まあ、まったくの正論だろう。前半戦であれだけホームランを打ったのは、打たれた投手たちがだらしないと思うが、「飛ばす力」は抜群ではあるのだろう。しかし、得点機で三振する確率の高い打者ではクリーンアップは打てない。無理にアッパースイングにしなくても、当たれば飛ぶのだから、もっとオーソドックスな打ち方に変えたほうが正解なのではないか。
現役時代に三冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(68)が、29日に放送されたMBSラジオの「JA淡路日の出スポーツスペシャル ~MBSベースボールパーク番外編~ 落合博満×掛布雅之 THE・野球談議」に出演。現役時代は阪神の4番に座り、阪神2軍監督なども務めた掛布雅之氏(66)との対談で打撃論などを熱く交わし、阪神で注目を集めたルーキー佐藤輝明内野手(22)についても語った。 【写真】今季はプロ野球歴代6位の173三振を喫した阪神・佐藤輝 佐藤輝は開幕から新人らしからぬ打棒を発揮し、本塁打を量産。5月度の月間MVP受賞や、長嶋茂雄以来となる新人の1試合3本塁打など好成績を収めた。だが、後半戦は失速。野手ではNPB史上ワーストとなる59打席連続無安打や、三振も目立ち、打率・238、24本塁打、64打点、173三振と良くも悪くも注目を集めた。 落合氏は「彼はまだ1年目だから。あれ以上の期待をする方が無理でしょう」と振り返り、掛布氏から「落合監督なら、フルシーズンで使うか。良い時にあえて休ませるとか考えませんか」と問われると、熟考しながらも「(休ませることは)考えないと思うな」と話した。開幕から1軍で起用したことにも「力があればね」と問題ないことを言及したが、「見切り発車はしません。代わりの選手がいるなら、そっちを使う」とも加えた。 一方で、掛布氏が「後半、あれだけ打てなくなる想像できなかったんですよ」と後半戦の失速について話すと、落合氏は即座に「そりゃあ、打ち方だよ。ハハハ」と笑いながらも苦言。「あれだけ下からバットが出てくると、しんどいものがある」と、独特なアッパースイングを指摘した。 大リーグではフライボール革命として、アッパースイングする打者が増えている傾向がある。このことを指摘されると、落合氏は「ホームランということだけを考えればいいけど、下から振るということは点でボールをつかまえるということだから。線でボールをつかまえるという打ち方じゃないのよ」と空振り数も増えることを指摘。そのうえで「日本でやるのであれば、ある程度、上から振り下ろしていく風に直してもいいんだろうけども。それで彼の特長が無くなっちゃったら怖いんだよ」と、一長一短あることに思案顔を浮かべ、掛布氏も「怖いですね」と同調した。 同じようなアッパースイングの打者としてMVPを獲得した大谷の名前も出たが「彼はあれで結果を残しているんだから、あれでいいんですよ」と別格としながらも「ただ、他の人にあの打ち方しろとは言わない」とも話していた。