その逆に、大谷などは日ハムでなければあそこまで育たなかっただろうと私は見ている。
まあ、選手がプロ入りして育つかどうかは基本的には自己責任ではあるが、高卒してすぐというのは精神的に子供だから、上の人間の言うことに素直に従って、そのために逆に潰された才能は無数にあるはずだ。落合など、コーチの言うことをまったく聞かなかったからこそ成功したのである。それくらいの自我が無いとプロで大成するのは難しい。
上役が最大の敵である、というのは普通の会社でもよくあることである。
(選手は本当は「個人事業主」であり、監督やコーチにペコペコする必要などないのだが、NPBというか、日本のスポーツ界では監督やコーチの権限が異常に強いのだ。それがいわゆる「タテ社会」というものである。)
(以下引用)
野球のU18アジア選手権が開幕した。
メンバー18人のうち、史上初2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭からは5人。主砲の藤原恭大(きょうた)、“二刀流”の根尾昂(あきら)はドラフト1位指名確実とされ、他選手も指名の可能性が高いという。まさに“ドラフト候補の宝庫”なのだが、
「西谷監督ら同校関係者が“あそこだけは絶対に行かせたくない”と漏らしている球団がありまして……」
と大手紙デスクが囁く。
大阪桐蔭が初めて春夏連覇した2012年、エース・藤浪晋太郎(24) をドラフト1位指名した――阪神である。藤浪は入団後3年連続で2桁勝利をマークしたが、一昨年に金本監督が就任すると成績が急降下。昨季は3勝止まり、今季に至ってはまだ2勝で、今は2軍でお茶を挽いている。
つまり、“藤浪をあんなふうに潰しておいて、どのツラさげて指名挨拶に来るんじゃい!”というわけだ。
「そもそも大阪桐蔭と金本阪神とではカラーが正反対。大阪桐蔭は今風の“のびのび野球”で、選手に無理を強いたりしません。対する金本監督はコテコテの“昭和の野球”で、自身がそうであったように、選手をボロボロになるまで鍛え上げる。エリートより根性のある選手が好みです」
打ち込まれた藤浪をあえて続投させ、161球投げさせた“懲罰采配”が問題になったことも。金本監督なりの考えがあったのだろうが、母校関係者はいたたまれなかったに違いない。
「“四番”でも黒歴史があります。1992年、萩原誠という四番打者が阪神にドラ1で入団し、“掛布二世”と期待されましたが、結局鳴かず飛ばずでした」
さて、当の阪神はどうするおつもりか。
「地元のスターは喉から手が出るほど欲しい。現に1カ月前までは“藤原を1位指名”との情報が伝わっていました。ところがここにきて“1位は大学即戦力投手”との声も。“大阪桐蔭から何か言われたのか?”なんて囁かれています」
「週刊新潮」2018年9月13日号 掲載