先ほど、「まったくもってホタテ貝」という言葉がどのようにして生まれたか、心理分析をするつもりで、かなり考えて、
まったく→ほっとく
→ほったて→掘っ立て小屋→ホタテ貝
という、無意識の連想の結果だろうという結論になったが、一応確認すると
「まったくもって」ではなく「ますますもって」が原語のようだ。
つまり、私は山本直樹と同じ覚え間違いをしたのだが、そこには「ますます」より「まったく」のほうが音韻的に「ホタテ貝」につながるという無意識の計算があったのではないか。
まあ、ナンセンスとしては、「つながらないからナンセンスになる」わけだが、こういう絶妙な造語には、何となく心理分析をしたくなるのである。で、分析の常として「理に落ちる」という失敗になりがちなわけだ。私には分析が趣味なのだから、広い意味では「失敗も成功のうち」。
なお、この言葉は天才的な造語として当時のSF作家たちの流行語となったらしいが、その際に「まったくもって」に変形したのではないか、という推測もできる。その理由は「ますますもって」よりも「まったくもって」のほうが、促音(っ)の押韻になるからだ。リズムが良くなる。
(以下引用)
山本直樹『明日また電話するよ』
comics
明日また電話するよ
明日また電話するよ
作者: 山本直樹
出版社/メーカー: イースト・プレス
発売日: 2008/07/17
メディア: コミック
ほとんど既読だが、それは織り込み済み。
しかし作者がセレクトした短編集というだけあって、さすがに粒ぞろい。また、各作品に作者のコメントがつけられているのもよい。
巻末には「山本直樹の歴代ハマリモノ集成」という付録がある。世代がほぼ同じなので活字や漫画の傾向は似ているが、音楽の好みは全く異なる。
「まったくもってホタテガイ」というのは間違いで「ますますもって」が正しいはず、と思って調べたが、やはり正しくは「ますますもって帆たて貝」だった。
で、手元になかったので筒井康隆の「カメロイド文部省」が収録されている本を本屋で探したわけだが、『農協月へ行く』も『日本列島七曲がり』も置いてない。これじゃあいくら大御所でもラノベやケータイ小説でも書こうかという気にはなるわな。