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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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北野武(ビートたけし)のインタビュー記事の一部である。インタビュアーは渋谷陽一。


ーーそれはやっぱり、たけしさん的な恋愛観というか、人生観が色濃く反映されてますよね。

「うん。なまじね、過去を悔いてね、いい人になろうなんて思った奴はたいてい癌かなんかになって死ぬんだよ」

ーーははははは!

「大体、『仏心』なんだから、仏になっちゃうんだから(笑)。それは駄目だろうっていうかさ、だからもう、いいことあると警戒する。イヤなことは意外にサウナ入ってるようなもんでさ」

ーーははははは。

「耐え忍んだら気持ちいいっていう。要するに、酷い目に遭って解放されたときがいいわけじゃん? すっと人間が生きてて解放されるって、くたばるときなんだから」
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第二十四章 アスカルファンへの帰還

自軍の飲料水の大半が、夜の間に何者かに捨てられた事を知ったデロスは激怒した。
見張りの兵士はそれぞれ鞭打ち二十回ずつの処罰をしたが、失われた水は取り戻せない。
それよりもさらにデロスを怒らせたのは、自軍兵士の中に数日後、疫病が発生し、それが同じ夜に食料に何かを入れられたからだと知った事だった。
「なぜ、食料に異常がないか調べぬ。糧秣隊の班長は何と言っておるのだ」
「はっ、食料が水浸しになり、厭な臭いがしている事は分かってましたが、あまりにも大量の被害なので、捨てたらお叱りがあるかと思い、兵たちに食わせたそうです」
「わしたちの物も同じか」
「いえ、高級将校のお食事は、被害の無かった馬車の食料から作ったそうです」
「愚か者め。同じ物を出していたら、もっと早く異常に気付いて、被害を少なくできたものを」
デロスが調べさせると、疫病にかかった兵士の数は一万人以上で、まだ増えそうだという事であった。そして、水の残りは、あと十日の行程に対して、七日分しか無かった。
「疫病にかかった者は、皆、この近くで休養させるがよい。但し、異常の無い者は、全員このまま行軍する。看護は残った者同士でするがよい。水と食料は半分に分けて一つは病人どもに残す。先に行く連中は、三日ほどは飲まず食わずになるが、なあに、砂漠にも多少は水もあるし、草もある。草の根でも噛んで水分を補給すればよい。病気の者は、歩けるようになったらダンガルに向かい、そこでゆっくり休養しておけ。戦が長期戦になったら、その者たちにも出番はあるだろう」
 一万人の病人を背後に残し、デロスたちはさらに西海岸に向かった。しかし、その後も患者の数は増え続け、ボワロン北西部の海岸に到着した時には、疫病による死者が三千人、重態の患者が二万人に上っており、軽い患者も五万人近くいた。

 マルスたちは、自分たちのした事がこれほどの効果をもたらしたことは知らなかった。
グリセリード軍の水と食料を台無しにした後、夜警に発見されそうになった二人はロレンゾたちの所に逃げ戻り、そのまま大急ぎで出発したのであった。
病人などのせいで行軍の速度の落ちたグリセリード軍よりはるかに早い速度で進んだマルスたちは、それから四日後にはボワロンの北西海岸に着き、そこから小船でアスカルファンに向かっていた。
アスカルファンに着いた一行は、マルスはまずケインの家に、マチルダはロレンゾと共に自分の屋敷に行って、無事な顔を見せたが、ピエールとヤクシーはそのまま宿に残って、長旅の疲れを癒し、風呂の後は、思い切り贅沢な食事と高価な酒を楽しんだのであった。

「いやあ、とにかく無事でよかった。だが、お前、ずいぶん真っ黒になっちまったなあ」
オズモンドに言われたマチルダは、笑って言った。
「あら、これは変装よ。グリセリード人に化けてたの。ねえ」
 マチルダは同意を求めて、自分の保護者然と構えているロレンゾを振り返ったが、ロレンゾは首を横に振って言った。
「あの塗料の効き目は数日間だけじゃよ。それは本物の日焼けじゃ」
マチルダは気を失った。

