マスコミが取り上げてくれたことで丸山に注目するスカウトや球団首脳も出てくることを期待したい。最近の野球は盗塁やバントの重要性が軽視され、ホームランだけが騒がれすぎている。プロ野球だと年間10本塁打程度で「長打力がある」と言われる始末だ。世界の盗塁王福本だって年間10本塁打以上は毎年のようにやっていたが、ホームランを騒がれることはほとんど無かったのである。そんなにホームランを誰もが好きなら「清宮ボール」をプロも使い、ドーム球場なら送風機を使い、ホームランテラスを作り、何なら金属バットをプロも使ったらいいwww
なお、今の高校生球児の中でプロでも打撃で通用する選手はそれほどはいないと私は見ている。特にホームラン数だけが騒がれている選手は単なる「金属バットホームラン」で数を稼いだものであり、眉唾ものだろう。大事なのは、打撃姿勢そのものであり、勝利に貢献しようという意識だ。
盛岡大付属の植田などは、体の小ささが問題というより、出塁が求められる場面でもホームランを狙う、その姿勢が一番の問題だと私は思っている。その結果、甲子園で2ホームランを打ったが、チームへの貢献はほとんど無かったというのが私の評価で、それは高校球児としてはダメ選手だった、ということだ。たとえ結果は出なくても、出塁の必要な場面では出塁確率の高い打撃をした選手を私は評価する。仙台育英(だったか)の3番打者の山田とか、花咲徳栄の西川を私が高く評価するのは、場面に応じた打撃を心掛けているところだ。
言うまでもなく、下位打者までが振り回す打撃をするのは、金属バットなら当たれば非力打者でもホームランになる可能性があるからであり、甲子園でホームランを打てばマスコミが騒ぎ、あわよくばプロが目をつける可能性もあるからだ。甲子園が選手の売名の場になることは避けがたいことではあるが、野球というスポーツは、いや、チームスポーツの目的はチームの勝利である、ということを忘れたプレーは批判されてしかるべきだろう。ことに今回の清宮ボールの件で高野連の商売至上主義が露呈したのは大いに批判されねばならない。
8日に開幕した甲子園は22日に準決勝を迎える。大会記録を更新する64本塁打が飛び出すなど、新たな歴史が作られた。本塁打の量産が注目される中、前橋育英(群馬)丸山和郁外野手(3年)は、足で高校野球球史に名を刻んだ。
花咲徳栄(埼玉)との3回戦。2盗塁を決め、自身8個目をマーク。個人での大会記録に並んだ。だが、先発を任された試合で3回5失点。自身の記録よりもチームの敗戦に「負けたら意味がないです」と涙を流した。
投打で非凡なセンスを証明した。投手では最速144キロをマークし、野手では1番打者として、走攻守3拍子そろったプレーで打線をけん引した。ポテンシャルの高さは周知の事実だが、丸山が所属した中学の軟式野球部は部員が少なく、左投げながら、遊撃手と捕手も兼任した。偶然、捕手でプレーする丸山を見た荒井直樹監督(53)は、その動きにほれた。
荒井監督 一塁のベースカバーに走った時に、打者を追い越したんですよ。本当にビックリした。野性的というか、すごい選手だと思った。
2回戦の明徳義塾(高知)戦では全身をつりながら、気迫の投球で好リリーフ。記憶にも、記録にも残るプレーで甲子園を沸かせた。20日に発表されたカナダ・サンダーベイで行われる第28回U18(18歳以下)ワールドカップ(9月1日開幕)の日本代表選手に選出された。次は、世界に「MARUYAMA」の名をアピールする。【久保賢吾】