彼の投球で面白いのは、チェンジアップが投球の5割から6割くらいの割合だったことである。打者にとっては時々来るストレートも遅すぎて変化球のように思えたのではないかwww 「山、高きがゆえに尊からず」ならぬ、「球、速きがゆえに尊からず」である。遅い球でも他の球とのコンビネーション次第で相手打者を封じることができる。ある意味、元阪急ブレーブスの星野の再来である。
雄星&大谷とは真逆の魔球、花巻東・田中が東邦封じ
<センバツ高校野球:花巻東5-3東邦◇26日◇2回戦
全部員81人が県内出身の花巻東(岩手)は最速125キロ左腕の田中大樹投手(3年)が、強打の東邦(愛知)に3失点完投勝ち。
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花巻東のエース左腕・田中が、チェンジアップで優勝候補の東邦打線を封じた。
5-3と2点差に迫られた9回表2死二塁。最後の150球目も101キロの遅球でタイミングをずらした。伝統校・東邦の大逆転を期待し、アルプス席以外の内野席でも観客がタオルを頭上で回して応援する異様な雰囲気。田中は「これが甲子園なのかと。こういう状況で抑えるのがエースだなと思った。自分の売りは粘り強さ。しっかり腕を振ろうと思った」。レフトフライに打ち取り勝利をつかむと「どうしたら良いかと考え続けていたので、ホッとして涙が出てしまいました」。照れくさそうに笑った。
打たれそうでも、打たれない。09年準優勝の菊池雄星(西武)や12年出場の大谷翔平(エンゼルス)とは正反対のスタイル。偉大な2人とは違い、この日の最速は125キロ。94キロのチェンジアップまで31キロ差。佐藤捕手は「みんな首をかしげていた。『あれっ? まだ来ないのかよ』って感じ」と表現する。昨秋の公式戦で出場36校中最多6本塁打24打点の東邦・梅田を2三振。同最多10盗塁の林、9盗塁の熊田も1度ずつしか出塁させなかった“魔球”だった。
特技は野球部寮で担当するトイレ掃除。「汚物は、ブラシではなく、まずはトイレットペーパーで拭くんです」。洗剤をつけて最初はゆっくり汚れを散らす。最後はキュッキュッと力強く。「そこも緩急ですかね。気持ちいいんです」。野球でも同様に強力打線をきれいに片づけた。
打っても2安打3打点と貢献。「打撃は好きですが、二刀流は無理。あくまでも投手で魂のこもったボールを投げたい」。東北初の日本一は、打たせてとる。【鎌田直秀】