無残な敗戦で、虎が追い込まれた。阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が、プロ野球初となる一塁手の1試合4失策、セ・リーグ初となる一塁手の1イニング3失策という不名誉な記録を2つもつくる守乱がひびいての敗戦。矢野燿大監督(51)も怒りを隠せなかった。24日の巨人戦で負けか引き分けで、15年連続のV逸が決まる。
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あまりに悲しいシーンの連続だった。チームが悔しい思いをし続けた敵地東京ドームで繰り広げられたのは、失策のオンパレード。ミスを連発したのは一塁マルテだ。矢野監督が怒気を含んだ口調で言った。
「足引っ張りすぎだわな」
「ホームラン以外、全部でしょ。エラーが(失点に絡んだ)。それじゃ勝てるわけない」
「あまりにも…、簡単なミスというか、難しい打球じゃないんでね」
惨劇の始まりは2回だった。1点を先制され、なおも1死二塁。マルテは7番田中俊の打球をはじき、1つ目の失策を記録。さらに、はじいたボールを拾い、一塁にトスしたが…。これが大きくそれて二走だった若林の生還を許し、このプレーに2つ目の失策がついた。さらに1死一、三塁からは今村のセーフティースクイズを処理できず、セ一塁手としてはワーストとなる1イニング3失策。この回の西勇の3失点のうち、2点には自責がつかなかった。
5回無死三塁では松原のゴロを失策。これで一塁手として1試合4失策という両リーグ通じてワースト記録に名を刻んでしまった。この回は梅野の二塁送球にも失策がついており、チームとして11年ぶりの1試合5失策。今季両リーグワーストのチーム失策数は79に膨れあがった。
矢野監督は「言いようがないわ」と語るなど、最後まで怒りが収まらない様子。試合終盤に1点差まで迫ったが、結局ミスが重くのしかかっての黒星を喫した。チームは貯金を吐き出し、勝率5割に逆戻り。24日の巨人先発は菅野で、V逸を避けるには、勝つしかない。【松井周治】
▼一塁手1試合4失策のプロ野球新記録=マルテ(阪神) 23日の巨人21回戦(東京ドーム)で2回に3、5回に1失策。一塁手の1試合4失策は、過去18人が記録した3失策を上回る新記録。また、2回のイニング3失策は74年4月13日ジョーンズ(近鉄)以来3人目のプロ野球タイ記録で、セ・リーグでは初めて。