ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です
管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新記事
(11/21)
(11/21)
(11/21)
(11/20)
(11/20)
(11/19)
(11/19)
(11/19)
(11/18)
(11/18)
最新TB
プロフィール
HN:
o-zone
性別:
非公開
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
(09/04)
P R
カウンター
掲載順序が前回と逆になったので、「意外性」も「展開の興味」も薄れることになったが、まあ、そのまま飛ばし読みになるよりはマシだろうと思って、第25章を26章の後に掲載する。
第二十五章 城内の戦い
まずい、とマルスは思った。
町の傭兵軍が、あまりに町から遠く離れすぎてしまったように見えたのである。
もしも周りを囲まれたら、ギーガーたちは町に戻れなくなり、なぶり殺しにされるだろう。
だが、ギーガーはさすがだった。一見真剣に戦っているように見せながら、じりじりと退却し、途中でかなわぬと見せて逃げ出した。
野盗たちはそれを見て勢いづき、ギーガーたちの後を追いかけた。町の四方を囲んでいた敵軍は、今は町の正面に集まり始めていた。
ギーガーたちは跳ね橋を渡って城内に逃げ込んだ
逃げ遅れた兵士が何人か敵の集団の中に呑みこまれるのが見える。
矢の射程内に入った敵を目掛けてマルスは次々に矢を射た。このような乱戦では、狙いが定めにくく、数に限りのある矢が勿体無いが、少しでも多く、敵にダメージを与えておきたい。
敵軍は、数を頼みとして、マルスの矢も恐れず城門に殺到してきた。ギーガーたちの後からすでに城内に敵が走りこんでいる。その中にはシルヴェストルの姿もあった。
マルスはシルヴェストル目掛けて矢を放ったが、運悪く他の敵兵がその前を横切ったため、目指す相手には当たらなかった。
「あの、城壁の上の弓兵どもを射殺せ! 縄を掛けて城壁に上って切り殺せ。弓兵一人を殺した者には五百リムやるぞ。正面の小僧を殺せば千リムだ」
シルヴェストルは上を見上げて怒鳴った。さすがに戦なれしており、弓兵が彼らの邪魔になることをよく知っている。
敵兵のおよそ四分の三ほどが外門の中に入ったところで、ロープで吊り下げてあった鉄格子を切って落とし、残る敵兵を城の外に締め出した。これもアンドレの策の一つである。同時に、内門も閉められ、さらに敵軍は分断された。敵軍のうち、城の本丸まで入った数はおよそ百名ほどであり、内門と外門との間に取り残された者が二十名ほどいる。その二十名ほどは他の射手に任せ、マルスは本丸に入った敵軍を次々に矢で射た。
最初の計画では、外門と内門の間にもう少し敵を入れて、じっくり矢で射る予定だったが、内門の中に入った敵軍が予想より多い。
マルスは城壁の上を移動しながら、眼下の敵を目掛けて矢を放つ。敵が城内に入ってからおよそ二十分ほどの間に、二十名ほどがマルスの矢によって死に、あるいは戦闘不能になっている。しかし、敵の剣に追われて逃げ惑う味方の姿も見える。マルスは、味方を追う敵から狙っていった。敵の中には民家に入って上方からのマルスの矢を避ける者もいる。
マルスはさらに、町の奥のほうに向かって城壁の上を移動した。
見下ろすと、敵の中には、通りの真ん中の落とし穴に落ちている者や、頭上から石を落とされて怪我した者もいる。しかし、シルヴェストルを含め、大半の敵兵の姿が見当たらない。
マルスの心に焦りの気持ちが湧いてきた。味方に何か悪い事でも起こっているのではないだろうか。
