私としては、この記事を知った直接のブログ「adminではないけれど」の筆者が言うように、「吾妻ひでおの名が挙がっていない時点で、どちらのランキングもダメだ」という意見に賛成だが、どちらかと言えば、後者のランキングがましではある。ただし、ランキング内部の順位には大きな疑問がある、そもそも、第一位の桂正和など、作品を読んだこともない。その程度の一般的知名度の漫画家が第一位なのか? まあ、そういうことを言えば、山本直樹など、ただのエロ漫画家というのが世間の相場だろうが、彼の書くキャラクターのエロチシズムは、確かにすごいとは思う。だが、それもまた「可愛い」という基準になるのか。いやいや、あずまきよひこと山本直樹が共にランクインするという、この企画の無茶さがすごいというべきか。
(以下引用)
真の漫画好きによる女の子を描くのが本当にウマイ男性漫画家ベスト10
『江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー』著:江口寿史 より
リサーチアンケートやアクセス数により、さまざまなジャンルのランキングを提供しているgooランキングだが、先日発表された「かわいい女の子を描かせたらピカ一だと思う男性漫画家ランキング」には今年一番の注目が集まったといってもいいだろう。特に男性にとっては、「登場する女の子の魅力」はその漫画自体の好き嫌いをジャッジするうえでも重要なポイント。当然このランキング結果には多くの漫画好きを自認する人々から賛否入り交じったさまざまな意見が寄せられた。以下がgooランキングによる「かわいい女の子を描かせたらピカ一だと思う男性漫画家」ベスト10だ!! アナタの好きな漫画家は入っているだろうか。
1位 あだち充
2位 北条司
3位 桂正和
4位 江川達也
5位 かきふらい
6位 尾田栄一郎
7位 矢吹健太朗
8位 藤島康介
9位 鳥山明
10位 小畑健
栄えある1位に選ばれたのは、『タッチ』、『H2』でお馴染みのあだち充氏だが、この結果に納得しなかったのが、12位にランクインした江口寿史氏だ。江口氏といえば『ストップ!! ひばりくん!』で一躍有名になったこともあり、美少女(少年?)を描くことには定評がある。江口氏はこのランキングを見てTwitterでこう絶叫した。
「あの男も女もみんな同じ顔しか描けないあだち充が1位だというのか!!」
このツイートには多数のリツイートがあったらしく、その後すぐに「いや、あだち充さんの漫画は好きですよw(絵はどうでもいい)」とフォローし、「だいたいオレより上の10人の中で自分で負けてると思うのは鳥山明と小畑健だけだ。よってオレは3位!!」「手塚治虫のエロさはすごい」「ちばてつやの描く女の良さもすごいよ」などと独自の考察を繰り広げている。江口氏ではなくとも、このランキング結果に憤る漫画ファンは多い。
「ふざけているのではないか。あだち充が1位というのは、みんな(『タッチ』の)南ちゃんが好きなだけであって、その漫画家が描く女の子の特徴というものを真剣に考えていない。カワイイ漫画の女の子=南ちゃんという短絡的な思考で票を入れているとしか思えませんよ」(蔵書1500冊を誇る漫画通男性)
たしかに、彼の言う通り、インターネット上の投票では漫画に対しての思い入れの有無に関わらず投票に参加できるため、結局有名な漫画家、一つ有名な女キャラがいる漫画家がランキングしてしまうという歪みが生じてしまうのかもしれない。そこで今回、我々は「漫画が好きで出版業界に入った!!」という精鋭20人に接触し、厳正なる投票を行なった。ついに完成した「真の漫画好きによる女の子を描くのが本当にウマイ男性漫画家ベスト10」がこれだ!!
