日本語教師ということは、英語にも強いということで、語学のセミ専門家というところだろう。ここでの話題は、通常では調べられない些細な疑問をうまく拾い上げていて有益だが、残念な部分もある。「アキュート・アクセント」の「アキュート」の英語がどういう綴りでどういう意味かという根本的なことが書かれていないことだ。
「acute」という綴りをすぐに思いついて調べてみると、正解だったようだが、その意味は「とがった、鋭敏な、抜け目のない」などで、音声学上は「鋭アクセント(’)のついた」とあるから、「鋭アクセント」という専門語もあるのだろう。しかし、「鋭アクセント」という訳語も分かりにくい。まったくイメージができない。アクセントが強いなら分かるが、鋭い、と言われてもなあww
それに筆者は自分の見聞の範囲で物事を決めつけすぎている。「ヴ」の音と「ブ」の音は明らかに違う。英語的な「V」と「ヴ」は違うかもしれないが、「ヴ」という表記が無意味だとはけっしてならないだろう。白人目線になった日本人という嫌味を感じる。
2016.07.23
ヨス「Pokémon」の「é」の上にあるチョンって何??
今回は、世界で話題になっている位置ゲーこと「ポケモンGO」の英語表記についてです。なんなんでしょうね? あの「チョン」は?
「Pokémon」の「 é 」にチョンがある
国外で先に話題になっていた「Pokémon GO(ポケモンGO)」がついに解禁になりました。
地球規模で大フィーバーしている「Pokémon Go」ですが、この英語表記を見て「アレッ?」と思いませんか?
それは「 é 」の上に付いている「チョン」のことです。
専門的には「アキュート・アクセント」と呼ぶ
このチョンですが、専門的には「アキュート・アクセント( ´ )」と呼びます。
アクセントとして付けるときもあったり、発音の区別のためにつけたりといろんなときに使われますが「Pokémon」ではどんな意味なんでしょうね?
実はここでは「エ」と読ませるためにアキュート・アクセントをつけています。
「Pokemon」はなんて読む?
「え?『Pokemon』はどう読んでも『ポケモン』でしょ?」と言われそうですが、英語圏の人は「ポケモン」とは読んでくれません。
ポゥキモン
……と読んでしまうんですね。うそー(笑)って思いますが、これはマジですマジのマジ!
「 e 」は英語表記の中でも、頻繁に使われるアルファベットです。ほとんどが「あいまい母音」として適当な発音をします(← また別記事で書きます)。
で、ちゃんと発音するときは「e(エ)」か「i:(イー)」の発音になります。
「エ」と発音してほしいのに「イー」と発音される
傾向としては、語頭(単語の頭)にくる場合は「egg(卵)」「end(終わり)」のように「 e 」を「エ」と読むことが多いです。「English」みたいに「i(イ)」と発音することもありますが。
逆に語尾(単語の最後)に「 e 」が来るときには「i:(イー)」と読むことが多いです。たとえば……
- Yosuke(ヨウスケ)→ ヨゥスゥキー
- Chie(チエ)→ チー
- Karaoke(カラオケ)→ キャラオゥキー
全部、日本語ですけど、 本来読んでほしい「エ」の発音ではなく「イー」の発音で読まれます。さらにレアな読み方には「cafe(カフェ=『キャフェイ』のような発音)」のように「 e 」を「ei」と読む例外もありますけどね。
そういえば、20歳のときにアメリカに行ってたんですけど、そのときに『バーチャファイター』ってゲームが流行ってたんですよ。
その中に、「影丸」というキャラがいるんですね。
で、画面では「Kage」という名前で表示されるんですけど、それをアメリカ人の友達は全員「ケイジ」と呼んでいたんです。
これは「マジックE」と呼ばれる現象で通常は語尾に来る「 e 」の発音はしないんです。
とにかく、単語の最後の「 e 」を「エ」と読むのは英語では激レアすぎるんですね。
「エ」と読んでもらうためには印が必要
というわけで、ふつうに読むと「イー」と読んでしまう部分で、あえて「エ」と読んでもらうには記号が必要になります。
それが「アキュート・アクセント」です。
たとえばわたしの名前の「Yosuke」を「ヨゥスゥキー」ではなく「ヨウスケ」と読んでもらうには「Yosuké」と表記しないと読んでもらえません。
「Pokemon」もまったく同じです。この例では語尾ではありませんが、ふつうに読むと「ポゥキモン」と発音するはずです。
わたしもこれが日本語だと知らされてなければ「ポゥキモン」と読んでいたでしょう。もしくは「poke(つっつく)」という単語に引っ張られて、「ポゥクモン(poukmon)」と読むかもしれません。
「なんで?」と言われると説明が難しいのですが、こういう並びのときには「エ」と発音する例がない(もしくは激レア)だからです。
ということで「Pokémon」の「 é 」のチョンは、ふだんの読み方「イー」とは違う「エ」という読み方だよという印でした。これがないと英語圏の人の99%の人は「イー」と読むので。
追記: それでも英語圏の人は「ポゥキモン」と呼ぶ
ちなみに、この「 é 」をつけても英語圏の人で「ポケモン」と呼ぶ人はほぼいません(笑)。
日本語の「ヴ」ぐらい意味がない、どちらかというと一応やっている側面が強いのかなと思います。
日本語で「ヴ」という表記は普通に使われますが、それを「bu」ではなく「vu」と発音する日本人はいません。
むしろ「 v 」を正式な発音で言うと「え??」とコミュニケーションの阻害になりそう。つまり「ヴァイオリン」と書かれてても「バイオリン」と発音するべきなんですね。
「ヴ」の表記は学校で正式にも習わないし、そもそも「 v 」を正しく発音できないし、使い分ける必然性が日本語にはないからです。
英語の「 é 」も同じで、あってもなくても「イー」と発音するのが慣習になってて、正しく「ポケモン」と発音できないことで困らないってことですね(笑)。
さて、今回の話ですが、20歳のときになんとなく気づいていました。
だって、アメリカ人の友達は、わたしのことを「ヨウスケ」ではなく「ヨゥスゥキー」とみんながみんな呼びますからね。
もちろんそのときは「アキュート・アクセント」のことを知りませんでした。「ヨゥスゥキーじゃなくてヨウスケだよ!」と口頭で言っていたので、親しい人だけは「ヨウスケ」と呼んでくれていましたが。