オリックスは全面に投手力を押し出した。ストッパーに起用する人材がポイントで、初戦は平野佳、2戦目に阿部が打ち込まれて決まらなかった。その流れを変えたのが、宇田川、山崎颯らの力投だった。


このオリックスの日本一には珍しい現象も見受けられた。リリーフが右投手に偏って、ワンポイントで左腕リリーフがつぎ込まれるような駆け引きはなかった。右のリリーフが相手打者の左右に関係なく抑えられる力を証明した。


それにオーダーに外国人の名前が並ぶこともなかった。これも珍しい。日本シリーズのような大舞台では助っ人のパワーが勝敗を分けることは多い。それだけに得点力不足は否めないが、助っ人野手不在もリリーフ陣がカバーしたと言える。


日本シリーズ序盤は、ヤクルトの圧勝かと思われた。第4戦で先発山岡から宇田川、山崎颯がイニングをまたいで好投し、抑えにワゲスパックを起用して1-0で逃げ切って風向きは変わった。


第5戦はこのリリーフ2人をベンチから外したのは驚いたが、これも中嶋監督の踏ん切りの良さだろう。その一戦の結末が吉田正のサヨナラ本塁打だから短期決戦は怖い。第6戦もゼロ封勝ち、7戦は1点差勝ちで、最後まで投手力の高さを見せつけた。(日刊スポーツ評論家)