DeNAのドラフト1位ルーキー、今永昇太投手(22)が14日の阪神戦(横浜)で6回を1失点に抑え2勝目(4敗)を挙げた。まだ黒星先行も防御率1・96はリーグ4位(16日現在)の好成績。通算165勝の野球評論家、西本聖氏が今永をチェックした。
-投球フォームについて
西本氏 バランスがすごく良いフォーム。軸足(左足)での立ち方も良いし、右足を踏み出して最後、着地する左足がしっかり止まる。対照的だったのが投げ合った同じ左腕の阪神岩貞。左足が三塁側に流れてしまう。制球が安定せず逆球が多かった。初めて見たがバランスが悪いなあと思った。今日は(今永が勝利投手)「左足の差」が出た。
-ピッチングについて
西本氏 素晴らしいピッチャーで大きな問題はないが1つ気になったことがある。6回、104球を投げてワンバウンドが1球もなかった。追い込んでからのボールの使い方というのかな。投手には打者に振らす権利がある。投手有利なカウント(0-2、1-2)でストライクゾーンで勝負していた。真ん中低めにワンバウンドになるチェンジアップを投げていればもっと簡単に三振が取れていたはず。チェンジアップにコントロールを付けすぎようとして腕も緩んでいた。打者も見逃しやすいし、やはり腕を直球と同じように振ってワンバウンドを投げるべき。球数も減らすことができる。あとはもっとカーブを使ってもいい。あれだけのいいカーブ。同じ打者に2球、3球と続けても構わない。ストレートがもっと速く見えるようになる。
-大学4年時に左肩を故障したが
西本氏 肩、肘を壊す投げ方はしていない。大丈夫、問題なし。
-エースになれる素材か
西本氏 十分、柱になれるピッチャー。コントロールが良いし非常に安定感を感じる。これから経験を積んで、駆け引きやボール球の使い方を覚えていけばいい。新人王も狙えると思う。
◆西本聖(にしもと・たかし) 1956年(昭31)6月27日生まれ、愛媛県出身。松山商から74年ドラフト外で巨人入り。2年目に1軍入りを果たすと77年に8勝を挙げ、80年からは6年連続で2桁勝利をマークするなど巨人の主力投手として活躍した。81年に沢村賞。中日に移籍した89年には20勝を挙げ最多勝。その後オリックスでもプレー。最後は94年、巨人で現役引退した。通算504試合に登板し165勝128敗17セーブ、防御率3・20。決め球はシュート。引退後は阪神、ロッテ、オリックス、韓国ハンファで投手コーチを務めた。今季から日刊スポーツ評論家に復帰