ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
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昨日、南條範夫の「三百年のベール」という小説を読み、これが抜群に面白い内容だったのだが、その内容は「徳川家康は岡崎城主松平広忠の嫡子元康(一般には、これが後に家康となる)ではなく、「ささら者」世良田二郎三郎元信が、途中で彼の地位を奪って三河の大名となった」、というもので、それですぐに思い出したのが、「影武者徳川家康」である。隆慶一郎は、他人の作品を換骨奪胎して自分の作品にすることがあるから、(たとえば、前田慶次郎を描いた作品は、明らかに海音寺潮五郎の或る中篇の内容を骨子として、それを長編にしたものだ。)これもまた、南條範夫のものをパクったな、と思ったわけだ。違いは、南條作品では元信が元康の地位を奪ったのは関が原の戦いの時ではなく、織田家との戦いの最中だった、ということである。まあ、隆作品は、黒澤の「影武者」の主人公を武田信玄の影武者から徳川家康の影武者に換えた、ということにもなるが、この南條作品からの影響がかなり強いのではないか。(ただし、私は隆の「影武者徳川家康」は読んでおらず、題名とウィキペディアの作品解説から判断したものだ。それに、「影響」というよりは発想のヒントと言うべきで、私のこの文章は隆への難癖に近いとは思う。)
「三百年のベール」は、時代小説や歴史小説と言うよりは、「歴史推理小説」とでも言うべきもので、「時の娘」の系譜である。つまり、現在の人間(正確には明治の人で、実在の人物がモデルである。)が、過去の歴史的事件の謎を解く、という作品で、推理の興趣に溢れた、しかもその中に、「部落差別問題の起源」という深刻な社会問題をも含んでいる。全盛時の白土三平がこれを読んでいたら、きっと興味を持ち、面白い漫画にしたのではないか。
影武者徳川家康
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『影武者徳川家康』(かげむしゃとくがわいえやす)は、隆慶一郎作の時代小説。徳川家康が実は関ヶ原の戦いで西軍により暗殺され、影武者と入れ替わっていたという内容で、『静岡新聞』に1986年1月4日から1988年11月30日にかけて連載され、1989年新潮社から上下巻で刊行された。1993年、上中下の全3巻で文庫化。
- 単行本
- 上巻 1989年6月、ISBN 4-10-361804-3
- 下巻 1989年6月、ISBN 4-10-361805-1
- 新潮文庫版
- 上巻 1993年8月、ISBN 4-10-117415-6
- 中巻 1993年8月、ISBN 4-10-117416-4
- 下巻 1993年8月、ISBN 4-10-117417-2
その後、原哲夫によって漫画化され、また1998年にテレビドラマ化され、4月から6月までテレビ朝日系列で、また2014年1月2日に「新春ワイド時代劇」としてテレビ東京系列により放映された。
- 世良田二郎三郎元信
- 諸国を流浪する「道々の者」である“ささら者”の子として生まれるが、幼少時に一族と無縁になり、願人坊主の酒井常光坊に銭五貫で買われた。長じて後は願人坊主の元から離れて世良田二郎三郎元信と名乗り、火縄銃を片手に戦場を駆ける野武士となった。三河をはじめ数々の一揆に傭兵として参戦し名を馳せ、特に天正四年(1576)の摂津石山本願寺における織田軍との戦闘では織田信長を狙撃し負傷させたため「信長を撃った男」として有名になる。紆余曲折を経て後北条氏の下人となっていたところを本多弥八郎正信に発見され、以降十余年間、家康の影武者を務める。家康とは知識からものの考え方までも似ており、関ヶ原合戦の本戦に際して西軍の布いた鶴翼の陣を見分して「西軍の勝ち」という意味の分析をしたほど。後継者や権力を巡る争いの中で、秀忠や井伊直政、藤堂高虎らに命を狙われるも、「道々の者」として自由な世の中を作るべく、駿府政権の長として大御所政治を推進し、島左近や六郎とともに秀忠と戦う。
- 漫画版においては、伊勢長島一向一揆で戦死した信長の親族は、全て二郎三郎が射殺したと描かれている(織田秀成については、鉄砲に討たれたのは史実であるが、無論世良田二郎三郎が撃ったわけではない)。また家康ともども痩身の美男子として描かれ、小説の描写とは大きく違っている(リメイクされた『SAKON(左近) -戦国風雲録-』においては、小説の描写に近くなっている)。
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