西武の中継ぎに新たな山賊が現れた。高卒2年目の平良海馬投手(19)が7回から登板し、西川への5球目に球団史上最速タイとなる158キロをマークした。
体重98キロの巨漢から繰り出す球は、投じた15球のうち直球全13球が150キロを超え、3者凡退に打ち取った。今季14試合に登板し評価はここにきて急上昇。首位ソフトバンクとゲーム差を3に詰め、逆転優勝への隠し玉が、佳境を迎えて開花しかけている。
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山賊の新星はマウンドで仁王立ちした。日本ハム清宮、ヤクルト村上と世代の19歳・平良が、魔神のごとく切って落とす。2死で迎えた難敵・西川を剛速球で押した。2-2と追い込んだ5球目、内角をえぐる直球は、球場表示で158キロをマークした。遊ゴロに打ち取り3者凡退。リードを4点差に広げた直後、直球はすべて150キロ超えの投球で、反撃の糸口を与えなかった。平良は「球速は特に意識しない。出たらいいな、くらい」。不敵に、そして淡々と話した。
173センチの身長で体重98キロの巨漢体形。中村、山川と続く巨漢サイズの系譜を、投手ながら引き継ぐ。巨体から繰り出す剛速球を武器に、高校卒業からわずか1年半で、1軍に成り上がってきた。「一番大事にしてきたのはウエートトレーニング。重さを求めて、限界までいくことで、大きな力を発揮できるから」。球速の源は、張り裂けそうな筋肉。ベンチプレス130キロ持ち上げる肉体を作りあげ、体重はプロ入り当初から10キロ増えた。
1試合しかなかった高校最後の夏に、運命が変わった。一昨年の夏、八重山商工は初戦敗退の可能性があったため、渡辺GM(当時SD)が急きょ沖縄へ視察に向かった。魅力的な剛速球に引かれながらも決め手は違った。「フィールディングがすごくうまかったんだよ。あの大きい体で、身のこなし方がすごく軽快で『これならいける!』って。ダイヤの原石だと思っていたけど、こんなに早く1軍で投げるとは思わなかった」。実際に1回戦敗退も異例のドラフト4位指名。そのプレーがなければ、今の平良はない。
すでに14試合に登板。将来の守護神候補として潜在能力を評価し、勝ちパターンに組み込まれる。「緊張はしない。点差がない場面では、いつもよりも気持ちが高ぶる。絶対に抑えてやろうって思える」。首位と3ゲーム差。逆転優勝を見据え、でっかい山賊が加わった。【栗田成芳】
<平良海馬(たいら・かいま)アラカルト>
◆生まれ 1999年(平11)11月15日、沖縄。
◆経歴 沖縄・八重山商工から17年にドラフト4位で西武入団。高校3年の夏の県大会は1回戦敗退。
◆最速 高校時代は151キロだった。プロ1年目は2軍で156キロをマーク。24日楽天戦で、浅村の打席から登板し156キロを1軍では初めて記録した。
◆幸運のクワガタ 7月に引っ越した新選手寮の部屋に入ってきたクワガタをそのまま飼育。同時に1軍抜てき。
◆好きな選手 高校時代は日本ハム金子弌大投手にあこがれ。
◆好物 焼き肉。「肉だけじゃなくてなんでも食べます」。
◆ねばねば嫌い 唯一オクラ、納豆などねばねば系は苦手。
◆サイズ 173センチ、98キロ(公称95キロ)。右投げ左打ち。