいる」
「女子高生強姦事件の犯人だ、という名目で井上巡査が留置所に入れている。実際、そうかもしれんがね。だが、まあ、逮捕した時は、私も井上巡査も私服だったから、目撃者には逮捕ではなく誘拐に見えていたはずだ。今頃、旭組の中は右往左往、議論百出だろうが、殴り込み賛成派が反対派を抑えると思うよ。他人に舐められたらヤクザは終わりだからな」
「だが、相手がてぐすねひいて待ち構えているところに殴りこむかねえ」
「あんたのような元自衛官と、ヤクザの思考形態は違うさ。連中は戦略よりも面子で行動する」
「では、我々は具体的にはどういうスケジュールでどう動く」
「何も起こらなければ、1時半、いや、2時までは待とう。実は、井上巡査に頼んで、12時に旭組ビルに銃弾を2発撃ちこんでもらうことになっている。つまり、今頃旭組は大騒ぎのはずだ。それでも連中が動かなければ、明治会だけ先に攻撃するしかない」
「関ヶ原の、小早川秀秋への家康の督戦砲撃か」
「何だ、そりゃあ」
「ドンパチが始まるまでの待ち時間の間に教えるよ。日本史の豆知識だ。まあ、俗説かもしれんがね。で、殴り込みがあったら、その後の手順は」
「旭組のほぼ全員が敷地内に入ったら、10分くらい待って、あんたはここから砲撃してくれ。10発全部打ち終わったら、あんたは即座にここを撤去だ。旭組の殴り込みがあったなら、旭組ビルへの砲撃は不要になったということだから、その傍のT**マンションのアジトも撤去だ。あんたは、両方から回収した武器をトラックに積んで、この県から逃亡してくれ」
「了解した。後は、あんたがカタをつけるということだな?」
「そういうことだ。いろいろと有難う。気をつけて行けよ」
「心配ご無用。またどこかで会おう。こんな仕事ならいつでも手伝うぞ」
町の名は (4)-2 2016/07/15 (Fri)
刑士郎は防弾チョッキを着て、脇の下にチェコ製CZ75(弾数が15発ある軍用拳銃で、大石が調達したものだ。)を専用ホルスターで吊るし、背中には軽機関銃を背負ってその上からコートを着た。頭には鉄板で内貼りされたヘルメットをかぶる。ぱっと見はただのオートバイ用のヘルメットだが、軍用ヘルメットに等しい防御力がある。
ベランダの鉄柵越しに双眼鏡で見ると、明治会前の道路には黒い車が何台か停まっている。門の前には黒服の男たちが並んで、来客に頭を下げたりしている。
1時、見張り2名を門の外に置いて、明治会の鉄の扉が閉まった。
5分後、遠くから列をなして7,8台の車がやってきた。明らかに旭組の殴り込みである。
刑士郎は、大石大悟に顔を向けた。大悟の顔に、さすがに心配そうな色が浮かんでいる。
「お別れだな、大悟、生きていたらまた会おう」
「ああ、死なないでくれよ、冬木さん」
大悟と握手をして刑士郎はマンションを出た。背中で軽機関銃が重い。
あらかじめ大悟が準備してあった中古オートバイで、旭組の事務所に向けて出発する。
道の半分ほど来たところで、遠くで轟音が聞こえた。
大悟が明治会の屋敷に迫撃砲を打ち込んだのだ。
続いて、2発、3発、4発……。
その前の旭組の殴り込みと、この砲撃で、はたして何人が生き残るだろうか。
旭組のビルの入り口には、見張り役のチンピラが二人立っていた。
遠方からそれを見てとった刑士郎は、オートバイをビルから離れたところで止め、歩いて近づいて行った。
ビルの角で曲がって、銃にサイレンサーを着ける。都合よく、チンピラの一人が、ビルの角で曲がった刑士郎の行動に不審を抱いて、近づいてきた。その胸に、籠ったような音をたてて銃弾がめり込む。その死骸の傍を通って、旭組の入り口前に刑士郎は進んで行った。銃はコートの下に隠れている。
「おい、お前……」
誰何の声がしたかどうかの間に、刑士郎の放った銃弾が相手の体のど真ん中を射抜く。
コートを脱ぎ捨て、銃はホルスターに戻して、軽機関銃を背中から抜き出して構えながらビルの中に入る。
雑居ビル風の見かけとは異なり、入ったすぐそこが広い事務所になっている。そこに、留守番役の組員が数人いた。
「何だ? お前……」
と言いかけた男が、刑士郎の構えている機関銃に気づいて絶句した。
刑士郎は引き金を引いた。
立ち上がりかかっていた男たちの数人に弾が当たってのけぞる。
数人が、ソファの陰に身を隠してピストルを撃ってきた。
だが、機関銃の猛烈な弾数に圧倒されている。ソファを射抜いて当たる弾もある。
一階にいた数人はわずか1分ほどの間でほぼ全滅した。
だが、その瞬間、刑士郎は車に跳ね飛ばされたような衝撃を受けた。
町の名は (4)-3 2016/07/15 (Fri)
二階から階段で下りてきていた者が彼を背後から撃ったのである。
一瞬気が遠くなりかかったが、弾は防弾チョッキで防がれている。
振り返って、機関銃を浴びせかける。その男は蜂の巣になって倒れた。
注意深い足取りで、二階に上る。
二階は、廊下で二部屋に分かれている。
手前の部屋のドアを開けると同時に、中から銃弾がドアに向かって降り注ぐ。
そちらは放っておいて、奥の部屋のドアを開けると、そこには一人、初老の男が椅子にかけているだけである。
「何だ、お前は」
(さっきから同じセリフばかりだなあ)と思いながら、刑士郎は構えていたCZ75の引き金を引いた。機関銃よりは、近距離での正確性はこちらが上だ。ヤクザなどと問答するのは無意味である。相手は人間からただの肉塊になった。
部屋から出ようとしたのと、先ほどの部屋から中にいた男が顔を出したのと同時であった。
奥の部屋の様子を見に行こうと出てきたのだろう。
相手が撃つのと刑士郎が撃つのと、ほぼ同時だった。相手の弾は外れ、刑士郎の弾は相手のど真ん中を射た。
列車の窓から見える景色が後ろに流れていく。
イヤホーンを通して聞こえてくるのは、男の好きな曲だ。オスカー・ピーターソンの「you look good to me」。目を閉じていれば、生きるのもたやすい。過去に目を閉じていれば。
男はコート下の背広のポケットから取り出したラッキー・ストライクの箱から1本を抜きだしかけて、少し思案した。箱に戻す。
(吸い過ぎだな。少し健康に気をつけよう)
列車の車輪の音が単調なリズムを作り、男を眠りに誘う。男の傍に置かれた新聞には「北**市の暴力団抗争で旭組明治会とも壊滅。死者128人、重傷24人。両組の組長死亡」と書いている。男はやがて安らかな眠りに落ちる。
1998年1月3日作 2016年7月15日第二稿(笑)