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ゲーム・スポーツなどについての感想と妄想の作文集です 管理者名(記事筆者名)は「O-ZONE」「老幼児」「都虎」など。
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(3)

「うむ、美味かったぞ。お主はわしの料理番に使ってもいいの。この菜は不思議な味じゃが、美味いものじゃ。さて、腹もくちくなったところで、話をいろいろ聞きたい。この世は、わしの暮らしていた時から五百年の後だということじゃな」
信長氏は、皿と箸を置いて言った。
まだ、その設定で行くんだ……。
「あなたが織田信長なら、そうなりますね」
「わしは信長じゃ。あの禿げ鼠、いや光秀めに裏切られて、本能寺という寺で光秀軍に攻められて、先ほどやむなく腹を切って死んだはずじゃが、気がつくとお主が目の前にいたのじゃ」
「まあ、そういうことにしておきましょう。で、今晩はここに泊めてあげますけど、明日には出て行ってくださいよ。僕も仕事を失ったばかりで、これからどう生きていけばいいのか分からない状態で、居候を養う余裕はありませんからね」
「うむ、仕事が無いなら働けばいいではないか」
「なかなか簡単には仕事は探せないのですよ。コネも学歴も無い高卒の人間にはね」
「コネ?ガクレキ?お主はコウソツという身分か。いったいコウソツとは何じゃ」
「まあ、学が無いということです」
「そんな人間はたくさんいるであろう」
「この世界は学問のある人間だらけなんです」
「皆が坊主なのか」
「むしろ、坊さんのほうが学問は要らないんじゃないですかね」
「ほう、わしのいた世界とは違うようじゃな。だが、確かに、坊主というのは悟ればそれでいいのじゃから、なまじ学問などせぬほうがいいかもしれんな。あの比叡山の悪法師どもには悩まされたものじゃ。全部焼き殺してやったがな、ひひひ」
と妙な笑い方をする。
「心頭滅却すれば火もまた涼し、と言いながら焼け死んだ坊さんがいたそうですね」
「馬鹿な、みんな焼き殺したのじゃから、誰がそれを聞いておるか」
「まあ、それはそうか」
「わしは悟り顔をした奴が大嫌いじゃ。坊主など虫唾が走るわ」
「そうですか」
「光秀なども悟り顔であれこれ言うもので、だいぶいじめてやった。まあ、その報いで裏切られたらしいがな」
「自業自得という奴ですか」
「お前も坊主めいたことを言う奴じゃな。それだけ学があっても、こんな狭い家にしか住めないのか」
「ここは独り暮らし用の『狭い部屋』ですからね」
「気を悪くしたのかな。まあ、小さいことを気にするな。わしの家来に秀吉というのがいたが、あいつは失敗してわしに怒られても平気で笑っておったぞ。叱るほうも、そのほうが気が楽なもんじゃ。そう言えばお前、見たところは少し秀吉に似ておるぞ。あいつとは気立てが真逆のようじゃがな」
「つまり陰キャラだと?」
「また分からぬ言葉を使うな。わしは五百年前の人間なのじゃぞ。何はともあれ、人間五十年の命じゃ。暗い顔で生きるのも明るく生きるのも同じ一生じゃよ。楽しく生きるが良い」
「人間五十年なら、あなたは本能寺で死んだ時五十歳だから、ちょうど良かったんですけどね」
「うむ、今は余りものの人生じゃな。さて、何をして生きたものか」
「とりあえず、寝ましょう。毛布を一枚貸してあげます。まだ秋だからそれほど寒くはないでしょう」

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