 ロレンゾからグリセリード軍の侵攻の話を聞いたオズモンドは、翌日、国王にその報告をした。
 オズモンドの報告で、宮廷は上を下への大騒ぎになったが、例によって、重臣たちは、自分こそが総大将になってグリセリード軍に立ち向かいましょう、王様は大船に乗った気持ちでいてください、と大言壮語したりしている。こうした口先の英雄が戦場でまともに働いた例は無いのだが、それでシャルル国王はすっかり安心したようである。
「レントへの救援の依頼は必要ありませんか?」
「まあ、その必要は無いと思うが、わが国への脅威はレントへの脅威でもあるから、レントも一緒に戦いたいであろう。唇滅べば歯が寒い、と言うでな」
 対グリセリード軍の総大将に決まったジルベルト公爵が偉そうに言った。
 すぐさま、国王からの親書を持って、オズモンドはレントに向かった。

 ロレンゾは宮廷に旧友のカルーソーを訪ねていた。賢者の書の解読を依頼するためである。
 懐かしげにロレンゾを迎えたカルーソーだが、賢者の書を見て眉をひそめた。
「古代パーリ語か。これはまた難しい物を持ってきたな」
「お主でも無理か」
「まあな。やはり、パーリの人間でないとな。その、ヤクシーという娘はパーリの人間なら、少しは読めるのではないか?」
「それが、その娘は学問嫌いで武術しかしなかったというのでな。パーリの文字もろくろく読めんのじゃよ」
「王家の娘といってもそんなものかの」
「女には教育などしないのが、やはり普通じゃろう」
「しかし、その娘は、自分でも気付かない力を持っているかもしれんぞ」
「なぜそう思う?」
「お主らが魔物の襲撃を受けなくなったのは、その娘が仲間に加わってからじゃろう?」
あっとロレンゾは思った。灯台下暗しとはこの事か。


二期は、毎回あのOP画像でうんざりして見なくなった。あれほど破壊力(自己破壊力)のあるOPは初めてだ。内容も、数回見た限りでは、魅力が無かった。一期とどこがどう違うのかは分からないが、とにかく、魅力が無いのである。原作漫画をかなり忠実に映像化しているとは思うので、アニメ化というのは不思議なものである。作り手の誠実さ、真剣さの度合いが必ず視聴者に伝わるようだ。
Ⅲ期の監督は二期とは別の人であることを心から願う。できれば、一期の監督に戻してほしい。

(以下引用)

【アニメ】「SPY×FAMILY」Season3は2025年10月放送 アーニャ&ボンドのお祝いイラスト公開
カテゴリ漫画・アニメ・声優

転載元: https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1734767458/

SPYFAMILY_jf_illust

1: muffin ★ 2024/12/21(土) 16:50:58.61 ID:Uk4o3tUd9
https://natalie.mu/comic/news/604821
2024年12月21日

遠藤達哉原作によるTVアニメ「SPY×FAMILY」Season3が、2025年10月より放送される。

これは本日12月21日に千葉・幕張メッセで開催中の「ジャンプフェスタ2025」内で発表されたもの。TVアニメ「SPY×FAMILY」はSeason1が2022年に2クールで、Season2が2023年に放送された。フォージャー家の活躍をアニメで観られる日を、ファンは楽しみにしておこう。なお「SPY×FAMILY」のステージ実施を記念し、キャラクターデザインの嶋田和晃描き下ろしによるアーニャとボンドのお祝いイラストも公開された。

https://ogre.natalie.mu/media/news/comic/2024/1221/SPYFAMILY_jf_illust.jpg
https://ogre.natalie.mu/media/news/comic/2024/0609/SPYFAMILY_Season3.jpg



3: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:52:31.55 ID:clQcnFbR0
全然話進まないじゃんこれ

21: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:03:56.35 ID:4wxHaX6M0
>>3
だってこれクレヨンしんちゃんみたいなヤツじゃん笑

4: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:53:52.64 ID:QF58QLVX0
遠すぎる

5: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:54:01.37 ID:Znd42uqp0
アニメの新作よりも続編をきっかけにキャラグッズが発売されることの方が嬉しくなってきた