もはや城壁の上から倒せる敵はすべて倒したと見極めをつけ、マルスはロープを使って下に滑り下りた。ロープは味方に引き上げて貰う。マルスと一緒にオーエンも、その他の守備兵も下り、城壁の上には弓兵十人だけが残った。
マルスと十人の若者は、町の通りを走って敵兵を探した。
敵兵たちはそれぞれ民家の中に入り込み、町民を探し出そうとしているようである。
もちろん、町民はそれぞれ組になって敵に備えているが、町民だけではやはり敵には対抗できない。
マルスは、町民に襲い掛かる敵兵を見つけて、打ち掛かった。一、二合切り結ぶとすぐに相手を切り倒すことができた。板金の鎧で完全武装をしている敵は数名であり、鎖帷子程度では、剣の打撃を受け止めることはできない。
「マルス! 敵は町の奥の袋小路よ。今、ギーガーたちが戦っているわ。でも、負けそうなの。助けに行って」
マチルダの声だった。
マルスは振り向いて、マチルダを見た。マチルダは、緊張した顔に微笑を浮かべた。
(無事だった……)
マルスは嬉し涙を流しそうになったが、こらえて「うん」とうなずいた。
ある小さな民家の二階で、アンドレは机の上に町の地図を広げていた。その地図の上には戦闘のあった場所と、死んだ敵の数、味方の数が書き込まれている。それらはみな、マチルダと何人かの子供達が報告したものである。
「これまでに死んだ敵の数は四十七人、怪我で戦闘不能になっているものが二十六人、味方の捕虜になっているものが三人いる。城内に入った人数は百三人だから、残りはあと二十七名だ。
味方の被害は、死んだのが八名、大怪我をしたのが十九名、ほとんどは傭兵隊の兵士だが、町民も大怪我をしたのが六名いる。幸い、といっては傭兵たちに悪いが、町民の死者はまだいない」
アンドレは護衛役のオズモンドに言った。というより、独り言のようなものである。
開けたままのドアの向こうに、マチルダが顔を覗かせた。
「マルスはオーエンたち十名とともに、ギーガーの救援に向かいました!」
息をはずませて報告する。それを聞いて、アンドレはにっこり微笑んだ。
「よし、これで戦闘はほぼ終わりだ。各部署にいる町民をすべてギーガーたちの戦闘場所に集めて敵を取り囲むように伝えてくれ。われわれも向かおう」
第二十五章 城内の戦い
まずい、とマルスは思った。
町の傭兵軍が、あまりに町から遠く離れすぎてしまったように見えたのである。
もしも周りを囲まれたら、ギーガーたちは町に戻れなくなり、なぶり殺しにされるだろう。
だが、ギーガーはさすがだった。一見真剣に戦っているように見せながら、じりじりと退却し、途中でかなわぬと見せて逃げ出した。
野盗たちはそれを見て勢いづき、ギーガーたちの後を追いかけた。町の四方を囲んでいた敵軍は、今は町の正面に集まり始めていた。
ギーガーたちは跳ね橋を渡って城内に逃げ込んだ
逃げ遅れた兵士が何人か敵の集団の中に呑みこまれるのが見える。
矢の射程内に入った敵を目掛けてマルスは次々に矢を射た。このような乱戦では、狙いが定めにくく、数に限りのある矢が勿体無いが、少しでも多く、敵にダメージを与えておきたい。
敵軍は、数を頼みとして、マルスの矢も恐れず城門に殺到してきた。ギーガーたちの後からすでに城内に敵が走りこんでいる。その中にはシルヴェストルの姿もあった。
マルスはシルヴェストル目掛けて矢を放ったが、運悪く他の敵兵がその前を横切ったため、目指す相手には当たらなかった。
「あの、城壁の上の弓兵どもを射殺せ! 縄を掛けて城壁に上って切り殺せ。弓兵一人を殺した者には五百リムやるぞ。正面の小僧を殺せば千リムだ」
シルヴェストルは上を見上げて怒鳴った。さすがに戦なれしており、弓兵が彼らの邪魔になることをよく知っている。
