私がタケシの映画で、映画館で見たのが「あの夏いちばん静かな海」と、たぶん「キッズリターン」の2作だけだと思うが、どちらも傑作で、それで私は満足して、彼の暴力系、ヤクザ系の映画はたぶんひとつも見ていない。もともとその手の映画は見ていて楽しくないからだ。
「あの夏いちばん静かな海」は、聾唖者のカップルの話で、佐藤春夫の詩「海の若者」をモチーフにしたような映画で、ほとんどセリフが無く、ストーリーもほとんど無い話だが、実に詩情溢れる作品で、最初はタケシの映画の暴力性を嫌っていた淀川長治が、大絶賛したものである。確か、音楽は久石譲だったと思う。まさに、静謐の詩であった。
「キッズリターン」は、下のコメントにある会話で終わる青春物語だが、「青春残酷物語」という内容で、これも詩的な作品だった。人生や青春の苦さが詩情となっているわけだ。
この2作品は、ぜひテレビ放映してほしいと思う。未見だった若者は、この作品でタケシという「詩人」の魅力を知るだろう。
(追記)サービスに、「海の若者」の詩を挙げておく。この詩は歌曲にもなっていて、そちらも実にいい曲なので、ユーチューブで視聴をお勧めする。ただし、作曲者が複数いるようなので、あまり感心しない曲もある。
ー佐藤春夫ー
若者は海で生(うま)れた。
風を孕(はら)んだ帆の乳房(ちぶさ)で育った。
すばらしく巨(おおき)くなった。
或(あ)る日 海へ出て
彼は もう 帰らない。
もしかするとあのどっしりした足どりで
海へ大股(おおまた)に歩み込んだのだ。
とり残された者どもは
泣いて小さな墓をたてた。
松本人志(初監督43才) 北野武(初監督42才) 大日本人 その男、凶暴につき しんぼる 3-4X10月 さや侍 あの夏、いちばん静かな海。 R100 ソナチネ 最初の4本を比較すると才能の残酷さが分かるな ------------------------------ 「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな」 「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」 「バカやろう まだ始まってもいねえよ」 こういうどストレートが死んでも投げられないのが松本 いつだって変化球PR