6: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:55:49.40 ID:0po4BrbY0
声優が衰える前にちゃんと完結しとけよ

7: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:56:17.43 ID:jfkkg2KN0
アニメの最後に数秒ある提供のとき、トバリがワニに乗ってる映像で吹いてしもた

9: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:57:01.98 ID:R0EtXfCb0
作者は本当は「戦争は女の顔をしていない」とか「売国機関」みたいな漫画描きたいんだろうなと… まあ売れて儲けたら次はそういうの描いたらええがな

13: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:59:26.24 ID:+u3gGuPK0
>>9
書きたいけどこの人が書くと陰鬱になって打ち切りになるを繰り返しすぎてたまにそういう話差し込むだけで精一杯なんだろな

11: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:58:15.88 ID:r9f36oOQ0
2期も数話で止めたし
もうあのブームは来ないよ

12: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:58:51.04 ID:hpknWbJn0
そんなのあったな

14: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 16:59:59.84
>>1

2期はクソつまらなかったから

途中で見なくなったなあ

23: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:04:55.25 ID:FhNnYG1/0
来年の10月か…生きてるか微妙だわ

30: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:16:19.10 ID:IHXF+VQ80
>>23
今からそれを言ってどうするのよ・・・・・・・・

31: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:17:15.07 ID:Qp9OTi4V0
シーズン2ってつまらなかったよね

33: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:18:26.56 ID:PnKtPU580
>>31
出落ち漫画だからなぁ

37: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:27:21.24 ID:FVYMPc560
>>31
アーニャが人気になったんで話がアーニャの学園生活中心になるのはしょうがないんだけど、
まあつまらなかったな

38: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:28:15.72 ID:8Tb2Edcj0
もう三期目か、、、人の時間は早いね

40: 警備員[Lv.7][新芽] 2024/12/21(土) 17:34:11.07 ID:p6w3hIiT0
もう旬が過ぎたし、先が気になるものでもないし

46: 名無しさん@恐縮です 2024/12/21(土) 17:38:16.33 ID:ydP+tCKb0
あーにゃの声は癒されるな




田沼雄一という人(映画評論家か)の「スポーツ映画キネマ館」という本を読んでいると、「シコふんじゃった」(周防正行監督)の中に出てくる大学名が、応慶大学とか波筑大学とか教立大学なのだが、まあ、その洒落は誰でも分かるとして、問題は「日本医科大」がどうなるかということだ。
これは、答えを言うと、「本日医科大学」になるのである。

私はこの映画を見たような気もするし、見ていないかもしれないが、このジョークにはまったく気づかなかった。まるで、「今日は医科大学だが、明日は違うよ」という感じではないか。

言うまでもないが「シコふんじゃった」は「ネコふんじゃった」の洒落である。

ちなみに、今、アニメで「バナナフィッシュ」を見ているが、題名の元になっている「バナナフィッシュ」はサリンジャーの「バナナフィッシュには最適の日」から取られていて、バナナフィッシュとは、それを見ると死ぬという伝説の魚らしい。つまり、「バナナフィッシュには最適の日」とは、「死ぬには最適の日」という意味になる。昔は気にも留めなかったことを、この年になって知ることも多い。
なぜ、まったく違う話を続けたかと言うと、「本日はお日柄もよく」というタイトルを書いた瞬間に「バナナフィッシュには最適の日」という言葉を連想したからである。「お日柄もよく」と言っても、何に良い日かはいろいろある、ということだ。「本日」は最初の話に関係する単語である。
「ハンター×ハンター」の「殺し屋少年」は、作者のキャラ作りの合理性が際立った特徴になっていると思う。殺しに慣れすぎているために他者を殺すことにためらいが無いし、自分の命すら軽く見ている。そのために大胆な行動(傍目には自殺的行為と思える行動)を平気でやるわけだ。
通常の作者のキャラ作りだと、ここまでの合理性はない。(ちなみに、「キルア」の中には「キル」がある。)

