阪神は、セリーグ最高の投手陣がいるから、矢野次第では優勝もありうるが、矢野はさほど頭がいいようには見えないので、広岡ほどは買わない。ヤクルトは去年が出来すぎだと思う。
ということで、私の順位予想は
1:巨人
2:広島(阪神)
3:阪神(広島)
4:中日
5:ヤクルト
6:横浜
といったところ。ただし、横浜は、戦力自体は優勝レベルだと思う。本当なら去年一昨年で優勝していていい。
「中日は与田監督の手腕への期待がある。外国人を軸にした打線はいいんだから投手陣次第。苦労した与田が、そこをどう立て直すか。評論家諸氏の中日への評価は低いが、上位球団を食う球団体質があるチーム。これまではチームの空気が暗かったが、与田が雰囲気を一新している。旋風を巻き起こしてもらいたい」
その中日の上位浮上のカギを握る投手陣は、このオープン戦では、防御率3.23でセ・リーグトップ、12球団で2位の結果を出した。小笠原、鈴木翔、藤嶋、そして松坂らの故障組が戻ってくるまで笠原、柳のフレッシュな2人に吉見、大野、山井らベテランの奮起、新外国人ロメロを加えた布陣で踏ん張る構想で、抑えには、オープン戦で結果をだした2年目の鈴木博が指名されている。
「ストライクゾーンで勝負する」という与田監督のチームコンセプトが浸透してきたのと同時に8位に終わったオープン戦から「勝ちにこだわり」チームを叱咤してきた与田監督の戦う姿勢を広岡氏は評価している。
そして広岡氏は、「この2チームが浮上する条件は、クリーンナップとローテーの固定だ。阪神の大山は、まだ6番くらいを打たせるべきだが、4番に据えると決めたのならば首脳陣は我慢が必要だろう」と続けた。
広岡氏は、巨人、広島にも“死角”があるという。
「巨人最大の弱点はブルペン。抑えが新外国人じゃ蓋をあけてみるとどうなるかわからない。あとは、若い選手ばかり。吉川も球威はないし。若い選手の経験の無さがどう響くか」
広岡氏が指摘するように抑えに指名された新外国人のクック、セットアッパーの左腕・吉川、そこに期待の若手の左腕・大江、桜井、坂本工の陣容は、いかにも未知数だ。
原監督は「ブルペンは若い選手への期待がある」と、その化け具合に期待を寄せているが、大きなウイークポイントになるだろう。
また広岡氏は巨人が採用を決意した「2番打者最強論」にも異論を唱える。結局、キャンプで宣言していた2番丸から2番坂本へ変更。1番吉川、2番坂本、3番丸、4番岡本の打線に落ち着いた。2番が坂本に変わってもバント無しの攻撃的布陣に変わりはない。
「2番の使い方は巨人と阪神は対照的だ。私はメジャーのやり方をそのままマネしているだけの2番打者最強論は日本では成功しないと見ている。バントやエンドランなど、小技を使える選手を2番に置く阪神の方がチャンスは作るだろう」
セイバーメトリクス理論に基づいた2番打者最強論を採用する巨人と、日本らしい機動力型2番を採用する阪神の成否にも広岡氏は注目している。イチローが引退会見で「メジャーが頭を使う野球をしなくなっている。日本が追従する必要はない」と警鐘を鳴らしていたが、広岡氏も同じ意見を持っている。
またV4を狙う広島に対しても広岡氏は、「広島にも問題はある。ピッチャーが良くない。全体的にコントロールが悪いのだ。先発の投手陣が不安だ。大瀬良にしても、2年、あの成績(昨季15勝7敗)が続けられるのか。ジョンソンも、もう落ちている。先発の名前がざっと5人あがってこない。丸の抜けた穴も埋めることができていないだろう。長野はキャンプ、オープン戦と頑張りすぎたのではないか。彼が、どこまでやれるのかという不安も残る」という意見を持つ。
広島はオープン戦を8勝4敗4分けの成績で“優勝”した。優勝候補の存在感は示したが、投手陣の顔ぶれは、若干心もとない。大瀬良、岡田、野村、床田、ジョンソン、九里でローテーを組むが、新外国人のローレンスが祖父の葬儀参列のため緊急帰国するなど投手陣には、不安要素が残る。また“ポスト丸”として期待のかかる長野は死球欠場などの影響もありオープン戦では打率.125、ゼロ本塁打と精彩を欠いたままだった。田中ー菊池コンビに、4番に座った鈴木を擁する打線は迫力はあるが、盤石かと言えば、そうではない。
“球界大御所”広岡氏が、期待をこめた阪神・中日の“旋風予想”。果たして、その結末は? 阪神は京セラドームでのヤクルト戦、中日は横浜での横浜DeNA戦が開幕カードとなっている。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)