記事そのものよりも、コメントに的確な批判が多いのが面白い。中には、コメントというよりは、自己顕示欲だけの(としか思えない)長文の論文まがいもあるが、中身を読んでいないので全部掲載しておく。
しかし、このトヨタの講師も阿呆だけど、トヨタという会社そのものが阿呆だ。「看板方式」という下請け泣かせで巨大な資産を作り上げたが、その命運は長くはなさそうだ。
(以下引用)
トヨタが東大で力説、「僕らを助けて下さい」 若者のクルマ離れに危機感を抱くメーカー(東洋経済)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/144.html
トヨタ自動車のレクサスインターナショルプレジデントが東大で講義を行った
トヨタが東大で力説、「僕らを助けて下さい」 若者のクルマ離れに危機感を抱くメーカー
http://toyokeizai.net/articles/-/50595
2014年10月16日 山田 雄大:東洋経済 編集局記者
今に始まったことではないが、自動車メーカーは若者のクルマ離れに対して年々危機感を強めている。業界団体の日本自動車工業会の調査でも、大学生の興味や関心の順位は、音楽やアニメ、ゲームなど個人で楽しむコンテンツが上位に来ており、自動車の順位は年々下がっている。調査は2008年のものだが、スマートフォンが人気を集める昨今、この傾向はさらに強まっていると見られる。
2014年4月、国内乗用車メーカー8社と一般財団法人自動車研究所は、共同でエンジンの基礎研究に取り組む組織(AICE)を立ち上げた。本田技術研究所の常務執行役員でAICEの理事長を務める大津啓司氏は、「大学を中心とする基礎研究の立ち後れや、若手人材の不足が深刻になっており、日本ではエンジン開発の基盤が弱体化している」と危機感を述べている(関連記事「今やらないと、日本のクルマは負ける」)。乗り手としての若者のクルマ離れだけでなく、研究者の人材不足という問題も業界には横たわる。
■「デザイン一筋40年」の”職人”が登壇
こうした中、日本自動車工業会では昨年から「大学キャンパス出張授業」を始めている。各メーカーのトップマネジメントが大学を訪れ、学生にクルマやモノ作りの魅力を伝えるのがその目的だ。今年もトヨタがトップバッターとなり、10月9日に東京大学で授業を行った。
教壇に立ったのは、トヨタの取締役専務役員でレクサスインターナショルプレジデントを務める福市得雄氏(63)。多摩美術大学出身で、トヨタ入社後は「デザイン一筋40年」という”職人”だ。リーマンショック後に転籍していた子会社からトヨタ本体に呼び戻され、役員に就任。デザイン本部本部長として、「もっといいクルマをつくろう」と現場に発破をかける豊田章男社長を支えている。
授業の中で福市氏は「これまでのトヨタは多種多様な車を取りそろえた、いわば大型百貨店や量販スーパーのような存在だった。ここに来れば何でも買えるが、ここでしか買えない独自の商品が少なくなっていた」と、自社の抱える課題を率直に振り返った。
そこで取り組んてきたのが「単にたくさんの商品を扱うのではなく、選りすぐった品揃えで高級なモノから安価なモノまで取りそろえる、”セレクトショップ”を目指す」ことだったという。選りすぐりの中で存在感を放つブランドが今年で誕生して25年が経つ高級車「レクサス」だろう。
そのうえで、軽自動車を除く登録車で5割近いシェアを持つ日本と、シェアが低い欧州や中国とではデザイン戦略を変えていることを明かしたり、目の錯覚を利用したデザインの手法や「レクサス」の新モデルのデザイン意図などを詳細に話すなど、さまざまな側面からクルマの奥深い世界を伝えた。
■「日本の自動車産業を助けて下さい」
最初は緊張した面持ちだったが、トークセッションに移る頃には福市氏の口も滑らかになり、「いま、車はつまらないといわれている。私の学生時代、車はときめきやドラマがあった。ファーストキスは車の中だった」と”告白”。「車でのデートを彼氏にリクエストして欲しい」と、笑いを誘う一幕もあった。
あくまでクルマやモノ作りの魅力を伝えるのが目的だが、福市氏のパーソナリティも色濃く出た授業だった。同氏曰く、「小学校、中学校の成績はオール2で、体育と図工だけは5」。トヨタでデザイン一筋でやってこられたのは、「『自分はできない』という思いが逆に強みになった。だから失敗を繰り返してもへこたれなかった。なぜなら、それ(デザイン)でしか生きていけなかったから」だという。
そして、福市氏は「将来のリーダーとなる東大生の皆さん、これからは左脳(論理脳)だけでは世界と戦っていけない。右脳(感覚脳)を鍛えて下さい。若いうちに挫折して下さい」と学生らを叱咤した後、「僕らトヨタに限らず、日本の自動車産業を助けて下さい」とアピールした。
トークセッションに参加した学生からは「チャレンジ精神に感銘を受けた」「仕事にかける熱意を感じた」という声も聞かれた。福市氏の思いは、ある程度伝わったようだ。一方で、「クルマに興味がなければ来ませんよ。ここに来た人は多少でもクルマ好きなんでしょう」と冷静に分析する学生もいた。
実際、授業が終わった後、会場の外に展示されていたレクサスの新型クーペを食い入るように見つめていた2人の学生に声をかけると、自動車部の先輩・後輩という間柄で、所属学部はともに工学部だった。
「今、普通の学生の生活だとクルマに触れる機会はない。自動車部に入っていると言うと、”変な奴ら”だと思われますから」と自嘲気味。そして、「自動車メーカーはもっと努力して、若者も買えるようなコンパクトで楽しい車を作って欲しい」とも話してくれた。
■”セレクトショップ”ができること
トヨタとしてはハイブリッド車の「プリウス」や「アクア」などで、先進的な技術を備えた量産車ブランドを確立することに成功している。それに加えて、一昨年には、トヨタ「86」として十数年ぶりに新型スポーツカーを投入。今年は「70」シリーズの復活として、「ランクル70」を10年ぶりに日本で発売すると発表した。
父親が中古で買った94年モデルに乗ってすっかりファンになったという島田謙佑さん(20)は8月に行われた試乗会で、「若者のクルマ離れなんて言われているけど、このクルマがない人生は考えられない」と目を輝かせていた。
まったく新しいクルマが受けるのか、若者が知らないかつてのクルマが復活することで人気が再燃するのか。クルマ離れを阻止する絶対的な方策がないからこそ、自動車メーカーも試行錯誤を繰り返している。いずれにしても、今回の授業に足を運んだ学生には、トヨタの違った側面を見せるいい機会にはなったはずだ。
今回の授業に集まった学生は約320人。だが、会場の約6割が埋まった程度で、空席が目立ったのも事実だ。課題は、トヨタの授業に見向きもしなかった若者をどう振り向かせるか。世界展開する”セレクトショップ”を目指すトヨタには、価格設定やデザインなどやれることはまだまだありそうだ。
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