他のキャラの「見えづらい」合理性も同じくである。すべて、個々のキャラの独自の行動原理がある。それこそが、見かけだけではない、真の個性である。だから、個々のキャラが際立っている。
たとえば、今回見た話では、「イカルゴ」という名前の敵が出るが、これはおそらく、彼が「イカ」を理想とするタコ怪物であり、狙撃者だから「ゴルゴ13」から名前を借りて「イカ・ゴルゴ」で、「イカルゴ」という名まえになったのだろう。
イカの姿かたちがタコにとって理想であるという哲学は、分かるような分からないような話だが、まあ、どうせタコの考えることである。実際、世間でも「このタコ!」という悪口はあるが、「このイカ!」という悪口はない。なぜかタコは軽視される存在のようだ。せいぜいが「タコ焼き」で売れる程度で、しかも、タコ焼きの中にタコはほとんど入っておらず、詐欺食物だ。

なお、「ハンター×ハンター」の大きな特徴のひとつは、単なる「友情・努力・勝利」ではなく、その「勝利」に健全な少年漫画的道徳性があることだ。それは「尊敬すべき敵への敬意」である。単なる「あいつは敵だ。敵は殺せ」ではない。

「母殺し」をして生まれた冷酷無残なメルエムを、この作品のラブロマンス(おそらく過去のすべての少年漫画史上最大のラブロマンス。いや、「恋愛」ではなく、昇華された一種の疑似的な母と子の愛情か。コムギの膝の上で死んでいくメルエムの姿は、ミケランジェロの聖母子像、「ピエタ」の中のマリアとキリストである。)の主人公としたのも凄い。









第二十三章 グリセリード軍との遭遇

 神殿に近い墓地にこっそりとイライジャの屍骸を埋め、簡単な葬儀をした後でマルスたちはイライジャの書斎から、古代パーリ語の写本二冊を探し出し、それを荷物の中に入れて、ダムカルを離れた。
 来た時とは違って、なるべく砂漠を避けて、一行は東の海岸回りで帰ることにした。
ダムカルを離れる前に、ヤクシーは人目を避けながら何人かのパーリの女たちに会い、自分の生存を知らせて、必ずここに戻ってくると約束した。女たちは涙を流し、あなただけが希望だとヤクシーに訴えていた。
「なんとかして、パーリをボワロンから、いや、グリセリードから解放しなけりゃあならんな」
 ヤクシーや女たちの様子を見ていたピエールは、さすがに同情せざるを得なかったのか、再び旅に出た後、マルスに向かってそう言った。
「それは、そう遠くはなさそうだぞ。見てみろ、あの軍勢を」
マルスが地平の彼方を指した。そこには地平を埋め尽くすかと思われる数の軍隊が、西に向かって行進しているのだった。
「グリセリードの軍隊だ。ボワロンの西に向かっている」
「グリセリードがボワロンに何の用がある?」
「おそらく、ボワロンの海岸からアスカルファンに向かうのだ」
「だが、ボワロンの海岸にはそんな船など無かったぞ」
「何か、軍勢をアスカルファンに運ぶ方法があるのだ。どのようにしてかは、分からんが」
「じゃあ、アスカルファンは風前の灯じゃあねえか」
愛国心など全く無いピエールだが、戦で無辜の民が殺されるのを見殺しには出来ない。
「あの軍勢は少なくとも十万はいそうだな」
マルスの視力を以てしても数え切れない大軍だ。
「幸い、向こうは歩兵がほとんどだ。俺たちは駱駝があるから、奴らよりは何日か早く西側海岸に行き着ける。だが、何とかして、あいつらの数を減らせないものかな」
ピエールの言葉に、マルスはロレンゾを見た。
「一番いいのは、彼らの飲み水を失わせることじゃろうな。それと、食料や武器に損害を与えることだ。そうすれば、自ずと戦力は下がる」
ロレンゾの言葉に、マルスは前回の戦いでグリセリード軍に奇襲を掛けた時の事を思い出した。しかし、こんな砂漠の中で、十万もの軍勢相手に奇襲は不可能である。
「ロレンゾ、姿を見えなくする術を教えてください」
マルスの言葉に、ロレンゾは驚いた。
「魔法はそんなに簡単なものではないぞ。一体、何をしようというのだ?」
「僕があの軍勢の中に忍び込んで、水と食料を駄目にしてきます」
「前にも言ったが、姿を消す術は、催眠術だ。多くの者を相手にしてはできない」
「それでもいいです」
ロレンゾはためらったが、マルスの決意は固かった。
ロレンゾは、マルスとピエールに、ある秘策を教えた。二人で、グリセリード軍に侵入すると言ったからである。
「要するに、気合の問題じゃ。催眠術など使わずとも、お主らが、グリセリード軍の兵士のつもりでいれば、誰一人お主らを疑うまい。だが、少しでも怯えたなら、一発で見破られるだろう」
マルスとピエールは、髪を黒く染め、グリセリード風の表情を作る練習を少しした後、グリセリード軍の方へ向かって歩き出した。
歩きながらマルスは、砂漠の湿地帯に落ちていた、蝿のたかった動物の糞を、水の入った皮袋に入れた。蝿のたかった食物が危険な事をこの時代の人間はあまり知らなかったが、マルスは山の古老から教わっていた。
マルスたちがグリセリードの野営地に着いた時は、ちょうど軍隊が夕食も終わって眠りにつこうとしている頃だった。
星明りだけの闇の中を、マルスとピエールは堂々と近づいていった。
形だけの夜警はいるが、グリセリード軍はまったく敵に対する警戒はしていなかった。十五万もの大軍に対する奇襲など想像も出来なかったし、ここボワロンは、まだグリセリードの統治領だったからである。
これだけの人数がいれば、自分の部隊以外の人間の顔など誰も知らない。マルスやピエールが夜営地の中を歩いていても、どこか別の部隊の御用商人が、小用に立ったのだろうとしか思っていないのである。南部グリセリード風の格好をしたマルスとピエールの姿は完全に周囲に溶け込んでいた。
輜重車には警護の兵士が付いていたが、本気で警戒している者は一人もいない。デロスからは、厳重に警備しろと命ぜられているが、輜重車が狙われた事など一度も無いのだから、心が緩むのも当然だろう。
水だけでニ百台、食料は三百台の輜重車の中で、見張りの遠くにあるものからマルスとピエールはこっそり近づいた。
水の樽は栓を抜いて転がし、食料には溶けた糞便液をかける作業を二人は一晩続けた。






