鹿児島市民にとって桜島の噴火は身近な問題だ

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火山学者が記者の取材に応じる様子をツイートしたところ、5000回以上リツイート(転送)されるほどの大反響を呼んでいる。記者が、火山による被害を出さない方法を聞いたのに対して「火山には登らないことですね」と、そっけない答えだったのが話題になったようだ。その内容については「正論だ」と賛同する声も多い。


ツイートの主は、2011年1月に爆発的噴火を起こした九州南部、新燃岳(1421メートル)の研究を20年以上にわたって続けている、鹿児島大学准教授の井村隆介さんだ。話題になったツイートは、10月1日夜に書き込まれた。

「コメントにならなくてごめんね」

ツイートによると、取材に来たある記者が

「二度と被害を出さないようどうすべきでしょうか?」

と聞いたところ、井村さんは

「火山に登らないことですね」

と答えた。記者が「え?」と面喰らっていると、井村さんは

「今回のような噴火は防げない。原因は運が悪かったとしか言えないと思う。それを避けるためには、火山には登らないことですね」

と説明。その答えを聞いて記者は言葉を返せず、黙ってしまったようだ。ツイートの中には、井村さんの「コメントにならなくてごめんね」という申し訳なさそうな言葉もあった。


井村さんは

「『教訓は?』とか,『今後は?』という話なら,イロイロ答えたよ」

ともツイートしており、記者の質問の仕方に問題があった可能性もありそうだ。さらに、ツイートされたやり取りは取材のごく一部のようで、噴火予知のあり方について30分程度話した後の出来事だったようだ。

半日後にはNHKに「火山災害ホームドクター」として登場

偶然にも、ツイートからおよそ半日が経った10月2日朝にNHK Eテレで放送された番組「学ぼうBOSAI」に、井村さんは「火山災害ホームドクター」として登場している。その中にも、似たようなエピソードが登場している。


新燃岳が大きな噴火を起こす前の2010年の段階で、地元の宮崎県高原町(たかはるちょう)が子どもに霧島の自然に触れてもらおうと、ツアーを計画していた。目的地は新燃岳の火口からおよそ2.5キロの場所を想定していた。その時点で小さな噴火は起きていたが、立ち入りは可能な場所だった。町が井村さんにアドバイスを求めたところ、井村さんは「研究者であっても、噴火は容赦してくれない。僕だって死ぬ可能性がある。そんな場所に、みんなを連れていくわけにはいかない」


などと猛反対し、すぐにコース変更が決まったという。


井村さんは、記者とのやり取りのツイートが話題になった後にも、真意を改めてツイッターで説明しており、立場は一貫しているといえそうだ。

「今回の事故から学ばなければいけないことは,『活火山の登山には噴火リスクが伴う』ということだと思います。そのリスクをどこまで許容するかは個人の判断だと思います。研究者はその判断材料を提供できるだけです」

気象庁が「噴火警戒レベル」を設定して監視している火山は全国に30あるが、「レベル2(火口周辺規制)」以上なのは、活発な活動が続く桜島(レベル3)や、阿蘇山(レベル2)など8つのみ。御嶽山も、今回の惨事が起きるまでは「レベル1(平常)」で山頂付近への登山は規制されていなかった。