敵兵のおよそ四分の三ほどが外門の中に入ったところで、ロープで吊り下げてあった鉄格子を切って落とし、残る敵兵を城の外に締め出した。これもアンドレの策の一つである。同時に、内門も閉められ、さらに敵軍は分断された。敵軍のうち、城の本丸まで入った数はおよそ百名ほどであり、内門と外門との間に取り残された者が二十名ほどいる。その二十名ほどは他の射手に任せ、マルスは本丸に入った敵軍を次々に矢で射た。
最初の計画では、外門と内門の間にもう少し敵を入れて、じっくり矢で射る予定だったが、内門の中に入った敵軍が予想より多い。
マルスは城壁の上を移動しながら、眼下の敵を目掛けて矢を放つ。敵が城内に入ってからおよそ二十分ほどの間に、二十名ほどがマルスの矢によって死に、あるいは戦闘不能になっている。しかし、敵の剣に追われて逃げ惑う味方の姿も見える。マルスは、味方を追う敵から狙っていった。敵の中には民家に入って上方からのマルスの矢を避ける者もいる。
マルスはさらに、町の奥のほうに向かって城壁の上を移動した。
見下ろすと、敵の中には、通りの真ん中の落とし穴に落ちている者や、頭上から石を落とされて怪我した者もいる。しかし、シルヴェストルを含め、大半の敵兵の姿が見当たらない。
マルスの心に焦りの気持ちが湧いてきた。味方に何か悪い事でも起こっているのではないだろうか。
もはや城壁の上から倒せる敵はすべて倒したと見極めをつけ、マルスはロープを使って下に滑り下りた。ロープは味方に引き上げて貰う。マルスと一緒にオーエンも、その他の守備兵も下り、城壁の上には弓兵十人だけが残った。
マルスと十人の若者は、町の通りを走って敵兵を探した。
敵兵たちはそれぞれ民家の中に入り込み、町民を探し出そうとしているようである。
もちろん、町民はそれぞれ組になって敵に備えているが、町民だけではやはり敵には対抗できない。
マルスは、町民に襲い掛かる敵兵を見つけて、打ち掛かった。一、二合切り結ぶとすぐに相手を切り倒すことができた。板金の鎧で完全武装をしている敵は数名であり、鎖帷子程度では、剣の打撃を受け止めることはできない。
「マルス! 敵は町の奥の袋小路よ。今、ギーガーたちが戦っているわ。でも、負けそうなの。助けに行って」
マチルダの声だった。
マルスは振り向いて、マチルダを見た。マチルダは、緊張した顔に微笑を浮かべた。
(無事だった……)
マルスは嬉し涙を流しそうになったが、こらえて「うん」とうなずいた。
ある小さな民家の二階で、アンドレは机の上に町の地図を広げていた。その地図の上には戦闘のあった場所と、死んだ敵の数、味方の数が書き込まれている。それらはみな、マチルダと何人かの子供達が報告したものである。
「これまでに死んだ敵の数は四十七人、怪我で戦闘不能になっているものが二十六人、味方の捕虜になっているものが三人いる。城内に入った人数は百三人だから、残りはあと二十七名だ。
味方の被害は、死んだのが八名、大怪我をしたのが十九名、ほとんどは傭兵隊の兵士だが、町民も大怪我をしたのが六名いる。幸い、といっては傭兵たちに悪いが、町民の死者はまだいない」
アンドレは護衛役のオズモンドに言った。というより、独り言のようなものである。
開けたままのドアの向こうに、マチルダが顔を覗かせた。
「マルスはオーエンたち十名とともに、ギーガーの救援に向かいました!」
息をはずませて報告する。それを聞いて、アンドレはにっこり微笑んだ。
「よし、これで戦闘はほぼ終わりだ。各部署にいる町民をすべてギーガーたちの戦闘場所に集めて敵を取り囲むように伝えてくれ。われわれも向かおう」
PR
この記事にコメントする