広陵の中村の甲子園本塁打打点塁打記録更新や、楽天藤平の初勝利(5回無失点)、DeNAのクリーンアップ3連発でのサヨナラ勝ちなど、いろいろと出来事のあった日だが、中でも一番地味な(笑)ニュースと思われそうな、ヤクルト真中監督の退任をこのブログで取り上げるのは、その退任の仕方に疑問があり、これは真中やヤクルトだけに限定された話ではないからだ。
誰が監督をやっても今のヤクルトなら同じ、と多くの人は思うだろうし、成績的に言えば、もちろんその通りだ。しかし、ヤクルトを再建するためには、来季に監督をやる意思の無い人間が指揮を執り続けたら、残り試合がすべて無駄になる、と私は思う。「勝つ自信ない、(そうである自分が来季も監督をやるのは)失礼」と言うのなら、そういう人間が今季、このまま監督をやり続けるのはもっと失礼なことではないか。球団が彼に無理に今季の指揮を執らせたのであれば、球団が一番馬鹿である。
最下位が確定的である現在、何よりも大事なのは再建策であり、再建のための努力をすることだ。果たして、「来季は監督をやる意思の無い人間」の下で真面目な再建の努力や試みがありうるだろうか。なぜ、ヘッドコーチなり、二軍監督なりを臨時監督にでもして、真中を休養あるいは即時退任させないのか。そうすれば、臨時監督は自分なりの計画を実行でき、その試行錯誤の中からいろいろと収穫も得られるだろう。真中が監督をやり続けるかぎり、残りのヤクルトの試合は何の収穫も無い、消化試合になるだけである。
なお、広陵の中村に関しては、ここまで活躍されたら、いかに疑い深い私でも「これはほぼ本物だ」と認めるしかない。彼がプロでやれるか、あるいはどれくらいの選手になるかは、まだ1割くらいの疑念はあるが、それを言えば、ほかの選手がプロでやれる確率ははるかに低いだろう。
少なくとも、ここまで見た限りでは、彼のプレーにはほとんど非の打ちどころはない。外角も打てるし内角も打てる、高めも低めも打てるし、状況に応じたバッティングをする真面目さもある。捕手としてのリードもいいし、肩もいい。走者としても、足もある。試合での状況判断もいい。
しかし、彼の総合的な能力の高さを考えれば、彼が捕手でやっていくのは惜しいと思う。捕手をしたら必然的に打者としての成績は下がり、記録を残す選手にはなれないからだ。せいぜいが城島程度の成績になるだろう。城島程度と言っては城島に失礼だが、打撃成績だけを見た場合、城島ははたして歴代選手のなかでレジェンド的な成績か、と言えば、そうではないのは明白だ。
私は、彼は「三塁手、捕手、一塁手、外野手」の「四刀流」で行くべきだと思う。(もちろん、同時期にすべてをやれと言うのではなく、年代ごとにポジションを変えていけばどうかということだ。20代は捕手、30代は外野手と内野手ということだ。)
もちろん、捕手をしたら打撃成績が落ちるというのは、それだけ頭を使い、データを頭の中に入れる必要があるからだ。(戸柱の最大の欠点がそこだと私は見ている。彼は頭を使う努力をまったくしない捕手だと思う。毎度毎度同じリードの失敗をするのだから、そうとしか考えられない。)
最初から四刀流で行くというのも面白い。それなら、三塁手、一塁手、外野手の3ポジションを中心にし、緊急時にだけ「捕手中村」で行くのが一番彼にとっていいのではないか。彼の打撃能力は、捕手専業で低下させるのは惜しいと思う。
なお、捕手は投手の剛球を受け、暴投の処理に慣れているから、短い距離での速い打球の処理が主である三塁の守備は楽に身につけられるのではないかと思う。彼の脚力なら外野手にはもっと容易にコンバートできるだろう。金本レベルの成績は楽に残すのではないか。
今日のDeNAの勝利はマグレのようなものであり、私は評価しない。途中までは負けがほぼ確定していた試合であり、そうなってしまっていたこと自体が一番の問題なのであって、幸運に恵まれて逆転勝ちしたことを喜んでいるばかりでは、何も改善されない。一番の問題は捕手戸柱固定と、捕手6番固定であるのが明白だと分かったのが今日の収穫ではないか。なお、6番打者の重要性について、寝起きに考えたことがあるので、気が向いたら次の記事で書くことにする予定だ。
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- 試合前に辞任を表明するヤクルト真中監督(撮影・野上伸悟)
ヤクルト真中満監督(46)が22日、今季限りでの退任を発表した。神宮球場で行われる阪神戦の練習開始前に取材に応じ、「しっかり相談しまして、今季限りで辞任するということで決定しました」と話した。
球団からは続投要請を受けたが「今季も精いっぱいやった中、なかなか結果が出ずにこんな状況になってしまった。正直、自分自身も来季1年やらせてもらったところでなかなか厳しいなという判断で。これ以上ファンに迷惑をかけられません」と身を引く決意を固めたと話した。
来季1年の延長を固辞し、退任の道を選んだ理由について「(立て直しするために)現状ではきれい事では済まない部分もありますし、来季もし1年指揮を執ったところで、僕が勝つ自信がありませんので、そんな中引き受けても失礼だなと思いますので、そういう判断になりました」と説明した。
シーズン終了まで指揮を執り、退任後は球団に残らず退団するとした。