第二十二章 イライジャの死

「そういう訳でしたか」
ヤクシーの話を聞き終わって、イライジャは溜め息をついた。
「なんというご苦労をなされたのでしょう。お可哀想に」
「もう終わったことよ。これまで、王宮でぬくぬくと贅沢をしていた罰が当たったのね」
「そんな……。パーリ王ほど善政を敷かれた方は無いのに」
二人の会話を聞いていたピエールが口を挟んだ。
「天道是か非か、ってところだな。愁嘆場はそれくらいにして、用件に入ろうぜ。あんた、古代パーリ語を読めるかい?」
「わずかならな。なぜだ?」
イライジャは戸惑ったように聞いた。
ロレンゾが懐から賢者の書を取り出す。
「これを解読して欲しいんじゃ。今、世の中が大変な事になろうとしておる。一国の興亡など話にならん、世界の危機じゃ。悪魔がこの世を支配しようとしておるんじゃよ」
「あんたは?」
「わしの名はロレンゾ。魔法を少々使うが、もともと武士上がりで、生憎、学問が今一つでな」
「古代パーリ語か。難物じゃな。少しお借りして、研究してみよう。古代パーリ語の写本がここには何冊かあるから、それと照らし合わせれば、幾分かは分かるかもしれん」
ロレンゾはイライジャに賢者の書を手渡した。
五人は、神殿の奥の庫裏の一室で、久し振りにベッドで寝ることが出来た。

