私は選手の成績や能力を単年で評価することはほとんど無い。(超ベテランが最後のひと花を咲かせる、というようなのは評価するが)基本的に、1年だけの成績ではその選手の実力は分からないと思っている。実際、華々しい成績を上げた選手が、そこがその選手のピークであったというのは腐るほど目にしている。
特にFAなどする選手はだいたい選手成績の晩年に近づいているわけで、FA前に好成績を上げて移籍した選手が、FA先で鳴かず飛ばずだった例は枚挙に暇(いとま)が無い。
また、FAで複数年契約をすると、真剣に働くモチベーションも無くなるのが当然の話である。
と言うことは、FAで高額選手を獲得した球団こそが、実は「危険な球団」であると見ることもできるわけである。
丸や浅村がこの先も今年ほどの成績を上げるには、よほど自分で自分を叱咤激励する必要があるだろう。だが、それでも、後になって見てみれば今年が彼らの選手生命のピークだった、となるのではないか、と私は推測している。まあ、そうなる蓋然性が高いということだ。
そういう意味では、今回のFAで成功例になりそうなのは炭谷と金子ではないか、と私は見ている。
最初にデュラビリティのことを書いたが、各球団には「持続的に堅実な成績を残している」中堅選手というのがいるはずだ。そういう選手こそ球団の宝である、という考えを球団もファンも持つべきだろう。
有名選手というのはマスコミが作り出した面がある。その結果、分不相応な高額年俸を手にし、当人も自己評価が度外れに高くなることも多い。そういう「実力以上に評価された」選手はFA移籍をするとたいていまったく活躍できないままで終わる、という例がアメリカでも多いのである。これがFA制度の危険性である。
これはもちろん、丸や浅村に実力が無いと言っているのではない。ただ、その実力は他選手の2倍も3倍もあるというものではなく、10段階評価なら、他の選手が5か6であるところを丸や浅村は7か8まで行ったというだけのことだ。残された選手だけでもペナントレースは戦えるし、それは監督やコーチの手腕や熱意しだいだろう。
ということで、私は下の林昌範の言葉に同感する。
(以下引用)
12月に入り、各球団の来季構想も着々と進んできました。選手たちはこの時期になると、シーズン中以上に新聞やネットニュースでプロ野球の情報に目を止めます。やはりどの選手も「自分と同じポジションに来年は選手が入るのか?」と敏感になるのです。
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現役時代の僕自身も同じでした。主に救援で投げていましたが、右、左関係なくどの投手が加入するかという情報は常に気になっていました。ライバルが増えることは「負けたくない」というモチベーションになります。競争意識が生まれますし、チーム力の底上げにもつながります。
今オフは巨人の補強が注目されています。広島から丸選手、西武から炭谷捕手をFAで獲得、オリックスを自由契約になった中島選手、新外国選手ビヤヌエバ選手も獲得しました。特に丸選手の加入は戦力アップと共に他の選手の大きな刺激になります。陽選手、長野選手、立岡選手、重信選手は中堅の定位置を争うわけですから、来季に向けて例年以上にモチベーションが上がっているのではないかと思います。
チーム内の競争意識という観点で巨人と同様に楽しみなのがオリックスです。現在のところ補強は新外国人内野手・メネセス選手ただ一人です。中心選手だった金子投手が日本ハムと契約合意に達し、野手陣も小谷野選手が今季限りで引退、中島選手も巨人に移籍。西投手もFA移籍で流失危機と戦力ダウンのニュースが多いかもしれませんが、逆に若手にとってこれ以上のチャンスはありません。西村新監督の下、チームが生まれ変わるチャンスでもあります。自分も現役時代に体感しましたが、実力はもちろん運も非常に重要です。才能あふれる選手も出場機会に恵まれず、消えてしまったケースは少なくありません。
オリックスは金子、西と両投手が退団した場合は山岡投手、田嶋投手がエースとしてチームを引っ張る立場になります。今年救援で結果を残した20歳の山本由伸投手も先発転向を志願していますが、大ブレークする可能性があります。野手陣も吉田正尚選手、T-岡田選手、安達選手ら主力に加えて核になる選手の台頭が待ち望まれます。中島選手、小谷野選手が退団した右打者は特にチャンスです。DeNAから昨季途中で加入した白崎選手、24歳の武田選手、2年目の山足選手、ドラフト2位の亜大・頓宮選手らの中から何人の選手がレギュラーをつかむのか楽しみですね。