◆2019年NPB12球団合同トライアウト(12日、大阪シティ信用金庫スタジアム)
戦力外選手などを対象とした12球団合同トライアウトが12日、大阪市此花区の大阪シティ信用金庫スタジアムで行われた。43選手が参加してシート打撃形式で実施され、無死1ボール、1ストライクから始まり、ヒットや四死球の走者は残る方式で各選手は猛アピール。スタンドからは3150人の観客が声援を送った。
ヤクルトから戦力外通告を受けた山川晃司捕手(22)は、異例とも言える投手&捕手の二刀流で受験した。全投手の中で最初にマウンドに上がって3人と対戦して2三振を奪うなどパーフェクト投球。すぐにグラブをバットに変えて打席に立つと、元巨人、西武の高木勇人投手(30)から右前安打を放つなど3打数1安打だった。マスクをかぶって、捕手としての守備もこなした山川は「すごく疲れました」と言いながら、充実した表情を見せた。
二塁への送球タイムが1秒76という強肩を武器に、14年のドラフト3位で福岡工大城東高から捕手としてヤクルト入りした山川。高校時代は4番に座るなど強肩強打の捕手として期待されながら、昨季までの4年間は1軍での出場がなかった。転機となったのは今年3月。当時の高津2軍監督から肩の強さを見込まれて投手転向への打診を受け、挑戦を決めた。
とは言っても中学、高校での投手経験はなく「小学校の時に少しやったくらい」という程度。ほぼ初挑戦だった。さらに5月には腰の手術を受けて離脱。なかなかスムーズに進まなかったが、動画サイト「You Tube」を繰り返し見るなど、地道に研究を積み重ねていった。変化球の握りすら試行錯誤。「とりあえずいい人のをまねしておこうと思った」と、フォークはソフトバンク・千賀、スライダーは元ヤクルトで現楽天・伊藤投手コーチに握りを参考にした。最速は145キロを計測するまでになった。
そして9月11日のイースタン・巨人戦(戸田)では公式戦初登板。これが唯一の登板となったが、山本を遊飛に打ち取るなど1イニングを投げて無安打無失点に抑えた。だが、10月に戦力外通告を受けて、トライアウト受験を決めた。
二刀流でのトライアウトは異例。山川は関係者に二刀流は可能か聞いた上で、「両方やっていたのでどちらも消したくはなかった。可能性をかけてチャレンジしようと思った」と挑戦を決意した。今後も「僕はどっちもやるつもり」と二刀流の継続を示唆。NPB以外でのプレーも視野に入れながら、吉報を待つことになる。