 翌朝、目を覚ますとすぐにイライジャの部屋に行ったロレンゾは、部屋の戸が開いているのを奇妙に思ったが、そのまま中に入った。
 そこでロレンゾが見たのは、床に横たわるイライジャの血まみれの体の上にのしかかってその喉首に喰らいついている大猿の姿だった。
 ロレンゾは大声でマルスたちを呼んだ。
 その声に顔を上げた大猿は、ロレンゾを一睨みすると、側の机の上にあった本に手を伸ばし、それを口に銜えて窓からさっと出て行った。
 床の上のイライジャは、既に喉を食い破られてこときれていた。
 ロレンゾは窓に駆け寄って大猿の行方を目で追った。
「マルス、弓を取って来い! あの大猿が賢者の書を持って逃げた」
 ロレンゾの言葉に、マルスは部屋に駈け戻って弓を手にして外に走り出た。
裏庭につないであったグレイに飛び乗り、大猿を追う。
大猿は今しも林の中に姿を消そうとしていた。
一度後ろを振り返って、自分を追うマルスの姿を見た大猿は、跳躍して林の木の枝に飛びついた。
マルスは弓に矢を番えた。大猿の手が枝に掛かった瞬間、マルスの矢が猿の背中に突き立ち、ぎゃっと一声上げて、大猿は木の下に転落した。
 マルスは大猿の落ちた辺りに近づいた。
 その時、グレイがいなないて棒立ちになった。大猿が跳ね起きてこちらに向かってきたのである。
マルスはさっと踝を返してグレイを後ろに走らせ、離れた所から、数本の矢を続け様に射た。あっと言う間に大猿の体には何本もの矢が突き立った。
大猿の体がぐらりと揺れて、地響きを立てて倒れた。なんともしぶとい生き物だが、今度こそ本当に死んだようだ。
木の下から賢者の書を拾い上げて、マルスはロレンゾたちの元へ戻った。
「もう駄目じゃな。わしらのせいで、何の罪も無い老人を死に至らしめてしまった」
ロレンゾは後悔するように言った。
「なあに、このくらいの年になりゃあ、遅かれ早かれそろそろお迎えの来る頃さ」
ピエールが口悪く言って、おっと、と口を押さえてヤクシーの顔を見た。
「でも、これで賢者の書を解読する事が不可能になったわけじゃない?」
マチルダがロレンゾに尋ねた。
「そうじゃな。どうしたものじゃろう」
イライジャの死体の前に屈みこんでいたヤクシーが立ち上がって言った。
「もしかしたら、イライジャの弟子が古代パーリ語を読めるかもしれないわ」
ロレンゾの顔がぱっと明るくなった。
「その者の名は何と言う?」
「名前はオマー。でも、あの敗戦で子供と老人以外の男はほとんど殺されたんだから、生きているかどうかもわからないわ。生きているとしたら、多分奴隷になっているでしょうね」




当然の対応である。弥助が「侍」になったという史実は無い。単に信長の下男になっただけだ。安土商工会の愚劣な企画が中止になって幸いである。

(以下引用)

織田信長の居城だった安土城跡=滋賀県近江八幡市
織田信長の居城だった安土城跡=滋賀県近江八幡市
© 産経新聞
滋賀県近江八幡市の安土町商工会は19日、来年1月に予定していた新春講演会「信長と弥助 本能寺を生き延びた異国の侍」を中止すると発表した。講師は日大准教授のトーマス・ロックリー氏が務めることになっていた。同会は「会員や地域の人の参加を想定していたものだったが、批判的な意見を多くいただいたため、中止することにした」としている。弥助は織田信長に仕えた黒人だが、史料が少なく、どのような立場だったか不明。しかし、弥助を「侍」だと断定する演題で、ロックリー氏にはそういう内容の著書もあることから、批判の電話やメールが寄せられたようだ。

講演会は2025年1月22日に同市の万博国際交流プログラム活用事業として開催される予定だった。信長の居城だった安土城跡があることから、関連するイベントを考えたという。安土町商工会は19日、ホームページで「多くのご意見を頂戴いたしました。これらの状況を真摯に受け止め、協議を重ねた結果、講演会を中止させていただくこととなりました」という声明を公表。「今後も地域社会に貢献できる活動を目指して邁進してまいりますので、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます」としている。