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10位 大暮維人
「とにかく絵がキレイです。『エアギア』、『天上天下』などでは女の子のアクションシーンが多いんですが、体のラインが本当にキレイで肉感に溢れてます。躍動感のある女体を描かせたら右に出るものはいないでしょう。ストーリーという面では特筆すべきものはないんですが」(I井氏)
『エア・ギア 27』より
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9位 貞本義行
「エヴァやナディアのキャラクターデザインが有名ですが、漫画版の『新世紀エヴァンゲリオン』も彼の作品。顔の描き分けは少し物足りないといえばそうなんですが、少年、少女たちのあの中性的な雰囲気は彼にしか出せないのではないでしょうか。全体的に細身の女の子が多く、表情やストーリーもあいまってはかなさを感じますね」(N田氏)
『貞本義行画集 CARMINE(通常版)』より
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8位 江川達也
「20代後半から30代前半の人なら、みんな一度は『まじかる☆タルるーとくん』や『東京大学物語』を読んでドキドキしているはず。エロティックな描写に、妙に緊張感があるんですよね。彼が高学歴なのが関係あるのかはわかりませんが、台詞を重ねれば重ねるほど背徳感が増していくような...。個人的には女の子がみんなタレ目なのがツボです」(J崎氏)
『東京大学物語 32』より
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7位 奥浩哉
「やっぱり奥浩哉といえば巨乳でしょ。『GANTZ』にはレイカといい岸本恵といい巨乳キャラが多いし、後は『HEN』で描かれた中性的なキャラも捨てがたい。キャラの内面の書き分けがうまい作家だね」(I坂氏)
『め~てるの気持ち 3』より
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6位 真島ヒロ
「『RAVE』、『FAIRY TAIL』など少年マンガの王道的なストーリーと絵柄が特徴なんですが、女の子キャラもほどよいデフォルメ感とリアル感があってカワイイです。もちろんものすごくスタイルがよくて活発で顔立ちもかわいらしいんですが、どこか庶民っぽさがあるというか、その辺にいそうな"ナマ感"があるんですよね~不思議です」(M野氏)
『FAIRY TAIL 9』より
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5位 鳥山明
「漫画もそうだが、キャラクターデザインという点でも高い評価を受けていることはいうまでもない。『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターデザインが世に与えた影響は計り知れない。ほかの漫画家に比べて、アラレちゃん、ブルマ、ランチさん......それぞれの女の子が放つ個性が圧倒的だ」(U川氏)
『DRAGON BALL 2』より
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4位 鳴子ハナハル
「成人向けのエッチな作品が多いんですが、『かみちゅ!』の漫画版でご存知の方も多いはず。とにかくエロ漫画では滅多に見ないほどの絵柄のキレイさで、女の子に透明感があるんです。逆に透明感がありすぎて、女の子たちがどんなに過激でいやらしいことをしてても、『実用』はできないというか......(笑)。芸術的すぎて(笑)」(S野氏)
『少女マテリアル』より
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3位 山本直樹
「とにかくエロイです。哲学っぽかったり、ぶっとんでたり、青春の一コマだったり、さまざまなシーンが描かれているんですが、人間というものへの視点が非常に鋭いというか、容赦ないというか。華奢でかわいい女の子と、むさくるしくていかにもモテない男との絡みなんて本当に興奮します」(Y澤氏)
『世界最後の日々』より
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2位 あずまきよひこ
「『あずまんが大王』、『よつばと!』などアニメ風の女の子たちのほのぼのとした日常のドラマを描いていますが、作品を見てると女性のという"在り方"自体に、憧れを抱いてしまいます。強烈な「萌え」とは違うんですが、見ていると心がほっこりと暖まるような。キャラクターの感情の動きが適度にリアルで、造形とのバランスもいいです」(N田氏)
『よつばと! 10』より
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1位 桂正和
「『電影少女』に夢中でした!! ボクは桂正和の描く女の子のお尻で性に目覚めました。日本で、いや世界で一番魅力的な女の子のお尻を描く漫画家です。あの肉感とパンツのしわなどのディティールには驚嘆します。女の子の絵柄がもう群を抜いて魅力的です。それに彼女たちの性格や行動に含まれる不可解さとピュア加減が絶妙。男の理想を描ききっています」(K田氏)
『ZETMAN 11』より
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もちろん、世代の異なるすべての人が納得するランキングというのは存在し得ないが、漫画好きを自認する大きな男の子たちが頭をひねって絞り出したこの結果、かなり妥当な順位になったのではないだろうか。最近トキメキを感じないという読者は、思春期に読んで夢中になった漫画をもう一度開いてみれば、心だけでも青春に立ち返れるかもしれない。漫画のなかの女の子たちよ、ずっと好きでした。そして、お世話になりました。
(文=ヨーコ)