山本昌の、あの独特の投げ方は、若い投手などが真似をして受け継いでいくべき投法だと思う。高校野球などで、今一つ伸び悩んでいる投手は、あの投げ方を試してみてはどうだろうか。
スリークォーターやオーバースローははたしてベストの投げ方かどうか、再考してみようということだ。
昔の大投手であるウォルター・ジョンソン、サッチエル・ペイジ、それに最近まで最大の投手であったランディ・ジョンソンなど、サイドスローであったと思う。スリー・クォーターやオーバースローが速球を投げるのにベストの投球フォームであるという認識は、誤っている可能性が高い。ついでながら、サッチェル・ペイジは速球も凄かったが、コントロールが驚異的に良かったという。制球力の面でもサイドスローの方が優れているという可能性も高い。
山本昌は、あれはサイドスローとも少し違う感じである。そもそも、投球フォームの分類は、投げる腕が体と角度を作っていることが前提だが、腕そのものがたたまれて、肩口からボールが出てくるようなフォームは何に分類されるのか。
今年大リーグに行った、元ソフトバンクの和田投手なども、研究に値する投手だ。この二人とも、球は速くないのに勝てる投手である。そして投球フォームが独特である。その独特さには必ず合理性が隠れているはずだ。
なぜ平凡な投手たちは、彼らを研究しないのだろうか。
(以下引用)
スポーツ] 山本昌はセ・リーグNo.1の速球投手だ
登録名は山本昌なのだが、どうもなじめないので、以下、本名の山本昌弘と書く。
山本昌弘は中日ドラゴンズの現役投手である。ベイスターズの工藤が頑張っているため現役最年長とはいかないが、数々の最年長記録を持っており、高卒後プロ入りして一度も移籍がなかったことから、同一球団の在籍記録は日本記録を更新中である。
ラジコンは趣味の域を超えるほどの膨大な時間とお金を投資していて、成績も相当なものらしく、山本昌弘はプロのラジコンレーサーで、副業の野球はその資金稼ぎ……などと揶揄されることもある。が、もちろん、現在のプロ野球を代表する投手のひとりである。
20代の頃は最速で133キロくらいだったのが、30代になって138キロほど出るようになり、43歳で143キロを記録するという、不思議な投手(節制と努力の賜物であろう)。スクリューボールやカーブを駆使する変化球投手と思われがちだが、投げる球の約半分がストレートという、れっきとした速球派投手だ。
平均的な投手の投げる球の回転数は37回転/秒、松坂大輔が41回転/秒、藤川球児が45回転/秒であるのに対し、山本昌弘は54回転しているという。*1すさまじいほどキレのある速球を投げ込んでいるわけである。リリース直前までボールの出所がわからないような投球フォームと相俟って、打者が感じる速さという点では、セ・リーグNo.1かも知れないのだ。
スピードガン全盛時代になり、ある部分がきちんと数値化されたのは進歩だが、打者が感じる速さや威圧感は別物であるという。王貞治は晩年に「セ・リーグで一番球の速い投手は?」と訊かれて「スワローズの安田猛」と答えたことがある(安田猛も一般には軟投派投手といわれている)。スピードガンによるスピードとは別の形で投手の再評価がもっとなされるべきだろう。