今年5月、フランスのゲーム会社による人気シリーズ最新作『アサシン クリード シャドウズ』の主人公の一人に、屈強な侍として描かれた弥助が〝採用〟されるという設定が発表され、SNSなどで批判の声が上がった。日本史を題材にしたゲームで史実に反した登場人物やストーリーが採用されることは珍しくないが、すでに海外で弥助についての不確かな歴史を信じている人がいる所に、影響力のあるゲームがその拡散を後押しするという懸念が強まったようだ。ロックリー氏は、弥助の海外への周知に大きな役割を果たしたとされる。
私は「義務」と「責任」という言葉が大嫌いで、したがって、仕事も常に嫌いだった。学校時代は学校に行くのも嫌いだったから、この年まで生きられたのは奇跡のようなものだが、10代くらいのころは、自分は20歳まで生きられそうな気もしなかった。
大学に入ることは入ったが、そこもつまらなかったし、また学業をさぼることに罪の意識が常にあったので、いつも鬱屈した気分だった。大学を中退して常にその場しのぎの仕事をしているうちに今の年になって、今は「したくないことはしないですむ」から人生最高の時である。カネはあまり無いから贅沢はできないが、もともとそういう欲望はゼロであるから問題はない。性欲も無いからその方面の焦燥感もない。貧しいながら日々を生きるだけの生活費は一応あるので、それ以上は欲しいものは無い。

本題に戻る。私の前半生の問題は、常に「したくないことをする義務がある」ことだったわけだ。学生時代は勉強、社会人になってからは仕事である。この両者の中では後者のほうがややマシだろうか。というのは、仕事は生命維持に直結するので、とにかくやるしかないからだ。仕事自体が面白いとかやりがいがあると思ったことは一度もないが、そういう仕事への夢想を捨てれば、我慢することはだいたいできると思う。仕事とはそれが当たり前ではないか? ビジネス書が教える「仕事のやりがい」というのは、経営者を儲けさせるだけのことだろう。つまり、低賃金で馬車馬的に働く労働者を大量に生産するのだから。

まあ、資本主義社会というのは文字どおり、「資本」が生命のようなもので、最初から資本を持って生まれた層しか上級国民にはなれないわけだ。戦後日本の、貧困から立身出世した偉人たちというのは、時代の産物で、階級が固定した後には、最初から資本が無い人間が上に行く機会は、ゼロではないが、ごく少数だろう。それも、数知れない競争に勝った場合のことだ。中にはライバルを蹴落とすために悪辣な手段を取る者もいるだろう。つまり、下層社会は「蟲毒」であり、その中で勝ち残った最強の毒虫が上に上がる、ということだろうか。欧米資本主義国家がすべて無残な状態になっているのは資本主義の必然かもしれない。日本も当然、そうなりつつある。

まあ、個人の問題と社会の問題をごっちゃにした話になってしまったが、本題に戻るなら、私があれほど「義務」と「責任」が嫌いだったのに対して、世間の人の多くはあまりそういう気持ちを持たないように見えるのが不思議なのだが、それはおそらく私が異常に生真面目で、「義務」と「責任」を過大に考える性質だったからだと思う。
つまり、世間の人間の大半はそういうプレッシャーがさほどなく、失敗しても「笑って済ます」連中が普通だったのではないだろうか。もちろん、重大な仕事での失敗は笑いごとではないが、それでも命までは取られない。首になるだけだ。で、私のように何度も転職した人間が、義務と責任を重大視するのは、かなり頭が悪かったと言えそうだ。とは言っても、傍から見たら私は無責任極まる人間に見えた可能性は大であるwww

