オリックス宮城があらゆる要素を駆使し、日本ハムに的を絞らせなかった。まず、生命線の外角真っすぐの制球が抜群にいい。右打者、左打者に関係なく外角で確実にカウントを取れる。宮城は左右の打者によって攻め方に偏りがない。これが基本線となり、バッテリー有利に攻めることができる。
そして緩急に特徴がある。一般的には真っすぐと変化球のコンビネーションが思い浮かぶが、宮城は変化球の中でも緩急を生み出す。カーブとスライダーでタイミングをずらしている。さらにストレートを絡めれば、ストレートと変化球、カーブとスライダーと、いくつもの緩急が成立する。
ここが重要だが、たまに見せる内角真っすぐが効いている。初回、万波には0-2から内角まっすぐで見逃し三振。3回、宇佐見には5球外角を続け、6球目にズバッと内角。7球目の外角カーブで見逃し。これがあるからどうしても踏み込めない。「そろそろ内角に来るか」という残像の植え付け方がうまいから、各打者は外のボールに腰が引けてしまう。
この内角真っすぐの使い方に代表されるように、浅い回では大胆に攻め、終盤でのピッチングで優位性を持たせている。初回、杉谷に内角を狙った真っすぐが甘く入りソロを浴びた。確かに失投ではあるが、これも宮城のピッチングの組み立ての一端と言える。初回だけにダメージも重くなく、8回を4安打1失点9三振は盤石だ。
対右打者の被打率は1割5分6厘、対左打者は同1割5分。外角に安定して制球し、時折見せる内角球でさらに外を遠く感じさせる。変化球の中にも緩急をつけてタイミングを狂わす。この組み立てで右左関係なく被打率を抑える。防御率1・45でトップにたった。抑えるべくして抑える。完成度の高さが見えた。(日刊スポーツ評論家)