平良竜哉の現在の守備位置は二塁手のようだ。ネームバリューは牧に劣るが、実力的には同じかそれ以上の可能性もあるのではないか。何より、打率、長打力、足と、打者としてはすべてが揃っている。小柄であることも、投手のストライクゾーンが狭くなるのだから、野球では(投手以外は)けっして不利ではない。それはオリックスの吉田尚で証明されている。古くは、若松勉や門田博光という凄い打者たちもいる。確か、平良はキャプテンでもあったはずで、精神的な強さもあるのではないか。3位以内で獲る価値はあると思う。特にDeNAにはお勧めである。
(以下引用)
指揮官もホレたフルスイング。 九州のアルトゥーベは何位で指名か?
10/19(月) 16:45配信
webスポルティーバ
豪快なスイングが魅力の九州共立大・平良竜哉
2014年から九州共立大の監督に就任した上原忠監督は自身が沖縄出身ということもあり、沖縄の好素材をスカウトすることで知られている。
4年前、上原監督はある投手をスカウトする心づもりで、沖縄へと飛んだ。そして、目当ての投手が出場する試合の後に、前原高校の試合も視察することにした。「前原にいいバッターがいるらしい」という噂を耳にしたからだ。
前原の打者を2打席見た段階で、上原監督は投手のスカウトに来た目的も忘れて「なんとしてもこのバッターがほしい」と惚れ込んだ。すぐさま前原の監督に「ウチにお願いできませんか?」と懇願したという。
「とにかくスイングの強さが魅力的だったんです」
上原監督はそう振り返る。それが平良竜哉(たいら・りゅうや)との出会いだった。
いかにもスラッガーらしい、大柄な選手というわけではない。現在のサイズは身長170センチ、体重78キロ。野球選手としては小柄な部類に入る。
だが、平良のスイングをひと目でも見たら、体格のことなど忘れてしまう。
大学1年秋に出場した明治神宮大会では、大学日本代表に選ばれた栗林良吏(名城大/現・トヨタ自動車)のスライダーをバックスクリーンに放り込んだ。
全身がねじ切れんばかりの豪快なフルスイングは、見る者を魅了する。本人が敬愛するのは、ホセ・アルトゥーベ(アストロズ)。身長167センチの小兵にもかかわらず、首位打者を3回、シルバースラッガー賞を5回獲得しているMLBのスター選手だ。
平良に聞いてみた。このフルスイングの原点はどこにあるのか、と。すると、平良は野球を始めた幼少期からずっとフルスイングを貫いていることを明かした上で、こう続けた。
「ピッチャーは全力でくるんで、僕も全力でいったほうがいいと思ったんです。そんなシンプルな考えでしたね。周りに何か言われても、これが普通だと思っていました」
全力には全力で。まるでバトル漫画の主人公のようなセリフを真顔で語った平良を見て、上原監督が苦笑混じりに漏らした「彼は感性が違う」という言葉を思い出した。
中学時代には全国大会に出場し、県内外の有力校から声をかけられたが、「普通の県立高校で強いチームを倒したい」と前原へ。九州の名門・九州共立大では1年時からレギュラーとして活躍している。
誰かにスイングを教わったわけではない。「体が前にいくと強いスイングができない」と悟り、頭を残してバットを大きく振り抜く「ステイバック」の形に行き着いた。後年になってさまざまな強打者の動画を見るなかで、「自分と同じ形だ」と気づいたという。
「体は小さくても、スイングスピードは誰にも負けたくない」
その一心で、ひたすらバットを振り込んできた。
ここまで大学通算16本塁打。さらに2年春にはリーグ戦11盗塁をマークするなど、50メートル走6秒フラットの俊足もある。
大学で足が速くなったという平良に、その要因を聞くと、「体重が増えたら勝手に速くなりました」という答えが返ってきた。普通は体重が増えれば、かえって足は遅くなるのではないか。そう確認すると、平良は真顔でこう述べた。
「卵と豆腐を毎日食べたら体が強くなって、足が速くなったんです」
そして平良は、豆腐の選び方について力説するのだった。
「いや、ものによって全然違うんですよ。成分表示の『たんぱく質』の量を見て、一番いいやつを買います。0.5グラムくらい違いますから」
筋力トレーニングと、日頃のたんぱく質摂取によって筋力がアップしたため、足が速くなった......と平良は言いたかったのだろう。
また、平良を評する上でネックになっていた守備力も、冬場に基礎的な訓練を積んだことで向上。3年までは一塁手中心だったが、現在は二塁に固定されている。派手さはないものの、足を使って正面に入る基本に忠実なフィールディングだ。平良は「ファインプレーはいらないので、飛んできた打球を確実にさばくことを考えています」と語る。
内野を守れる右の強打者は希少だ。現時点で複数球団からの調査書が届いているように、平良に興味を示している球団もある。だが、平良は3位以内の指名でなければ内定を受けている社会人に進む、いわゆる「順位縛り」がある。平良を上位指名にふさわしいと評価する球団があるのか、10月26日に答えが出るはずだ。
だが、どの道に進むにせよ、これだけのスイングができる打者を見逃す手はない。和製アルトゥーベの猛スイングには、見る者のささいな悩みごとなど吹き飛ばしてしまうようなエネルギーがあるのだから。