人間の自己評価と他者による評価は大きく違うのが普通で、だいたいは後者のほうが客観的なのであるからwww




第二十一章 パーリの神殿

 ピラミッドの宝物室を出た後、マルスたちは、宝物室への通路を元通りに石を組んで閉じた。これで、彼らの後にピラミッドに入る者がいても、宝物室は見つけきれないだろう。
「このピラミッドは俺たちのでっかい金庫ってわけだ」
ピエールは満足そうにピラミッドを見上げて言った。
「さて、それではパーリに向かうことにするか」
宝を見つけたことよりも、思わぬ時間を取られた事を後悔しながら、ロレンゾが言った。
「そうだ、こいつは返しておこう」
ピエールは、胸元からペンダントを取り出して言った。
それは、ずっと前にピエールがマルスから盗んだブルーダイヤのペンダントだった。
「やっぱり、まだ持っていたんだ」
マルスはそれを受け取りながら苦笑いした。
「まあな。俺は泥棒だから、只で返す気は無かったが、こんなお宝が手に入った以上は、こいつはあんたに返すぜ。親父の形見とか言ってたな」
「ああ。見た事もない父だがな」
久し振りに見るブルーダイヤのペンダントを開け、中に入れてあった護符を確認する。
「ほう、それはわしがお前に与えたものだな」
「ええ。この中に入れてあったんです」
「なら、瑪瑙のペンダントの方は、マチルダに上げるがよい」
「そうですね」
マルスから渡されたペンダントを、マチルダは首に掛けた。本当は、ブルーダイヤの方がきれいだと思ったのだが、そっちは親子の証の品だというので、欲しいとは言えなかったのだ。
まあ、いいわ、マルスが父親に遇ったら、ペンダントは用済みなんだから、そのうちそれも私のものよ、とマチルダが心の中で考えたことをマルスは知らない。マルスに対する愛情と、宝石への愛はまた別物である。

ピラミッドに立ち寄ってから九日後、マルスたちの前に草原が現れた。パーリ国である。砂漠地帯から、少し内陸部になっており、さらにその先は猛獣だけの世界であるジャングルが続いている。
 そして、草原の中にやがて一つの町が見えてきた。遠くからでも、古代からある町だという事がはっきり分かる、古びた壮麗な建物の多い町である。
「あそこがダムカルよ。パーリの都の中で、神聖都市と言われているところよ」
ヤクシーが指差す方を見て、ピエールが呟いた。
「ダムカルだって? ダンガルと似ている名だな」
「ダンガルはダムカルにあやかったのよ。大昔はパーリとボワロンは一つの国だったの。国王で大賢者のアロンゾが治めていた頃は、世界の中心だったくらいよ。今の魔法のほとんどは、アロンゾが見つけ出したものだと言うわ。その中でも、アロンゾの指輪は、悪魔を支配する力を持った指輪だという伝説があるのよ」
「アロンゾの指輪、別名ダイモンの指輪じゃな。その伝説が、悪魔と戦おうという我々の頼りなんじゃよ」
ロレンゾは言った。
「マルスが嵌めておる指輪がそれじゃ」
ヤクシーはびっくりして、マルスの指を見た。
「ところが、その指輪を使う呪文が分からないんでな。この賢者の書に、その呪文が書かれているというわけだ」
「それで、その本を読むためにパーリに行く必要があったわけね」
 ヤクシーの話では、ダムカルには古代からの神殿が幾つかある、ということである。
町はボワロンの兵士が支配しているはずだが、神殿までは警戒していないだろう、ということでマルスたちは暗くなるのを待ってダムカルの最大の神殿に潜入することにした。
神殿はほとんど人がいず、マルスたちは何の困難も無く、神殿に入ることができた。
日が沈んだ後の、ほとんど真っ暗な建物の中を五人は一かたまりに進んでいった。
神殿の奥に一つだけ、明かりの灯った部屋があった。
ヤクシーが部屋の戸をそっと叩くと、中から「どなたかな?」という声があった。
「ヤクシーよ。イライジャ」
「ヤクシーだと? パーリの姫のヤクシー様なら死んだはずだ」
戸が開いて、中から明かりが洩れた。
逆光の中に見えたのは、僧服をまとった、黒い肌に白髪の老人だった。年は八十以上に見えたが、背は高く、腰も曲がっていない。
「おお、ヤクシー様。生きておられたのですか。良かった……」
その老人は、ヤクシーと抱き合って涙を流した。
「お前も無事で良かったわ」
ひとしきり再会を喜び合うと、イライジャと呼ばれた老人は他の者たちを不審そうに眺めた。
「この方たちは?」
「私の恩人よ。この人たちの御蔭で、奴隷の身から解放され、憎い仇のザイードも倒すことが出来たの」
「何と、あなた方はあのザイードを倒したと?」
「俺たちは、知らずにお膳立てしただけで、ザイードを殺すのは、このお姫様が一人でやったんだがな」
 ピエールが解説を加えた。

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